桐生「龍が如く」遥「短編集」
基本的に龍が如く5の後の話
【一番まともな人】
――ニューセレナ
遥「こんにちは」
伊達「おう、遥じゃねぇか」
遥「こんにちは伊達さん、今日は非番なの?」
伊達「まぁな…桐生はどうした?」
遥「おじさんは大吾さんに話があるからって東城会に……」
伊達「終わるまでここで待ってろって事か」
遥「うん」
伊達「分かった、ジュースでも出してやるから座って待ってろ」
遥「ありがとう伊達さん」
品田「だからぁ、どう考えたって俺が一番まともですって!!」
秋山「いや~、それは無いでしょ?一番まともなのは俺だと思うけどなぁ」
冴島「お前らなに言うとんのや?まともなのは俺に決まっとるやろ」
品田「素手で配電盤を引っ剥がす人や空飛んだりする人がまともなワケ無いじゃない」
秋山「そんな事言ったら品田さんだって人を引き摺ったまま走り回るとか…あり得ないでしょ?」
冴島「せや、それに比べたら配電盤くらい大したことないやろ?」
秋山 品田「「えぇ~っ!?」」
遥「……あの3人は何をやってるの?」
伊達「あぁ…何か一番まともなのは誰かって議論してるらしい」
遥「ふ~ん、いつからしてるの?」
伊達「もう4時間くらいか……おい!!お前らいい加減にしろ!!」
品田「伊達さんからも言ってくださ……アレ?遥ちゃん?」
秋山「本当だ、こんにちは遥ちゃん」
冴島「遥、お前1人で来たんか?」
遥「こんにちは、おじさんは東城会に行ってます」
品田「そうだ!遥ちゃんに決めてもらいましょうよ」
遥「えっ?」
秋山「……そうだね、遥ちゃんが決めるなら……」
冴島「せやな、遥が決めるならええやろ」
遥「えっ?…えっ?」
伊達「お前ら…遥を巻き込むなよ……」
品田「遥ちゃんはさ、俺達の中で誰が一番まともだと思う?もちろん俺だよね?」
秋山「いやいや、俺だよね?」
冴島「俺に決まっとるよな?」
遥「えっと…あの……」
伊達「おい、遥が困ってるだろ…全員まともじゃないって事で終わりにしろよ」
秋山「それはダメですよ、今までの時間が無駄になっちゃいますから」
伊達「最初から無駄話じゃねぇか……」
品田「遥ちゃん、誰が一番まともな人だと思う?」
遥「……皆…まともだと思います……」
冴島「遥…品田と秋山に遠慮しなくてええんやで?」
秋山「ちょっと、それどう言う意味ですか?」
品田「そうですよ、一番まともじゃないのは冴島さんでしょ?」
冴島「なんやと?」
遥「あ…あの……」
伊達「分かった…こうしようじゃねぇか、秋山は品田の、品田は冴島の、冴島は秋山の、それぞれまともじゃないと思うところを言う」
伊達「それを聞いて遥が判断する……それでどうだ?」
遥「伊達さん……私……」
伊達「遥、すまねぇがこの3バカに付き合ってやってくれ……開店まで居座られたら迷惑なんだ」
遥「……うん…分かった」
伊達「よしっ!!それじゃ秋山からだ、さっさと終わらせるぞ」
秋山「じゃあ俺からいくね?」
秋山「品田さんのまともじゃないところ……」
秋山「さっきも言ったけど、まず人を引き摺ったまま走り回る…これはあり得ないよね?」
秋山「いくら体を鍛えてたからってさ、見た感じ100kgくらいありそうな人だってズリズリ引き摺っちゃうんだから」
秋山「それとさ、鉄パイプを手首だけでブンブン振り回すんだよ?信じられる?」
秋山「俺があんな事やったら一発で腱鞘炎になっちゃうよ」
秋山「後は投げた相手をそのまま引き起こしてまた投げたり、タックルしたまま壁にぶち当てたり……」
秋山「何て言うか…一見出来そうでやっぱり出来ないって事をやるんだよね」
秋山「俺からはこんなところかな?」
遥「分かりました」
品田「次は俺だね」
品田「冴島さんのまともじゃないところ……」
品田「うん、何と言ってもあのパワーが信じられないよ」
品田「配電盤を引っ剥がしたり標識をへし折ったり」
品田「大型バイクを振り回すとか…それは人類がやっちゃダメでしょ」
品田「それとね、遥ちゃん知ってる?冴島さんは2メートルくらいの熊見て『大したことないやんけ』って言ったんだよ?」
品田「大したことあるって!!」
品田「2メートルの熊とか怖すぎだって!!」
品田「大体さ、素手で熊に勝てるってのがまともじゃないよね?」
品田「だって俺ならまず戦おうと思わないもん」
品田「他にも人を転がして雪だるまにしたり、足を掴んで振り回したり……」
品田「こう…全体的に人間離れしすぎてると思う」
品田「……とりあえずこんな感じだね」
遥「分かりました」
冴島「次は俺やな」
冴島「秋山のまともじゃないところ……」
冴島「まぁ……重力に逆らったらあかんな」
冴島「なんで宙に浮けんねん」
冴島「ほんで浮いたまま敵を蹴りまくるってなんやねん」
冴島「蹴りのスピードも速すぎるやろ」
冴島「お前の足は何本あんねや」
冴島「それとアレや……でっかいビリヤードの玉とか鉄の岡持ちを蹴るのもアカンな」
冴島「普通は足が折れるっちゅーねん」
冴島「お前の足は何で出来とんのや」
冴島「後は金の事も不思議やけど…それはまた別の話やな」
冴島「俺からはこんなもんや」
遥「分かりました」
伊達「遥、3バカの中で誰が一番まともだと思うんだ?」
遥「……やっぱり皆まともだと思います」
伊達「遥…それじゃコイツらが納得しねぇぞ」
遥「でも……おじさんなら全部出来ると思うし……」
伊達「……桐生か…確かにアイツなら……」
品田「……出来そうですよね……」
秋山「むしろ何で今まで忘れてたのか……」
冴島「……」
伊達「なぁ、お前ら……桐生に比べたら全員まとも…って事でどうだ?」
品田「桐生さんと比べて……」
秋山「そう…ですね……」
冴島「桐生よりはマシか……」
伊達「結論は出たな、遥以外は早く帰れ」
秋山「……んじゃ、帰りましょうか?」
冴島「せやな」
品田「そうだ、3人でどっか飲みにいきません」
冴島「おっ、ええ事言うやないか」
秋山「良いけど品田さんお金持ってるの?」
品田「秋山さんの奢りでいきましょうよ…ね?」
冴島「せや、金は貯めるだけでなくパーッと使う事も必要やで?」
秋山「2人とも調子良いなぁ……」
ガチャ
桐生「遥、待たせたな」
遥「あっ、おじさん」
伊達「桐生、話は終わったのか?」
桐生「あぁ、遥が世話になったな」
遥「おじさん、少し遊んでから帰ろうよ」
桐生「そうだな、少し遊んでから帰ろう」
品田「あの……」
桐生「ん?…なんだ?」
品田「ちょっと聞きたい事があるんですけど……」
桐生「言ってみろ」
品田「桐生さんは人を引き摺ったまま走り回れますか?」
桐生「何の事だ?」
品田「ほら、俺がやるみたいに……」
桐生「あぁ、アレか……やろうと思えば出来るな」
秋山「じゃ…じゃあ俺みたいに空中で敵を蹴りまくるのは?」
桐生「……ちょっと難しそうだが…たぶん出来るな」
冴島「桐生……熊に勝てるか?」
桐生「熊?」
冴島「あぁ、野生の熊や」
桐生「……負ける気はしねぇな」
遥「おじさん凄い♪」
品田「これは……」
秋山「決まりですね……」
冴島「桐生が一番や……」
桐生「何の話だ?」
秋山「いや、桐生さんがIMNに選ばれたって話ですよ」
桐生「IMN?」
秋山「I(一番)M(まともじゃ)N(ない人)です」
品田「おめでとうございます」
冴島「良かったやないか桐生」
桐生「おい……だから何の話……」
品田「じゃあ、秋山さんの奢りで飲みにいきましょうか」
秋山「えぇ~勘弁してよ」
冴島「居酒屋ならそない高くならんへんやろ?」
秋山「冴島さん、あんまり食べないでくださいね?」
冴島「そら飲む分には別にかまへんちゅー事か?」
秋山「そんな事言ってないでしょ」
品田「んじゃ遥ちゃん、またね」
秋山「バイバイ、遥ちゃん」
冴島「お前も大人になったら一緒に行こな」
遥「はい、それじゃまた」
桐生「……一体何だったんだ?」
遥「やっぱりおじさんが一番凄いって事だよ」
伊達「ところで桐生、そろそろ開店の時間なんだが……」
桐生「あぁ、邪魔したな伊達さん」
伊達「また顔見せに来い」
桐生「ふっ、分かったよ」
遥「伊達さん、バイバイ」
伊達「おう、またな」
遥「おじさん、何して遊ぶ?」
桐生「何でも良いぞ」
遥「それじゃあ……ボーリングでパーフェクト取って、その後はダーツのカウントアップで540点取って♪」
桐生「分かった、任せておけ」
遥「おじさん、カッコいい♪」
伊達(アイツ…遥が頼んだら何でもするんじゃねぇか?)
――――
遥『おじさん、1人でミレニアムタワーを破壊して』
桐生『分かった、任せておけ』
――――
伊達(なんてな……無理…だよな?)
【どうしても釣りたいモノ】
――桐生と遥の家
遥「おじさん」
桐生「なんだ?」
遥「私も海釣りがしたい」
桐生「急にどうした?」
遥「どうしても釣りたい獲物がいるの」
桐生「獲物……」
遥「お願いおじさん、私を釣りに連れて行って!!」
桐生「分かった、すぐに行こう」
――海
遥「よしっ、釣るよ」
桐生「頑張れよ」
遥「しっかり見ててね……それっ!!」
桐生(しかし獲物ってのは何なんだ?)
――
遥「来たっ!!」
桐生「おっ、早速だな」
遥「ん~、えいっ!!」
桐生「ほぅ…真鯛じゃねぇか、やるな遥」
遥「……」
桐生「どうした?」
遥「違う……」
桐生「違う?」
遥「私が釣りたいのは真鯛じゃない……もう一回やるよ」
桐生「あ…あぁ……良いぞ」
遥「それっ!!」
桐生(遥にしては珍しく熱くなってるな……)
――
桐生「なぁ…遥」
遥「なに?」
桐生「お前の釣りたいモノってのは何なんだ?」
遥「それは……」
桐生「ここで釣れる魚は大体釣っただろ?」
桐生「マグロやカジキまで釣ったじゃねぇか、一体何を釣りたいんだ?」
遥「……ドラム缶」
桐生「なんだと?」
遥「私もおじさんみたいにドラム缶を一本釣りしてみたいの」
桐生「お前…ドラム缶って……」
遥「おじさん…ドラム缶の釣り方を教えて」
桐生「いや、俺も釣りたくて釣ってるワケじゃ……」
遥「お願いおじさん、ドラム缶が釣りたいの」
桐生「分かった、少し待ってろ」
――
真島「待たしたのぅ、桐生ちゃん」
遥「真島のおじさん……」
真島「遥ちゃん、久しぶりやな」
遥「はい、お久しぶりです」
桐生「兄さん、ちょっとこっちに来てくれ」
真島「なんや?愛の告白かいな?」
――
真島「んで、いきなりドラム缶用意せぇってどう言う事やねん」
桐生「理由は分からねぇが遥がドラム缶を釣りたがってるんだ」
真島「桐生ちゃん…まさか……」
桐生「ドラム缶を海に沈めてそれを遥に釣らせる」
真島「……よっしゃ、遥ちゃんの為や……西田ぁ!!」
西田「はい」
真島「遥ちゃんに気付かれんようにドラム缶を海に沈めてこいや」
西田「えっ?」
真島「あぁ?聞こえんかったんか?」
西田「す…すぐにやります!!」
――
遥「……」
桐生「……」
真島「……西田」
西田「はい」
真島「ちょっとこっち来いや」
西田「はい……」
真島「お前どこにドラム缶沈めたんや」
西田「気付かれないようにと言われたんでちょっと離れたところに
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