女「君のこと嫌いだな」男「ありがとう」
友「うわ、体育館すげー人だぜ?」
男「部活動勧誘だから一年だけじゃなくて上級生もいるからな」
友「やっぱ帰ろうぜ? 昨日マリカ買ったんだ」
男「バカ言え、うちの学校は部活強制だろうが。それとも、もうやりたい部活決まってんの?」
友「別にやりたいことなんてねえよ……あ、そうだ! 俺たちで部活作ろう!」
男「何部?」
友「帰宅部」
男「じゃあなまた明日」
友「おい置いてくなよ!」
ガヤガヤ
男「どの部活もつまらなそうだな……仕方ない……楽なのにするか……どれが楽なんだ……」
女「ねえ」
男「ん?」
女「ねえ、君」
男「……おれですか?」
女「うん、君、演劇部入ってよ」
男「演劇? おれがですか」
女「部員がわたし一人だけなの。けど、なかなか集まらなくて。暇でしょ? 君、入ってよ」
友「あ、いた! おいどこ行ってたんだよ探したぞ」
男「ああ悪い」
友「ん? なんだよその紙……演劇部入部届け……って、お前演劇やんのか?」
男「いや別に、興味もない」
友「はあ?」
男「まあ暇つぶしくらいにはなるかな、それよりお前はどうなんだよ」
友「俺か? ふふふ、聞いて驚くな! 女子テニス部のマネージャーだ! 羨ましいだろ!」
男「下心丸見えだぞ」
友「一つ上の先輩に美人がいるんだよ! ぜってえ俺のものにするぞ! 邪魔すんなよ!」
俺「……類は友を呼ぶか。邪魔なんてしねえよ」
男「失礼します……」
女「あ、ほんとに来たんだ」
男「なんですかそれ、誘ったの先輩じゃないですか」
女「だって全然興味なさそうだったもの」
男「……まぁ、他にやることもなかったから」
女「部室にわたし以外の人が入ったの、君が初めてなんだよ? よかったね、打ち上げしよう? お菓子とジュース買ってあるんだ」
男「あの、練習とかしないんですか?」
女「したい?」
男「いや……特には」
女「明日やろう? 今日は記念すべき二人目の部員歓迎会、いいでしょ」
女「練習なんていつぶりだろ」
男「大丈夫ですか? 高校演劇って大会とかあるんでしょ」
女「この学校は登録してないの。人数少なくて、劇にならないから」
男「ああそうですか」
女「前は発声練習とか筋トレとかもやってたんだよ? けどムダだからやめたの」
男「なんでまた練習するんですか?」
女「君が言ったじゃない練習したいって」
男「二人なら大会出れるんですか?」
女「どうだろうね……分からないや」
男「はあ」
女「声だそ、スッキリするよ」
女「ねえねえ、今日は七並べやろうか」
男「今日もじゃないですか、昨日も同じ事言ってましたよ」
女「やらないの?」
男「……やりますけど」
パタ……パタ……
女「……クラスの方はどうなの?」
男「どうって……普通ですよ普通」
女「虐められてたり……しない?」
男「……先輩こそどうなんですか」
女「わたしは……ちょっと寂しいかな」
男「……そうですか」
友「おい! 聞け!」
男「なんだよ」
友「前テニス部の先輩の話したろ? 佐々木希似の美人の先輩」
男「知らないな」
友「こないだ帰り道で二人きりになってよ、さりげなくきいてみたんだ」
男「はあ」
友「そしたらよ、彼氏……いないんだってよ! もうアタックするしかねえよな? なあ!」
男「へえ、頑張ってくれ応援してる」
友「……お前の方はどうなんだよ、最近ちょくちょく見かけるけどよ」
俺「どうって……なんともないよ」
友「俺の先輩に比べればそりゃ劣るが、あの人も結構イケテルじゃねえか、勿体ねえ」
俺「ほっとけよ」
男「先輩」
女「ん~なに?」
男「なんで先輩、演劇部入ったんですか?」
女「それはもちろん演劇が好きだからよ」
男「練習しないでチェスやってるのに?」
女「だって、二人じゃなにもできないもの、こうやって遊ぶのが関の山よ。……前までは本読むしか出来なかったんだから」
男「……今度の日曜日、暇だったら遊びませんか?」
女「あ、デートのお誘い? 君って案外強引なんだ」
男「…………チェックメイト」
男「…………遅いな」
プルルルルル プッ
男「もしもし、あっ先輩ですか?」
女「ごめんなさい……風邪ひいちゃったみたいで……ごめんなさい」
男「いえ、無理しないでください。お大事に」ピッ
男「ーーーーはあ」
プルルルルル プッ
友「はいもしもし~、ってなんだお前かよ」
男「今すぐ駅前の噴水来ないか」
友「は?」
男「映画のチケットもあるぞ、観ようぜ」
友「おお、行く行く! 待ってろよ!」ピッ
女「ねえ聞いて!」
男「度、どうしたんですか? そんなに慌てて」
女「大会に出られるの!」
男「へ?」
女「だから、劇が出来るの!初舞台よ!」
男「よかったじゃないですか先輩」
女「うん、脚本に舞台配置に演技練習……とにかくいっぱい!」
男「俺もやるんですか?」
女「やりたくないの?」
男「いや……そういうわけじゃ」
女「頑張ろうね」
女「ねえ」
男「なんですか?」
女「わたしが転校するかもって言ったら、どうする?」
男「……するんですか?」
女「もしもだよ、劇は続けるかな?」
男「二人用の脚本ですよ、やめですよ」
女「そうだよね、うん」
男「…………」
女「…………」
男「どこ、行くんですか?」
女「……やだな、もしもの話だよ」
友「俺ジャーマネやめるわ」
男「どうしたんだよいきなり」
友「……告白したんだよ、先輩に」
男「マジで? 頭大丈夫か?」
友「うるせえな! ……なにが他に好きな人がいますだ! 死ね! 女なんか……女なんか……」
男「…………」
友「女……なんて……うぅ……」
男「……食パン奢ってやるよ」
友「…………せめて味のあるのにしてくれ」
女「ほらそこ! 観客に後ろ姿見せない!」
男「先輩、ちょっと休憩しませんか? さっきからずっとですよ」
女「大会までもう一ヶ月ないんだから」
男「そりゃそうですけど……」
女「……ねえ、君はどうして演劇部に入ってくれたの?」
男「……暇つぶしですよ、ただの」
女「じゃあ、なんで今もこうやって付き合ってくれるのさ、逃げ出してもいいのに」
男「それは……その……」
女「その?」
男「先輩のことを……ことを」
女「わたしのことを?」
男「か、か、可哀想だなあ~って、思ったからですよ!」
女「…………可哀想なんだわたし」
男「そりゃあそうですよ! 一人ぼっちで友達もいない、可哀想な女ですよ、先輩は」
女「じゃあ……優しくしてね」
男「先輩」
女「なに?」
男「明日ですね」
女「明日だね」
男「…………」
女「……………叔父さんの家に行くんだ腹な
男「…………っ!」
女「足摺岬って知ってる? すっごい綺麗な岬なんだ」
男「……行っちゃうんですか?」
女「…………うん」
男「どうすればいい?」
友「いきなりなんだよ、知らねえよ、死ね!」
男「そんなこと言うなよ、今度一緒にナンパ付き合ってやるからさ」
友「突っ立ってるだけのクセによ」
男「頼むよ、お前くらいしか頼れる奴いないんだよ」
友「振られたばっかの野郎に恋の相談たあ、勇気のある奴だな」
男「お前の逆の行動すればいいんだろ?」
友「切るぞ?」
男「ぁあ!頼む!」
友「………………そうだな、まずはーーーー」
男「終わりましたね、大会」
女「疲れたね」
男「楽しかったですね」
女「うん、楽しかった」
男「寂しくなりますね」
女「君も一人ぼっちになっちゃうね」
男「…………友達いますよ」
女「ごめんね、変なことに巻き込んだりして……迷惑……だったよね?」
男「そんなこと言わないで下さいよ、楽しかったですから」
女「ほんと? ……よかった」
男「……そういえば、知ってますか?先輩」
女「なに?」
男「エイプリルフールって昨日に変更したらしいですよ。日本政府が国会議事堂で言ってました! 先輩ニュースなんて見てないでしょ? 」
女「…………」
男「だから……先輩の……その……転校は……」
女「もう、いいよ」
男「嘘なんだ、嘘に決まってるんだ!」
女「もういいよ!」
男「先輩! 行かないでください! お願いします」
女「……ごめんなさい、ごめんなさい」
男「俺、デート断られたとき、寝込んだんですよ?」
女「ねえ……」
男「先輩が行くって言った足摺岬のことだって、しっかり調べたんですよ?」
女「もう終わりなの」
男「俺、初めて会ったときから……」
女「……もう」
男「俺……先輩のこと、好きなんです!」
女「もう……やめて……」
俺「傍に居させて下さい……前みたいに……七並べやりましょうよ……」
コメント一覧
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- 2014年11月23日 19:30
- 展開はやいね(粉ミ缶)
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- 2014年11月23日 19:36
- ヨカッタ
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- 2014年11月23日 19:54
- これは良いものだ
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- 2014年11月23日 20:30
- イイハナシダナー。
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- 2014年11月23日 20:37
- いい話。なんだかんだでハッピーエンドが好き
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- 2014年11月23日 21:28
- なぜか知らんがNHKにようこそを思い出した
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- 2014年11月23日 21:51
- 足摺岬って高知の?
俺高知住みだから親近感湧いてちょっと嬉しかった。
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- 2014年11月23日 22:21
- うわっ
これもほうこで読んだな
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- 2014年11月23日 22:55
- ええんじゃないか
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- 2014年11月23日 23:19
- オチが理解不能
誰か、馬鹿にでも分かるように説明してくれ
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- 2014年11月23日 23:59
- 良かったけど別に女がボッチ設定いらなかったんじゃ....
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