男「クリスマスにコミュ症で何が悪い」
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♪プルル プルル… プ
男「もしもし」
――あ、男? 今さぁ、カラオケにみんな集まってるんだけどさ、男も来ない?
男「…あ。うん…え、俺が行って迷惑じゃないかな…」
――え?ごめ、聞こえねーよ もっと大きな声で…
男「あ、だからその…俺が行ったら、盛り下げたりしちゃわないかな…って」
――なんてー? 来るの? こねぇの?
男「……っ、だ、だから、その」
――もっかーい! おっきな声出してくれ、こっち後ろ うるせぇんだわ!
男「………っ! ご、ごめん!」
――……あ、そ、そか。なんかいや、こっちこそごめん、来ると思ったからさ
男「あ…」
男「う、うん」
――正月の初詣の話もでてんだわ、初日の出。あー…でもあれか? そっちも来れない系?
男「そ……れは、その」
――あはは、いいよいいよ。カラオケこない時点でそんな予感してた。断るのも気まずいよな、男って気にしぃだしなー?
男「ご、ごめん。でも誘ってくれるの、嬉しいから…」
――あー、いいって。気にすんなよ、田舎かえるやつとかも結構いるし、地元残り組だけだしさ
男「そ、そうなんだ」
――じゃあ またな!
男「うん、楽しんで――」
プチ
男「………く…」
男「クリスマスにコミュ症で何が悪い!」
男「なんだよ、みんなでクリスマスにカラオケとか 超たのしそうじゃん!!」
男「行きたいよ!めっちゃいきたいよ!!」
男「くっそ、あああああ なんでノリよく言えないんだろ!?」
男「気にしぃとか なりたくてなったわけじゃないんだよ!!」
男「でもなんかしんねーけど気付いちゃうから 気になるんだよ!」
男「端の席にいるから、聞き取れなくて会話に入りそびれて愛想笑いだけしかしてない子とか!」
男「飲み物ほしいけど会話が盛り上がってて注文できないでいる子とか!!」
男「帰りたいけどタイミングとれなくて帰れない子とか!!」
男「だからって、直接に声とかかけれねーよ!」
男「あ、あのさ…ごめ」
友「なんだよ男ー?
男「トイレいきたいから、道開けてくれるかな」
友「ちょっ、トイレってww めっちゃ盛り上がってるのにトイレ中断かよww」
男「ご、ごめん」チラ
友「あー。ま、いっか。俺もしゃべりすぎて喉いてー。 ドリンクバーいってくるわー」
友「みんなはー? なんかいるー?」
“あ。じゃあ、私も――”
タタタッ
男「あ…よかった。席、立てたんだ…」ホッ
友「……ほんと、男ってよく気付けるよなー…」
男「俺一人じゃ…気付けても、気遣いはうまくできなくて」
男「いっつも友に助けられて…」ハァ
男「ついでに、株ももってかれんだけどな」
男「まぁ、でも…」
男「代わりに俺が恥かぶるくらいなら…別にいいんだけどさ…」
男「友は分かってくれてるから、俺のこと馬鹿にしたりしないし」
男「いじられキャラみたいになっちゃったけど、おかげで声かけてくれる友達もたくさんいる」
男「俺の居ないとこで、俺の評判あげようって フォローもしてくれるし」
男「……くっそ。友こそ 気にしぃなんだよな。悪意なさすぎ」
男「あーー モヤモヤのやり場がねぇー!!」
男「クリスマスに自宅で一人でまったり…」
男「寂しいだろ」
男「………出掛けよ」
地元駅
男「とは言え…」
男「カラオケ断るみたいになっちゃった以上、地元で鉢合わせたら気まずいよな」
男「電車で…どっか遠出するか」
男「あ。やべ、suicaいれてるパスケース、忘れた…。しゃぁねぇ、久しぶりに切符かうかぁ…」
券売機前
男(あ……)
女(えっと…原宿…あれ?乗り換えだから、切符は…あれ…?)
男(あー…あの辺、私鉄多いからなぁ…乗り換え切符は買うとき面倒なんだよな…)
女(あ、あれ? 調べてあった価格と違う…な、なんでだろ?)
男(乗り換え駅が違うからだな。横浜からと品川からじゃなぁ…)
男(なんて。思ってても言えない…ああいう子はSuicaつかうべきだな、うん)
女「あ、あの」
男「え?」
女「その…電車…わかりますか…?」
男「えっ…あ、あの 俺…?」
女「す、すみません 迷惑でしたよね… し、しつれいしました…っ」
男(あ……もしかして)
女「…え?」
男「あの…わかり、ます 」
女「……」
男「……」
女「え、えへへ…」
女「教えてもらえますか…?」
男「は、はい」
それが僕たちの出会いだった
電車内
ガタンゴトン…
なんとなく、一緒に電車に乗ってしまった
男「……」
女「……」
男(随分…混雑してんな)
女(あ…)
男(通路側に身体をずらしたけど…。自然に出来たかな…)
男「……」
女「……」
サッ…グッ
男(ん…? ああ、傘を持ち変えたのか)
男(って。斜めに持ち上げるとか不自然でしょ。なんで…)
女(……)
男(あ…俺の斜めがけのカバン…? スリに合わないように、こうして傘で…取られにくいようにしてる…?)
男(この子…)
女(……)
男「……」
女「……」
♪次は~品川ー…JR線にお乗りかえの方は~…
品川駅構内
ザワザワ…
女「あの…」
男「あ、えっと…乗り換えは、あっち…です」
女「あ、はい…あの」
男「……」
女「……」
男「……あ、その。じゃあ…」
女「は、はい。さ、さようなら…。ありがとうございました…」
男「い、いえ」
僕たちは小さく手を降り、そこで別れた
男(とはいえ…)
男(なんか言いかけてたし、無事に行けたか気になるし)
男(なんとなく 構内をうろついちゃったなぁ…)
男(…ちょっと休も)
人混みで邪魔にならなそうな ロッカーの影によりかかると
僕は携帯を出し、暇に任せていじっていた時だった
「「……はぁ」」
男(え?)
男(ため息が…シンクロした…?)
男「う」
男(……で、でも…まだいるって、なんかおかしいよな)
男(なんか…困ってんのかな…)
<メリークリスマス!
男「」ビクッ
男(あ、なんだ…パン屋のスピーカーかよ…)
男(クリスマス…か)
男(勇気を…出してみようかな)
男「あ、あの」
女「!」ビクッ
男「あ、あはは…まだ、いたんですね…」
女「そ、その…人混みでやられちゃって…」
男「あー…、わかり、ます」
女「……」
男「……」
彼女のスマホはライトがついたままだった
どうやらマップをみていたらしい
男(いや、やっぱり、もうちょっと…勇気をだそう)
女「え… は、はい。 そ、そうです」
男「め、迷惑じゃなければ…その」
女「え…」
男「案内…しましょうか?」
友に、あちこちになにかと連れ回されていたことに、感謝しようと思った
品川駅 周辺ビル
僕たちは一度、駅から出た
男(人混みに酔っていたようだったからな…やっぱ外気にあたんないと、電車にやられちまうよな…)
屋外にある広いフリースペースにはベンチや樹木がならぶ
綺麗な駅だと思う。休むにも最高だ
男(時間的に…もう昼食でもいいけど…食欲も予算もわからないしなぁ)
男(コンビニはあるけど…)チラ
女「あ…すごい。セブンイレブンだ」
男「え?」
女「2男時間じゃないです。7-11ですね、ほんとに」
男「ああ…営業時間」
男「テナント店だし…駅かビルの利用客にあわせてあって…」
女「へぇ…」
男「……いく?」
女「…はい」ニコ
男(結局、俺はサンドイッチと肉マンをかった)
男(彼女はカロリーメイドとウィダー)
男(やっぱり食欲はあんまなかったんだな…。 店 はいんなくてよかった)
男(それにしても… あのタイミングで、コンビニの話振ってくれて…助かったな)
一休みしてから、僕達は電車に乗った
電車内
男「え? イヌーピーショップ…?」
女「原宿駅前の…ありますよね」
男「……いま、ないよ?」
女「え?」
男「あ…。そこにいきたいなら 桜木町いけばよかったかな…」
女「…桜木町にあるんですか?」
男「うん」
女「…今度、いってみますね」
そうして僕たちは それ以上の会話が出来ず…
とりあえず目的地の原宿に降りてしまった
原宿駅
男「今日は…他にはどこに?」
女「あ… 図書館に」
男(なら 原宿のど真ん中は避けていこう)
男「じゃあ…こっちに」
女(え?)
男(竹下通りを抜けたら…人、きっと すごく多いもんな…)
女「……」
男「……」
僕たちは何事もなく、図書館に辿り着いた
コメント一覧
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- 2014年12月25日 20:15
- なんだ俺のことか
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- 2014年12月25日 20:15
- 俺のことだな
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- 2014年12月25日 21:28
- お前らは時期関係無く年中無休でコミュ症だろ!いい加減にしろ!
-
- 2014年12月25日 22:18
- くっさ
-
- 2014年12月25日 23:07
- 「気にしぃ」って言うやつ初めて見た
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