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貴音「粗忽春香」


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1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 01:15:26.31


出囃子:風花
三線:我那覇響

貴音「みなさま、本日はようこそお越しくださいました」


3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 01:22:58.97


貴音「先日、6月の21日は夏に至ると書いて夏至の日でございました」

貴音「まだまだ日本は梅雨前線の中でございますが、この日を境にだんだんと夏がやってくるものです」

貴音「また、本日は満月でございますから、今夜は今年最も短い満月の夜ということになります」

貴音「古来から、秋の夜長を楽しむことは風流とされておりますが、短い夜を楽しむのもまた趣がございます」

貴音「うまい具合に台風が雲を連れ去って、みなさまのところからも月が見えると良いですね」

貴音「そんな夜に、どうか一席、お付き合いくだされば光栄です」


4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 01:29:39.75


貴音「ええ、世の中にはそそっかしいひと、粗忽者というものがございます」

貴音「おっちょこちょいだとかも言いますが、私どもの知り合いで言いますと天海春香などはまさしくそうでございまして」

――――

春香「むこうから来る人……誰だったかなぁ、最近会ったことがあるけど…」

春香「あ、向こうにも気づかれちゃった…笑いながら歩いて来られても私わかんないんだよなぁ…」

春香「こ、こんにちは…あのー、お久しぶりです!…えっと、えっと…すみません、どちら様でしたっけ?」

武田「そう、僕だ」


6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 01:34:44.82


貴音「いえ…実際は高木殿だったのですが…」

貴音「…所属する事務所の社長を忘れる方が問題な気がするのですがどうでしょう?」

貴音「とはいえ、人間誰しも、どこかしら何かしら、抜けてるところはございますし、そういう所があった方が愛嬌があって良いのかもしれませんね」

貴音「今回は、そんな春香が主役となります」



貴音「ここにおります粗忽者の天海春香が、朝方公園を通りかかりますと、何やら人だかりができている」


10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 01:40:36.86


春香「あれ?なんか今日はすごく混んでるなぁ。なにかあるのかな?」

春香「うーん…人が多すぎて前が見えないや…えっと…公開オーディションライブバトル?」

司会者「それでは、投票にうつりたいと思います!オンエアしても良いと思う場合は、団扇をレーダーに向けてください!いきますよ…」

春香「そんなこと言われても見えないんだよなぁ…えい!えいっ!」ピョン

春香「やっぱり無理かぁ…ってきゃあ!」どんがらがっしゃーん

春香「いてて…」

真美「何してんの?」


11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 01:47:21.32


春香「あ…真美おはよう。なにがやってるのか気になったんだけど見えなくてね…」

真美「これ、特番の公開オーディションだよ。亜美たちが出るから真美はオーエンに来たんだYO!」

春香「そうだったんだね。竜宮小町の出番はいつなの?」

真美「んっふっふ、どうやらはるるんは知らないようだね?」

真美「南斗!竜宮小町はシードなのだ!!」

春香「ホントだ、二次予選からになってる」


12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 01:53:26.99


春香「あれ?でも午後からなら別に今からいなくても良いんじゃないの?」

真美「甘い!甘いぜよはるるん!!このままじゃ『甘味』春香に改名だよ!!!」

春香「えぇ!?」

真美「真美は、亜美のために、ライバルの情報を集めているのだ!」

真美「そうじゃなくても、ここに出ている人たちは将来の真美たちのライバル!!」

真美「兄ちゃんも言ってたよ!『カレーを知りハヤシライスを知れば百戦してなんとかかんとか』って!!」

春香「……本音は?」

真美「お家に亜美がいなくて寂しい」


13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 02:00:40.07


春香「まぁ私も、事務所に誰もいなくて寂しいなって思って、お散歩してたんだけどね」

真美「そうなの?じゃあいっしょに観戦しようよ。ちょうど始まるから」

春香「そうしようかな。でも、あんまりステージが見えないんだよね」

真美「フッフッフ…そんなこともあろうかと穴場を発見しておいたのだ!!」

――――

―――

春香「次はどこ?」

真美「待ってね。えーっと…Dブロックだね」

春香「はじまるよ…最初の人は……!!??」

真美「はるるんどうしたの?」


14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 02:06:05.06


春香「今歌ってる人…千早ちゃんだよ」

真美「え?でも、じむしょで他にこれに出る人とか聞いてないから、違うんじゃない?」

真美「それに千早お姉ちゃんはこの間から凹んでるみたいだし、兄ちゃんも出さないっしょ」

春香「いいえ、真美。私わかるの。聞いたことないメロディーだけど、遠くて表情もよく見えないけど」

春香「この雰囲気は…間違いなく千早ちゃんだよ!」


黒川千秋「~♪」


15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 02:11:49.45


真美「そう…なの?」

春香「それに、バックスクリーンに名前が出たの。ちょっとよく見えないけど、たしかに『千』の字が見える」

真美「まー…ね」

春香「千早ちゃんが出てるならしっかり応援しないとね!ガンバレ千早ちゃん!!ほら真美も」

真美「が、がんばれー」

春香「ダメだ全然声が届かない…もっと人を呼ばなきゃ! 真美、ちょっとみんなを呼んでくる!!」

真美「で、でもみんないないからお散歩してたんじゃないの?ーってもう行っちゃった…」



真美「…はやく亜美たちの番にならないかなぁ」


16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 02:16:31.39


貴音「そうして威勢よく出ていった天海春香でございましたが、途中で今日は事務所に誰もいないことを思い出しました」


春香「そうだった!誰もいないんだった…みんな予定が入ってたんだよね」

春香「ホワイトボードに名前がないのは私と真美と…千早ちゃんだね」


貴音「こうして、如月千早の家に向かったわけです」






17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 02:19:54.58


千早「……私は…どうしたらいいんだろう」

千早「きっかけは些細なこと。オーディションの審査員にされたダメ出し」

千早「『貴女は上手に歌い上げて技術も抜きん出てる。しかし魂がこもっていない』」

千早「私の歌には…私がいないというの」

春香「千早ちゃーん!」ピンポーン


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 02:27:21.41


千早「それは私の心の隅で引っかかり続けてた」

千早「焦っていたのかもしれない。魂をこめる。やり方もわからないものに意識をし過ぎてしまって、ミスが目立つようになった」

千早「ついに前回のオーディションでは初めて、曲を途中で止められてしまった」

千早「『センスが無い』おそらくあまり意識せずに言われた言葉なのだろう。しかしそれは、私の心に深く深く突き刺さった」

千早「他者からの評価としてよりも、自分自身が心の奥で思ってたことを見透かされたように」

千早「自分には歌しかないといいながら、心の奥で歌を信じていない」

千早「きっと、歌に愛想をつかされてしまったのね…」

春香「千早ちゃーん」ピンポンピンポーン


19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 02:32:59.59


千早「私には歌しかない。大切なものを全部なくしても歌だけはなくさなかった」

千早「なのに私は、その歌すらもなくしてしまった」

千早「私にはもう何もない。何も、何も…」

千早「もう誰も信じられない。誰からも私は必要とされない。歌からも、必要とされてない。なら、もういっそ…」

春香「千早ちゃん!!」ピンポンピンポンピンポーン!!!!ドンドンドン!!!!ドンガラガッシャーン!!

千早「………」

千早「…春香 うるさい」ガチャ


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 02:37:16.59


春香「千早ちゃん!!」

千早「春香…できれば私を一人にしてほしいのだk」

春香「千早ちゃん!!大変なんだよ!!」

千早「ど…どうしたの?」

春香「千早ちゃんが…千早ちゃんが…!!」

千早(きっと事務所をクビになったのね。歌にも見捨てられた私なら仕方ないわ)

春香「今日のライブに出てるんだよ!!!」

千早「…………は?」


21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 02:44:10.10


春香「は?じゃないよ!」

春香「さっき近くの公園を歩いてたらさ!人だかりができてるの!!何って聞いたらさ、公開オーディションの選考ライブだったんだよ!!!」

千早「あぁ、たしか竜宮小町が出るって言ってたわね…」

春香「せっかくだからって私も見てたら、なんと千早ちゃんが出てきたの!」

千早「まったく意味がわからないんだけど」

春香「私も出るって聞いてないもん!でも出たってことは、きっとサプライズかなにかだったんだよ!」


23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 02:52:58.10


千早「だいたい、私はここにいるわ」

千早「それに私はもう歌えないもの。歌を裏切って、裏切られて…」

春香「そんなことないよ!!たしかに千早ちゃんは凹んでたけど、やっぱり歌いたかったんだよ!だからああして、知らないうちにステージに立ってたんだよ!」

千早「そんなこと…おきるのかしら?だとしたら…私は」

春香「ああもう、千早ちゃん!行くよ!!」

千早「行くって…どこによ?」

春香「決まってるよ!誰でもない千早ちゃんのステージなんだから、応援に行かないと!」

春香「千早ちゃん!自分で自分を応援しないでどうするの!!」

千早「…!!」

春香「さ、早くしないと終わっちゃうよ」グイッ

千早「わ、わかったわ。だから春香せめて靴は履かせて」


24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 02:59:24.47


――――

―――

春香「ふう、間に合った」

真美「あー、はるるんほんとに連れてきたんだねぇ」

千早「おはよう真美。竜宮小町はどうだった?」

真美「なんか割とフツーに通過しちゃった…というかよく来たね千早お姉ちゃん」

千早「ええ、春香の押しに負けてってのもあるけど、私が本当なのか確かめないと」

春香「千早ちゃんの戦況は!?」

真美「あー…千早お姉ちゃん(推定)は一次予選普通に通ったから、次の次くらいに出番があるよ」


26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 03:09:31.62


**********

黒川千秋「~♪」


真美「はじまったね」

春香「ガンバレー!!千早ちゃん!!」

真美「…千早お姉ちゃん的にあの人は千早お姉ちゃんなの?」

千早「………」

千早:72 千秋:86 とする

千早=千秋の式に代入すると

千早=86

千早=美希>律子>春香>雪歩…

千早「……確かに私だわ!!」

真美「千早お姉ちゃん現実に帰ってきてよ!!!」


27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 03:14:06.06


――――

黒川千秋「~♪」


春香「前半はヴォーカルアピールを中心とした戦略だね」

千早「そうね、やはり得意なものからスタートして自分のペースを作ることが重要だわ」

春香「ジャストアピールも外さないし、良い感じ」


春香「あ、思い出アピール…パジャマパーティー?私も呼んでよ」


28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 03:19:58.55


――――

黒川千秋「~♪」


春香「ねぇ、なにかおかしくない?」

千早「ええ、うまくしているのに会場の様子が」

真美「大変だよ!!向こうでVoアピールをメチャメチャ外してる人がいるYO!!」

春香「そんな…こ、このままじゃ!」

千早「ジェノサイドが起きてしまうわ…」






29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 03:24:30.47


――――

黒川千秋「~♪」


春香「ヴォーカルの審査員が…」

真美「これは大荒れだよ…」

千早「戦況はかなり悪いわね…思い出アピールで粘ってはいるけど」

春香「このままじゃ千早ちゃんが負けちゃう…」

千早「いえ、春香。まだ希望を捨ててはダメよ」

真美「まだ逆転の策があるってこと!?」

千早「ええ、私ならここで」


30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 03:29:31.54


黒川千秋「~♪♪」


春香「これは!!」

真美「バーストアピール!!」

千早「審査員が帰ったとはいえ、この会場の盛り上がりなら、かなり効果的なはずよ」

真美「大逆転だね!!」

春香「伝わってくる…千早ちゃんの曲に対しての思いが…そして、絶対負けられないって気迫が!」

千早「こういう…ことなのね」


31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 03:33:03.83


――――

司会者「予選通過は②番!おめでとう!!」


春香「やったあ!!」

真美「千早お姉ちゃん(推定)が通過だ!!」

千早「やったわね」

春香「良かったよぉ~千早ちゃ~ん」ダキッ

千早「もう春香…こんなところで///」


32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 03:40:16.72


真美「まぁでも完全に大荒れだったからね~ ほら、ステージ上で千早お姉ちゃん(推定)も泣いてるし」

千早「たしかに予想できない展開だったわ。でも、最後に必要なのは、心…」

千早「ありがとう私…私が一番最初から持っていたものを思い出させてくれて。私は私に私からお礼を…ええと…あら?」

春香「どうしたの?」

千早「ええ…春香、なんだかわからなくなってきたわ」

春香「なにが?」






千早「あっちで嬉し泣きしてるのが私なら、こっちの私はいったい誰なのかしら?」


33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 03:41:17.73


貴音「お後がよろしいようで」


34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 03:50:29.02


楽屋

貴音「みなさまお疲れ様でした」

貴音「ふふ、次の演目は『千早哲学に目覚める』にしましょうか」

響「貴音…お疲れ様」

貴音「響、このような時間までおきて…どうかしたのですか!?」

響「自分、大きなイベントに呼ばれてな、今までよりもっともっと大きな会場だったりして、その…心配なんだ…それで寝れなくて」

貴音「響、失敗を恐れてはいけません。良いですか?先人もこう言っております」

貴音「当たって砕けろ。 byニーチェ」

響「」


おわり

読んでくださった皆様、レスをしてくださったみなさま、本当にありがとうございました


35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 03:53:17.86


おっつ
落語は詳しくないけど面白かった











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ちなつ「今回だけですよ!京子先輩!!!」