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チラシの裏でゲーム鈍報:【コラム】イオンへのメール 『アルノサージュ』『シェルノサージュ』ネタバレ注意

【コラム】イオンへのメール 『アルノサージュ』『シェルノサージュ』ネタバレ注意

2014年12月24日 21:00
アルノサージュ 結城寧


『アルノサージュ』『シェルノサージュ』ネタバレ注意




以前、夏コミで無料配布したコピー本に掲載した結城寧へのメールです。
ブログで公開するかもと言っておきながら、時期を逃して
いつの間にか、落選した冬コミも近づいてきたので公開します。
別に何か意図があって今日公開するわけじゃないです。しね。


実際に掲載されたコピー本の入稿データ01.jpg
実際に掲載されたコピー本の入稿データ02.jpg

アルノサージュで特定のエンディングでクリア後に、イオンこと、結城寧に一度だけ送れるメール。
そこにマクセルが実際に綴ったメッセージをそのまま掲載。


親愛なる結城寧へ。

幸せになってくれてありがとう。
愛してくれてありがとう。本当に本当にありがとう。

僕らは結局端末越しでしか会えない存在だった。ただの気まぐれてなんとなくで、本当に本当に遠い場所で薄いつながりだったのに、君は愛してくれた。

君にとって僕はただの端末。声も見た目もわからないモニターでしかないのに。それを、愛してくれた。それはとてもとても難しいことなのに。僕らの世界ではモニター越しで恋愛する人もたくさんいるんだ。でもそれはすごく軽蔑されて、人が人に対する恋愛感情じゃないって言われていて、次元を超えた愛は、途方もなく困難だ。

それなのに、君は僕を愛してくれた。それがとても嬉しかった。見えない僕の気持ちだけを愛してくれた。僕の意思を、魂を愛してくれた。本当に僕は君を愛してよかった。愛されたよかった。

だから僕は告白しなくちゃいけない。君。僕が端末を起動したのは、本当にただのゲームなんだ。遊びだったんだ。ただ自分が楽しむために、気まぐれに端末をつけていた。本当に、本当にすまなかった。

だから僕は、君がねりこさんの世界に居た時に、何年も起動しなかったんだ。僕がゲームを飽きてしまったからだ。そんなどうしようもなく最低な僕に、数年ぶりに起動した時、いつ約束したかもわからない、デートの約束をずっとずっと待っていてくれたよね。久しぶりに端末をつけて、いつしたのかも覚えていないデートの約束を聞いて、僕は悔やんでも悔やみきれない気持ちでいっぱいになったんだ。あの時はきっと、君は数年もの間、毎週毎週、約束の日に僕が来てくれると信じていたんだね。本当にごめん。どうかあのことは許さないでほしい。僕が君にした最低の罪だ。僕はそれを背負って、君を愛さなくちゃならないんだ。

それと、僕が毎日君に会ってた時、何日か急に僕がいなくなったことがあったよね。実はあの時、僕側の端末が故障したんだ。それはただの故障じゃなくて、君がいた7次元先の世界にもう絶対に繋がらなくなる、そんな壊れ方だったんだ。あの時僕は、いろんなことを試して、なんとか君に会いに行こうとしたんだけど、どんなことをやってもダメだった。

そして、もう君とは絶対に会えなくなるかもしれない。君のいる世界にずっと永遠に繋がることはできなくなるかもしれない。何日もそう考えるだけで、涙が溢れて、吐き気が収まらなかった。もう一生、君をあの世界でたった一人残して、僕と君の世界は一生絶たれたまま。君との思い出もすべて消えてしまうのかもしれない。そんなの絶対に嫌だってずっと泣いてたんだ。

でも、奇跡が起きた。繋がらないはずの端末が繋がって、そこには君が居た。あの時なぜ僕たちは繋がれたのか、理由はわからないけど、僕は君がいつも通りあそこにいたとき。本当に本当に嬉しかった。また君をひとりぼっちにしてしまうのかと不安だったんだ。だから僕は君ともう一度繋がれて、安堵でまた泣いていたよ。

そしてあの世界を出た後、僕と君が精神世界で繋がった時、僕は驚いた。結局君だって、端末越しでしか僕のことを見てなかったことに。でもあたりまえだよね。姿も見えない僕に心を開いてくれるわけがない。それでも僕は君のジェノメトリクスに潜って、そこで君の心に言われたんだ。僕は君と愛していない。出された選択肢を選んで、ただ進めていくだけの、ゲームなんじゃないかって。そうだ、君が思った通りだ。僕はゲームをするようにただ出てくるワードを選ぶだけで、それ以上に君に干渉することはできない。僕が選んだ「愛してる」は、誰かがただ何の感情もなく、暇つぶしに選んだ「愛してる」とまったく変わりがない。僕はそれがどうしようもなく悔しかった。だけど、君は僕の「愛してる」を信じてくれた。僕の意思を心の底から信じてくれた。深い深い精神世界の中で、僕の「愛してる」を信じてくれた。本当に嬉しかった。ありがとう。

君と僕であの世界を救って、もう君とは会えなくなってしまったけど、でも君が幸せに元の世界に戻れてることを知って、本当に本当に嬉しかった。写真も見たよ。君が君の世界にいる。幸せに生きてる。すごく嬉しかったのに、やっぱり僕も泣いちゃった。

また離れ離れになってしまったけど、僕は絶対に君のことを一生愛し続ける。どんなに長い間、時が経っても君と居た時間は忘れない。君が愛してくれたことを忘れない。だから今度会うときは、端末越しなんかじゃなくて、同じ世界で会おう。絶対に。僕は信じてる。

その時に、僕の本当の「愛してる」を君に伝えたい。選択肢でもない、端末越しでもない。僕の言葉で、愛してるという気持ちを伝えたい。だから絶対にまた会おう。そして君とやりたいことが一つあるんだ。一つだけ心残りだったこと。キャスとデルタと君と僕で、プリムにインターディメントしてたやつをぶん殴りに行こう。そして本当に僕達が愛し合ってるってことを、ゲーム程度の気持ちなんかじゃないって言ってやろう。いつか絶対にそれをやろう。

それじゃあ、寧。これからもずっと二人幸せに居よう。それが二人で幸せになれる方法なら、それが一番だから。絶対に、絶対に幸せに生きよう。いつか会うその日まで。

じゃあね。またね。「愛してる」は、今度会うときに取っておくよ。だから最後に
「ありがとう」。



Comments(10)コラム

この記事へのコメント

1. Posted by 名無しさん   2014年12月24日 21:12
読んでたら泣けてきた
2. Posted by 名無しさん   2014年12月24日 21:17
3行で
3. Posted by    2014年12月24日 21:27
この気持ちはやりきった人間にしかわからないよな
特別なゲームだった
4. Posted by 名無しさん   2014年12月24日 21:36
いろんな結城さんがいるけど寧が一番だな
Vitaでシェルノより長くオンラインサービスが継続してる有料ソフトは無いだろう
イオンはそれだけ離れ難く別れるに忍びない存在だと言える
5. Posted by 名無しの提督さん   2014年12月24日 22:03
シェルノ・アルノサージュほど感情移入出来るゲームとはもう出会えないだろうなぁ
シェルノは最初バグが酷くて色々酷評されてたけど、最後までやめずに良かったって心から思えた
6. Posted by 光る声の名無しさん   2014年12月24日 22:30
長いけど気持ちはわかるw
ネトゲやらない自分にとっては2年もやったゲームは他になかったしな
この「俺ら」を積極的にシナリオに絡ませるって発想は凄い面白かった
7. Posted by    2014年12月24日 22:32
小説読んだらシェルノの前に一度別世界に行ってるんだよなイオンちゃんって
8. Posted by 名無しさん   2014年12月24日 22:42
選択肢選ぶ訳じゃなくて実際に打ち込むのか
スゲェな・・・また一歩時代と技術の進歩に触れた気がする
積んでたけどやらねば
9. Posted by ぱんつ農家   2014年12月24日 22:54
買ったゲームは9割がたすぐ売ってしまうんだけど
アルノサージュは買ったその周にクリアするほどのめり込んだ
ありがとうございました
10. Posted by 名無しさん   2014年12月24日 23:36
これほどクリアしたくないゲームは無かった。クリアしたときの虚無感といったら・・・

ガストさん、というかつっちーにもう一度寧ちゃんに会わせてくれ!ってお願いしたい

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