真紅、また捕まる。
- § 桜田ジュンの部屋
- 翠星石「てぇへんだー! てぇへんだーですーっ!」バリーン
ジュン「うわぁッ!? …て翠星石か!? 外から部屋の窓をぶち割って飛び込むなと何度言わせるんだ、お前は!」
翠星石「チビ人間! そんなことを言ってる場合ではねぇのです! 窓はあとでカナチビにテープで直させるです!」
ジュン「あん?」
翠星石「とにかく、てーへんなのですぅ! そしてチビ人間は社会の底辺なのですー!」
ジュン「余計なことは言わずに、早く本題に入れ。そこの割れた窓から放り出すぞ」
翠星石「し、真紅が…」
ジュン「真紅が?」
翠星石「真紅が食い逃げで逮捕されて、ソッコーで牢屋にぶち込まれてしまったのですー!」
ジュン「何ぃ!? ついに、やりやがったかアイツ!?」
翠星石「ともかく、真紅を助けるために代金をもって牢屋に行ってやってくれです」
- § 留置場
- ジュン「…真紅、迎えにきてやったぞ」
囚真紅「ふ、迷惑をかけてしまったようねジュン」
ジュン「全くだよ馬鹿野郎。迷惑も警察沙汰も今に始まったことじゃないが、ついに捕まるとはな」
囚真紅「アリスともあろう者が情けないわね本当に」
ジュン「珍しく反省しているようだな」
囚真紅「あの程度の追手も振り切れなかっただなんて」
ジュン「反省するポイントはそこじゃないだろうが…。食・い・逃・げ!」
囚真紅「食い逃げですって? 人聞きの悪い。私は何も食べてないわ!」
翠星石「カフェで紅茶を好きなだけ飲んで、金も払わずに店を出たじゃねーですか」
囚真紅「そうよ。だから百歩譲っても飲み逃げよ。食い逃げではない」
ジュン「しょうもない屁理屈を…。つまり無銭飲食って事だろ。どうしてそんな馬鹿な真似」
囚真紅「だって日本は水と安全はタダの国でしょ!」
ジュン「お前が飲んだのは紅茶」
囚真紅「私にとって紅茶は水にも等しいわ。だったらタダだわ」
ジュン「ちげーよ!」
囚真紅「…根本に目を向けなさいジュン。答えは簡単よ。アウレリウスの哲学書にも物事の本質を探れと書いてある」
ジュン「この期に及んでレクター博士ごっこするな。もうしばらく牢屋で猛省してた方が真紅には良さそうだな」
翠星石(チビ人間…、警察の人にはさっさと真紅を引き取って帰れって言われたですよ?)ヒソヒソ
ジュン(脅しだよ。真紅にマジで少しは反省をさせておかないと…)ヒソヒソ
囚真紅「まあ、あなた達が何もしてくれないのであれば、自分で出るしかないけどね」
ジュン「はぁ?」
囚真紅「私のローズテイルフィンガーであれば、この程度の鉄柵を溶断するのはワケないわ」ゴゴゴゴ
ジュン「ああもうっ! 無茶苦茶ばかりしやがって! いい加減にしないとローゼンさんに言いつけるぞ!?」
囚真紅「ッッ!? おおお、お父様にだけは言わないで頂戴~っ!」ガクブル
ジュン「まったくもう…やれやれだよ、本当に」
翠星石「お父様を引き合いに出せば、まだ幾分か真紅は素直になるですね…」
ジュン「ほら、出てこい。帰るぞ真紅…」
囚真紅「あわわわわ、お父様には…お父様にだけは~…」ガクブル
ジュン「はいはい。素直にしてれば言わないって」
翠星石「そんなにお父様にチクられるのが嫌なら、普段からまともにしてろですぅ」
- § §桜田家への帰り道
- 真紅「ふ~っ。娑婆の空気は最高ね。これだけでご飯三杯は軽いわ」
翠星石「さっきまでガクブルだったくせに、あっちゅーまに復活したですね」
真紅「今のように居丈高になるのは全てが終わったからよ。過程においては徹頭徹尾
頭を垂れ、服従を装った方が利口。こんなことは世渡りの基本も基本、大原則だわ」
ジュン「お前が服従の態度を示したのはお父様の名を出されてからだろうが…」
翠星石「あるぇ? チビ人間、あっちの空き地の方が騒がしいみたいですよ?」
ジュン「うん? 空き地が? 何かイベントでもやってるのか?」
真紅「まさか、ばらっしー(※)が懲りずに人気取りのショーでもやって…!?」
※ばらっしーとは薔薇水晶が着ぐるみを被ったローゼン非公認のEnjuDoll宣伝キャラ
翠星石「なんですとー!? それは許されん大罪ですぅ!」
真紅「もしそうだったら、ボコボコにしてばらっしーを病院に送ってやるわ」
ジュン「そんな事したら真紅はまた牢屋に送られるぞ」
真紅「送られてもいい! アリスゲームも何かフワフワした感じで終わらせてしまった私だけれど
これだけは…、ばらっしーの始末だけは絶対にキッチリつける! この私の命を懸けてでも!」ダダッ
翠星石「うっひょーっ! 真紅かっこよすぎでーす! 翠星石も及ばずながら助力するですー!」ダダダッ
ジュン「あっ、こら! 二人とも…!」
- § 空き地
- 子供A「ヒナアリス様! 今日の集会はこれで全員集合です!」
雛苺「うぃ! 整列ご苦労なの!」
子供B「そしてこちらが新たに僕達のヒナアリス団に入団したいという希望者です」
子供C「よろしくお願いします」
子供D「おなしゃす!」
雛苺「うぃ! 苦しゅうないの。近う寄れなのよ」
子供C「は、はい…」
雛苺「入団するためにはどうすればいいか、ちゃんと知ってて来たのよね? 二人とも?」
子供D「モチロンです。どうぞこれを! 僕達の入団の意志の証、苺大福です。ヒナアリス様」
雛苺「にょほほほ! 二人ともワキガエーテルの。二人の入団を認めるの~!」
子供D「うわぁ~い、やったー!」
子供C(ワキガエーテルって何だ…?)
子供B(多分、わきまえてるって言いたかったんだと思う)
雛苺「それでは早速、今日もうにゅー神拳の伝授を始めるの! 用意はいいのよね? 皆?」
子供E「はいっ! ヒナアリス様!」
雛苺「うぃ! ではまず、うにゅー神拳の型の一! 苺の構え!」ビシッ
子供達『苺の構えっ!』ビシッ
雛苺「型の二! 大福の構え!」ビシッ
子供達『大福の構え!』ビシッ
雛苺「型の三! あんこの構え!」ビシッ
子供達『あんこの構え!』ビシッ
雛苺「型の五! 荒ぶる鷹の構え!」ビシッ
子供達『荒ぶる鷹の構え!』ビシッ
子供C(あれ…型の四が飛んだぞ…?)
子供D(えっ? そうだっけ)ザワザワ
子供A(ざわつくな! ヒナアリス様にはよくあることだ!)
子供F(俺たちは試されてるんだよ!)
雛苺「型のろ…」チラリ
真紅&翠星石「……」じー
雛苺「くるきゃーっ!?」ビッターン
子供G「ヒナアリス様!? ヒナアリス様?」
子供H「いったい、どうされたんです? ヒナアリス様!?」
子供C「えっ…? 今度は何だ?」
子供A「分からん。急にぶっ倒れるなんて初めてだ…」
子供G「大丈夫ですかヒナアリス様」
雛苺「だ、大丈夫なの、ちょっとめまいがしただけなのよね」ヨロヨロ
真紅&翠星石「……」にやにや
雛苺(あ、あの二人がっ!? どうしてヒナの最もプライベートな時間と空間に…ッ!?)
真紅&翠星石「……」にやにや
雛苺(しかも、空き地の入り口から遠巻きに見てニヤニヤしてるだけなの…)
子供B「ん? 何だお前ら? そんなところで突っ立って? お前達もヒナアリス様の部下になりたくて来たのか?」
真紅「え…?」
翠星石「えーと、いや、翠星石達は…」
真紅「そう! 私達も雛苺…じゃなかったヒナアリス様の部下に是非なりたくて来たのよ!」
翠星石「真紅…っ!?」
真紅(いいじゃないの翠星石。潜入捜査ってやつだわ)
翠星石(ナルホド。そういうことですか、そりゃ面白そうですぅ。きしし…)
子供B「ヒナアリス様! 新たな入団希望者です!」
雛苺「ッ!? な、何の冗談なのよ二人とも…?」
翠星石「冗談も何も見てのとおりですぅ、ヒナアリス様」
真紅「どうか私達にも、うにゅー神拳の極意を教えてほしいものだわ」
雛苺「あにゃにゃにゃにゃ…」
子供D「おぉーん!? お前ら新入りのくせに態度でけーな。大体、ヒナアリス様の部下になるには貢物が必要なんだぞ?」
翠星石「貢物ぉ?」
真紅「何よ、それ?」
子供D「貢物は貢物だよ。苺大福でも何でも…」
雛苺「や、やめるのよ! 新入団員! うにゅーナックル!」バコッ
子供D「ぐはーっ!? ヒ、ヒナアリス様!? な、なぜ僕を攻撃…?」ズザーッ
雛苺「そ、その二人は、その二人はねぇ! 入団希望者なんかじゃあないの!」
子供A「ええっ!?」
真紅「あら? 私達の事をばらすつもり?」
雛苺「その二人はねえ、デーモン真紅さんとデビル翠星石さんなのー!」
子供H「な、なにぃーーー!?」
子供F「このお二人が!?」
子供E「ホッキョクグマを上回る超暴力のデーモン真紅さんと!」
子供G「水溜まりを渡る時にはわざわざ人をそこに寝かせて、その上をムーンウォークで行くというデビル翠星石さん!」
真紅「……」
翠星石「……」
雛苺「そうなのよ! このお二人は今日のヒナアリス達みんなのサツマイモに来てくれたの!」
子供H(サツマイモ…?)
子供B(多分、査察って言いたかったんだと思う)
子供A(お前すごいな!)
真紅「…雛苺」
雛苺「な、何なのよ? デビル真紅さん? ヒナは雛苺じゃなくてヒナアリス…」
翠星石「黙れですぅ、このチビチビが! 大人しく翠星石達の前で無様な姿をさらしていればいいものを」
真紅「私達にまで何か変なキャラ付けをしてくれちゃって。そんなのには流石に付き合えないわ!」
雛苺「あ、あやややややや…」ガクブル
子供G「ヒナアリス様が怯えている!?」
子供A「どういうことなんだ一体?」
子供E「問題だぞ! これは問題だぞォーっ!」
翠星石「ええい! クソガキどもよく聞けーいです!」
真紅「あなた達はヒナアリス、いいえ! 雛苺に騙されていたのよ!」
子供D「なん…だと!?」
翠星石「こいつはただのローゼンメイデン第6ドールですよ! クソの役にも立たん乙女ですぅ!」
子供F「俺達…騙されていたのか?」
雛苺「やめてぇー! ヒナのサンクチュアリを壊さないでなのー! 真紅ぅ~、翠星石ぃ~!」
真紅「たまに一人だけで外へ出かけているから、おかしいとは思っていたけど! こんなくだらない真似を…」
雛苺「くだらなくなんかないの! ヒナのうにゅー神拳の後継者を」
翠星石「なぁーにが、うにゅー神拳ですか…」
真紅「馬鹿も休み休みなさい」
雛苺「うにゅにゅー、違うの~! 馬鹿な真似なんかじゃないのー!」
真紅「何よ? やる気?」
翠星石「チビ苺のくせに生意気ですぅ。しかし、ここでボコボコにすれば、クソガキ共もサッパリと目を覚ますです!」
雛苺「負けないのよ! ヒナのうにゅー神拳は無敵なんだから…!」
ジュン「コラァーッ! 何やってるんだお前ら!」タタタッ
真紅「ジュ、ジュン!?」
翠星石「チビ人間、今さら登場して何を!?
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- :-:2014/12/21(日) 22:51:34
- タイトルとは裏腹に平和すぎるなw
これは初期ばらしーやアストラルきらきーなんかの敵が必要
- :-:2014/12/21(日) 23:01:31
- Bはマスターになる素質があるな
三馬鹿の内一体くらい持っていって良いぞ
- :-:2014/12/21(日) 23:06:56
- 囚真紅wwww
しっかしいい加減反省しろってことだな。タイトルがまた捕まるの時点で乙女じゃない
ヒナアリスの集会は稲中だっけ?
- :-:2014/12/21(日) 23:16:10
- わぁい ひさしぶりにお縄だー
それでいて左手右手の頃の絆も感じさせ……… …
- :-:2014/12/21(日) 23:43:58
- 最近まともだと思ってたらやっぱそのままでは終わってくれない三馬鹿www
でもうにゅー真拳はマジで有用だったと思うんだが
- :-:2014/12/22(月) 00:03:21
- ヒナはもうB君に任せたらええんちゃう?