阿武隈「ええ!? あたしが旗艦!?」
元ネタの史実がありますが、史実を忠実に再現したわけではございませんので、ご了承ください
―ある海域にて―
阿武隈「敵艦隊発見! 阿武隈、ご期待に応えます!」
北上「そんじゃ、まずは私から行くよー」
大井「ちょ、ちょっと!! アンタどこ見て……」
阿武隈「やぁー!!」
ドンッ!!
北上「痛っ!!」
阿武隈「きゃあっ!!」
大井「な、何やってんのよ……もうっ! 砲雷撃戦、用意! ほら、駆逐艦! ボーっとしないで早く撃つ!!」
潮「は、はいっ!!」
夕立「了解!」
響「やるさ」
大井「てりゃあ!!」
イ級「グゴオオオオ!!」
潮「撃ちます!!」
響「撃つ」
北上「いててて……阿武隈、大丈夫?」
阿武隈「……うっ……いたたた……」
北上「……あちゃ、ちょいとダメそうだね……」
ロ級「グゴオオオオ……」
大井「はぁ、ちょっと厄介そうなのが残ったわね」
北上「大井っち」
大井「あ、北上さぁん! もう大丈夫なんですか!?」
北上「うん、私はあんまりダメージない。ぶつかった本人がちょっとアレってだけ。そんじゃ、いっちょやりますか」
大井「ええ!」
北上「撃つよ、皆! 雷撃ィ!!」
ズドオオオン
ロ級「ゴガアアアアア……!!」
北上「ふぅ……なんとかなったねぇ」
潮「あの、北上さん、けがは?」
北上「私? 私はまあ大丈夫。それより……ちょっと阿武隈連れて撤退しよっか?」
阿武隈「う、うぅ……」
響「私がやろう」
夕立「はい、あたし! 夕立も手伝うっぽい!」
北上「オーケー。とりあえず阿武隈は2人に任せるね……大井っち、潮は私の後ろにつきながら撤退ね。陣形崩さないよう、慎重に帰りましょー」
大井「……北上さんがそう言うなら」
潮「わかりました!」
―鎮守府―
北上「提督、戻ったよー」
提督「おお、第一艦隊か。思っていたより早かったな」
北上「ん、ちょっとアクシデント起きちゃってねぇ……」
提督「アクシデント……?」
夕立「結構阿武隈がやばいっぽい……助けてあげてね、提督!」
響「提督、彼女を頼んだ」
提督「……阿武隈!?」
北上「この子初戦で張り切りすぎちゃってさ、私と結構ガチな衝突しちゃって……あはは」
提督「北上の方は大丈夫なのか?」
北上「んー、大丈夫……と言いたいところだけどそうでもないみたい。情けない話だよね」
大井「そんな事……北上さんは悪くないですよ。全部悪いのはこの旗艦の指示を待たなかったこの軽巡洋艦で……」
北上「大井っち」
大井「あ……ご、ごめんなさい」
提督「なんにせよ、誰も沈んだ子がいなくてよかった。ひとまず北上も入渠しておけ」
北上「はいはーい」
潮「あ、阿武隈さん……大丈夫かなぁ?」
響「私達が心配してもどうしようもない。ここは見守るべきだろう」
夕立「とりあえず疲れちゃったし、部屋に戻って休みた~い」
提督「ああ、そうしてくれて構わないぞ」
夕立「やったぁー! 久しぶりのお休みだねー! 何かして遊びましょ?」
潮「少しお部屋の整理をしようかな?」
響「次の戦いに備えて、武器を磨いておこう」
夕立「……あれ? 誰も遊ばないっぽい?」
提督「あははっ、程よく休憩しておけよー」
大井「…………」
提督「ん、どうした大井? お前も一旦戻っていいぞ?」
大井「…………提督はちょっと優しすぎやしませんか?」
提督「……え?」
大井「あの軽巡洋艦、提督は期待してるみたいですけど……私は提督が阿武隈を買う理由が分かりません。せいぜい第二艦隊くらいで遠征をしておいて、こっちに重巡を増やしたりした方がいいかと思ったんですが」
提督「……確かにそうした方が、戦力的には問題なくなるわな」
大井「でしょ? わかってるならなんで……」
提督「阿武隈はいずれ大事になってくる。そんな気がしてるんだ。多分北上も、阿武隈がいることには賛成だろうし、疑問は持ってないんじゃないか?」
大井「……ふーん、まあ、北上さんがいいなら私はそれでいいんですけどね」
提督「そうか、じゃあ部屋に戻りなさい」
大井「……はーい。失礼します」
―入渠地―
北上「ふぁー、極楽極楽っと」
阿武隈「う……んっ……ひっ!?」
北上「あ、阿武隈やっと起きたね。大丈夫?」
阿武隈「え、ええと……あの、そのぉ……」
阿武隈(さっきはすみませんでしたって……なんで言えないのかなぁ……?)
北上「まあ大丈夫じゃないか。大丈夫だったらここにいないもんね~、あははっ」
阿武隈(……え? なんでこの人、笑ってるの?)
北上「何はともあれさ。ハリキリすぎちゃうのも問題だから、もうちょっと落ち着いて行動しなよ?」
阿武隈「え、えっと……はいっ」
北上「こういうの柄じゃないんだけどさ……一応旗艦だし、言っておかなくちゃなぁって思ってたんだよね」
阿武隈「あ、あのぉ……怒ってないんですか?」
北上「へ? 何を?」
阿武隈「だ、だからその……あたしがぶつかった事?」
北上「ああ、あれ? え、なんで怒る必要があるの?」
阿武隈(……え?)
北上「うーん、よくわかんないけど、私は全然気にしてないから、そこんとこよろしくね」
阿武隈「あ、ええと……はい」
北上「もうなんだよぉ、そんな私を怖がらないでってば」
阿武隈「ひゃあ!? あ、頭撫でないでください! 前髪崩れちゃいますし……」
北上「……あ、そう? ごめんね」
ピーッ
北上「よしっ、体力全回復って感じだね。先にあがるねー」
阿武隈「…………は、はあ……」
阿武隈(……なに、あの人。今は怒らずに恩を売って、それを別の形であたしに返させようってワケ? ……素直に怒ってくれた方がよっぽど怖くないし……)
阿武隈「はぁ……」
―鎮守府 艦娘たちの部屋―
阿武隈「も、戻りましたぁ~」
潮「あ、阿武隈さん! 大丈夫ですか!?」
阿武隈「う、うん……もう大丈夫」
大井「……」ゴゴゴゴ
阿武隈(うわぁ……)
大井「ちっ……まあ北上さんが軽傷だったからよかったものの、今度からああいう勝手な行動は控えなさいよ?」
阿武隈「は、はい……すみません」
大井「すみませんじゃないでしょ? もしアレでぶつかったのが北上さんじゃなくて他の駆逐艦とかだったら、アンタがぶつかっただけで大破しちゃってたのかもしれないんだよ?」
阿武隈「う、うぅ……」
大井「張り切りすぎて回りが見渡せなくなるっつったって、もっとちゃんとしてくれないと……防衛線は私達の命がかかってるんだから、分かる?」
潮「あ、あのっ! あ、あまり阿武隈さんを責めないであげてほしいかなぁって……思うんですけど」
大井「……っ! ったく……まあ次は気をつけなさいよ」
阿武隈(潮ちゃん、ありがとう……。そしてこの人……北上さんの事すごく信頼してる……ということはきっとこの人、あたしの事……恨んでるに違いない……)
夕立「阿武隈ちゃーん! 遊び相手いなくて退屈してたんだよー!」
阿武隈「え? でも大井さんは暇そうだよ?」
夕立「さっきオセロやってたんだけど、全面黒にされた」
阿武隈「すごいね大井さん……」
大井「夕立が弱すぎるだけよ」
夕立「うん、あたし頭使うゲームは無理っぽい!」
響「自信満々で言われると、逆にすがすがしいものだな」
夕立「ひどい!」
潮「うふふふっ」
阿武隈(皆楽しそうだなぁ……あたしはとてもじゃないけどそんな気分にはなれないや)
阿武隈「あれ? そういえば北上さんは?」
大井「北上さんよ! 「が」じゃなくて「か」!!」
阿武隈「ご、ごめんなさぁい!」
大井「北上さんは焼き芋買いに行ったわよ」
阿武隈(え、嘘……本当にあたしとぶつかった事、気にしてないのかな?)
大井「それがどうかしたの?」
阿武隈「ああ、いえ!! えっと、大井さんは何をして……?」
大井「機材の準備。それから、北上さんのためにカレーをね」
阿武隈(北上さん……愛されてるなぁ……あたしはそんな人と衝突しちゃったのか……でも)
阿武隈「……やっぱり苦手です」
大井「ん? 何か言った?」
阿武隈「い、いえ! 何でも……」
大井「……先が思いやられるわ。本当は重巡とかが入ってくるはずなんだけど、今の第一艦隊はお気楽ね。割と簡単な防衛戦でさえ、よりにもよって軽巡があんな感じだし」
阿武隈「はうっ」
大井「……まあ北上さんがいいならいいんだけどね」
阿武隈(こ、この人も……苦手かも)
―翌日 鎮守府―
提督「潮、夕立。今日は第二艦隊に行ってくれ」
潮「あのっ、今日は何をするんですか?」
提督「このドラム缶に積んだ燃料を、K島まで届けてもらうぞ」
夕立「えー!? 重たそうだよそれ……? あたしより提督が持った方がいいんじゃない?」
提督「仕方ないだろ? 俺だって行ければ行ってるし」
響「提督の命令ならば、仕方あるまい」
島風「提督ー! 私は?」
提督「護衛軍として、
コメント一覧
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- 2014年12月10日 19:06
- なんだか、ほっこりした。( ´∀`)
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- 2014年12月10日 19:28
- 味方の艦に衝突するなんていけないのです
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- 2014年12月10日 19:28
- 響は可愛いなあ!!
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- 2014年12月10日 20:32
- 歴代艦全て衝突している第6駆逐隊の某ぷらずまは黙ってようか
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- 2014年12月10日 21:24
- 阿武隈…知らない子ですね。(白目)
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- 2014年12月10日 21:32
- 阿武隈はチョロい
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