未知との遭遇。邪鬼の吉昭…いや、クソ昭と、邪鬼のユリ…いや、ユリパイがついに出会っちまった…サンマ型の邪鬼のときは、クソ昭くれェクソなクソッタレ邪鬼使いが操っていたからな、クソがサンマを操るとか考えただけでも気持ちわりぃわバカタレ。

しかし今は邪鬼使いはいない。あいつはユキが一撃で仕留めてくれたからな！ガハハハ！…だから、瀕死のクソ昭に近づいたユリパイがすることいったら、もう一つしかねェ。そうだ、共食いだ。ユリチチ、クソ昭を喰らうつもりだ。……うげぇぇぇぇぇ！想像しただけで気持ちわりぃ！でも、今から共食いが始まるんだ。

ユリパイがクソ昭の頭を持った。これは間違いない、明さんが切り裂いた頭蓋骨から見えるおミソを食べる気だ。カニの硬い甲羅で守られた中身はとってもおいしい…つまりクソ昭の硬い頭蓋骨の中にもおいしいおミソが…うげぇぇぇぇぇ！そんなん普通の人間からしたら気持ちわりぃわバカタレ！クソ喰うチチってか！こっちもさすがにやべェぞ気持ち悪くて！

明さん、もうさっさと逃げましょうよ。邪鬼の共食いしているスキにさっさと逃げましょうよ。大丈夫、食べ物に集中している間は攻撃してきませんって。さあさっさと逃げ…

な、何してるんだユリチチ…クソ昭の口…いやくそでけェ歯にキスしたように見えたが…そ、そうか、まずは頬肉を食べるってことか！頬肉ってやわらかいだろうから、邪鬼の好物かもしれん…え？クソ昭をナメまわしてる…？もしかしてユリチチって、血の味が好きなのか？…そうか、そもそも吸血鬼なんだから、血が好きなのは当たり前だったか！

まずは顔中から流れる血を楽しみ、ディナーのおミソを喰らう。気持ちわりぃけど、もしかしたら本能的に淑女の嗜みをしているのかもしれない。健太の妹さんは、すごくいい子だったのかもしれないな…。でも、どうせこれからクソ昭を喰うんだろ！結局邪鬼は邪鬼なんだ！明さん早く脱出しましょう！邪鬼は彼岸島からちょっと離れた小島に湧き出す白い水を飲まないと生きていけないんですから、ほっといたらすぐ死にますって！早く脱出して別のJOSCOかア○タ、ヨーク○ニマル、ホー○ックあたりに行きましょう！…

え？何この作画ミス…じゃない！これはまさか…

え…エ゛エ゛エ゛エ゛エ゛！？ちょっと待って…共食いするかと思ったら、まさか別のことするなんて…う、うげェェェェェェ気持ちわる…え、何この気持ち、えっ、ウソ、どういうことだ、目の前にいた邪鬼たちが…クソ昭が吉昭に、ユリチチがユリに見えてきた…

いや、冷静になるんだ自分！今目の前にいるのは邪鬼だ！邪鬼が何かしらねェけどドォンドォンしてるだけだ！鳴いてるだけだ！…ちくしょう、邪鬼のくせに…邪鬼のくせに…

…ごめん、もしかしたら自分は最低最悪のことを言うかもしれない。人類のピンチだというのに、こんなことを言う自分は殺されても仕方ないのかもしれない。でも素直に…正直に感じたことをハッキリ言う。邪鬼2匹…いや、吉昭とユリの2人を見て、自分は生命の力強さというものを感じた。生命とはこうあるべきだと感じた。

すまねェ！自分は人間の味方だ！というか人間だ！だからこんなことは思いたくねェ！邪鬼になっちまった者はすぐに始末しなきゃいけねェことは分かっている。被害が拡大する前に仕留めなきゃならねェことは分かっている。だけど…だけど感じちまったんだ！2人の生きようとする姿を見て、心打たれちまったんだ！

吉昭はもう助からねェ。おミソが出ちまってるからな。そのブヨブヨしたおミソにマチ針でも刺したら、水風船のようになっちまうかもしれねェ。そんな吉昭が、命がけで子孫を残そうとしているんだ！…え？ただ吉昭の欲が強いだけ？んなわけあるかバカタレ！吉昭は今、自分の命をかけて生きた証を残そうとしているんだ！ユリを相手に懸命になる吉昭の姿は、忘れかけていたことを感じさせてくれた。本来生き物のあるべき姿を見せてくれた。これが生命、これ以上の純粋な愛は存在しない！

…明さん、自分は明さんにどこまででも着いていくと決めた。たとえ隊長を殺してしまっても、そのことについて納得しようと努力もした。だけど明さん…許してくれねェか？2人は白い水を飲まないと生きていけない。このままほっといたら死んでしまうんだ。ならせめて、生きようとがんばる2人をそっとしておいてもいいと思う。だから明さん…健太と同じく頭を下げる、ユリは見逃してやってくれないか！

…明さん…ありがとう。見逃してくれて、ありがと…って捕らえられてた人間！騒ぐなバカ！二人ががんばっているときに騒いだら、こっちに気づいてこっちに攻撃してくるだろうが！…ちくしょう、ユリがこっちに気づいちまった。もう、戦うしかないのか…

ちくしょう、ついに「彼岸島48日後…」第1巻が発売されちまう…あの名シーン、そして驚愕のあのシーンがついに単行本になっちまうぜちくしょう！

彼岸島 最後の47日間(16)<完> (ヤンマガKCスペシャル) 松本 光司 講談社 2014-09-05

彼岸島(1) (ヤングマガジンコミックス) 彼岸島(1) Kindle版 松本 光司 講談社