男「俺に与えられた魔法がくっそ使えなくて笑えない」
- 2014年12月29日 19:40
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ざわざわ
男「なんだぁこの騒ぎは」
友「お前今日は魔法授与の日だろ? 皆それで騒いでんだよ。……いい魔法貰えるといいなぁ。お前もそう思うだろ?」
男「いや、変なのじゃなきゃなんだっていいよ」
友「まぁ適性とかもあるらしいしなぁ……ってうわっ」
キャーキャーイケメン君スゴーイ
男「あいつらうるせぇなぁなんだってんだよ」
友「あーイケメンだな。雷撃の魔法授与されたらしい」
男「おーおー凄いな」
担任「……んー? なんだ来てたのか男ー次お前だぞ」
男「うぃー」
……
…
魔法官「はい、次君ね。君の魔法は……『そっち向いて』だね」ペラペラ
男「は?」
魔法官「いやだから『そっち向いて』って言うそっち向かせる魔法」
男「いやいや冗談っすよね?」
魔法官「いや、確かに『そっち向いて』だよ」
男「え?」
魔法官「うん、はい次の人」
男「いやいや待って待っておかしいでしょそんな魔法聞いた事無いっスよ」
魔法官「まぁ珍しい魔法なのは確かだけど……」
男「成長したら凄い魔法になるとかそういう系ですか?」
魔法官「あーいや、ちょっと待ってね」ペラペラ
男(冗談じゃねぇぞなんだこのクソ魔法)
魔法官「えーと、成長すると、『あっち向いて』と『こっち向いて』って言うのが使えるね」
男「」
魔法官「もういいでしょ? はい次の人ー」
男「いやいやいやちょっ」
警備員(男)「次が控えてるんだから、オイタは駄目でしょ!」ガチッ
男「放してくれぇええええええ!!」ズルズルズル
……
…
友「おい、どうだったよ!」
男「」
友「俺さー運良かったんだなぁ! 炎風の魔法貰えちゃったよ! うはwwww」ゴウゴウ
友「成長するとさードラゴンの形した炎も操られるらしくてさーお前はどうだった? ん?」
男「」
友「……おい?」
男「」
友「どーしちゃったんだよ」
女剣士「ど、どうかしたの? 男くん、元気ないけど」
友「あっ、女剣士ちゃん。それが男のヤツなんか授与終わってから元気無くってさー」
女剣士「そ、そーなんだ。あんまり良い魔法じゃなかったの、かな」
友「あーかも知んないね。ところで女剣士ちゃんどんな魔法だったの?」
女剣士「わ、私?」
友「うん」
女剣士「あ、あんまり良い魔法じゃなかったから、おお、教えられないよ」ブンブン
友「いやいや気になるからさー大丈夫大丈夫馬鹿にしないし、なっ?」
男「」
友「男もこう言ってるし」
女剣士(お、男くん何も言ってないような気がするんだけど……)
友「ほんとお願い!」
女剣士「ほ、ほんとに馬鹿にしない?」
友「しないしない、なっ!」
男「」
女剣士「……え、えっとね、ちょっとだけ足が速くなる魔法で、で、でも、元々私足遅いし、あ、あんまり良くないなーって」
友「良いじゃん良いじゃん!」
女剣士「そ、そう、かな。ち、ちなみに友くんはどんな魔法だったの?」
友「俺? 炎風の魔法」ゴウッ
女剣士「すっ、凄い……」
友「いやー運が良かっただけだよ」
女剣士「そ、そんな事ないよ。元々友くんあ、頭も良いし、適性もいっぱいあったし」
友「そう言って貰えると嬉しいっしょwww」
女剣士「そ、それで、男くんは?」
友「それなー今聞いてるんだけどさ。いい加減教えてくれよ」
男「……世の中にはな、言いたくないこともあるんだ」
友「な、なんだよ。そういわれるとなんか知りたくなってきたぞ。闇魔法とかその類か?」
女剣士「やっ、闇魔法、なの?」ガタッ
男「……いや、残念ながら違う」
友「じゃあなんだよ」
男「……ほんとに良いのか? 言っても。色々と後悔することになるぞ」
友「……お、おう」ゴクリ
女剣士「き、気になるから」ゴクリ
男「……『そっち向いて』だ」
友「はっ?」
女剣士「????」
男「いやだから『そっち向いて』って言う、魔法」クイッ
友「お、おうっ!?」グイッ
男「なっ?」
友「……こ、こんだけか? せ、成長すると凄くなる系の魔法かもしかして?」
男「成長すると『あっち向いて』と『こっち向いて』を使えるらしい」
友「……」
女剣士「……」
男「なっ、後悔しただろ? 聞いた事。だから言いたくなかったんだよ。……ったく」
友「……そ、その、なんて言うか」
女剣士「……き、訊いてごめんなさい……」
男「やめろよ、余計惨めになるだろ、俺が」
友「……いや、ほんとスマン」
女剣士「…・…うん」
DQN「うおおお俺は鋼拳の魔法だぜぇえええこれでもっと強くなれるぜヒャッハー!!!」
女子1「あたし失敗した系の魔法だったーコップに水満たすだけとかwwww」
女子2「えーでも成長すると空間全部水で満たせるんでしょー」
女子1「そこまで行くの面倒くない?」
男「……チッ。どいつもこいつも」
担任「よーし全員終わったなー。今日はもう帰っていいぞー明日は班行動で魔法を使った実戦やるからなーきちんと休めよー」
……
…
父親「今日はどうだった、男。俺は竜息、母さんは竜爪と家は竜にまつわる魔法に適性のある家系だ、お前もそれ系だっただろ?」
男「……」
男「い、いや、違かったよ」
父親「そうか」シュン
父親「だが、私たちの息子だ、きっと凄い魔法に違いない。なぁ、母さんや」
母親「でしょうね、きっと」ニコニコ
男(い、言えない、『そっち向いて』だなんて言えない……)
男(変な魔法じゃなきゃまだ『俺才能ないし』で済ませられるけど、こればっかりは……)
母親「それで、どんな魔法だったの? お母さん聞きたいわぁ……」ニコニコ
男「……いや、そんなに凄くないから」
父親「良いから隠さずに言ってみろ」ニコニコ
妹「たらいまー」
男(むっ、グットタイミング)
男「妹連れて遊びに行ってくるから! おーい妹よ遊びに行くぞー!」
妹「むっ、この声は、お兄ちゃん!? 行くー!」
……
…
男「ふぅ、これでなんとか切り抜けた」
妹「……その反応、もしかしてお兄ちゃんクソ魔法貰ったね」
男「……鋭いな。まぁその通りだな」
妹「それで、どんな魔法なの?」
男「『そっち向いて』って言うそっち向かせるだけの魔法」
妹「wwwwwwwwwwwウケルwwwwwww」
男「んなに笑うなよ……」
……
…
魔法長官「ほっほっほ、今日は全国の一斉魔法授与式じゃな。今回はどんな魔法が贈られたんじゃろうなぁ」
秘書「一覧はこれです」ドサァアア
魔法長官「ほっほっほ、多すぎないかえ?」ペラペラ
秘書「ちゃんと目を通してくださいね」
魔法長官「ほっほっほ……ん? んんん? この魔法は……」
秘書「どうかしましたか?」
魔法長官「いや、何、この魔法なんじゃが……」
秘書「……『そっち向いて』、ですか? 聞いた事ない魔法ですね。なんか名前からして
クソの役にも立たない魔法みたいな匂いがしますが」
魔法長官「そうかえ、知らんかえ」
秘書「? 何がですか?」
魔法長官「ほっほっほ、頼みがあるんじゃが」ソオオッ
秘書「尻触ったら通報しますよ」
魔法長官「ほっほっほ」サッ
秘書「で、なんでしょうか?」
魔法長官「この『そっち向いて』と言う魔法を今回リストに入れたヤツを探し出して欲しいのじゃ」
秘書「……了解しました」
魔法長官「理由は尋ねないのかえ?」
秘書「秘書ですから。内容の詮索までするつもりはありませんよ」
魔法長官「さすがは良いケツしてる女じゃのう」
秘書「セクハラで訴えますよ」
秘書「……では行ってまいります」眼鏡クイッ
魔法長官「うむうむ、ほっほっほ」
魔法長官(……しかしふぅむ。この魔法……名前や説明を変えてはいるが、この性質、確実に『アレ』じゃな)
魔法長官「……いつか出回るとは思っておったが、ほっほっほ、まさかわしの代とはのう」
……
…
翌日
男「はぁ……」
友「元気ねーなまぁクソ魔法でもしょうがねぇじゃん」
女剣士「そ、そんな酷い魔法でもないと思うよ! だって不意打ちとか出来そうだよ!」
男「俺肉弾戦すっげー苦手なんだけど……」
女剣士「そ、そうかも知れないけど……」モゴモゴ
友「っと、担任来たぞ」
担任「よーしお前ら班作れー昨日言った通り今日は実戦だからなー」
イケメン「ふっ、僕と組みたい子は皆まとめて来ると良い。雷撃の魔法で僕が全てカタをつけるよ」
キャーキャーイケメン君ニ守ッテ貰イターイ
友「うおっ、イケメンのやつすげー人気……」
男「お前らも早く班組めよ」
女剣士「……え?」
男「俺見たいなクソの役にも立たない魔法のヤツと組んでも何の得にもならないぞ。自分と相性良さそうなヤツと組めよ。
気にすんな俺は先生と組むからクソ魔法だし先生の魔法で守って貰うわ……うん」
友「おいおい俺がダチ見捨てっかよwww」
男「と、友、お前ってヤツはっ!」ジィイイン
女剣士「わ、私も男君と組むよ!」
女剣士「ほ、他の所行っても、多分、足手まといだし……」
男「なお更他の所行ったほうがいいぞそれ真面目に」
女剣士「が、がんばるから!」
友「女剣士ちゃんもこう言ってるし、まぁいいじゃねーかwww」
男「ま、まぁそう言うなら……けど、ならあんまり頑張るな」
女剣士「う、ううん! がんばるよ!」
男「いや怪我してもアレだし」
友「だなwww」
担任「お前らー班は4人だからなー」
友「だそーだあと一人どうするん?」
男「あーもう先生でよくね?」
友「その謎の先生押しはなんなのwwww」
男「いや先生強いしガチムチだし」
女剣士「お、男くんはホモなの?」
男「違う違う普通に女の子が好きだよ」
女剣士「そ、そっか良かった」ホッ
女不良「おいおいあと一人ならアタシも混ぜろよ」