赤城「ケッコンカッコカリとオニギリカッコカリ」
艦隊これくしょんのSSです
設定などを独自に解釈した部分が出てきます
提督「……よし、青葉たちは遠征に行ったみたいだな」
赤城「確か、通商破壊作戦でしたね。かなりの長丁場のはずです」
提督「これでしばらくは帰って来れないだろう」
赤城「そんな厄介払いみたいな事をしなくても」
提督「青葉には悪いが、聞かれると非常に困る話があってな」
赤城「彼女の耳に入ると、あっという間にみんなに知れ渡っちゃいますからね」
赤城「ところで、聞かれると困る話というのは一体…?」
提督「そうだな、まずはこの書類を見てくれ」
ガサガサ
赤城「これは……婚姻届?」
赤城「まさか提督、ご結婚なさるんですか?!」ガタッ
提督「赤城、もっと声を抑えて」
赤城「す、すみません…」
赤城「あの、相手は誰ですか?加賀さん…それとも金剛でしょうか?」
提督「落ち着け赤城。誰も俺が結婚するとは言っていないだろう」
赤城「しかし婚姻届を準備しているということは…」
赤城「ま、まさか、艦娘の誰かが?!」
提督「いや、それは俺の婚姻届で間違いない。と言っても俺が用意したものではないが」
赤城「どういうことでしょうか?」
提督「大本営から送られてきたんだ。多くの艦娘を指揮する立場の俺が、いつまでも未婚では良くないと」
赤城「なるほど、お固い大本営の事ですし早く身を固めて欲しいのでしょうか」
提督「それもあると思うが、鎮守府に男は俺だけだからな。色恋沙汰を避けて欲しいのだろう」
提督「普通の男女のいさかいなら、最悪でも刃物を持ち出す程度だと思うが、艦娘となれば話は別だ」
提督「俺が死ぬだけならともかく、艦娘同士が戦うような事になると国の存亡に関わるからな」
赤城「では、提督は今すぐに結婚するつもりは無いと」
提督「俺としてはそのつもりだったんだが」
赤城「つもりだった…ですか?」
提督「少し前に憲兵が来て、うちの鎮守府の環境調査をしてただろ?」
赤城「えぇ、私もいくつか質問されました」
提督「その時に誰かが余計なことを吹き込んだみたいで、大本営が俺に結婚するよう圧力をかけてくるんだ」
赤城「それなら素直に結婚すればいいのではないでしょうか?相手もたくさんいることですし」
提督「あぁ、だから結婚相手を探そうと思って、友人に何人か紹介してもらったんだが…」
赤城「……は?」
提督「よく考えたら深海棲艦相手だと休みもほとんど無くて、時間も作れないし」
赤城「提督」
提督「それにいくら高給取りと言えど軍人となると、規律や機密が多くて不自由だし、いつ死ぬかもわからない」
赤城「提督」イラッ
提督「そもそも、大本営には情報漏洩を避けるために、民間人とは結婚するなと釘を刺されてしまって…」
赤城「提督。そういうのはいいです」ギロッ
提督「あ、はい」
赤城「つまり、話というのは『上が艦娘と結婚しろと言っているがどうすればいいか分からない』ということですか?」
提督「有り体に言えばそういう事になる。この婚姻届けも艦娘用で公式な婚姻届ではないからな」
赤城「本当ですね、よく見ると(仮)と書いてあります」
赤城「そもそも、提督はなぜ艦娘に手を出さないのですか?」
提督「なぜって言われても…」
赤城「こう言うのもなんですが、提督なら100人以上の艦娘を食べ放題ですよ?」
提督「そんなバイキングみたいな言い方はやめろ」
赤城「バイキングみたいなものじゃないですか。よりどり赤城ですよ」
提督「海軍が海賊みたいなことしちゃダメだろ。しかも赤城は固定なのか」
赤城「とにかく、今日は根掘り葉掘り聞かせていただきますから!」
提督「……そうだな。まぁそのために話を聞いてもらってるわけだし」
提督「まぁ、今まで艦娘と男女の関係にならなかった理由は二つある」
赤城「二つですか?」
提督「まずひとつ、艦娘はみんな俺の部下じゃないか」
赤城「そうですね。それがどうしました?」
提督「重要なことだ」
提督「たとえば、俺が瑞鶴と結婚したとする」
赤城「……たとえばの話ですよね?」
提督「結婚したとなると秘書艦に任命するのが自然だろう。当然、第一艦隊の旗艦は瑞鶴になる」
赤城「そんなことになれば、加賀さんが黙っていないでしょう」
提督「加賀だけじゃない。空母以外の艦娘達からも不満が出るかもしれない」
提督「『実力なら私の方が上なのに、提督夫人だからって旗艦を務めるなんてずるい』ってね」
赤城「そうですね。それに艦種によってはそれだけで自分の出番がなくなるかも……」
赤城「でもそれなら、単純に秘書艦や旗艦には任命しなければ良いのではないでしょうか?」
提督「もちろんそれも考えたが、旗艦にしなくても艦隊に入れるだけで贔屓してると疑われそうで……」
赤城「それは考え過ぎだと思いますが」
提督「そうかもしれない。実際、この問題だけなら何とかなりそうなのだが……」
赤城「ということはもう一つの理由が大きいと?」
提督「あぁ、もうひとつの理由。それは『それしか選択肢がない』からだ」
赤城「それしか選択肢がない……ですか?」
提督「……艦娘は海軍の重要な機密兵器。書類上は人間ですらない」
提督「艦娘は任務以外で鎮守府外へは出れないし、出れるのも海という名の戦場のみ……」
提督「だから艦娘たちは、必然的に他人と知り合う機会が無いということになる」
赤城「外の情報は新聞や雑誌などに頼るしか無いですからね」
提督「そんな環境では、本当にいい男がどんなものかなんて分かるわけがない」
提督「だから、艦娘が恋愛をしようとすると男が俺しか居ない以上、俺しか選択肢がないんだよ」
赤城「中には同じ艦娘に片思いしている艦娘もいるようですが」
提督「詳しく聞かせろ」ガタッ
赤城「それは秘密です。魚雷を打ち込まれたくありませんから」
提督「……とにかく、俺が艦娘と結婚するというのは、何も知らないのを良いことに騙すようなものだと思うんだ」
赤城「騙すというのは言いすぎだと思いますが」
提督「そうだな……仮に、赤城が空腹で、目の前におにぎりしか無かったとしたらどうする?」
赤城「もちろん食べますね」
提督「そして、もし赤城が今までにおにぎりを一度も食べたことなかったとしたらどうなる?」
赤城「それでも美味しくいただけると思いますけど……」
提督「そうだろう。でもそのおにぎりは、本当はまずいおにぎりだった可能性もある」
提督「しかし、おにぎりを食べたことがない人にとっては、それがおにぎりの味なわけだ」
赤城「……そのおにぎりが提督ということですか?」
提督「そうだ。もっと美味しいおにぎりもあるかもしれないじゃないか」
提督「俺だって、もしかしたら他の男と比べると最低な男かもしれないんだぞ?」
赤城「そうかもしれません。ですがそんなことを考える必要なんてありません」
提督「どういうことだ?」
赤城「私たち艦娘にとっては、鎮守府と海だけがこの世界の全てです」
赤城「だから鎮守府に男性が提督しか居ないなら、私たちの世界に存在する男性は提督ただ一人だけ」
赤城「外の世界に男性がいたとしても、私たちにとっては存在しないのと同じです」
赤城「提督は私たちの事を世間知らずと思ってるかもしれません」
赤城「でもそれは、提督がこの地球の外に何があるかを知らないのと変わらないのです」
赤城「提督は、地球の外に素晴らしい女性が居るかもしれないとは思わないでしょう?」
提督「確かにそうだな。絶対に会うこともないだろうし、存在しているかも怪しい」
赤城「それと同じです。私たちは提督以外の男性を、雑誌や本の中でしか見たことがありませんから」
赤城「だから私たち艦娘には、提督しかいません」
赤城「そして提督は、私たち艦娘にとって世界にひとつしか無いおにぎり」
赤城「みんなは誰も食べたことがない、美味しそうなおにぎりに興味津々です」
赤城「でもそのおにぎりは、あろうことか手を伸ばそうとするだけで逃げてしまい、こう言うのです」
赤城「『味もわからない人に自分を食べさせるのはかわいそうだ』と……」
赤城「提督、私はあなたのことが好きです」
赤城「だから世界にただ一人しかいない大切な人に、相手にもされないというのはとても辛いです」
提督「赤城……」
赤城「……提督の結婚相手は、私のように提督の事を好きでいて、練度が高い艦娘から選べばいいと思います」
赤城「練度が高ければ、第一艦隊に配備されても不満不平は出にくいでしょうから」
提督「確か、練度評価が高い艦娘は、吹雪、赤城、蒼龍、北上、大井、伊勢あたりだったな」
提督「……ありがとう。よく心の内を聞かせてくれた。やはり赤城に相談してよかったよ」
提督「今までの俺は、艦娘を傷つけまいとして、余計に傷つけていたわけだ」
提督「済まなかった。みんなの気持ちがわかっていなかったよ」
赤城「いえ、大丈夫ですから」
赤城「それよりも、その……」
提督「そうだな。赤城が勇気を出してくれたんだ。俺もその勇気に答えなければいけないな」
提督「これからは俺も、心に秘め続けてきた想いを隠す必要も無くなりそうだし」
赤城「……ということは、提督には好きな艦娘がいると?」ドキドキ
提督「あぁ、長い付き合いになる。幸い練度も高いし、結婚できるならしたいと思っていた」
赤城「それはもしかして……」ドキドキ
提督「赤城」
赤城「は、はい!」ドキドキ
提督「もし俺が……」
赤城「………!!」ドキドキ
提督「吹雪と結婚したいって言ったらどう思う?」
赤城「………………は?」
提督「まぁ、だから赤城には悪いが、赤城の気持ちには……」
赤城「えっ……なぜ?なぜ吹雪なんですか?」
赤城「確かに長い付き合いでしょうし、練度も高いですけど……なぜ吹雪?なぜ??」
提督「……初恋なんだよ///」ポッ
赤城「頬を赤らめないでください!」ドンッ
赤城「は、初恋ってなんですか!?初等科生でもあるまいし!!」
提督「だって仕方ないじゃないか。ずっと男ばかりの軍学校で、女性と知り合う機会なんて無かったんだから」
提督「俺がここに来てから、初めて会った艦娘が吹雪だったんだよ」
提督「何もない所で、何もわからない状態からか
コメント一覧
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- 2014年11月14日 22:28
- 赤城が道化すぎてみてられない
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- 2014年11月14日 22:35
- こんなめんどくさい上司いたらやだな・・・
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- 2014年11月14日 22:36
- 基本は一夫一婦制だからね
仕方ないね
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- 2014年11月14日 22:46
- よく知らないんだが深海棲なんやらは通商するような勢力なのか?
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- 2014年11月14日 22:54
- よいものだ
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- 2014年11月14日 23:05
- 夜戦なんかしたら余計に赤城不利やないかww
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- 2014年11月14日 23:16
- 提督クズ過ぎるわwこりゃ執務室爆撃コースだな
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- 2014年11月14日 23:22
- 大丈夫、俺の(空母)正妻枠は赤城だけだ
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- 2014年11月14日 23:31
- 戦争じゃああああ!!!!!
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- 2014年11月14日 23:34
- 常識人提督かと思ったら男子校生提督じゃないか!
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