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2014年8月に米ミズリー州ファーガソンでおきた白人警官による黒人青年射殺事件、通称「ファーガソン事件」。この事件は、コンビニエンスストアから帰宅する途中だった黒人少年マイケル・ブラウン(18)が、白人の警察官ダレン・ウィルソンと言い合いになり、警察官が武器を持たないブラウン少年を射殺したという事件だ。
この事件は世界中に大々的に報じられ、ブラウンさんの死に抗議する人が続出、今でも後をたたない。
そんな中、最近オレゴン州のポートランドでこのファーガソン事件の抗議デモに参加していた12歳の少年、デボンテ・ハート君が涙を流しながら警察官と抱き合っている姿写真がSNS上に公開された。この写真はネット上であっという間に広まり、「世界中でシェアされているハグ」として話題を集めている。
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周囲にいた人々の話によると、デボンテ少年とブレット・バーナム警官のやりとりは抗議活動が始まろうとしている時に起きたようだ。
バーナムは、この日ファーガソン事件に対する抗議デモの警備にあたっていた。主催者が群衆に向かって話かけている時、バーナムは「フリー・ハグ(無償の抱擁)」のサインを首にかけた一人の少年が、目にいっぱいの涙を浮かべている姿を見つけた。
警官と少年のやりとりは、少年の母親のフェイスブック上に投稿された。
バーナム警官は息子のデボンテに「なぜ泣いているのか?」、と理由をたずねました。「最近の警官は黒人の子供に対してものすごく強暴だから怖くて恐ろしい」と彼は答えました。するとバーナム警官は、深いため息をつきながら「ああ、そうだな、確かにその通りだ。本当に申し訳ない、ごめんね。」と謝ったのです。そしてデボンテにフリーハグをして欲しいとお願いしたそうです。デボンテは、バーナム氏の心からの真摯な態度と思いがけない言葉を聞いて、涙が止まらなくなってしまったそうです。
バーナム警官はその後の取材に対しこう語った。
彼は心底警察を怖がっていた。それでも、私のそばに来て、ちゃんと質問に答えてくれたんだ。勇気がいるし素晴らしいことだと思う。私はそのまっすぐな気持ちを受け止めてあげることが最大限の敬意であると感じた。
少年の母親であるジェン・ハートは自身のフェイスブックでなぜ少年が泣いていたのか、その理由を書いていた。
デボンテが苦しんでたことには気付いていました。息子は涙を浮かべ、何も話そうとしませんでした。癒しがたい傷を負っていたのです。けれど、彼は誰よりも思いやりのある子です。私はそう信じています。
デボンテは人種差別を恐れていました。人種問題は複雑なんです。警察や一般人には理解しがたいこともたくさんあります。当人にしか分からない苦しみを抱えていました。彼は、人種差別に直面しても恐れずに生きていける自信がなかったのでしょう。いつかフリーハグのサインを外し、成人の黒人男性となったとき、自分の目の前にあるのは恐怖に満ちあふれた世界なのだろうか、といつも考えているようです。
テレビの見過ぎが原因などと言われそうですが、決してそうではありません。家にはテレビなんてないんですから。デボンテ自身、さまざまな体験をしてきました。また、家では世界で起こっている出来事について話し合いなどもしています。そういうものから自分なりの答えを出しているのです。黒人の子を育てる親にとって、この問題と直面することは正直荷が重い時もあります。
皆、人種問題について話すことを避けているからです。その問題にある根底を突き止めようとはしません。自分の考えのみを受け入れ、自分に正義があると都合よく解釈し、自分とは異なる意見や信仰を持つ人との会話を避けている方が、議論を交わすよりよっぽど楽なのですから。
Papertrailによるデボンテの生い立ち。
彼の産みの母親は麻薬中毒者だった。彼が4歳の時にネグレクトが始まり、幼いデボンテは過酷な状況で生きてきた。彼は、タバコを吸わされたり、お酒を飲まされたり、銃を持ったことも、撃たれたこともあるという。この幼少期の虐待が原因で、彼はほとんど話せなくなり、多くの障害に苦しんでいた。
デボンテと彼の兄弟2人は、ジェン・ハートさんとその妻であるサラの養子となった。サラ夫人は初めてデボンテを引き取った日のことを「とても恐ろしい体験だった」と語っている。「あの夜、やっと彼を寝かすことができた後、私は人生の中で一番泣きました。この子と養子にとった他の5人の子を育てるなんて無理だと思いました。」しかし、彼女はデボンテ君を養子にとったのはよい決断だったとも語る。「彼はとても繊細で、私は今まで他の人とは感じたことのないような絆を彼に感じたのです。」
デボンテと養母のジェン・サラ
サラさんはデボンテ君と一緒に人生を過ごすことが出来て、とても幸せだと語っている。「彼は、毎日私を驚かせてくれます。彼は、医者やカウンセラーや学校の先生たちが間違っていることも証明してくれた。彼の人生は暗いものなんかにはなりません。彼は輝く星なんだから。他の人さえ明るく照らしてくれる人物です。」また彼女は「周りの人間は、デボンテが私たちの養子になれて幸せ者だと言うけど、ラッキーなのは逆に私たちの方です。彼の存在は、どんな過去であれ未来は明るい、と証明してくれているから。」と語った。
via:buzzfeed・原文翻訳:melondeau
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コメント
1. 匿名処理班
世界中にバーナム氏のような誠実な大人が増えますように…
2. 匿名処理班
でもなあ
また黒人が撃たれたみたいだしな
まあフリーズ言われたのにポケットに手突っ込んだらしいけど
3.
4. 匿名処理班
やばい涙でてきた
5. 匿名処理班
( ;∀;)イイハナシダナー
6. 匿名処理班
プロパガンダに使われそうなぐらい,いい話だな
素直にいい話と思えない,そうだと信じられない自分が悲しい
7.
8. 匿名処理班
男の子、おしゃれだなあ..
9. 匿名処理班
感情よりも先に魂が揺さぶられて、なにかを思うより先に涙が溢れ出た( TДT)
10. 匿名処理班
デボンテ少年は本当に勇敢だと思う
バーナム警官も良心を持った本当に良い警官なんだろうね
悲しい思いをした人がいて、またそれを悲しむ人もいる
人種差別なんてなくなっちゃえばいいのにね
11. 匿名処理班
これこそ「全米が泣いた!」だろ
12.
13. 匿名処理班
別の子がハグされたからって射殺された黒人の人たちは生き返らないよ
大きなマイナスの後に微々たるプラスがあったからってそれが帳消しになるわけでもなし
そもそも市民を守るはずの警察官が市民を撃ち殺してる時点でどうかと思うんだがこの程度で良い話みたいな方向に持っていこうとしてるのがおかしい
この写真だってなんか評価されるところ違うよなーと思うんだけども
14. 匿名処理班
12歳の子供をデモに参加させるのはちょっと親としてどうかと思うんだがなぁ
15. 匿名処理班
養母さん美人だし聡明そう
いい人に養ってもらえてよかったな
16. 匿名処理班
※13 確かにその通り、犯人が死刑になったところで被害者は生き返らない。だが誰もが他人を思いやる気持ちをもてば、許しあえる社会があれば、誰か支えてくれる人がいれば、世界はちょっとだけよくなるんじゃないかな?
白人警察の全員すべてが黒人を差別しているわけじゃないし、また黒人のすべてが白人を許していないわけでもない。世の中そう捨てたもんじゃないっていうことがわかれば、絶望の中に小さな希望を見出すことができる。底から這いあがるのは本人次第だけどね。
17. 匿名処理班
子供の涙はつらい
また似たようなことがあったみたいだし…
先進国のリーダーで自由の国のはずなのにいつまでこんなことやってるんだと不思議
なんだか、実は白人ってものすごいコンプレックスだらけなんじゃないかと思うようになってきたよ
18. 匿名処理班
いつの時代も損をするのは心優しい人間で、大抵それは攻撃的で横暴な人たちが作り出した勝手なイメージなんだよね
早く暴動が収まればいいな
19. 匿名処理班
先ず銃を何とかせんとどうしようもあないと思う
銃がある国で警官になるだけの義侠心のある人を犠牲にしたり、悪く変質
させてんじゃないかなあと思うんだよ…
20. 匿名処理班
警官の人も素晴らしい
でも銃社会アメリカでは生きるか死ぬかのことだろう。
21. 匿名処理班
人と人の思いやりや絆もまだ捨てたもんじゃねーなと少しジーンとしたが
コメ欄まで見てしまったせいで気が失せたわ
人種に関係なく、良い人は良い人だし○な奴は○だわ
22. 匿名処理班
今まで白人は黒人を差別して、悪いのはいつも白人て思っていたけど、いざ外に出たらそういう考えもまた変わったな。黒人→白人の差別も見たし、何か言われるとすぐ人種差別に結びつける黒人も見たし、「自分自身が差別してなくても、過去に白人が黒人を奴隷としてきたから、未だに言われても我慢しなきゃあかん」ていう若い白人の男性とも話した。
勿論そういう黒人を嫌う黒人の人にも会ったし、黒人だけでなくアジア人も差別する白人にも会った。
白人→黒人の射殺とかよく大きなニュースになるけど黒人→白人・黄色人種の射殺も普通にあるし。
アメリカは銃の所持が認められてるから、警察もナーバスになるだろう。市民も「警察が発砲してくるかもしれないから手は上げとこう」みたいな自衛をしとかないと。
とにかく、ここのコメントとかでよく白人だからとか白豚とかいう人おるけど、それも立派な人種差別だよ。
白人→黒人の人種差別となんら変わらないよ。
白人だから差別するとか、黒人だから差別されるとか、それこそが人種差別だと思うね。
23. 匿名処理班
アメリカでのとくに、黒人への差別は
建国以来から続く負の連鎖だな
複雑で深くて闇が深い
利権や宗教も絡んで、なかなか解けない
できるとしたら、人と人の純粋な気持ちだけなんだろうな
24. 匿名処理班
ハグされて泣くならまだわからんでもないが
ハグする前から泣いていたというのはどういうことなんだろう
25. 匿名処理班
大人の役目は、子供を守って無事に成長させていくこと。それが他人の子供でも、違う人種でも、会ったことがなくとも関係無い。大人の役目は、本当にただそれだけ。
なのに子供たちを不安にさせてしまう社会がまだまだあるのが現状…寂しいよ。
26. 匿名処理班
デボンテ君の着てるグーニーズのTシャツ欲しすぎる
27. 匿名処理班
いい話だが、これはこれ。
28.
29. 匿名処理班
蔓延する銃犯罪、殉職する警官数、根強い黒人差別…アメリカしっかりせえよ
30. 匿名処理班
白人が白人を撃った件数はどれだけあるのかな
31. 匿名処理班
映画の時だけ良いやつになるジャイアンみたいだな
32. 匿名処理班
思春期で強さを装いたい年齢だろうに
こんなに弱味をさらけ出して訴えられる素直さがすごい
33. 匿名処理班
これは他人事じゃないと思った。
日本でもヘイトスピーチが酷いから。
今後、移民も増えるというしね。
隣人の瞳と肌の色を見るだけでは、その人の心までは見抜けない。
34.
35.
36. 匿名処理班
※13
なんとなく分かる。
人間って無くしたお金が見つかったら、プラマイゼロなのにラッキーって喜んじゃう生き物だから。
でもまあ、その嬉しい気持ちは悪いものではないだろうし、起こった事を忘れないというのにも一役買うと思う。
お金を無くした経験から、同じ事を繰り返さないように気をつけるという答えが導き出されるように、死んだ人たちの存在も、この少年も、同じ悲劇を繰り返さないようにという答えへの、単純に過程なんだと思う。
人種問題は難しい問題だけど、将来的に解決するとしたら、こういう人と人との繋がりは不可欠だしね。
見守ろうじゃないか。
それに我々は我々で、解決しなきゃいけないことが山積みだしね……。
37. 匿名処理班
この件でより重要視すべきなのは人種差別デモよりも銃規制のデモやと思うんやけどな
銃が規制されていれば黒人少年が死ぬことはまずなかったやろうに
38. 匿名処理班
小さかったころ、親戚のおじさんたちに今で言う嫁いびりをされている母を見て「大人になったらあんなにいやらしいことをされても耐えないといけないんだ。耐えなかったら怒られるんだ。なんて世界は怖いんだ。大人になりたくない」って怯えてたのを思い出した
ネットでは女叩きやいやらしい侮蔑、差別語
外に出たら痴漢に会っても「お前が短いスカートでもはいてたんじゃないのか」「そんな時間に外を歩くお前が悪い」
ニヤニヤ笑いながら「でもそれくらいじゃあねえ…」と言う警官
残念ながら子供よ、ごめんね、世界は怖いところだよ
39. 匿名処理班
子供でも射殺されてるんだから「Free Hug」を掲げても警官には近づけんぜ
撃たれた痛みを知ってるなら尚更
どうにか良い方向の糧にして欲しいね
40. 匿名処理班
うがった見方なんていくらでもできるが、そんな事は言いたくないよ。
彼も彼の家族も、幸多かれ。