翔太郎「スマイルプリキュアだと?」
・数年前に書いたものです。完結したので再投稿します。
・スマイルプリキュアの23話がメインとなっております。
・誤字脱字、または設定が甘い等々あるかとは思いますが、何卒ご容赦をいただければ幸いです。
それでもよろしければ、どうぞ暇つぶし程度に見てってください。
ミュージアムの脅威が去ったかと思えば、風都はまた怪人騒ぎだ。
ピエロ面の妙なドーパントが現れて街の人たちから生気を抜き取ってるっていうじゃねぇか。
「この街を泣かせる奴は、どんな野郎だろうが許さねえ」
そう意気込んで一人現場周辺で調査をしていた最中、まさかあんなことになるとは……。
数時間前。俺はドーパントに襲われた。いや、正確には〝ドーパントに似た怪物〟にだ。
???「……」
翔太郎「なっ、ありゃナスカじゃねぇか!?」
突如俺の前に現れたのは倒したハズのナスカ。俺を一瞥すると、ヤツは無言で背を向け立ち去った。
もちろん、俺はすぐにフィリップに連絡してハードボイルダーでヤツの後を追った。
今思えば、あれは俺たちをおびき寄せる為の罠だった。
翔太郎「ううっ……す、すまねえな、フィリップ」
フィリップ「幸い、怪我自体は大したことはなさそうだ。だけど……」
大敗を喫した俺はリボルギャリーで駆け付けてくれたフィリップに助けられた。
そして――
翔太郎「本当にすまねえ」
俺たちはダブルのメモリを全て失った。
???「ウルッフッフー、お前か。最近、俺たちのことを嗅ぎまわっているっていうやつは」
ダブル「なんだ、テメーは!」
ウルフルン「誰だっていーじゃねぇか。ここでテメーは倒されるんだからよ! やっちまえ!アカンベェ!」
宙に浮いた狼男はガイアメモリを二本取り出すと、それに赤い玉を二個くっ付け放り投げた。
スミロドン・アカンベェ「グルルルル!」
ビースト・アカンベェ「ガオオオオ!」
ピエロのビーストとスミロドンに面食らっていた俺たちは、隙を突いて襲いかかって来たナスカの一撃でエクストリームメモリを手放してしまった。そこからは、ただただ無様なもんだった。
翔太郎「ぐっ……くそっ」
ウルフルン「おいおい、お前本当にこの街のヒーローかぁ? とにかく強えーって聞いてたんだが、噂ってのはアテになんねぇモンだな。くだらねぇ時間を過ごしちまったぜ」
翔太郎「待ちやがれ、狼野郎! 俺はまだ……うぐっ」
ウルフルン「ったく、見てらんねぇなぁオイ。立ち上がれねぇなら大人しくしてりゃいいのによ。……なになに? サイクロンのメモリとヒートのメモリ? おい、人間。お前、肉食獣っぽいメモリ持ってねーのかよ」
翔太郎「お前、俺たちのメモリをどうするつもりだ! 返しやがれ!」
ウルフルン「ああ? いらねーよこんな弱っちぃメモリ。だが、返してもやらねーがな」
狼男は俺たちのメモリを全部掴むと、大きく振りかぶって遠くへとブン投げやがった。
ウルフルン「これに懲りたら、二度と俺たちの邪魔すんじゃねーぞ。じゃーな。仮面ライダーさんよ」
フィリップ「可能性は二つ。敵の手に渡ったか。或いはメモリの機能が停止した、か」
メモリの機能の停止。
俺は以前この街を襲った、とあるテロリスト集団のことを思い出していた。
フィリップ「まあ、後者の可能性は低いだろうね。エターナルのメモリはあの時、僕らが破壊したんだから」
翔太郎「前者だとも考えたくはないがな。っていうか、お前の検索でメモリの場所の特定は出来ねえのかよ?」
フィリップ「あれから何度も試しているんだが、どうも上手くいかないんだ」
翔太郎「どういうことだよ?」
コンコン
フィリップ「地球(ほし)の本棚にアクセス出来ないんだ。代わりに別の場所へ飛んでしまう。木の中に作られたとても不思議な空間に」
翔太郎「なんだそりゃ。つーことはなにか? もう、どうしようもねぇってコトかよ」
コンコン、コンコン
翔太郎「って、さっきから誰だようっせーな。今こっちは取り込み中――」
みゆき「あ、あの……。こ、ここって鳴海探偵事務所……ですよね?」
翔太郎「……そうですけど」
扉を開けると、そこには見知らぬ学校の制服を着た五人の女の子が立っていた。
あかね「ホンマやねんて! 信じてや!」
やよい「それと、私たちのスマイルパクトも!」
なお「早くしないと悪の皇帝ピエーロが!」
れいか「もはや一刻の猶予もありません。是非ともお力添えを」
翔太郎「あー、お嬢ちゃんたち。悪いんだけど俺たち今そういうお遊びに付き合ってるほどヒマじゃないんだけど」
あかね「お遊びちゃうて言うとるやろ! 全部ホンマなんやて」
翔太郎「つってもなぁ。いきなりキャンディだのデコルだのって言われても」
れいか「確かに。一般の方にはご理解いただけないのも無理はありません。ですが、私たちにはもうどうすることも出来ないのです」
フィリップ「要するに、大事なものと友人を悪いやつらに奪われてしまった。そしてその悪者がどこへ行ったかわからない……ということかい?」
やよい「は、はい」
悪者に大事なものを奪われた。言っていることはサッパリだが、彼女たちの焦りや憤りは痛いほどよくわかる。それほど、今の俺たちの境遇によく似ていた。
みゆき「これ、少ないかも知れませんけど……」
そう言うと、ピンクの髪の少女はポケットから数枚のお札と小銭を取り出した。
みゆき「私たちのお小遣いを集めて、今用意できる精一杯のお金です。全然足りないかもしれませんけど。足りない分は後日必ず」
目には今にも降りだしそうなほどいっぱい涙を溜めていた。俺は机の上に雑多に広げられた金を集めて少女に返してやる。
翔太郎「ほら、ちゃんとサイフに閉まっとけ。無くしちまうぞ」
みゆき「えっ」
背中でフィリップの奴が笑っているのがわかる。どーせまた「女に甘いハーフボイルド」だって言いたいんだろ? でも、今回はこれでいいんだよ。何故って?
翔太郎「まずは自分の足で調査する。これが探偵の基本だ。行くぞ、お嬢ちゃんたち」
〝この街には涙は似合わない〟
そう思っただけさ。
俺はいつもの様に風麺へと足を運ぶ。この街で一番の情報通といやぁ、やっぱあの二人しかいないだろう。
翔太郎「こんなカンジの生き物とトランク。それと、このコンパクトみてーなもんらしいんだが、知らないか?」
俺はやよいが描いた絵とみゆきが持っていた『スマイルパクト』ってのを二人に見せた。
ウォッチャマン「うーん……。ごめんよぉ~翔ちゃん」
サンタちゃん「見たことないなぁ」
翔太郎「そっか……。わかった。ありがとな」
フィリップ「その様子じゃそっちもダメだったみたいだね」
翔太郎「お前もか。クィーンとエリザベスたちも知らねぇとなると、こりゃガイアメモリ探しより骨が折れるかもな」
フィリップたちと合流して成果を報告し合うが、どうも芳しくない。というか、手掛かりすら掴めず一向に進展がない。
翔太郎「そもそも、お前たちの大事な物を盗んだやつってのはどんな風貌だ? 特徴とかあるのか?」
あかね「特徴だらけや。あんな、こー、ピエロのみたいなカッコしてけったいな仮面つけとんねん」
翔太郎「ピエロみたいな……」
フィリップ「仮面?」
れいか「ご存じなのですか?」
翔太郎「なあ、ひょっとしてそいつって、狼男みてーなやつか?」
みゆき「それ、きっとウルフルンだ!」
なお「そいつもその悪者の仲間だよ」
みゆきたちの話では、そいつらはバッドエンド王国と呼ばれる異世界からやって来た連中で、人間たちが絶望した時に発する『バッドエナジー』と呼ばれる未知のエネルギーを奪い、封印されている親玉を復活させようとしているらしい。
俄かに信じ難い御伽噺みてーな話だが、俺は実際にその幹部と一戦交え、そして敗れた。それが現実だ。
フィリップ「それにしても、何故彼らがガイアメモリを持っているのだろうか? それもビーストやスミロドンなどのT2以前のメモリを」
翔太郎「んなもん、直接本人たちに聞いてみるしかないだろ。とっ捕まえてでもな」
???「ならやってみるオニ!」
アカオーニ「ウルフルンから話は聞いているオニ。力を失ったお前たちが俺たちを捕まえるなんて無理に決まってるオニ。チャンチャラおかしいオニ!」
翔太郎「てめぇもあの狼男の仲間か。人の頭の上から見下して好き放題笑いやがって。上等じゃねぇか。いくぞフィリップ。変身だ!」
フィリップ「待つんだ翔太郎! メモリが無ければ戦えない」
翔太郎「だぁー! そうだった。くそっ。どうすりゃいいんだよ!」
アカオーニ「わっはっはっは! 無駄オニ! 諦めて絶望するオニ!」
みゆき「プリキュア。スマイルチャージ!」
みゆきがコンパクトを手にした瞬間、眩い閃光が辺りを包みこんだ。心底驚いたぜ。なんせ、目を開けるとそこには〝変身〟したみゆきが立っていたんだからな。
キュアハッピー「キラキラ輝く未来の光。キュアハッピー!」
翔太郎「マジかよ。みゆきが変身しやがった」
れいか「驚かれるのも無理はありません。私たちは皆、ハッピーと同じくバッドエンド王国の侵攻から世界を守る為に立ちあがった伝説の戦士、プリキュアなのです」
翔太郎「てことは、お前らもあんな感じに変身できちまうってことか?」
なお「うん。だけど、私たちハッピー以外はスマイルパクトを奪われてしまったから……」
翔太郎「そっか。だから必死に取り戻そうとしてたんだな」
メモリを失った俺には、彼女たちの思いが痛いほどよくわかった。
キュアハッピー「キャンディを……私たちの大切な仲間を返して!」
アカオーニ「フン。返せと言って返す馬鹿はいないオニ! そ
コメント一覧
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- 2014年11月10日 23:58
- 竜くんがハマるやつかと
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