これでいいのか日本！シンポジウム開く

　日本の戦争責任や歴史認識に向き合い、日中・日韓関係を考えるシンポジウムが12月17日、福岡市内で開かれた。
　村上正邦元自民党参院議員会長が代表を務める保守系議員グループ「躍進日本！春風の会」が主催したもので、「これでいいのか日本！」をテーマに全国縦断で開催している第５回。パネリストには、村山富市元首相、矢野絢也元公明党委員長、在日３世で人材育成コンサルタントの辛淑玉氏、元外交官の美根慶樹氏、伊藤信勝田川市長が出席した。
　村上氏は「今の自民党、これでいいのか。自民党にいた私が言うのだから間違いない。日本はどこにいくのかと毎日思いながら見ている」と挨拶した。会場には、自民党県議や首長も参加し、紹介された。

　村山氏は、「植民地支配と侵略」を謝罪した村山談話の作成経過にふれながら、従軍慰安婦問題で「安倍晋三首相が事実はなかったと掘り返すから、国際的に日本の人権問題が問われるようになった。強制があったのは明らかで、償うべきだ。集団的自衛権、特定秘密保護法、憲法改正など、安倍首相のやり方は、アジアで孤立する道につながる」と批判した。

　美根氏は、冷戦終結によって国際関係のあり方が国家と国家の関係だけではなく、個人の役割が重要になってきたとして、冷戦下で顧みる余裕がなかった人権や女性の権利を擁護する運動が進んできたときに日本がどう対応するかが問われるなかで、慰安婦問題も取り扱われたと指摘。「それなのに『他国もやったから何が悪い』というのは幼稚で小学生並みで愚かだ。国際社会から期待されていることとかみ合っていない。それでは『歴史を直視していない』と言われると考えるべきだ」と述べた。

　辛氏は、安倍首相の歴史修正主義を批判し、戦争責任について「多くの人が『日本人はいつまで謝らないといけないのか』と思っていると思います。国家を背負わないでほしい」と呼び掛けた。「あなたがやったのか。違うでしょう。あなたが謝ったら、加害者が逃げちゃう。私とあなたがやらなければいけないことは、簡単なことです。加害者を捕まえて被害者に誤らせる、被害者がしんどかったら助ける。それが過去のことであれ今のことであれ、今に続く悲劇なら、それをいかに私たちは助けていくのか、再発防止をするのか、国籍を超えて、あんたと私の責任じゃないか」と訴えた。「知性と言うのは、戦争を起こさない力だ」として、「（戦争への）崖っぷちにいる社会でどうやって私たちは手を取り合って生きていくのか」と問いかけた。

　矢野氏は、「歴史問題は小細工すべきではない」として、中国が覇権国家になってきているのに対し、米国が日本のために戦争してくれるのか疑っておくのが「国家としての見識だ」と指摘。「専守防衛能力を高めて、有事に備えるべきだが、けっして仕掛けるべきではない。安倍自民党に公明党は一定の歯止めをかけた。公明党の役割は大事だ」と述べた。

　伊藤氏は、世界記憶遺産となった山本作兵衛の炭鉱画や、炭鉱まち・田川が戦争で果たした役割にふれながら、「炭鉱でどれだけの命、血が流されたか。戦争する力をだれがつくったか。鉄と石炭があって戦争ができた」と問いかけ、「戦争は人類にとって何も生み出さず、すべてを破壊してしまう。平和の尊さを理解しておかないといけない」と、過去と向き合うことを呼び掛けた。

http://www.data-max.co.jp/politics_and_society/2014/12/26050/18_ymh_01/