戻る

このページは以下URLのキャッシュです
http://ggsoku.com/tech/white-fat-converted-into-brown-fat/


運動しなくても痩せる?ぜい肉を「褐色脂肪」へ変化させることに成功 ―Nature Cell Biology - | Technity

運動しなくても痩せる?ぜい肉を「褐色脂肪」へ変化させることに成功 ―Nature Cell Biology

2014年12月10日 17:33 │Comments(0)

Written by くまむん

肥満や成人病の原因となる「白色脂肪(いわゆるぜい肉)」を、脂肪を燃焼して熱を作り出す「褐色脂肪」に変化させることに成功したとする研究結果が、ハーバード大学幹細胞研究所のグループから発表されています。

weight-scale

人間の体には、エネルギーを貯蓄する「白色脂肪」と、体に蓄えられた脂肪を燃焼してエネルギーを産生する「褐色脂肪」という、正反対の働きをする二種類の脂肪が存在しています。

白色脂肪細胞はいわゆる “ぜい肉” と呼ばれているもので、摂取カロリーが消費カロリーを上回る状態が継続することで体内に蓄積されてゆき、肥満や2型糖尿病の原因になります。一方、細胞が内包する鉄分によって有色を呈する褐色脂肪は、白色脂肪を燃焼することで、運動を伴わずに熱産生を行うことが知られています。

しかし、褐色脂肪は白色脂肪に比べて体内量が少ないことから、日常的な脂肪燃焼にはそれほど貢献していません。ただ、もし白色脂肪を燃えやすい褐色脂肪に変換することが出来れば、運動をせずともカロリーが消費することも可能(※)になるかもしれない、というわけです。

(※) 注釈
とはいえ、褐色脂肪であれば無条件でどんどん燃えるというわけではなく、低温への暴露やノルアドレナリン分泌など一定の「きっかけ」が必要となります。

▼白色脂肪と褐色脂肪の違い(©北海道大学

fat-cell-comparison

今回、Chad A. Cowan氏らのグループは、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤に分類される二種類の化合物を用いることで、本来であれば白色脂肪を作り出す脂肪幹細胞から、エネルギーを燃焼しやすい褐色脂肪様の脂肪を作りだすことに成功した、と報告しています。

Cowan氏によると、今回の成果は1,000種類レベルの比較的小規模な化合物ライブラリをスクリーニングして得られたものであるとのこと。そのため、もし製薬会社などが保有する数100万単位の大規模ライブラリにアクセスすることが可能になれば、より多くの薬剤の発見が可能になるとしており、既にいくつかの企業に共同研究を持ちかけているとのことです。

免疫異常によって発生する円形脱毛症を回復させる(過去記事)など、最近注目されているJAK阻害剤ですが、今回の研究成果によって「夢のダイエット薬」が生まれることを願いたいものです。

[Nature Cell Biology via Medicalpress] [Harvard Stem Cell Institute]

著者

くまむん

くまむん

企業の研究所でR&D業務に携わっておりましたが、2013年4月をもって退職し、当サイトの専属となりました。Techinityはソース明示のポイントを押さえた解説を、Cul-Onはちょっとした小ネタ紹介的な内容にしていければと思っております。

このニュースでディスカッション
  • コメントを投稿する際には「コメントガイドライン」を必ずご覧ください
  • コメントを投稿した際には、コメント機能利用規約(ガイドライン)に同意したものとみなされます
  • 主要ニュースサイトなどの「許可サイト」以外のURLを含む投稿はコメントが保留されます