過去の良作・時事ネタの再投稿です。
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1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 17:33:02.27 ID:ixgB84pW0
男 「あー……そうだな」

幽霊「ちなみに私の命日は12月25日です。これ豆な」

男 「別にどうでも良い……」

幽霊「人生二度目の誕生日みたいなものです」

男 「誕生日と全く真逆だと思うがな」

幽霊「結局あなたは今年も死人とクリスマスを祝うことになるわけですが」

男 「まだ決まってない……まだ一カ月近くある……」

幽霊「ま、完璧に独りで過ごすよりマシだと思いますよ。ファイト」

男 「いい加減成仏しろよテメェ」


元スレ
幽霊「クリスマスが近いですね」
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1259569982/


2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 17:41:15.40 ID:ixgB84pW0
幽霊「クリスマスかぁ。死人のところにもサンタさん来てくれますかね」

男 「サンタなんて存在しねーよ。生きた奴のところにも死んだ奴のところにも来ねぇよ」

幽霊「平等ですね」

男 「……平等か?」

幽霊「でも、幽霊が居るくらいですしサンタも居るんじゃないですか?」

男 「居たら“生きてる”可愛い彼女頼むんだがなぁ」

幽霊「二股ですか。その子のこと、即刻呪い殺しますよ?」

男 「いつテメェと付き合っていると言った」

幽霊「あら」


3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 17:45:00.73 ID:ixgB84pW0
男 「お前ってさ、俗に言う自縛霊なのか?」

幽霊「自爆? しませんよ」

男 「自爆じゃねーよ、自縛だ」

幽霊「ちょっとしたゴースト・ジョークなのに」

男 「で、どうなんだ。俺がこの部屋に来た時からずっと居るだろ?」

幽霊「自分ン家に居ちゃ悪いですか?」

男 「俺の家だ。たまには外に出ろよ馬鹿野郎」

幽霊「引きこもり最高ー。イエ―イ!」

男 「イエ―イじゃねーよ」

幽霊「遺影っ!」

男 「……」


5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 17:49:44.17 ID:ixgB84pW0
幽霊「クリスマスツリーが欲しいです」

男 「俺はいらねぇ」

幽霊「じゃあせめてドアにクリスマスリース飾りましょ?」

男 「それもいらねぇ」

幽霊「じゃあ、クリスマスの日にケーキ供えて下さいよ」

男 「俺は今までクリスマスとは無縁の人生を歩んできたんだ。
   今更クリスマスごときではしゃぐような愚行はしねぇよ」

幽霊「……彼女欲しがってるくせに」

男 「うるせぇ塩ぶつけんぞ」バラバラッ

幽霊「やめて」


6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 17:53:56.79 ID:ixgB84pW0
幽霊「……せっかくだし、クリスマスイヴの時は外に遊びに行ってみましょうかね」

男 「イヴ(笑)」

幽霊「何か文句でも?」

男 「別にぃ」

幽霊「呪いますよ?」

男 「やれるもんならやってみな」

幽霊「まぁやれないんですけどね」

男 「じゃあ言うなよ」

幽霊「てへっ」

男 「可愛くねーぞ」


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 17:56:01.02 ID:ixgB84pW0
幽霊「ケーキとか、フライドチキンとか、シャンパンとかワインとかでお祝いしたいんですけどねぇ」

男 「お前死んでるから無理だろ。食えねぇだろ」

幽霊「気合い入れれば物も食べられましたよ」

男 「……まさか、この前奮発して買った辛子明太子の行方は」

幽霊「試してみたら案外すんなり食べられました」

男 「返せコノヤロウ」

幽霊「幽霊でもさすがにそれは無理です」

男 「幽霊のくせに物食ってんじゃねーよ」


8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 17:56:49.28 ID:P7j61DYT0

中止じゃ・・・


10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 18:00:09.38 ID:ixgB84pW0
幽霊「気晴らしにホラー映画でも見ましょう。この前借りてきたあれ」

男 「はいはい……」

幽霊「オープニングから怖いですね」

男 「怖いって言ってる割には平然とした顔してるじゃねぇか」

幽霊「そんなことありません。ほら、顔色真っ青でしょう?」

男 「それは元からだろう」

幽霊「そういえばそうでした」


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 18:03:57.13 ID:ixgB84pW0
幽霊「主人公ー、後ろ後ろー。……あー、だから言ったのに」

男 「画面に向かって話すのやめてくれない?」

幽霊「嫌ですか?」

男 「静かに見ろ」

幽霊「声に出してるとこう……臨場感がありませんか?」

男 「ねーよ」

TV 「うぅ……呪ってやる……呪ってやるうううううううおあああああああああああああ!!」

男 「うをっ」ビクッ

幽霊「あなただって声出してるじゃないですか」

男 「こ、これは……不可抗力だ」


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 18:06:53.09 ID:ixgB84pW0
幽霊「もしかして怖いんですかー?」

男 「怖くねーよ」

幽霊「初めて私見た時も悲鳴上げてましたもんねぇ?」

男 「あれはお前が髪振り乱して天井にしがみついてたから……」

幽霊「つまり、まんまと怖がってくれたわけですね」

男 「お前性格悪いぞ。普通の人間は、もっとこう第一印象を良くしようと努力すべきだと俺は……」

幽霊「だって私死人ですもん」

男 「うぜぇ」


15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 18:12:53.02 ID:ixgB84pW0
幽霊「あー、面白かった」

男 「そうか?」

幽霊「映画の幽霊は私に死人の生きざまというものを見せてくれました」

男 「死にざまだろ」

幽霊「そう言われればそうですね」

男 「まだ生きてる気分でいるのか?」

幽霊「うーん……男くんと一緒に居るとたまに自分が死んでいることを忘れます」

男 「重要なことだろ、忘れるなよ」

幽霊「……。……はい」


17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 18:16:42.88 ID:ixgB84pW0
幽霊「ねぇ」

男 「何だ?」

幽霊「私の頭についてるこの白い三角の布ってなんでしょう?」

男 「……お前、自分のことのくせに分からねぇのか?」

幽霊「棺に入れられる時に勝手につけられただけですし……」

男 「うーん……白三角?」

幽霊「今、テキトーに名前つけたでしょう?」

男 「あぁ、テキトーだ」


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 18:21:47.06 ID:ixgB84pW0
幽霊「ググって下さいよ。何だか気になるし」

男 「あー……『白い三角の布』っと。これか?」カチッ

幽霊「『天冠』……」

男 「ちょっと格好良い名前じゃねーか」

幽霊「喰らえっ! 天冠ビーム!」ベシッ

男 「投げつけんなアホ」

幽霊「こうかは ばつぐんだ! おとこは たおれた!」

男 「少し黙れ」


20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 18:26:02.05 ID:ixgB84pW0

 ピンポーン

友 「遊びに来た」

男 「幽霊に会いに来ただけだろ」

友 「ま、男は正直ついでなわけだが」

幽霊「いらっしゃい、友さん」

友 「いいなぁ。俺の部屋にも女の子の幽霊来ねーかな……」

男 「譲る」グイッ

幽霊「薄情な。金縛りますよ?」

男 「うるせー。明太子返せ」

幽霊「まだ根に持ってんですか。小さい男ですね」

友 「仲いいなぁ……」


22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 18:37:24.46 ID:ixgB84pW0
友 「幽霊ちゃん可愛いなぁ」

男 「そうか?」

友 「肌も白いし」

男 「白いというか青白いな。完全に死人の顔色だ」

友 「髪も長くてサラサラだし」

男 「天井に張り付いた時に上からバサバサしてくるから迷惑なんだが」

友 「うちにも幽霊来ないかなぁ」

男 「こいつ勝手に冷蔵庫開けて明太子食うんだぞ。ゴキブリよりたち悪いぞ」

友 「うちに来たら明太子毎日食べさせてあげるのになぁ」

幽霊「……ちょっと心が揺らぎました」

男 「食べ物に釣られるとか……お前本当に幽霊か?」


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 18:40:24.60 ID:ixgB84pW0
友 「そっかー、クリスマス祝いたいんだね」

幽霊「ちょうど命日ですし」

友 「……そういえば幽霊ちゃんって何で死んじゃったの?」

幽霊「……」

友 「あ、その、言いたくないなら言わなくても……」

幽霊「ツリーの先端で刺殺されました」

友 「えぇ!?」

男 「嘘だろ」

幽霊「嘘です」


24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 18:47:47.25 ID:ixgB84pW0
男 「……はぁ、分かったよ。ケーキくらいは買ってやるよ」

幽霊「やったー! 見直しましたよ男くん!」

男 「ケーキだけで見直されても……」

友 「……俺、今年も独りだし混ぜてくれねぇか?」

幽霊「……どうしましょう?」

男 「別にいいだろ」

幽霊「私と男くんだけの愛の園に一人混じろうがどうでもいい……と?」

友 「……邪魔だったら俺、やっぱりやめるわ」


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 19:00:33.69 ID:ixgB84pW0
友 「じゃあな。また来るわ」

男 「じゃーな」バタンッ

幽霊「うふふふ。ケーキ、ケーキ♪」

男 「……そんなに嬉しいか?」

幽霊「嬉しいですよ! すっごく!」

男 「そーかい、そりゃよかったな」

幽霊「ローソクの代わりにお線香立ててお祝いしましょうね!」

男 「……それはやめろ」

幽霊「えー……」


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 19:09:06.75 ID:ixgB84pW0
幽霊「……」コソコソ…

男 「何やってんの?」

幽霊「わぁっ!?」ササッ

男 「……今、何か隠しただろ?」

幽霊「隠してない隠してないです」

男 「本当かー……?」

幽霊「信用してませんね」

男 「ああ、お前は信用ならん」

幽霊「べ、別に何にもありませんから。向こう行ってて下さいっ」

男 「何隠してんのかは知らんが変な悪戯とかすんなよ」

幽霊「は……はーい」



幽霊(もう少しで手編みのマフラーばれちゃうところだった……セーフ)

幽霊(……でもこれ、クリスマスまでに完成するのかなぁ?)


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 19:17:43.48 ID:ixgB84pW0
男 「じゃ、お休み」

幽霊「おやすみなさーい」

幽霊(男くんが寝てる時がチャンスっ!)

幽霊(さーて、編むよー……ん? あ、あれ? こんがらがってきた……)

幽霊(あー、もうどうしよう……ぐちゃぐちゃになっちゃったよ……)

幽霊(せっかくここまでできたのに……)

幽霊「……ぐすん」

男 「……何泣いてんだよ」

幽霊「ひゃあっ!?」


31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 19:27:25.86 ID:ixgB84pW0
男 「何これ? 編み物?」

幽霊「み、見ないで下さいっ」

男 「……マフラー作ってんの?」

幽霊「……はい」

男 「そっか。死に装束だけじゃ寒そうだしな」

幽霊「え?」

男 「でもこんがらがってるじゃねーか。貸してみろ」

幽霊「へ? え?」

男 「ここをこうして……こうすれば……ほら、直った」

幽霊「……」

男 「どうした?」

幽霊「男くんの……ばか……っ」パッ

男 「……。……消えちゃった」


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/30(月) 19:33:41.65 ID:ixgB84pW0
―次の朝―


男 「放っておいたらまた戻ってくるだろうと思ったが」

男 「もう朝なのに戻ってこない」

男 「……捜索願い出すか? えーと110番、110番」

男 「ちょっと待った。あいつ幽霊だった」

男 「……さて、どうしようか?」

男 「……。……マフラーだけ残った、か」
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