凛「ふーん、アンタが私のプロデューサー?」
モバマスの二次創作。
渋谷凛がアイドルになるお話です。
ご意見、ご感想お願いいたします。
目を開けると、街の雑踏の中にいた。
凛「あれ...ここは原宿だよね?」
何を調べるでもなく私は理解した。
私は、渋谷凛。15歳。
趣味は犬の散歩。
そして、ここで『誰か』を待っている。
凛「(でも、誰を待っているんだろう)」
ボンヤリ考えながら通行の邪魔にならないよう、通りの端に立つ。
通りの向こう側にある本屋では、サイン会が催されているようだ。
名も知らないアイドルのサイン会。
私は、目が離せなかった。
世界はそこしか存在しないかのように私の目は、そこをボンヤリと見つめていた。
何度夜が過ぎただろうか。一回も過ぎていないかもしれない。
相変わらず待ち人はこない。
目の前を巡回中の警察官が通ったが、私など見えないように去っていく。
凛「(どう見ても制服姿なんだけどなぁ...でも、私はここで待ってないと)」
謎の使命感が私にそうさせる。
待ちぼうけが過ぎたのか、時間の感覚が無くなっていた。
太陽は何度のぼり、何度沈んだのだろう。
もしかすると、太陽は一度も昇っていないし、一度も沈んでいないのかもしれない。
ふと、隣を見ると、そこには『私』が立っていた。
私と同じように道の端に立ち、通りの向こうを。本屋のサイン会を眺めている。
すると、『私』もこちらに目を向けてきた。
言葉を交わすことなく、私と『私』は隣同士で立つことにした。
4つの瞳は、本屋のサイン会を見つめている。
雑踏が止むことは無く、本屋のサイン会も続けられている。
多くのお客さんはいないようだが、少なくもないようだ。
4つの瞳は、一人の男を見つけた。
いや。男が2人を見つけたのかもしれない。
男は、人通りなど存在しないかのように2人の前に立つ。
凛「(この人が、私が待っている人なのかな)」
そう考えていると『私』が口を開いた。
そうして、『私』はその男についていった。
4つの瞳は2つになった。
サイン会は今日も終わらない。
1人になってから幾日か一瞬か経ったある日。
私の目の前にも、スーツを着た男が現れた。
メーカーは分からないが、小奇麗なスーツ。
香水でも使っているのか、彼の匂いを感じる。
凛「(この人だ。私はこの人をずっと待っていた!)」
いわゆる、ティンと来たというヤツなのだろう。
私は『私』と同じように男に言った。
凛「ふーん、アンタが私のプロデューサー?……まあ、悪くないかな…。私は渋谷凛。今日からよろしくね。」
私は、『アイドル』になった。
早速、その日にレッスンを行うことになった。
レッスン上には、私の他に10人のアイドルがいた。
髪の長い人。短い人。
メガネをしている人。していない人。
年上の人。年下の人。
凛「色んな人がいるね。プロデューサー。……私、もっと頑張るから。」
身体の底からやる気が湧きあがるのを感じる。
レッスンが始まる。
音楽が流れる。
メロディに合わせ、歌う。
身体が楽器のように高鳴り、自然と踊りだす。
凛「(楽しい…アイドルってこんなに楽しいんだ!レッスンじゃなくて、大きい会場で多くの人に見てもらいたい。多くの人を笑顔にしてあげたい!)」
自然とそんなことを思った。
P「…んっ。凛。」
凛「え。プロデューサー?」
気が付くと、音楽は止み、プロデューサーと私だけがレッスン場にいた。
他の皆は先に帰ったのだろうか。
終了の合図にも気づかないくらい集中していたようだった。
P「今日のレッスンはここまでだ。寮でゆっくり休め。」
凛「プロデューサー、休んでる暇はないよ?私、まだ出来る。」
P「これ以上やっても上手くならないし、休むことも大事な仕事だ。寮に行け。」
凛「わかった。今日は、ゆっくり休むよ。」
そうプロデューサーに言う。
ちゃんと言えたはず。
確信が持てないのは、気が付いたら寮の部屋の前にいたからだ。
どうレッスン場からここまで来たのだろう。
だが、そんなことはどうでもいい。
プロデューサーが休めと指示をくれた。
私は従うだけ。
ドアには鍵がかかってなかった。鍵穴すらない。
銀色のノブを回して部屋に入る。
白い部屋に小さい窓。そして、ベッドがひとつ置かれていた。
いつ見たのかわからない。知らないのかもしれない。
だが私は、その部屋をドラマで見た「独房」のようだと感じた。
凛「なにもない…か。よいしょ。」
行儀悪く掛け声を出しながらベッドに腰掛ける。
この部屋には自分しかいないのだから、多少は良いだろう。
ベッドは、柔らかく私のお尻を受け止めてくれる。
レッスンの疲労感が心地よい。
次は、どんな仕事だろうか。
次も、またレッスンだろうか。
そう思いを巡らせていると、ドアが急に開けられた。
凛「きゃっ…もうプロデューサー。ノックくらいしなよ。女の子の部屋だよ。」
P「ん?ああ。すまん。気を付ける。…さて次の仕事だ。仕事というかレッスンだ。レッスン場に来い。」
返事をする暇もなく、私はレッスン場にいた。
しっかりレッスン着にも着替えている。
凛「(まただ、変なの。でも、あの快感を味わえるなら…)」
先ほどのレッスンの疲労感は、いつのまにか無くなっていた。
レッスン場には、また私を含め11人のアイドルがいた。
そのなかに『私』がいた。
『私』はフリルをあしらった和服のような衣装を着ていた。
凛「かっこいい…青っていうより蒼だね。私もいつかあんなふうになりたい。」
新たに決意を固め、レッスンに臨む。
音楽が流れ、歌う。
でも、先のレッスンのように集中ができない。
私は、私の歌が歌いたい。
でも、『私』の歌がすべてを覆い隠し、消していく。
『私』の歌に耳が奪われた。
『私』のダンスに目が惹かれていく。
私は『私』を無視できない。
『私』の歌はどこまでも華麗で、ダンスはどこまでも綺麗だった。
身体が軽くなる。まるで、『私』の歌に吸い込まれるようだ。
凛「(ずっと聞いていたい。ずっと見ていたい)」
アイドルとして有るまじきことを考えてしまう。
凛「(ダメ!私はアイドル!魅せられるんじゃなくて、魅せていかないと!)」
気が付くと、私は空に浮かんでいた。
空に浮かぶとしか、表現が出来ない。
空から、プロデューサーと『私』を見下ろしている。
レッスン場には、プロデューサーと『私』だけしか存在していない。
私は、『アイドル』じゃ無くなった。
意識が朦朧とする。
まるで夢の中にいるように。
ぬるま湯に浮かぶようにふわふわしている。
凛「(ここは、どこだろう?)」
白い世界をどこまでも、ゆっくりと沈んでいく。
底に身体があたり、優しく跳ねる。
目を開けると、街の雑踏の中にいた。
凛「あれ...ここは原宿だよね?」
何を調べるでもなく私は理解した。
私は、渋谷凛。15歳。
趣味は犬の散歩。
私は、ここで『誰か』を待っている。
-了-
転載元
凛「ふーん、アンタが私のプロデューサー?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1415875212/
凛「ふーん、アンタが私のプロデューサー?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1415875212/
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コメント一覧
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- 2014年11月13日 20:54
- (Pを広島まで飛ばし永久ループに閉じ込める音)
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- 2014年11月13日 20:55
- レッスンの餌の気持ちになるですよ…
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- 2014年11月13日 20:56
- 特訓前後とかかと思ったけど違うか
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- 2014年11月13日 21:00
- どうせモバマスの凛じゃないだろとか思ってたら
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- 2014年11月13日 21:00
- ひええ…
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- 2014年11月13日 21:04
- お仕事中に見かけた扉を開くと出会いからまたやり直し
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- 2014年11月13日 21:09
- あぁ、そういう・・・
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- 2014年11月13日 21:21
- さらっと流し読みしたら??となった。
2回読み直す元気はないからいいや…
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- 2014年11月13日 21:31
- ??? すまん…誰か解説を頼む
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- 2014年11月13日 21:33
- ※9
※2が全てだと思う
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- 2014年11月13日 21:41
- ※9 要はぷちデレラでぶっつづけでレッスンさせている状態なんじゃないの?
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- 2014年11月13日 21:44
- エアプだから全く解らん
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- 2014年11月13日 21:44
- モバマスの闇は深い
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- 2014年11月13日 21:46
- ※8
お、エアPか?
これってつまり
原宿Bで手に入る2コス初期凛を手に入れる
↓
レッスンした後、使わずに女子寮に入れる
↓
別の凛(おそらく[夜宴の歌姫]の特訓後)のレッスン素材に使われる
ってことだよな
淡々と書いてるけど、冷静に考えたら怖いな
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- 2014年11月13日 21:47
- 作者がまとめのコメ欄で解説してるパターンw
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- 2014年11月13日 21:49
- 微妙としかいいようがないぜ!
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- 2014年11月13日 22:02
- ※15
言っておくが俺は作者じゃないからな?
ていうかモバマスのチュートリアルやれば猿でも分かるから
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- 2014年11月13日 22:03
- むしろ出来ないことが多いのはモバPの特徴なんだけどな。
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- 2014年11月13日 22:04
- 作者さん丁寧に解説ありがとう!
助かった
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- 2014年11月13日 22:07
- かおる、いらない子なの?の作者か
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- 2014年11月13日 23:01
- 作者氏に解説までさせてしまって大変申し訳なく思う
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- 2014年11月13日 23:11
- ホラーか何かと思ったらそういうオチか
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- 2014年11月13日 23:28
- 前にも凛ので似たようなのあったような
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- 2014年11月13日 23:35
- 作者さまのおかげでわかった
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- 2014年11月13日 23:39
- 偶に養分ネタのss見るけどなんだか悲しくなるのよ
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- 2014年11月13日 23:46
- 無料ガチャのオーディション会場で毎朝5時から待機してる2コスの気持ちになるですよー
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- 2014年11月13日 23:46
- つまり艦これでいう近代化改修ネタみたいなもんか
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