ルーカス・ミュージアムはどんなデザインになる予定?
フューチャリスティック!
3ヶ月ほど前、ジョージ・ルーカスはシカゴに建設予定のルーカス・ミュージアム・オブ・ナラティヴ・アート(以下、LMNA)をデザインする建築家を発表しました。そのチョイスに驚いたのは、保守的なデザインを好むとされるルーカスが前衛派の建築家Ma Yansongさんを選んだからです。先日、ルーカスとMaさんによる完成予想図が初披露されましたが、シカゴのウォーターフロントは大きく変化しそうですよ。
ルーカスがミュージアム建設地をシカゴにすると発表した時、レターマン・デジタル・アーツセンターのあるサンフランシスコでないことにファンはガッカリしました。サンフランシスコに建設するという話は何がうまく行かなかったのかは不明ですが、おそらく当初予定していた地区での計画が却下されたことと関係があるようです。それにひきかえシカゴ市は、市内でも最も大きな観光名所から徒歩圏内という一等地、ソルジャー・フィールドの隣の湖畔エリア敷地面積17エーカー(約68,800㎡)をルーカスに用意したのです。
これに対しサンフランシスコでは、Business TimesのChris Rauber記者がシカゴ市長ラーム・エマニュエル氏のことを「見返りを求め、行く手を遮る者には害を加えると強迫する口の汚いダースベイダー」と罵っていました。
シカゴについてどう思っているにせよ、ベイダー卿と呼ばれてしまったシカゴ市長ならばLMNAを完成させるでしょう。そしてルーカスがシカゴを選んでから数ヶ月たった今、プロジェクトチームが完成予想図の初案を公開するに至りました。ウォルドルフ=アストリアのスイートでは、北京を拠点に活躍する建築家のMa Yansongさんがシカゴ有数の博物館が立ち並ぶ一画、ミュージアム・キャンパスを広げることになるLMNAについてのヴィジョンを説明してくれました。
LMNAは美術館というより、まるで未来の大学のキャンパスのよう。緩やかなカーブを描く、白くて巨大な円錐状の建造物の総面積は40万平方フィート(約3万7,160平方メートル)で、ミュージアムだけでなく4つのシアターに教育センター、アーカイヴ等も完備しています。ライトグレーの石で舗装された遊歩道が伸び、パークレットや憩いの場が整然と並んでいます。
Maさんが「ここは素晴らしい公園になるでしょう。今はまだ駐車場ですが…」と言うように、駐車場や裏通りがあるごちゃごちゃしたエリアを有用な公共の空間に変えようというアイディアなんだとか。ミュージアムは駐車場と優先道路を覆うようにそびえ立ちますが、窪みを作って上映会用の屋外円形劇場になっている部分もあります。
ミュージアム・キャンパスに加わるかのように建つLMNAは円型の建物で、フランク・ロイド・ライトの代表作グッゲンハイム美術館によく似ています。来館者が入館して目にする、自然光に照らされる白くて巨大なエレベーターはギャラリースペースから展望台までつながっているそうです。360度の展望台とレストランは無料で入館でき、Maさんが曰く「シカゴを新たな視点から眺められる」んだとか。
ミュージアムの形がモス・アイズリーの酒場にいそうな生物に似ているように見えたなら、それは偶然の一致です。というのも本ミュージアムに収蔵されるコレクションにスター・ウォーズ関連の作品もあるものの、ほとんどがルーカスの代表作とは関連のないノーマン・ロックウェル作品やMADマガジンの表紙などになるからです。ただ、Maさんによれば、このデザインにはスター・ウォーズのような名作との共通点があるそうで「歴史的に言えば、SF映画は若者をインスパイアするという重要な役割を果たしてきました。」彼はこう続けます。「それが本ミュージアムの目的でもありますから。」
現時点では、このミュージアムに対しシカゴの住民がどのような反応を示すかはまだ分かりません。しかしここで、マリーナ・タワーからアクア・タワー建設までの歴史を通して、シカゴ市の現代建築に対する進歩的な取り組みに注目してみましょう。シカゴ建築の守護聖人(もちろんダニエル・バーナムやジョン・ウェルボーン・ルートもですが)とも言えるミース・ファン・デル・ローエは、ダウンタウンにモダニズム建築を遺しています。しかし自身の事務所を立ち上げる前はシカゴでインターンとして働いていたMaさんはこのように指摘します。かつては「ミースでさえもシカゴに馴染みがなかった」と。それでも、結局は彼のバウハウス時代の構想がシカゴを建築の街にしたのです。
これら初期段階のアイディアが実現するまで、Maさんとデザインチームの面々にはまだ長い道のりが待っています。彼らは設計図のデザインに移り、来春には最終案を都市に提出する予定です。その間、ミュージアム側はこのプロジェクトを「構想が不十分」でことによると違法だと主張する批判者と自然保護主義者を納得させるのはもちろんこと、準備を終え、取締役を任命する必要があります。しかしルーカスがミュージアムの立地と建築家を数ヶ月のスパンで選んだということは、近いうちにまた何かしらのニュースを期待できそうですね。
Kelsey Campbell-Dollaghan - Gizmodo US[原文]
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