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キョン「もやもや?」|エレファント速報:SSまとめブログ

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キョン「もやもや?」

1:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/04/30(水) 22:46:18.18 ID:tyqCiVeA0.net

「やぁ、キョン。偶然じゃないか」

 ある日の帰り道のことである。ハルヒと2人で帰宅していたら懐かしい顔に出会った。
顔を合わせるのは中学を卒業して以来なので、かれこれ1年振りくらいか。

 だというのに、佐々木は相も変わらず涼しい微笑みを浮かべている。俺と佐々木はいつもこんな感じだ。
年月なんか関係なく、会えば昨日も顔を合わせたかのような距離感。
近すぎず、かといってよそよそしいわけではない。俺と佐々木の絶妙な距離感がそこにあった。

「元気そうでなによりだ」

「それはお互い様だよ、キョン。それより、そちらの見目麗しい女性は紹介してもらえないのかな?」



2:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/04/30(水) 22:54:43.55 ID:tyqCiVeA0.net

 そう言われて隣のハルヒに目をやる。いつもは喧しいのに、何故か妙な表情で黙りこくっている。
普段からこれくらい大人しいとありがたいんだがね。それはさておき。

「ああ、クラスメイトの涼宮だ」

「そうかい。涼宮さん、キョンのことよろしくね」

 柔らかい表情の佐々木。そういえば同性相手にはそんな顔するんだったな。
別に俺といる時に仏頂面であるとかそういうわけではないのだが、どちらかと言うと悪戯っぽい表情をすることのほうが多い。
だからといってどうというわけでもないが。

「まぁ、積もる話もあるけど、時間がある時にゆっくり話そう」

「そうだな。夜買ったら今度家に遊びに来いよ。妹も喜ぶだろうしな」

「是非ともそうさせてもらうよ」



3:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/04/30(水) 22:59:27.72 ID:tyqCiVeA0.net

 じゃあ、またと佐々木と別れた。別れ際に例のごとく悪戯っぽい笑みを浮かべ、

「楽しそうで何よりだよ」

 くつくつと喉を鳴らしていた。一体全体なんのことやらさっぱりである。

「ねぇ、どういう関係なのよ」

 佐々木の姿が見えなくなってからようやくハルヒが口を開いた。

 俺と佐々木の関係ねぇ……。やはり、1番しっくりくる言葉としては『親友』でなかろうか。

「ふーん……」

 質問に答えたというのに、ハルヒの表情は一向に晴れない。晴れないどころか、ますます釈然としないものになっていく。
ハルヒのことなので、その心情は推し量ることは出来ないが、どうも納得しているようではなかった。



4:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:01:22.70 ID:tyqCiVeA0.net

「今からキョンの家に行くから!」

「はぁ?」

 ハルヒからの思わぬ宣言に驚いて立ち止まる。何がどうなってそうなった。

「さっき観たい番組があるからさっさと帰るとか言ってなかったか?」

「うるさいわね!行くったら行くの!録画してあるから問題ないわ」

 むきーっと言い放つハルヒ。ハルヒがいいなら別に構わないのだが。俺の家に来たところで面白いものなど何もないと思うのだがね。

「ほら、さっさと歩く!」

 時間は有限なんだからと、ハルヒはずんずん歩いていく。軽く嘆息してその背中を追いかけた。



5:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:03:36.60 ID:tyqCiVeA0.net

 さてさて、家までやってきたハルヒなのだが、あれだけ張り切っていたにも関わらず、俺の部屋でごろごろしている。
やはり、ハルヒの考えていることはさっぱりである。

「佐々木さんもキョンの部屋に来たことあるの?」

「ん?ああ、何度かな」

 中学受験の際に、俺に勉強を教えるために何度か訪れたはずだ。まぁ、俺が勉強をしている横で妹と遊んでいたり、
哲学地味た会話を繰り広げただけなのだが。

「……ずるい」

 何がだ?

「知らない」

 ハルヒは答えずに、枕に顔を埋めて足をばたばたしている。健康的な御身足が見え隠れしていささか扇情的である。

「スカート捲れるぞ」

 俺の忠告を無視して尚も足をばたつかせる。まったくなんだってんだ。



6:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:05:28.21 ID:tyqCiVeA0.net

「こっち来なさいよ」

 足を止めたハルヒが、枕から少し顔を上げてこちらをじとーっ睨みつける。

 そんな風に睨まれたところで躊躇してしまう。普段、寝起きしている我がベットとはいえ、
流石に「はいそうですか」というわけにはいかないのである。

「いいから!」

 更なる催促。これ以上機嫌をそこねると、どこぞのニヤケ面した超能力者が過労死する可能性が上昇してしまう。

「へいへい」

 腹を括る。いや、別にそんな大層なものではないとは思うのだがね。
せめてもの抵抗とベットの端にちょこんと腰掛けた。

「えい!」

 ハルヒに引き倒される。いやいや、ちょっと待て。



7:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:08:29.08 ID:tyqCiVeA0.net

「うるさい。黙ってて」

 非難の声をあげようとするも黙殺される。哀れな俺はハルヒの抱き枕と化すのであった。

 力一杯抱きしめられる。そんなに強くしなくても逃げ出しはしない……たぶん。

「なんかもやもやするのよ」

 ハルヒにもふもふと匂いを嗅がれる。気恥ずかしい気持ちでいっぱいだが、俺の鼻腔もハルヒの匂いで満たされていく。

「しばらくはこのまんまよ」

「さいですか」

 そんなわけで、ハルヒの心行くまで俺は抱き枕に徹するのであった。



8:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:10:37.92 ID:tyqCiVeA0.net

終わり



10:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:22:36.91 ID:tyqCiVeA0.net

キョン「夏の終わり?」

 夏休みも最終日を迎え、夏の終わりをしみじみと実感する。長かったようで短かった夏休み。
今年も夏期合宿を筆頭に、昨年と同様――いや、それ以上にハルヒには引っ張り回された。もうこれでもかというぐらい振り回された。
体も心もへとへとになってしまったわけだが、それなりに充実していたと訊かれれば頷ざかるを得ない。

 まぁ、そんな夏休みだったわけだが流石に最終日くらいは朝寝という惰眠を貪り、のんびりと過ごしたいと思っていた。
そう、過去形なのだ。そんな俺の休日をぶち壊しにしてくれるやつは数える程しかいない。むしろ特定の人物に決まっていたりする。
俺の特殊な事情を多少なりとも知っているなら直ぐにその特定の人物に思い当たるだろう。

そう、涼宮ハルヒである。



11:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:24:56.99 ID:tyqCiVeA0.net

「キョンくんあさだよ~」

 今日は起こさなくていいと言ってあったはずなのに、何故か普段と同じ時間に妹に叩き起こされた。
だがしかし。今日はなんといっても8月31日である。

 そんなことをされても俺は起きないという断固たる意志を見せるべく布団を頭から被り直した。
これで諦めて出ていってくれるだろう。

「ハルにゃん、キョンくんおきないよ?」

「やっぱり妹ちゃんじゃあ軽すぎるのね。ここはあたしが一発フライング・ニーを見せてあげるわ」

 行くわよ~という気合いの入った我が家に存在するはずのない声。おい、ちょっと待て。
そんなはずは無い。俺の灰色の脳細胞は――ん?なんかいろいろと違うような気がするがこの際は構わない。
そんな些細な疑問はアンドロメダ辺りに置いといて、だ。早急に確認すべき事象がある。

「おい、何でハルヒが――」



12:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:28:22.47 ID:tyqCiVeA0.net

 勢いよく起き上がったのがいけなかった。かばりと布団を跳ねのけて起き上がった矢先に俺の顔面に膝がめり込んだ。
プロレスラーだって失神するような見事としか言い様が無い一撃。

「あっ……!って、キョン!何やってんのよ!?」

 ハルヒのぎゃーぎゃーという文句とともに俺は望んでいた二度寝を失神という形で果たすことと相成った。

「遊びに行くわよ」

 不幸なことに、俺の二度寝は僅か数分で終わった。焦ったハルヒが俺の胸元を掴んで前後に激しく脳ミソをシェイクしてくれたおかげでな。
で、悪夢から目覚めて改めて向き合ったハルヒの第一声がこれである。謝罪の言葉なんてものは遥か彼方に置き忘れてしまったのか。
主語も目的語あったもんしゃない。いや、目的語はあるか。どうも頭が上手く回らない。

「謝罪を要求する」



13:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:31:15.04 ID:tyqCiVeA0.net

「嫌よ。何で団長のあたしが平団員に頭を下げなくちゃならないのよ」

「そうか。なら勝手に遊びにでも行ってくれ。俺は寝る」

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!団長命令よ?キョンに拒否権なんか無いんだからね!」

 知るか。謝罪もできんやつと遊びに行けるか。などといつになく強気な俺。ひとえに寝起きで頭が上手く回っていないおかげだろう。
まったくありがたくない。

「――……悪かったわよ。これでいいんでしょ?ほら、さっさと着替えなさい」

 まだまだ言いたいことはあったがこれぐらいにしておこう。
これ以上刺激するようなことになってはどこぞの爽やかスマイル0円の超能力者のバイトを増やすことになりかねない。

「それで、どこ行くんだ?」

 母親のにやにやした視線を黙殺しやってきたのは何時もの駅前。朝食もろくに摂ってないせか、若干腹が減っている。

「映画なんてどうかしら?」

「映画?そういや面白そうなのが幾つか公開してたよな」

 魚のアニメやデスメタル、はたまた本格科学冒険映画みたいなやつか。



15:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:34:02.47 ID:tyqCiVeA0.net

「で、どれを観るんだ?」

 正直なところ、あまり乗り気ではない。しかし、ボーリングなどのように体力を使わないという点に置いては賛成である。

「これよ」

 ハルヒが手に持ったパンフレットを鼻先に突き付けられる。いつの間に買ったんだ、それ?

「この子供の頃の与太話とかがやたらスケールが大きくて面白そうじゃない」

 確かにハルヒの好きそうな内容ではあるな。番宣程度の知識しかないけどな。

「ほら、チケット買うわよ」

 左手を掴まれズルズルと引きずられていく。無理矢理連れてこられたわけだが、
ハルヒが奢ってくれるわけもなく自腹を切ることとなった。
当たり前か。映画と言えばポップコーン。ポップコーンと言えば映画と言っても過言ではない組み合わせ。
映画館で食べるポップコーンは格別というか、自宅で映画を観ながらポップコーンを食べても味気ないものである。
小腹も空いていたので丁度いい。売店でポップコーンとコーラを購入した。



17:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2014/04/30(水) 23:37:20.62 ID:tyqCiVeA0.net

「何でお前は我が物顔で俺のポップコーンを食べてるんだ?」

「べふにひひじゃなひ」

 ハムスターのように頬を膨らませてもしゃもしゃと咀嚼するハルヒにため息しか出てこない。

 さて、映画館での座席といえば左右にひじ掛けがついていのだが、それの占有権を取れるかどうかで映画をじっくりと楽しめるかどうかが決定する。
時間が早いせいもあってか、幸いなことに館内はあまり混んでおらず、ゆったりと座ることが出来た。
俺の左隣にはハルヒ、右は空いている。ハルヒも対称ではあるが同様の状況下にある。
つまり、ハルヒと俺の間のひじ掛けをゲットできるかどうかで話は変わってくる。

「ちょっと、キョン。邪魔だから手どけなさいよ」

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    コメント一覧

      • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月17日 18:56
      • よかった
      • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月17日 19:22
      • 夜を買ったら家に遊びに来いとは…

        なんていかがわしい関係なんだ!!
      • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月17日 21:12
      • ハルヒssよ永遠なれ
      • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月17日 22:47
      • 終わり
      • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2014年12月17日 23:31
      • 終わり

    はじめに

    コメント、はてブなどなど
    ありがとうございます(`・ω・´)

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