エステル「ユーリと随分仲が良いですね」フレン「幼馴染ですから」
エステル「幼馴染だから、ですか。羨ましいですね……本当に」ザワ
フレン「エステリーゼ様?」
エステル「あ、いえなんでもありません」
フレン(今、何か黒い靄みたいなものが……)
エステル「良ければ昔のユーリのことを聞かせてもらえませんか」
フレン(いや、気のせいだろう、エステリーゼ様に限って)
フレン「ええ、構いませんよ」
エステル「ユーリは昔からああだったのですか?」
フレン「そうですね、堅苦しいルールに囚われるのは昔から嫌いでしたね」
フレン「考えるよりも先に手が動く、というような」
エステル「ああ……」
フレン「ユーリは昔から勘や物覚えは良いんですよ、センスも悪くない」
フレン「でも型に嵌ることを良く思わなくて反復練習などを嫌がるんです」
フレン「そこから結局自分流にアレンジしてしまうので、何かを成し遂げる、ということにはあまり向いていませんでしたね。でも」
エステル「そこがユーリの良いところです?」
フレン「はい。型にとらわれない分僕よりも視野は広かった」
フレン「それにユーリはああ見えて何事も器用にこなせるんですよ」
エステル「そういえば前にサンドイッチを作ってくれたことがありました」
フレン「ユーリらしい。自分流にしてしまいますが、なんでもこなせてしまうのはあいつの凄いところです」
フレン「そういえばこんなこともありました」
エステル「どんなことです?」
フレン「あれはまだ騎士になりたてで、ユーリと一緒に宿舎にいたころなのですが」
フレン「同僚の女騎士が上司の騎士に訓練と言われ酷い仕打ちを受けていたのを目撃したのです」
エステル「女騎士……」ピクッ
フレン(……あれ? 今エステリーゼ様の様子が)
エステル「それでどうなったんです?」
フレン「え? ああはい。僕らが通りかかって、ユーリが自分にも稽古をつけてくれって上司の兵士に突っかかったんです」
フレン「僕らはまだ新米でしたからたいした腕もないと見込んでいたのでしょう。その兵士はユーリの主張を認めユーリに剣を向けたのですが」
エステル「逆にコテンパンにされたんです?」
フレン「ええまあ。当時は今ほど強くありませんでしたから一方的とはいきませんでしたが」
エステル「……その女騎士はどうなったんです?」
フレン「面白かったのはそこからなんですよ」
フレン「丁度僕らはその日に初級回復魔術、ファーストエイドの講義を受けたばかりでしてね」
フレン「その子は怪我もしていたのでファーストエイドで治療しようという話になったのですが」
フレン「何とか教科書を見ながらユーリがファーストエイドを唱えるのですが中々うまくいかなくて」
フレン「ようやく治療し終えたときには二人ともグッタリしていましたよ」
フレン「終わった後は二人とも笑っていましたけどね」
エステル「今の話だとフレンは見ているだけだったんです?」
フレン「え? ええまぁ」
エステル「……何故フレンがファーストエイドを使わなかったんです?」
フレン「え? それはユーリが自分でやるからいいと言ったので。ユーリはそういうのが苦手なので良い練習になればと思い……」
エステル「……」
フレン「エステリーゼ様?」
エステル「あ、ごめんなさいなんでもないです」
エステル「でもユーリも魔術が使えたんですね」
エステル「使ってるところを見たことなかったので知らなかったです」
フレン「ああいえ、実戦レベルとは言えないものだと自分でも言っていましたよ」
フレン「それに最近は練習さえしていないから既に使い方すら忘れた、と」
フレン「だったら僕が教えてあげようかとも言ったんですが、そういうのはお前に任せた、って言われてしまって」
エステル「ユーリらしいですね」クス
フレン「本当に」
エステル「ところでフレン」
フレン「はい、なんでしょう」
エステル「フレンとユーリはお友達ですよね?」
フレン「? はい、もちろん」
エステル「それ以上でも以下でもない、です?」
フレン「? ええまあ」
エステル「本当に?」ジッ
フレン「エステリーゼ様?」
エステル「フレンはユーリと仲が良すぎる気がしたので」
エステル「そうですよね、そんなわけないですよね」
エステル「良かったです」
エステル「もし万が一のことがあったら……私何をするかわからなかったです」ニコ
フレン(何故だ……とてもいい笑顔なのにその、すごく)
フレン(怖い)
ユーリ「おーい、そろそろ行くぞー」
エステル「あ、はーい! 今行きまーす!」
フレン(エステリーゼ様の様子が柔らかくなられた……ユーリの力なのか?)
ユーリ「どうしたんだフレン?」
フレン「あ、ああいやなんでもないんだ、なんでも」
ユーリ「おかしなヤツだな、まさか疲れたのか?」
フレン「まさか。この程度の疲労、疲労のうちに入らないよ」
ユーリ「頼もしいねえ、んじゃ戦闘は頼んだぜ」ガッ
フレン「任せてくれ」ガッ
エステル「<●><●>」
フレン(エステリーゼ様の視線が痛い)
ジュディス「ユーリ、ちょっといいかしら?」
ユーリ「どうしたジュディ」
ジュディス「バウルのことなのだけれど」
ユーリ「バウルがどうかしたのか?」
ジュディス「実は頭頂部の髪が少し伸びすぎてしまって斬ってもらいたいそうなの」
ユーリ「へえ、始祖の隷長も身だしなみを気にしたりするのか?」
ジュディス「少なくともあなたよりは繊細なのよ、彼って」
ユーリ「ま、いいぜ。そういうことならお安い御用だ」
ジュディス「助かるわ。バウル!」
バウル「■■■■ー!」
ユーリ「バウルの背中に直接乗っていいのか?」
バウル「■■■■ー!」
ジュディス「ええ、良いそうよ」
フレン(ジュディスにユーリが連れていかれた)
パキッ
フレン「ん? 何の音だ?」
フレン「???」キョロキョロ
エステル「……」
ユーリ「ほっと」トン
ジュディス「あら頼もしい。この高さを一足で飛び乗れるなんて」
ユーリ「馬鹿いってんな、ほら」つ
ジュディス「あら? 私がいても邪魔にならないのかしら?」
ユーリ「変に斬られてもバウルが可愛そうだろ?」
ジュディス「それもそうね、はっ!」ピョン つ ガシッ
ユーリ「よっと」ヒュッ ダキッ
ジュディス「ありがと」
パキッ
フレン(またこの音だ、何か物が壊れるような)
ユーリ「こんなものでどうだ?」
バウル「■■■■ー!」
ジュディス「気に入ったみたい」
ユーリ「そいつは良かった。バウルにはいつも世話になってるからな」
ジュディス「貴方髪を切るの上手だったのね」
ユーリ「どうなんだろうね、今回のは参考にならない気がするんだが」
ジュディス「貴方の髪もこれだけ長いのに綺麗だし」サラ
ユーリ「おい勝手に触んな」
パキッ
ジュディス「今度私も切ってもらおうかしら?」
ユーリ「やめとけ。女の髪なんざ怖くて切れねえよ」
ジュディス「あらそう? 私は構わないのだけれど。それにしても本当にサラサラ」
ユーリ「だからあんまり髪弄るなって」
パキッ
フレン(ん? 今エステリーゼ様の方から……)
エステル「」ミシミシ
フレン(!?)
フレン「エ、エステリーゼ様……?」
エステル「なんです? フレン」ニッコリ
フレン「い、いえあのお持ちのロッドが……」
エステル「ああこれですか?」ボロッ
エステル「丁度ガタがきていたんです」
フレン「でもそれ確か昨日買ったばかりでは……」
エステル「ちょっとシャープネスの練習も兼ねていたので」
フレン「でも術式詠唱なんて聞こえなかっ」
エステル「シャープネスです」
フレン「い、いやしかし詠しょ」
エステル「シャープネスです」
フレン「その」
エステル「シャープネスです」
フレン「……」
エステル「です」
フレン「さ、流石はエステリーゼ様! 術の練習を怠らないばかりか威力も上がっておいでなのですね!」
エステル「そんなことありませんよ」
エステル「私なんてまだまだです♪」ニコ
フレン「は、ははは……」
フレン(何故だ、胃が痛い……)
ユーリ「はあっ! 爪竜連牙!」
フレン「またユーリはそうやって勝手に技名を簡略化して……」
ユーリ「いーんだよ、別に技名なんてどうだっていいだろ?」
フレン「よくはないさ、それが技を生み出した先人たちへの礼儀だろう」
エステル「二人ともお疲れ様です」
エステル「あ、ユーリ怪我を……今治します!」
エステル「天の使いの姫君よ、その壮麗たる抱擁の力を」
エステル「ナイチンゲール!」パアア
ユーリ「お、サンキュなエステル」
フレン「ありがとうございますエステリーゼ様」
フレン(今日のエステリーゼ様はいつも通りだな、この前のは何かの間違いだったのだろう)
パティ「ユーリィ~!」
エステル「」ピクッ
フレン「……」
パティ「ユーリは強いのお! 今日もうちはメロメロじゃ!」ダキッ
ユーリ「おい、人の手をつかむな」
パティ「良いではないか」
ユーリ「いや、良くはねえよ、なんなんだよいきなり」
パティ「実はユーリに頼みがあってきたのじゃ」
ユーリ「頼み?」
パティ「うむ、少しアーセルム号に用があっての、良かったらうちについてきて欲しいのじゃ」
パティ「もちろん無理にとは言わんが」
ユーリ「今やあの船は魔物の巣窟でもあるからな……ってそういやあの魔物たちは」
パティ「いんや、それは違う。同胞達はサイファーがきちんと弔ってくれておった」
パティ「じゃから今いる魔物は負の気に寄せ集められ、そこを棲み家として居つき繁殖していった者共じゃ」
コメント一覧
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- 2014年12月01日 21:21
- やっぱりユリリタがNo.1!ユリリタがNo.わ・・・(フォトン)
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- 2014年12月01日 21:28
- その後、※1の行方を知るものは誰もいなかった……
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- 2014年12月01日 21:51
- アイエエエ...
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- 2014年12月01日 22:00
- いやユーリにはジュディスの方がお似合(文はここで途切れている
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- 2014年12月01日 22:01
- いやいやパティとのくみあわs(フォトン
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- 2014年12月01日 22:24
- これを言ったら闇に葬られるとしても!それでも言わずにはおれぬ!
ユリリタが最高にして至高!最高にs…(セイクリッドブレイム)
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- 2014年12月01日 22:28
- ひぇっ・・・
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- 2014年12月01日 22:52
- いやここは意表をついてユリフレry(アルティメットエレメンツ)
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- 2014年12月01日 22:56
- なんてこった
皆死んじまいやがった・・・
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- 2014年12月01日 23:02
- エステルって見て有機化合物スレかと思ったのに
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- 2014年12月01日 23:22
- なんてことだ……なんてことだ……
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- 2014年12月01日 23:26
- どいつもこいつも分かってねーな
ユーリの相棒は昔から一匹だけだろ?
そうラピードさんだ
ユリラピこれはケモナー界に激震が走るr(フォトン
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- 2014年12月01日 23:31
- その後、彼らの行方を知るものは誰もいなかった。
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- 2014年12月01日 23:32
- エステルってブログの看板キャラでしょ?
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- 2014年12月02日 00:02
- いや技を編み出した先人への礼儀云々言うなら技名省略云々以前にユーリ式爪竜連牙斬をやめさせろよwwwアレンジしすぎて完全に別の技だろあれwww
あ、エスリタばんざ(グランシャリオ
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