衆院選：「大統領級首相」安倍、次の標的は村山談話
2014/12/15 08:40 朝鮮日報／朝鮮日報日本語版

　複数の世論調査で日本国民の70％以上は14日に行われた衆院解散総選挙を「大義なき選挙」だと批判した。
安倍晋三首相が自身の経済政策「アベノミクス」を選挙の争点に位置づけたのに対し、「景気回復を実感している」と答えた国民は20％にとどまっている。
このため、自民党内部でも「議席数が30－40議席減少する選挙をなぜやるのか」といった批判が相次いだ。

　しかし、結果は正反対だった。投票率は過去最低を記録したが、自民・公明の連立与党は衆議院の議席の3分の2（317議席）を超える圧勝を収めた。
今回の選挙で日本の政界はけん制役の野党がない「自民党独走体制」が固まった。
また、安倍首相は今後4年の任期が保障され、党内でライバルがいないことから、「大統領的権限」を行使するとみられる。
伝統的に自民党は党内の派閥がけん制し合い、首相が権限を行使できずに、毎年のように交代を繰り返していた。

　安倍首相は今回の圧勝を足掛かりに自身が政界入りした目的、目的であると表明している「戦後レジームからの脱却」を本格化する見通しだ。
戦後レジームからの脱却とは、日本の敗戦で形成された憲法、教育、歴史認識を変えることを意味する。

　安倍首相は戦争を禁止した平和憲法の改正を政策の最優先課題に掲げる。
安倍首相は「憲法そのものが占領軍によってつくられた。改憲は自民党の原点だ」と繰り返してきた。
憲法改正の発議には衆参両院で3分の2の議席を確保する必要がある。
今回の衆院選で自民党と維新の党など改憲勢力は獲得議席が衆議院の3分の2を超えた。

　しかし、参議院ではまだ3分の2の議席を確保できておらず、憲法改正は実際には2016年7月の参院選以降になる見通しだ。
野党の没落で参院選でも自民党の圧勝が確実視されている。
安倍首相はこのほど選挙討論会で、「自民党は改憲のための国民運動を展開したい」と述べるなど、総選挙後に改憲のムードづくりに取り組む姿勢を示した。
しかし、若宮啓文・朝日新聞元主筆は「安倍首相が圧勝したというが、経済状況が悪化すれば、改憲推進どころか安倍首相が長期政権になるという保障もない」と述べた。

　安倍首相は総選挙以降、日本による侵略の歴史を否定する動きも本格化させるとみられる。
安倍首相は日本軍の慰安婦強制動員を認めて謝罪した河野談話を継承するとしながらも、今年6月の「河野談話検証報告書」で強制動員を事実上否定した。
教科書検定制度の見直しで、侵略の歴史の削除と愛国心教育の強化を推進している。

　安倍首相の次の標的は侵略戦争について謝罪した村山談話だ。
安倍首相は来年の終戦70周年を迎え、新たな談話を発表すると公言しており、形式はどうであれ、村山談話を批判することが確実視される。
安倍首相は終戦記念日の式典で歴代首相が行ってきた「侵略戦争について謝罪する」との発言もしていない。
「村山談話を継承し発展させる会」の藤田高景理事長は「安倍首相が国際的批判を意識し、村山談話を継承すると言ってきたが、来年には村山談話を無力化する談話を発表するのではないか」と予測した。

　このため、韓日国交正常化50周年に当たる来年、村山談話の見直しが韓日間で新たな争点になる可能性が高い。
木村幹・神戸大教授は「選挙で圧勝したため、安倍首相が慰安婦問題に関する韓国の要求を受け入れる可能性はほとんどない。来年の新談話発表が韓日間の新たな争点になる可能性がある」と話した。

　一方、若宮元朝日主筆は「安倍首相が選挙で圧勝した以上、保守勢力を意識する必要なく、歴史問題に余裕を持って対処する可能性もある。特に来年は韓日国交正常化50周年を迎えるため、韓国を刺激する談話や政策を避けることを期待する」と述べた。

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