Jumping Sumoに続き、Rolling Spiderについてのレビューです。
Rolling Spiderについて
Rolling Spiderは、小型の飛行ドローン。手のひらサイズの非常に小さな機体でありながら、独自の技術によって安定した飛行を可能にする、とのことです。詳細は、以下の公式動画をご覧ください。
以下は、主なスペック。
対応OS | iOS, Android, Windows Phone(8.1以降) |
垂直カメラ | 解像度640 x 480pixel |
バッテリー | 90分充電で8分間使用可能 (ただしタイヤ装着時は6分間) |
最高速度 | 時速18km |
Bluetooth | Bluetooth LE対応 |
接続範囲 | 20m |
サイズ | 140 mm |
重量 | 55g(タイヤ装着時65g) |
センサー類 | ジャイロスコープ 加速度計 気圧センサー 対地超音波センサー |
同梱物 | 本体 バッテリー(1個) タイヤセット一組 ステッカーセット USBケーブル(TypeAオス-MicroBオス) 取扱説明書 |
外観など
箱を開けて最初の印象は、しつこいようですが「とにかく小さい」ということ。
機体寸法については前掲しましたが、具体的に「女性の片手の平にも収まるサイズ」と書くとイメージしやすいでしょうか。
トラス構造のアームに取り付けられたモーターのシャフトへプラスチック製ローターが直接装着されていますが、接着剤などで固定はされておらず、飛行中に障害物に接触するとはじけ飛んで衝撃を緩和するように出来ています。
機体の背面にはマイクロUSB端子が備え付けられており、ここにUSBケーブルを装着して充電します。バッテリーはJumping Sumoと共用です。
機体のお腹部分。中央の金属メッシュ部内側には超音波センサーや圧力センサーが組み込まれており、これらのセンサーからの情報を使ったRolling Spiderの高度管理を行っています。その下の比較的小さい穴は、垂直カメラです。
Jumping Sumoに比べて、こちらは機体が非常にシンプルな作りとなっており、電源スイッチもありません。充電されたバッテリーを機体後部に挿入すると、充電が切れるかバッテリーを外すまで電源ONの状態になります。
Rolling Spiderには、タイヤセットが付属しており、装着すると以下の様な感じになります。
このタイヤセット、公式的には「天井や壁を走行する」ためのものと訴求されていますが、電動で回転したりはせず、天井や壁に接触しながら飛ぶとくるくる回転する、程度のものです。
実際に使ってみた感想としては、そういった「走行」機能よりも、むしろ障害物や人体に機体が当たることで怪我をしたりプロペラがクラッシュすることを防ぐクッションとしての目的が大きいと感じました。
操作はFreeFligtアプリを使用
Jumping Sumo同様、Rolling Spiderの操作にも「FreeFlight3」を使用します。
▶FreeFlight 3 (iTunes): https://itunes.apple.com/jp/app/freeflight-3/id889985763
▶FreeFlight 3 (Google Play): https://play.google.com/store/apps/details?id=com.parrot.freeflight3&hl=ja
Jumping SumoはWi-Fi接続でしたが、Rolling SpiderではBluetoothで接続します。
すぐに繋がる
Jumping Sumoでは、電源を入れた後に初期化が終わるまで30秒ほど待つ必要がありましたが、こちらのRolling Spiderでは、電源投入直後に接続することが可能です。
ちょっとアプリの説明を…
スマートフォンとRoling SpiderをBluetoothで接続した状態でFreeFlight 3を起動すると、以下のような画面が表示されます。今回はiOSアプリで操縦を行いましたが、ネットで検索してみると、Android版やWindows版で、画面のレイアウトが微妙に異なるようです。
Jumping Sumoでは操作画面にカメラの映像がストリーミングされていましたが、残念ながらRolling Spiderでは表示してされません。前掲のように連続使用可能時間が短いため、なるべく消費電力を抑えるための設計なのだとは思いますが、正直なところ残念な部分ではあります。
Jumping Sumoの場合では、直観的に操縦可能なアプリデザインになっていたのですが、こちらのRolling Spiderではわかりにくい部分が何点かありましたので、メモも兼ねて簡単な機能説明を残しておきたいと思います。
⑤アクション指定 ⑥写真撮影 ⑦機体移動/アクション実行ボタン
機体の上下移動および左右の回転は①のパッドを使いますが、前後左右への平行移動はスマートフォン本体を傾ることで行います。静置状態からの離陸には②を使いますが、④のボタンをタップするとスタンバイモードに移行し、この状態でRolling Spiderを空中に放り投げると、自動的に起動して飛行を始めてくれます
⑤はアクション設定ボタン。タップすると実施可能なアクション一覧がドロップダウンリストで表示されるので、前方向宙返りやバックドロップなど希望のものを選択し、⑦のボタンをダブルタップ。すると、指定したアクションが行われます。
実際に飛ばしてみます
実際に飛ばして動画を撮影しました。Jumping Sumoでは屋内と屋外の両方で撮影しましたが、今回は路面の影響などを考えなくても良いため、屋外でのみ撮影しています。
まずは静置状態からの離陸および左右移動など(背景の音が少々騒がしいですが、ご容赦ください)。
続いて、アクロバット。この日は少し風が強かったのですが、宙返りした後でもバランスを崩さずに見事に平衡状態に戻っています。
プロペラ音の大きさについては、家庭用ドライヤーの標準モードと同じ程度といったところでしょうか。
良かったところ
以上を踏まえて、まずRolling Spiderの良いと思った点について列挙してみたいと思います。
機体の安定性が素晴らしい
前掲の動画を見て頂いても分かる通り、Rollin Spiderの自律安定性は常軌を逸したレベルとさえ言えます。
通常、ラジコンのヘリコプターなどを飛ばすときには、機体のブレを打ち消して安定させるための「アオリ」操作を手動で入れる必要があるのですが、Rolling Spiderでは一切必要がありません。手放し状態でも、センサーからの情報を駆使して自律的にバランスをとってくれます。
この機体サイズでここまで機体を安定させるというのは、まさしくParrot社の技術の真骨頂といえるのではないでしょうか。
アクションが感動モノ
単純に安定させるだけではなく、宙返りやバックドロップのようなアクションは、他に類を見ないレベルに達しています。正直なところ、どんな制御を行えばこんなアクションを実現できるのか、全く想像ができません。
改善してほしい点
前述したような極めて高機能な機体だけに、「惜しい!!」と感じた点もいくつかありました。
連続使用時間が短すぎる
Jumping Sumoでは、この項目の一番下に書いていたバッテリー持ちについてですが、Rolling Spiderではあえて一番上に書きたいと思います。
機体の設計上、バッテリーライフが課題であることは重々承知なのですが、それでも通常状態で8分間、タイヤ装着状態で6分間というのはあまりにも短すぎます。基本的な操作に慣れるまでに、少なくとも90分の充電を4,5回行わなければいけないような印象が…。
裏を返せば、それだけ飛ばしていて楽しい機体であるということにもなるのですが、いずれにしてもここの部分は少しずつでも改善して欲しいと感じました。これは個人的な意見ですが、飛行時間が倍になるのなら価格が1.5倍くらいになっても構わない、と思ったくらいです。
室内で使いにくい…?
使い始めて操作に慣れるまでは、機体を壁や室内の設置物にガンガンぶつかります。そのたびに吹き飛んだプロペラを付け直して…とやっていると非常に面倒くさいので、付属品のタイヤセットを装着して飛ばすことが多かったのですが、この状態では前述のとおりただでさえ短い飛行時間がさらに短く(8分→6分)になってしまいます。
もう一点。「放り投げ起動」を使った場合、通常の離陸に比べて機体が一気に上昇する傾向があり、高さ2mちょっとの天井高さではガンガンぶつかります。機体自体は軽量かつ丈夫に作られているのですが、結構な高さからの落下を何度も繰り返していると、何かの拍子で導線がブツっと逝ってしまわないとも限りません。
ちなみに、スタンバイモードに入れた状態で手に持ったまま機体を上下させると、放り投げられたものと勘違いしてプロペラが高速回転→イテッ!ということになるため、注意が必要です。
カメラが…。。。
Jumping Sumoの映像ストリーミングが素晴らしかった分、Rolling Spiderで映像が表示されないと知った時は思わず拍子抜けしてしまいました。
映り具合を手元で確認できないカメラ機能というのは、お世辞にも便利な機能とは言えないでしょう。個人的にはむしろカメラ無くても十分に遊べるんじゃないかな?と思いますが、Youtubeを検索してみたところ、超軽量カメラを自前で搭載している方がいらっしゃいました。
こういった一工夫があると、遊び方にも幅が出来そうです。
まとめ
地上走行型に比べて飛行体のドローンは数多く製品が登場していますが、このサイズでこれほど安定した飛行が可能なものはなかなかないのでしょうか。
現時点では色々と課題点が目についてしまいましたが、今後の進化が楽しみな製品です。
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著者
企業の研究所でR&D業務に携わっておりましたが、2013年4月をもって退職し、当サイトの専属となりました。Techinityはソース明示のポイントを押さえた解説を、Cul-Onはちょっとした小ネタ紹介的な内容にしていければと思っております。
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軽いわりには風につよいのはいいね。
操作範囲20mらしいけど飛行中その範囲外にでると墜落するのかな。
ラジコンヘリなどはどうしてるのか知らないが何か対策されているのだろうか。
リンクが切れると高度下げてゆっくり着陸するのが一般的じゃないかな?
安物だと対策してないかもだけど