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ハルヒ「ちょっとキョン!あたしのプリン食べたでしょ!?」



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P「プロデューサーグッズ始めました…」

17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 11:22:38.68


あいまいな記憶だから思い出した順に書いていく。

~ある日の朝~
「み、み、みらくる~みっくるんるん♪」
夢の中の俺を至急叩き起こし、電話に出ると今日も多少ぎこちない感じで声が聞こえてくる。

「お、おはよう。マイ、ダ、ダーリン♪」
エンジェルボイスのモーニングコール、鶴屋さんのアレンジを毎回聞いて戸惑っているみくるさんの姿が浮かんでくる。
朝から妄想するのは止めて、返答しないと。
キョン:「おはようございます、みくるさん。」

みくるさんとの挨拶の後に、鶴屋さんに話し相手が代わり

「おはよー、キョン君。みくるが会いたがってるんで早くご飯を食べて迎えにくるさ。」

と元気な声が聞こえてくる。俺の予想では涼宮と鶴屋さんは、体に原子炉でも入っているんだろう、そうに違いない。
朝から常時元気で、朝がつらい俺には羨ましい。

「早寝早起き・・・後、愛が元気の秘訣さ~!」

一部、違う気がするがまともな返事が返ってきた。どうせ俺は遅くまで起きてますよ・・・

着替えて準備をすませて、颯爽と自転車の速度を上げていく。
毎度のことだが、普段通る道もみくるさんを迎えに行くというだけで新鮮に感じられる。そんなことを考えつつ鶴屋邸に到着した。


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 11:23:36.54


いつみても桁外れの大きさの屋敷である。
インターフォンを押すと「そこでまってて」という返事の後、普段はお二方一緒に出てくるのに今日はなぜか鶴屋さんだけである。
「おはようございます、鶴屋さん。あれ?みくるさんは?」
「みくるはまだだよ」
と笑顔で返される。その時、誰かか後ろから抱きつき俺に目隠しをしてきた。

「ふふふっ、だ~れだ?(大人の女性の声)」
この声は朝比奈(大)さんの声、俺には聞き覚えがある。しばらく背中にあたる柔らかい感触を楽しんでいたいが、ここは泣く泣く正解を答えないと俺の評価が下がりかねない。

「朝比奈さんですね」
「うふっ、正解。自信があったのに。なんでわかったの?」
「あたしでもすぐにはわからなかったのに、さすが彼氏だね」
「それと、えっと、胸があたってますよ」
「これは、あ、あててるんです」
「もう一回言ってもらって良いですか?」
「だ~れだ?」
「それはもう良いです」
「胸を当てて・・・やっぱりだめですぅ」

鶴屋さん、みくるさんにかなり難易度の高い芸を仕込んでいるのですか。
「どうだい、これでキョン君も朝から元気になっただろ。」
「ええ、まあ。」
そいや、鶴屋さんがみくるさんに渡したオリジナル交際マニュアルを見せてもらったが、このイベントは書いてあった気がするな。

(しばらく歩いて)
「そういえば、なんであの時あたしを『朝比奈さん』と呼んだの?」
「あれ?なんでだろ」
「付き合ってからは名前で呼んでって言ったのに、キョン君はいじわるですぅ」
みくるさん、ごめんなさい。貴女は怒っているつもりでも、その表情も可愛いだけですよ。
朝比奈(大)さんのイメージでとっさに「朝比奈さん」と呼んだだけです、とはさすがに言えないので適当に誤魔化すか。


19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 11:24:34.74


~ある日の休み時間のこと~
「キョン、鶴屋さんと朝比奈さんがお前に用だとさ」
「なんでお前ばかり・・・神様は不公平だよな」
谷口が声かけてきたので教室の入り口を見ると、そこに鶴屋さんとみくるさんが見えた

「キョン君、さっき調理実習でクッキーを作ったから。ほい」
そう言って、俺の手にまだほんのり暖かい袋を握らせてきた。
「これは義理だからね。君への本命はこっちさっ」
そういって、みくるさんを俺の前に差し出してきた。
差し出された当人はさらに同じような袋を差し出してきたので、礼を述べありがたく受け取る。

「えっと、班の人には甘すぎると言われたので、キョン君の口に合わなかったらごめんなさい」
「俺、甘めのお菓子は好きですよ」
「ははは。大丈夫、キョン君なら美味しいと言ってくれるさっ」

「放課後は部活には行けれませんから」との言付けと手製クッキーをもらい席に戻る。
こういうイベントには縁のない俺だが、やはりこれはうれしい物だな。

さて、本来俺はこのクッキーを独占する権利はあるのだが、世の中はジャイアン流の考え方で俺の所有物を自分の物と主張する人間が後ろの席に居て。
残念ながらハルヒと目が合ってしまった。

「いいご身分ね。クッキーかしら」
「もちろん、あたしにも分けてくれるわよね」

鶴屋さんとみくるさんの俺へのクッキーを取り上げるのはやめてくれ。
分けるのは真に心苦しいが、ここで揉めてクッキーが砕けるのは惜しいのでハルヒの机の上に鶴屋さんの袋を置く。

「涼宮、こっちは預けておくから両方部室で食べよう。あと、今日はみくるさんは欠席とのことだ」
「せっかくのクッキーなのにあんたのお茶のお茶受けか、残念だわ。」
「おいおい、俺がお茶係なのは確定かよ」そう突っ込みたいところだが、放課後までクッキーを死守するほうが優先なため、今回は無視だ。


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 11:24:47.17


結局放課後、鶴屋さん4個、みくるさん8個、計12個の小柄なクッキーは4人のメンバーに俺が淹れた紅茶のお供になっていた。
みくるさんの「甘すぎるかも」という予想は、俺は気にならなかったし誰も指摘しなかったから、単に気にしすぎだったようだ。

時間は経過し次の日の昼休み、食事中のことである。
「昨日のクッキー、とても美味しかったですよ。」
「そうですか、それはよかったです」
「えっ、甘くなかったのかいっ?作っているときのみくるの様子はもう楽しそうでさ」
「あれ見てたら『いつも甘いですね、ご馳走様』と言われるに決まってるんじゃないかい?」
「ふぇ?なんでそれが甘いんですか?」

なるほど、そういうことでしたか


21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 11:25:04.23


~ある放課後~
暇を持て余していたハルヒは長門の本の返却に無理やりついていき、この部屋には
チェスをしている俺と古泉。それを眺めるみくるさんが残っている。

「やっぱり、貴方はクイーンの扱いが上手ですね。僕にはあんな使い方できません」
古泉、何が言いたい?お前の手元にも同じ駒はあるぞ
「いえ、単なる感想ですよ」

感想戦の途中、雑用を終わらせ隣に座ったみくるさんが何かに気がついたようだ。
「キョン君、洋服のボタンが取れかけてますよ」
そいや、毎度毎度ネクタイだのシャツだの引っ張られたらボタンも取れかかるよな。

「私ソーイングセットもっているので縫いますよ」
じゃあ、ぜひお願いします。
「じゃあ、洋服貸してくださいね」

みくるさんが俺の隣で針子になり、相変わらず俺と古泉はチェスをやっている。
「そういえば。貴方は昔から朝比奈さんに対してだけは素直でしたね」
「なんだ、唐突に。なにがいいたい」

俺が素直じゃないとでも言いたいのか?
「ええ。貴方は朝比奈さんに対してだけは、自然にほめ言葉を口に出していました。」
「そして、たぶん交際していなくても朝比奈さんも貴方を気にかけているでしょう」
「つまりお二人が交際の有無関係なく、日常の風景は変わらないものになっていました」

確かに、みくるさんは周りへの気遣いを忘れない人だから今が特別というわけでもない


22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 11:25:49.34


「朝比奈さんは、どじっ子属性が消えていきお姉さん属性になっています」
「貴方は能動的な性格になり、考えを素直に話すようになってきていますよ」

俺やみくるさんの性質が変わっているなんて当人には実感できないが、そう見えているのだろうか。

「お互いに好影響を与え合って、周りにもそれを与えている。そう思ったんですよ」

交際するって、そういうもんだろ?
という俺の感想は言わないことにした。





23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 11:25:58.18


以上。


28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 13:30:30.88


二人のために用意されたステージは、雪の中に浮き出た木造りの円形の踏み台だった。粉雪は、公園内の遊具の殆どを穢れのない白に沈めてしまっていた。浅い雪が絨毯のように敷かれた土台の上に、古泉は真っ先に足を掛けてよじ登り、次いで長門を引き上げた。
すっくと台の上で立ち上がり、地上よりも一段上となった場所から見渡した世界にあったものは、穏やかに降り積もり続ける氷の結晶と、白濁した空模様と、冷たさを湛えすぎたためにこの上ない無色である鋭利な寒風。それがすべてだった。
薄い雪を踏みしめた足を動かすと、シャーベットをスプーンで掬い取ったときのような、心地いい音が耳に跳ね返る。
一歩を踏み出したところで立ち止まり、古泉は綺麗に靴を模写した、白い下地にかたどられた己の足跡を振り返って眺めた。長門は動かず、やはり無言で、古泉の靴跡を眺めていた。

この広場から突き出たような円い壇の上で、ちょっとした演奏会や寸劇が行われていたことを古泉は知っていた。野外ライブのようなもので、勿論お金を観客に請求することはない。
ボランティアの同好の士によって披露されたカルテットや、元サーカス団員であったという老人のくりだすパントマイムや、アマチュアの歌劇団で日々発声練習を欠かさずにいる小さなソプラノ歌手のアマリリスの歌唱などが、
ここではある日は賑やかに、ある日は粛々と執り行なわれていた。友人たちと遊ぶためにこの公園を訪れた子供たちや、同伴の親御さんが、そんな彼らのパフォーマンスに拍手を送る観衆だった。
今では遠い昔のようだったが――古泉自身も、そんな観客席の一人に混じっていたこともあったのだ。転校する前のことだった。
閉鎖空間の処理のために、実家と震源地を往復する毎日を送っていた頃、偶然にこの公園を見つけたのだ。
学校を早退しなければならず、なおかつ神人狩りを終えてから空いてしまった手持ち無沙汰な時間を、この公園で潰すことは多かった。
自宅で両親に気まずい顔をされるよりも、ここで日替わりに行われるイベントに、何も知らない無知な子供のようなふりをして興じている方が、古泉にとってはずっと利口な選択というものだった。

古泉は視線をさりげなく持ち上げて、俯いて古泉の足跡を見つめている長門を見た。何を感じているようにも見えない。
白い無表情は染みも淀みも何一つない、ステンドグラスから注いだ一番最初の光に喩えるような美しさで、ただ、酷く似合っていた。雪が舞い落ちる世界に、長門有希は何者よりも遥かにふさわしかった。
古泉は再び、長門から目線を外した。代わりに、公園の敷地内の一角へ指を差す。長門がつられて顔を上げる気配がしたので、古泉は小さく笑みを浮かべた。


29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 13:32:55.89


「あの周辺には以前は噴水があったんですよ。子どもが誤って落ちてしまってから、撤去されたんです。
――それから向こうには、今は見えませんが花壇があります。春にはとりわけ美しい花を咲かせるんです。それから、」
指先を移す。反対の角地。
「あそこに、四年前には樹がありました。大きくなりすぎたので、切り倒されてしまったようですが。瑞々しく葉を茂らせていて、あの木陰で休むのは気持ちが良かったんでしょうね。
夏場には遊びつかれた子どもが、よく転寝をしていました」
なくなった樹の代わりに、そこには真新しい滑り台が取り付けられた。今は雪のシートを被せられて、何があるのか判然としないが、古泉にとってはそちらのほうが都合が良かった。
見上げるほどの巨躯を誇っていた、公園のシンボルのような大樹を思い描くのに、設置されたばかりの金属の遊具は、古泉には無粋なもののように思われた。

「――あなたも」
長門が不意に言った。古泉は、唐突に放たれた、その端的な言葉を聞き漏らさず、拾うことができたことを密かに喜んだ。
「そうですね。『彼』の膝は、夏場にも、とても涼しかったですから。眠りはしませんでしたが、居場所を借りはしました。
読書をしたり、その日の音楽――ここを活動場にしている見ず知らずの音楽家たちの、気まぐれの演奏に、耳を傾けたりもしましたね」
「……そう」
「ですが、四年前の話です。ここではもう、演奏会も何も行われてはいない。あの光景は、僕と、……僕以外に、この公園にいた誰かの記憶の中だけのものでしかありません」
近場でよくない事件があったらしいと聞いた。物騒な、血腥い類の。そして、外出を嫌った親たちは子どもと野外に出るのを控えるようになり、自然、公園は廃れていった。こ
こを住処のようにしていたパフォーマーたちもまた、観客のいないステージにわざわざ上がりに訪れたりはしなかった。ささやかな芸術家たちのアトリエ、子どもたちの一時の愉しみはそうして潰えた。

すっかり寂れた広場は、近々大掛かりな改修をする予定になっていた。真新しい滑り台も、その作業の一環だった。工事が終われば古泉の過ごしたこの地は、恐らく、原型を殆ど留めることなく生まれ変わるだろう。
それを知って、すべてが変わる前に、もう一度だけこの場を訪ねておきたいと考えたのが古泉で、同行を申し出たのが長門だった。
不思議探索の合間を縫っての、短いエスケープ。乗り気な長門に古泉は少なからず驚いたが、長門は淡々と返すだけだった。「興味がある」、と。


30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 13:36:32.31


積雪はよりいっそう、その体積を増やしていった。もはや古泉も長門も、頭から肩にかけてその白さを多く纏わりつかせていた。
冷気だけで凍りつくような肌寒さだというのに、雪に直に触れた膚は更にじんわりと冷えていった。
ジャケットの下に忍ばせてあった折り畳み傘もあったのだが、古泉も長門も、雪から身を護ることを敢えて選ぼうとしなかった。
雪に呑み込まれたら、己の身体も一緒に氷に同化し、崩れ落ち、溶け合って流れていくのではないかという錯覚さえ覚えるほどに。
積もる雪に重みはなく、身体は凍り付いていくのに不快感はない。
それは隣に立つ少女が、余りにもこの雪に近しく見えるからかもしれないと、古泉は空想家のように考えて、口元を綻ばせた。

「あなたがここで最後に見たものは、なに」
長門が問う。今度は明確に、問い掛けだった。
息を漏らした拍子に、白い息がふわりと漂い消える。古泉はいつかの光景を再生しながら、思い出した端から言葉を吐き出した。かじかむ指を擦り合わせるように合わせて、笑みを落とす。
「僕がここで最後に見たのは、劇でした。季節は冬。まだ雪が降る前で、肌寒くなってきたころ……落ち葉が、たくさん敷かれた上で。あの日はまだお昼前で、子供たちのあまり居ない時間帯でした。
僕はかつてあった、あの樹の根元に腰掛けていたんです。この舞台上には、地元の大学サークルの、劇団員が二人居ました。すぐ傍で、音響係がカセットテープをかけて、古めかしい音楽が公園を満たした……」

――あれは多分、御伽噺をモチーフにしたラブストーリーだったと、古泉は思い返す。どんな物語だったかまでは記憶にない。
観ている途中で機関から呼び出しを受けて、途中退場をせざるを得なかったから。
覚えているのは、向かい合った二人。女性が進み出て、何事かを告白した。
男性は微笑み、女性を包み込むように腕の中に抱いて……きっと物語のクライマックスシーンだったのだろうが、古泉は公園から出る間際に、ちらりとその姿を掠め見ただけだった。

記憶にかろうじてある劇の内容まで話し終えた古泉は、ふと長門を見下ろした。おあつらえむきに、男女二人が今、舞台の上で向かい合っている。
古泉にそれを口走らせたのは、彼の好奇心と、彼の友人からは度々「お前の冗談は冗談に聞こえん」と愚痴られはするけれども、彼としてはやはり冗談でしかない、そういったジョークを愛する心だった。
遡って誓えといわれたなら、彼はこのとき、幾らでも誓っただろう。この提案に、他意など決してなかったのだと。

「あの日の恋劇を再現してみせるとしたら、ですが。-―長門さんはあのラブストーリーのヒロインが、どんな言葉でヒーローに告白したと思いますか?」
「………」


31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 13:38:37.11


長門が回答を用意してくれるとは、そもそも古泉も考えていない。古泉が長門に洒落を効かして渡した言葉が、返された試しは殆どないと言ってよかった。そして、それでよかった。誇張でも虚勢でもなく。
古泉は長門に言葉を投げ掛ける。長門は返すべき言葉のみを選んで古泉に表現する。古泉はそれを、笑って受け取る。
他愛もないそんな短いやり取りで、古泉は不思議と満たされた。単純な、決して流れの速くない、お互いのペースを守った掛け合いが、古泉は好きだった。
長門の関心を引く事柄が、どんな些細なきっかけで姿を現すかもしれないと思うと、幾ら返事が貰えずとも、自分からあらゆる言葉を彼女に送る行為のことは、止めようとは思わなかった。


だからその古泉の言葉も。本来ならば、長門に流されてそれでお仕舞いになるはずの、初めから不遇に終わることの分かりきった一言に過ぎなかった。

予定調和が覆された瞬間は、恐らく、この公園で見たあらゆる劇作を超えるもの。古泉は息を呑んだ。
――長門有希の唇が、動いた。


「強引な手を使っても、わたしはあなたを手に入れるだろう」


長門は真っ直ぐに古泉を見上げていた。そこには、何の羞恥も、躊躇いも、浮かんではいなかった。あるのは水に差し込んだような、揺らめく光を閉じ込めた奥行きの見えない瞳だけだ。
古泉は驚きのあまりに声をなくし、長門を見つめた。
長門の台詞はいつかの、映画での「悪い魔法使い」の台詞だ。秀逸な出来と判子を押すのは憚られるような構成の、それでも皆がそれぞれに何とか役割をまっとうして、どうにか日の目を見た映像作品。
古泉が最初に思ったのは、これは長門が長門有希なりに編み出した「ユニーク」な洒落に違いない、ということであり、あの映画で俳優役であり、今舞台上での俳優役でもある古泉に投げかけるものとしては、この上なく適切なプロポーズだという感嘆だった。
長門がその台詞をチョイスしたことに対する深読みは、当然のようにしなかった。
ほう、と息を吐いた古泉は、微笑をより穏やかなものにした。


32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 13:39:36.98


「強引な手とはなんでしょうか」

雪の降る世界で、客席には誰もいない二人だけの舞台の上で。俳優も女優も一人ずつの、タイトルも何もない即興劇の上演中、古泉が長門を試すように口にしたやり取りの続きを、長門は行動で示した。
棒立ちになっていた脚が急に踏み出され、隔てていた距離が縮まる。長門の腕が古泉の背に回され、柔らかな感触が古泉の胸に、冷えた体温を押し付けた。
抵抗の間もなかった。あったとしても、動けはしなかったろうし、しようという気が起きたかも怪しい。
――ここで見た劇では、抱きしめるのは確か、男性の側からだった筈なのだけれどと古泉は思い、数秒の逡巡の後、彼もまた少女をおそるおそる抱きしめ返した。

その名ゆえにか、姿かたちゆえにか。長門有希は冬にとりわけその存在を際立たせ、古泉を無自覚に惑わす。昨年の、冬の日のように。

この公園が失われても、この日のことを忘れることは出来ないだろう。もう、心ごと焼きついてしまった。
彼女に他意はない。これはきっと、僕の提案に、彼女が興味を示して「乗って」くれた、それだけの話なのだ。
古泉はそう思うことで心を落ち着かせようとしたが、冬に冷え切った身体とは裏腹に、胸は呼吸が苦しくなるほどどんどん熱くなっていった。


33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 13:44:23.77


以上です。レス拝借失礼しました。


34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 13:55:42.29


>>23>>33も乙乙






40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 14:56:21.36


喜緑「えー、まず、本日の議題ですが」

会長「ちょっとまて喜緑君」

喜緑「なんですか? 発言は挙手をしてからにしてください」

会長「ノ」

喜緑「はい会長」

会長「なんで家庭科室で会議をする必要があるのかね」

喜緑「それについてはこちらのレスをご覧ください」


54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/08/31(月) 15:33:24.22 ID:CMzrIKIG0
台風か。コロッケ買って来ようかな
プリンコロッケ・・・


会長「……ただの安易な思いつきの発言に見えるが」

喜緑「はい。ですが会長、今の世の中、なんか政権交代とか革新とかほざきまわってるじゃあないですか。
    私たちもそういう、これまでの常識をぶち壊すような何かをするべきと思うんです」

会長「君のその発言もただの安易な思い付きだろ」

喜緑「つくりましょう、プリンコロッケ」

会長「ダメだこいつ……」


42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 15:05:21.13


喜緑「まず材料は、プリンとパン粉と……」

会長「待て待て待て待て」

喜緑「なんですか? 発言は挙手してからに」

会長「いちいち面倒なことやってられるか、第一僕と君しか居ないだろうが」

喜緑「まるで新婚さんの新居でのふたりっきりキッチンですね」

会長「広いな! キッチンえらい広いな!」

喜緑「で、材料に何か問題でも?」

会長「まさかその市販のプリンにパン粉をつけて揚げるつもりじゃあないだろうな」

喜緑「プリンコロッケなんだからそうにきまってるじゃないですか」

会長「それはいわばフライドプリンだろうが! コロッケ何処いったんだよ!
    中身ドロドロで油吸ったパン粉とプリンの融合体の何処がコロッケだ!? 休日に街を歩きながら食えるか!? それ!」

喜緑「会長今日良く喋りますね」

会長「お前が喋らせてんだろうが!!」

喜緑「だってプリンなんてそう簡単に作れませんよ、メルヘンやファンタジーじゃないんだから」

会長「いや普通に作れるだろ!? 君のなかでどれだけプリンは幻想的な食物なんだよ!?」

喜緑「えー、じゃあ材料会長が買ってきてくださいよ」


44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 15:15:13.22


会長「……なんでこんなことんなってんだ」

喜緑「おかえりなさい会長。何買って来たんですか?」

会長「あー、卵、牛乳、生クリーム、ジャガイモ、鱈、バニラエッセンス、フランスパンだな」

喜緑「……なんかすごくカオスじゃないですか?」

会長「いいか喜緑」

喜緑「口調ヤンキーに戻ってますよ」

会長「いいよもうめんどくせえ! あー、コロッケってのは、大きく分けて、俗に言うクリームコロッケと、イモのコロッケと、それらの起源になったクロケットってのがあってな」

喜緑「さてはwikiりましたね会長」

会長「で、おそらく>>54の言うコロッケってのは、災害時に買い溜める食料No.1とされる、イモのコロッケだと思う」

喜緑「はい」

会長「しかし、どうせやるならやれるだけやってやろうと、思いつくだけの材料を買ってきた。これ全部生徒会費で落とすからな」

喜緑「じゃあ、まず何をしましょうか」

会長「まずイモを茹でろ。コロッケはイモを茹でなきゃ始まらん」

喜緑「はーい」


45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 15:24:55.18


会長「まずスタンダードなイモのコロッケをベースとしたプリンコロッケを作る……茹でたイモをマッシャーで潰してくれ」

喜緑「ぐーしゃ、ぐーしゃ、しあわせー」

会長(こいつ悪いもんでも食ったんじゃないだろうか)

会長「程よくマッシュできたら、そこに牛乳と卵、そして砂糖とバニラエッセンスを加える」

喜緑「……なんかつまんなくないですか? 両方の材料合わせただけじゃないですか」

会長「それ以外にどうしろってんだよ……つうか、これはかなり難易度低いほうだ、まだまだきついの控えてんだよ」

喜緑「じゃ、コレにコロモつけて揚げちゃいますね」

会長「やっちまいたまえ」

喜緑「じゅーじゅー」

会長「その間に次、プリンクリームコロッケに取り掛かる。……ただのクリームコロッケでもめんどくせーってのに、よくもまあこんな厄介なもんを」

喜緑「会長が勝手に始めたんですけどね、そのへんは」

会長「まずホワイトソース……バターと強力粉は準備室に常備してあったのを拝借するとして」

喜緑「バターが溶けたら、強力粉を振るいながら入れる……ですよね、会長?」

会長「Exactly(そのとおりでございます)。で、ダマが無くなったら、牛乳を適量と、秘密兵器生クリームを加えて……
    最後に塩を一つまみと、砂糖で味付け。これはプリン的に言うと、オハヨーの牛乳プリンに相当するので、タマゴは入れてやらん」

喜緑(タマゴを使ったパターンが思いつかなかったんですね、会長)


47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 15:37:00.00


会長「で、固めに仕上がったホワイトソースをバットに敷いて、冷えるまで冷蔵庫に放置しとけ」

喜緑「ところで会長、イモコロッケって油からあげなくていいんですか!?」

会長「うおおおおおい!!?」




会長「……スミクズを捨てて油を取り替えて温めなおしてイモを茹でなおしてるうちに程よくホワイトソースが冷えた」

喜緑「結果オーライですね、会長」

会長「お前ちょっと黙ってろ。……この際だから、最後のやつも作って、いっぺんに揚げるか」

会長「最後、コロッケの原型・クロケット……こいつが厄介もんなんだな、上手くいくかどうか
    喜緑、フープロは用意したか?」

喜緑「何ですかそれ、風俗のプロですか?」

会長「フードプロセッサーだよ! なんだその風俗のプロって! 通い詰めてんのか!?」

喜緑「我が校は割りとアナログなんで、すり鉢とすりこ木しかないです♪」

会長「……それでタラ潰しとけ、ハンペンみてーになるまで」

喜緑「はい、(情報操作で)できました」

会長「え?」


48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 15:44:27.20


会長「……まあいい。出来上がったすり身に、さっき潰したイモの一部と、砂糖、バニラエッセンス、塩一つまみと生クリームを加える。
    ブランデーがありゃぁ良いんだが、今は高校生にはなかなか売ってくれんから今回はスルーした」

喜緑「あ。ブランデーならありますよ?」

会長「何でだよ」

喜緑「調理用のなら未成年でも買えますよ?」

会長「……そうなの?」

喜緑「はい♪」

会長「……そういうわけでブランデーも加えて、だ。こいつをバッドに入れて、蒸す」

喜緑「蒸すんですか?」

会長「そもそもプリンは蒸すもんだ。
    蒸してる間に説明するが、クロケットってのは、ジャガイモを潰して揚げた物と、クリームの中に魚肉やひき肉を加えて揚げた者が主流でな」

喜緑「つまり、なんとかしてお魚かお肉を加えねばならなかったと」

会長「まあ大体そんなとこだ。まずくても俺は知らんからな」

喜緑「あ、蒸しあがりましたね。小麦粉とか入れてないのにちょっとふっくらしてます」

会長「卵ってのは意外と膨張効果があるもんだ。さて、こいつらを上げてくわけなんだが
    クリームコロッケは万が一爆発する可能性があるので、こいつだけ別の鍋で揚げるぞ」

喜緑「はーい」





49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 15:53:36.36


会長「イモ生地は適当な形に整えてパン粉をつける」

喜緑「ハンバーグ気分ですね、会長」

会長「クリームは厄介だぞ、冷えてるうちにパパッと俵型にまとめてパン粉を塗せ」

喜緑「スピードが命ですね、わかります。ご安心を、私は至近距離で発射された弾丸さえ指で摘んで潰せますから♪」

会長「クリームは潰すんじゃねーぞ……で、最後の魚肉生地は、適当に切り分けて衣を着けて揚げる……
    コロッケに共通して言える事だが、具は既に火が通ってるから、あんまり延々と揚げなくていいからな。
    ビーフカツみてーに二度揚げとかもせんでいいし」

喜緑「……ビーフカツ? 何ですか、それ?」

会長「知らんか? トンカツの牛肉版だ、要するに。ステーキ肉に衣を着けて揚げるんだ」

喜緑「ええっ!? なんでそんなもったいないことするんですか!? ステーキはステーキにすればいいじゃないですか!!」

会長「あァ!? 馬鹿言え、ステーキなんつう粗野な食いもんは邪道なんだよ! 神戸生まれなら牛肉のご馳走はビーフカツ、常識だろうが!」

喜緑「ありえません! 大体私神戸人じゃないです! ステーキのドンで食べたあの味以上の牛肉料理なんてありえません!」

会長「ステーキのドンだァ――!? てめぇ、ありゃぁ伴天連を妄信する愚かもんどもが産み出した、愚の骨頂の店だぞ!?
    まさかテメー、ガストで目玉焼きハンバーグ(笑)とか注文するクチじゃねーだろーなー!?」

喜緑「あーっ、馬鹿にしたー! すかいらーくグループを馬鹿にしましたね、会長ぉー! もう許しません、全面戦争です! 宇宙戦争です!!」


50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 16:02:45.00


会長「……ギリッギリで正気に戻れた……なんとかスミクズの量産は防げたぜ」ゼーゼー

喜緑「若干キツネ色よりタヌキ色ですけど……セーフですかね。
    これで完成ですね、会長?」

会長「いーや、未だだね。喜緑、お前、ぷっちんプリンのソコにカラメルソースが入ってなかったらどう思う?」

喜緑「グリコ爆破しますね」

会長「そういうことだ。コロッケにはソースが必要なんだよ。
    まあ、こんなもんは、砂糖と水を火にかけて、程よいところを見極めさえすりゃ誰にでもできる。
    こいつを、魚肉プリンコロッケとイモプリンコロッケに掛ける!」

喜緑「ソースが宙を待ってます、会長!」

会長「見たまえ喜緑君、我々の前に在る、これは何かね!?」

喜緑「プリンコロッケです! まがい無きプリンコロッケです、会長!」

会長「では、味見をしたまえ」

喜緑「わーい」


喜緑「……スイートポテトと薄皮クリームパンと伊達巻の味がします」

会長「」

おしまい


51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 16:04:36.66


以上で転載を終わり


54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 16:15:50.17


乙!



78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/11(金) 22:56:15.71





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ひろし「俺がクビ?」