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最近になって、前髪で片目隠してる子の良さに気づいた。


『楽園追放』

監督：水島精二
脚本：虚淵玄
主演：釘宮理恵、三木眞一郎

http://rakuen-tsuiho.com/






評価
★★★★★★★★★☆（9/10）


●あらすじ

　遠い未来、人口問題を抱えた人類は自らの意識をデータ化し、生身の肉体を捨てて仮想空間ディーヴァに暮らしていた。ある日、人工衛星に設けられたその仮想空間に地球からのハッキングが行われる。
　これに対し、ディーヴァは地球にエージェントを送り込み、ハッキングの首謀者を捕えることを決めた。
　ディーヴァのエージェントの一人、アンジェラは現実世界での活動のため肉体を生成し、地球へと降り立つ。
　地球に残されたわずかな人類の一人ディンゴと共に、アンジェラはハッカー「フロンティア・セッター」の捜査を始めるが……


●レビュー

　白い。虚淵玄が白い。
　子供向け（建前）の『仮面ライダー鎧武』よりも滅茶苦茶白い。

　2012年に発表されてから2年経ってようやく公開された『楽園追放』はＳＦアニメである。
　人類の98％が宇宙に浮かぶ人工衛星で仮想空間・ディーヴァに意識だけで生活している世界が舞台だ。
　地球からのハッキングを受け、ヒロインのアンジェラは肉体を生成し、地球での捜査にあたる。
　『楽園追放 rewired』（『楽園追放』を創るにあたって虚淵玄が影響を受けたＳＦ作品の傑作選）などが刊行されているだけあり、過去のＳＦ作品の影響は随所に見受けられる。映画だと『マトリックス』とか『2001年宇宙の旅』、アニメだと『カウボーイビバップ』とか（ちなみにモーションアドバイザーに「板野サーカス」でおなじみの板野一郎も参加している）。
　そこに虚淵本人が「王道」と言う脚本である。
　
　この作品に、虚淵作品に多く見られる人間の悪意や絶望感は存在しないに等しい。
　力の象徴のように描かれている仮想空間・ディーヴァの高官達でさえも、明確な悪意は持っていない。
　良くも悪くも、虚淵作品の大半に見られる、捻じれ、歪んだような息苦しさがまるでない。
　王道的で後味スッキリ、なのだけれども、あともう一捻り欲しいという気持ちも尽きなかった。

　一方、３ＤＣＧで作られた映像面はかなりの完成度で見応えがあった。
　変につるつるしていたりすることもなく、「２Ｄアニメっぽさ」を持ちながらも、自由なカメラワークを楽しませてくれたので、大変良かった。板野一郎をモーションアドバイザーに起用したこともあってか、板野サーカス成分も全開である。劇場アニメということもあるが、３Dでもここまで出来るのか、という意味では驚きを与えてくれた。（シーン毎にアニメーターが描き足しを行うなどの多大な手間をかけているらしいが）

　映像は力を持っているし、アンジェラはエロイので、これを見せようという制作陣の目標に限って言えば間違いなく十二分に達成されている。
　ストーリーに限って言えばもう一捻り欲しかったが、２Dアニメの質感を目指した３Dアニメという点だけで見れば、1ヵ月後のBD発売を待たずに大画面で観に行く価値はある。
　


　あと、私事ではあるが、劇場限定版のBDを完売で買い逃してしまい、真に遺憾である。
　基本的には一ヶ月後に発売される「完全生産限定版」の方が豪華なのだが、劇場限定版には特典にカレンダーがついていたらしい。

　こういうものだったらしい。





　……クソが。
　………………クソが！！！！


　ていうか、キャラデザの齋藤将嗣さんって、エロ漫画家のsaitomさん（齋藤将嗣→Saito Masatsugu→Saito.M→saitomか？）だったのね。知らなかった。