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シンジ「綾波レイの消失」



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アルミン「セックス」


1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 03:26:41.00


シンジ「ん……」

シンジ「う…うわぁ!こんな時間だぁ!」

シンジ「今日は朝からシンクロテストだったんだ!急がないと遅刻しちゃう…」

シンジ「ミサトさんとアスカは…先に行っちゃったのか…。」

シンジ「…リツコさんにまた嫌味、言われちゃうんだろうな。」

シンジ「……………」


2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 03:27:23.01


ネルフ本部・第1実験場

ミサト「あーら、遅かったわね。シンジ君」

リツコ「32分18秒の遅刻…重役出勤ね。」

シンジ「す…すいません…」

リツコ「でも、シンジ君が遅刻するなんて珍しいわね。」

リツコ「起こさなかったミサトの責任もあってよ。」

ミサト「だってぇー」

マヤ「シンジ君、早くプラグスーツに着替えてね。」

マヤ「はい、これ。」

シンジ「……」

ミサト「どしたの?」

デジャヴ…か。


3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 03:28:06.59


ミサト「着替え終わったー?」

シンジ「終わりましたよ。」

ミサト「そいつは結構。」

ミサト「じゃあ、今日も一発!リツコを唸らせる数値、期待してるわよー!」

シンジ「そんなこと言われても…。」

アスカ「あ、バカシンジ。アンタ今更来たの?」

アスカ「本当、無自覚。無警戒。おまけに無計画ね。」

シンジ「ごめん……」

アスカ「ほら。さっさとしなさいよ。」

アスカ「全く…ここが空軍ならアンタ、三食抜きの上に戦闘機の燃料にされても文句言えないわよ。」

シンジ「ごめん……」

アスカ「あぁ!もうさっきからごめんごめんうるさいのよ!」

アスカ「日本人は謝れば良いとでも思ってんのかしら!」

シンジ「……………」

シンジ「………………ごめん」


4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 03:30:25.64


マヤ「それじゃあパイロットは搭乗準備して下さい」

シンジ「あれ………」

ミサト「どうしたの?シンジくん?」

シンジ「綾波は?」

ミサト「レイならいるわよ。」

ミサト「シンジ君の後ろに」

綾波「…………」

シンジ「う…うわぁ!」

綾波「おはよう」

シンジ「え…あ…おはよう」

ミサト「レイも人が悪いわねーw」

アスカ「シンジがバカなだけじゃなーいの?」

ミサト「じゃ、シンクロテスト始めるわよ!」


5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 03:31:07.16


………………

冬月「どうかね」

マヤ「三名共、前回よりも上がってる様です。」

マヤ「ただ…」

冬月「ただ?」

マヤ「レイのシンクロ率の上がり方が、何というか…急激なんです。」

リツコ「何パーセントの上昇?」

マヤ「えー…前回より約7%です」

ミサト「あら、凄いじゃない」

リツコ「特に心配すべき要素でもないわね。」

リツコ「このまま再々起動実験に移行しても問題はないかと」







6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 03:31:50.96


ゲンドウ「…………」

冬月「碇、心配は分かるが…一週間も延期したんだぞ。」

冬月「これ以上は老人達が煩いだけだ。」

ゲンドウ「………ああ。」

ゲンドウ「分かった。準備をしてくれ。」

ミサト「シンクロテストは?」

ゲンドウ「終了しても構わない」

ミサト「はい。」

ミサト「皆、あがっていいわよー!」


8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 03:35:18.18


同・更衣室

シンジ「すごいなー綾波。7%も上がったなんて」

アスカ「なーんか特別な薬でも打って貰ったんじゃなーいの。」

シンジ「まさかぁ…」

アスカ「それより、いつになったら出てってくれるの?」

シンジ「え?」

アスカ「ここ、女子更衣室よ」

シンジ「え………ああ!!」

シンジ「話しながら来たらそのまま………入っちゃった」

アスカ「……つくづくバカね」


12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 03:39:11.48


同・第3実験場

リツコ「レイ、準備はいい?」

レイ「…………はい。」

ゲンドウ「起動開始」

リツコ「主電源回路接続」

マヤ「主電源接続完了。起動用システム作動開始します。」

マヤ「…稼働電圧、臨界点まで突破しました。」

リツコ「第二段階へ移行して」

日向「パイロットとの接続、開始します。」


14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 03:40:24.18


ゲンドウ「…………」

冬月「どうした、碇」

ゲンドウ「…この間の相互実験の事と最初の起動実験を思い出していた。」

冬月「後者の方はいきなりお前に殴りかかってきたからな。ヒヤヒヤしたよ。」

冬月「まあ、お前の息子もレイも無事だったが。」

ゲンドウ「ああ。」

冬月「最近のお前は少し…いやかなり心配症だな。」

ゲンドウ「…………」


16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 03:44:30.30


青葉「回路正常」

マヤ「初期コンタクト異常なし」

日向「テストクリア。問題、ありません。」

リツコ「第三次接続準備」

マヤ「第三次接続準備完了。」
日向「第三次接続開始」

ビーッ!ビーッ!

リツコ「警報?!」

マヤ「異常発生!」

マヤ「プラグ深度が……!」

日向「パイロットがエヴァ側に引き込まれて行きます!」

リツコ「接続中止。回路遮断して!」

マヤ「ダメです!信号が届きません!」

日向「零号機、制御不能です」

ゲンドウ「実験中止!電源を落とせ」

日向「内部電源に切り替わります」


17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 03:45:39.90


マヤ「…ダメです。制御システム作動しません」

青葉「プラグの進行も押さえられません。」

リツコ「完全停止まであと何秒?」

マヤ「あと52秒です」

リツコ「パイロットを最優先事項と判断。エントリープラグ、強制射出!」

青葉「オートイジェクション、作動!」

マヤ「…ダメです!作動しません!」

ゲンドウ「レイ……!」

リツコ「このままだとこちらも危険だわ!特殊ベークライト急いで!」

マヤ「完全停止まで10秒…5秒…停止しました」

ゲンドウ「レイはどうなった?」

マヤ「パイロットの生死は不明!」

冬月「医療班と作業班を呼べ!」


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 03:46:21.60


同・自販機前

ミサト「レイが実験終わったら皆でご飯、食べに行きましょ。」

ミサト「勿論、私の奢りよ!」

アスカ「…明日は雪かしらね」

ミサト「ふふ。あなた達、最近色々頑張ったしね。」

ミサト「保護者として、ご褒美を与えるのは当然よ!」

アスカ「そ。じゃあ私は…」

アスカ「美味しくて…肉料理じゃなきゃいいわ。」

シンジ「なんで?」

アスカ「な…!なんでって……」

アスカ「ただの………願掛けよ。願掛け。」

ミサト「ふーーーーん」にやにや

ミサト「大丈夫よ、アスカ」

アスカ「何がよ。」


19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 03:47:41.47


ミサト「これからいくお店はもうそんな基準思いっきりクリアしちゃってるから」

アスカ「ミサトの行きつけ?」

ミサト「そーよん」

アスカ「ふーん。なんか意外ね。で、どこにあるの?」

ミサト「ここ。」

アスカ「へ?」

ミサト「社員食堂よ」

アスカ「………」

シンジ「………」

アスカ「…そんなことだろうと思ったわよ。」


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 03:49:00.45


プルルルルル

ミサト「あら、電話。リツコからね。」

ミサト「えぇ!レイが…?」

ミサト「…そう。すぐ向かうわ。」

シンジ「どうしたんですかミサトさん?」

ミサト「また…零号機の起動実験で事故ですって…」

シンジ「綾波は?」

ミサト「分からないわ。とりあえず、行かなきゃならなくなったから」

ミサト「食事は…また今度ね!」

アスカ「ちょ!ミサト?」


21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 03:50:18.29


同・第3実験場零号機前

マヤ「プラグ排出作業、完了しました。」

ゲンドウ「…………」

エントリープラグに近づく。

冬月「碇、お前一体どうする…」

作業員「司令、ハッチは我々が…!」

ゲンドウ「…………」

非常用ハッチを無理矢理こじ開けた。

ゲンドウ「レイ!大丈夫かレイ!」

綾波「…………」

ゲンドウ「レイ!レイ!」

綾波「……………」

ゲンドウ「…レイ」

マヤ「パイロット、確認しました。」

リツコ「医療班!急いで!」


23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 03:52:37.00


ミサト「探したわよリツコ!」

リツコ「あら、ミサト。ごめんなさい。病院に行ってたのよ」

ミサト「一体何が…?」

リツコ「起動実験中に、零号機が暴走したのよ。」

ミサト「また……?」

リツコ「ええ。しかも今回はオートイジェクションも作動せず。」

リツコ「プラグ射出も出来なくて、パイロットの救出が大幅に遅れたわ。」

ミサト「それで、レイは?」

リツコ「治療中。大した怪我はないみたいよ。」

ミサト「………そう。」

リツコ「身体、はね。」

ミサト「…………え?」

リツコ「意識が戻らないのよ。」


24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 03:53:37.37


ミサト「でも……シンジ君の時みたいに」

リツコ「今回はあの時と違ってよ。」

ミサト「…………え?」

リツコ「今の段階で…だけど。」

リツコ「多分レイはパイロットとして当分使い物にならなくてよ。」


シンジ「そんな…………」

ミサト「…シンジ君!」

ミサト「…聞いてたの?」

アスカ「気になるからミサトの後、ついて来たのよ。」

シンジ「綾波は…綾波は?」

ミサト「シンジ君…」

シンジ「………そんな」

シンジ「こんなにあっさり…」


僕の前から綾波がいなくなった。


25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 03:55:07.39


司令室

ゲンドウ「レイの様子はどうだ」

冬月「未だに目を覚まさんよ。」

ゲンドウ「……そうか」

冬月「お前の不安が的中するのはこれで2度目か」

ゲンドウ「……」

職員A「失礼します。赤木博士がお見えですが。」

ゲンドウ「………通せ」

リツコ「レイの件について調査結果が出ましたので報告いたします。」

リツコ「マヤ。」

マヤ「零号機を再度、調査したところ、パターン青が確認されました。」

冬月「…消えたのではなかったのかね?」

マヤ「確かに1ヶ月前の調査では。」







27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 03:55:59.28


冬月「それがまた確認されたのか!」

マヤ「『使徒』は零号機のコアに寄生、侵食しているものと思われます」

冬月「しかし何故あの時気がつかなかったのかね?」


リツコ「『使徒』は人間の精神に直接『虚数空間』を作り出し」

リツコ「その人間の精神と魂を内側に閉じ込める。」

冬月「それなら身体に異変がなくとも、意識が戻らない事にも頷けるな。」

マヤ「侵食がいつから始まっていたのか、どこから来たものなのか…特定できませんが」

マヤ「エヴァを利用して、パイロットの精神に入り込み、侵食する…」


28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 03:57:28.26


マヤ「1ヶ月前はほとんど零号機の侵食がなかったので我々も気付きませんでしたが」

マヤ「今は写真の通り、青い部分が目立っています。」

マヤ「シンジ君の意識が戻らなかったのも多分、この影響です。」

リツコ「シンジ君の場合、まだ零号機の侵食が進んでおらず」
リツコ「プラグ射出や処置も素早かったおかげかと思われます。」

マヤ「しかし、レイの場合は今まで何回も零号機に乗って来ています。」

マヤ「その間に影響を受けた可能性も、最近の不調から言うと否定出来ませんし…」
マヤ「今回は零号機の方の侵食も進んでいる上に処置も遅かったので…」

冬月「最悪の事態を覚悟しなければならない、か。」

ゲンドウ「…………」
冬月「零号機の方はどうなる?」

マヤ「侵食の速度は非常に遅いのでワクチンプログラムを組めばどうにか。」

リツコ「こちらで何とかしてみせますわ。」


29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 03:58:28.00


葛城宅
ミサト「ただいまー。」

アスカ「お帰りなさい。最近徹夜続きなのね。」

ミサト「まぁね。ちょっち始末書書かなくちゃいけなくて…」ミサト「シンジ君は?」

アスカ「寝てるわよ。」
アスカ「『綾波はどうしたんや』って鈴原達に聞かれたのが嫌だったみたい。」

ミサト「…………そう」
ミサト「シンジ君?」

シンジ君「…………」

アスカ「ダメよ。アイツ出てこないわ。」

ミサト「…………。」
ミサト「それだけ…レイの存在が大きかったのね。」

アスカ「…あのバカが弱っちいだけじゃないの。」


30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 03:59:18.36


僕にはまだ良く状況が分からなかった。

「綾波がいなくなった」

「もうパイロットとして使い物にならないかもしれない」

一週間前には歌ってた綾波が。
僕に「辛くて苦しい」と言ってた綾波が。

「上手く笑えない。」と言ってた綾波が。

「心と身体がバラバラだ」と言ってた綾波が。


こうして考えると綾波は……
綾波はおかしかったのだ。

でも、僕は気付かなかった。
いや、気付こうともしなかった。


31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:02:06.60


綾波だったから?

違う。綾波は良くわからない部分も多いけど
結局、僕らと変わらなかった。

あの時、綾波の異変に気付いていたら。
もしかしたらどうにかなったかも知れない。

「綾波はどうしたんや?」

その言葉が鋭く…突き刺さる

でも、もっとその前に僕は気付かなければならない事があったはずだ。

はずなのに…分からない。


ミサト「………シンジ君。入るわよ。」

シンジ「………」

ミサト「レイね…いつからかエヴァに乗るうちに」

ミサト「ちょっとずつ零号機に寄生してた使徒に精神を侵されてたの。」


32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:02:48.21


………やっぱり。あの時から変だったんだ。

シンジ「綾波はどうなるんですか」

ミサト「………精神汚染の可能性も否定出来ない。」

シンジ「そんな………じゃあ」

シンジ「…綾波が綾波でなくなる」

ミサト「そう。『人が人でなくなる』」

ミサト「………シンジ君のこの間の事故も、それが原因。」

ミサト「でも、シンジ君はまだ何回も乗ってる訳じゃないし…大丈夫よ。」

シンジ「………」

シンジ「僕が綾波の代わりに侵食されれば良かった。」

ミサト「……そんな」


33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:05:03.69


シンジ「綾波が変だった事に気がついてたんですよ。」

シンジ「だけど何もしてやれなかった。」

シンジ「僕がここにいるなんて…おかしいんですよ。」

ミサト「それは…いくらでも思える事だわ。」

ミサト「多分、シンジ君の事だから責任、感じちゃってるんだと思うんだけど」

ミサト「……それはみんな一緒だと思うのよ」

シンジ「………」

ミサト「明日……シンクロテストだから寝坊しないように、ね。」

ミサト「あなたには、やるべき事があるわ」

シンジ「…………」

ミサト「おやすみなさい」

シンジ「…………」


34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:06:32.76


司令室

冬月「まさかレイがな。」
冬月「全く使徒とは…分からんもんだよ。」

ゲンドウ「ああ。」

冬月「碇、どうするつもりだ。」

ゲンドウ「パイロット…か。」

冬月「ああ。老人達が代わりを寄越すと言って来た。」

冬月「全く…耳が早い。」

ゲンドウ「………」

冬月「とりあえずレイの回復を待つ、と返事をしたが」

冬月「無理にでも送り付けて来るつもりらしい。」

ゲンドウ「…仕方あるまい。」ゲンドウ「我々の目的はあくまで使徒を全て倒す事だ。」

ゲンドウ「全てはそれから始まる。」

ゲンドウ「これも、老人からすればシナリオの内、なのだろう。」

冬月「それに踊らされる役者は我々か老人か…だな。」


35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:07:23.24


ネルフ内・更衣室

シンジ「みんな…綾波がいなくなったっていうのに」

シンジ「こんな時でもシンクロテスト…やらなきゃいけないんだ。」

???「仕事だからね。」

シンジ「…………!」

???「僕らはいつでも使徒と闘わなきゃいけない」

???「そうじゃない?碇シンジ君。」

シンジ「何で…君は………」

カヲル「カヲル。渚カヲル。」カヲル「君と同じ仕組まれた子供。エヴァンゲリオンパイロット、さ。」

シンジ「新しい…パイロット?」

カヲル「そう。綾波レイの精神が使徒に侵されちゃったからね。」


36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:08:27.91


カヲル「僕は彼女の代わり。」
シンジ「綾波は…………」

カヲル「多分、もう使い物にならないんじゃないかな。」

シンジ「…綾波は…エヴァに乗ることが…」

カヲル「アイデンティティーだった、のかい?」 

シンジ「エヴァに乗ることが……絆だって…。」

カヲル「でもそれも無くなってしまった」

カヲル「じゃあ、彼女には何にもないね」

シンジ「…………それは」

カヲル「と、言うかシンジ君。君、僕の事覚えてないの?」

シンジ「…………え」

カヲル「………そうか。」







37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:09:37.29


カヲル「でなければここに居るはずがないからな。」

シンジ「君が………何いってるのか良くわからないんだけど」

カヲル「とにかく、着替えたら?遅刻するよ。」



第1実験場

ミサト「また遅刻よ。シンジ君。」

シンジ「すいません」

リツコ「あら…届いたみたいね。パイロット。」

アスカ「………」

カヲル「よろしく」

シンジ「………」

ミサト「じゃ、シンクロテスト始めるわよ」


38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:11:18.60


……………

マヤ「シンジ君のシンクロ率下がってますね…」

リツコ「あら。本当ね。最近ずっと調子よかったのに」

ミサト「…よっぽどレイの事が堪えたのね」

リツコ「ミサトの責任でもあるわよ。メンタル面のケアーも保護者の役目でしょ」

ミサト「…………分かってるわよ」

マヤ「それと…新しい少年なんですが」

マヤ「シンクロ率が二人を大幅に上回ってます。」

ミサト「まさか…」

リツコ「…上層組織から直接送り込まれた少年」

リツコ「(小声で)マヤ。彼について調べて頂戴」

マヤ「はい。」


39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:12:11.12


更衣室

カヲル「やぁ。お疲れ様。」

シンジ「……」

カヲル「最初の子供のこと、まだ気にしてんの。」

シンジ「………」

カヲル「もう彼女は回復するか分からない。」

カヲル「僕と仲良くやっていかないかい?」

シンジ「…………」

カヲル「彼女は君にとって何だったんだい?」

シンジ「同じエヴァのパイロット」

カヲル「でも、今の彼女はそうじゃない。」

カヲル「彼女との繋がりは無くなったって事になる」

カヲル「でも、君は…そうでもなさそうだよね」

シンジ「綾波があんな目に合うくらいだったら…」


40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:13:32.81


カヲル「…君が代わりに?」

カヲル「彼女も報われないなぁ…」

カヲル「忘れられちゃってる上に、そんな事言われちゃうなんて。」

シンジ「…………どういう事だよ」

カヲル「嫌だな。そんなに警戒しないでよ。」

カヲル「初めて会うんじゃないんだからさ。」


41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:16:40.21


同・リツコの部屋

ミサト「……寂しいもんね」

ミサト「事故の直後なのにネルフは何事も無かったように稼働してる」

リツコ「仕方ないわよ。パイロットの回復を待つ内に使徒が襲来しないとも限らないわ」

リツコ「パイロットはあくまでも『エヴァの一部品』に過ぎない。」

リツコ「当然、部品なんだから代わりはあって当然よ」

ミサト「部品ってアンタ…」

ミサト「………冷めてるのね。随分」


42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:17:35.26


マヤ「センパイ!」

リツコ「あら、マヤもう調べてくれたの。」

マヤ「はい…」

マヤ「彼について…各国のネルフのデーターベースで調べたんですけど」

マヤ「パイロット候補、パイロット、職員全てにおいてヒットしませんでした。」

ミサト「どういう事よ?」

マヤ「彼のデータ自体が存在してないんです。」

リツコ「上層組織から送られた事以外全て不明って事ね。」


43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:19:53.67


更衣室

シンジ「…………『初めてじゃない』って」

シンジ「さっきから何、言ってるの…」

カヲル「僕が言ってる事の意味、知りたい?」

カヲル「おいで。」

シンジ「…………」

カヲル「彼女を助けたくないのかい?」

シンジ「………綾波を?」

カヲル「このまま、現実から逃げてたら」

カヲル「彼女まで…失うことになっちゃうかもよ?」


44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:20:35.78


司令室

冬月「例の少年だが、シンクロ値50をマークしたそうだぞ。」

冬月「老人が直接送り込んだパイロットだ。曰く付きかもしれんな。」

ゲンドウ「………」

冬月「…お前だけの責任ではないぞ」

冬月「無理矢理、許可を出させた私にも責任はある」

冬月「しかしそんなことを全員が言っていたらキリがない」

ゲンドウ「…ああ。」


45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:21:59.51


同・隔離室
シンジ「ここは…」

カヲル「彼女が隔離されてる、とされてる場所。」

シンジ「………。」
カヲル「………」

ピッ

シンジ「ロックが………」

カヲル「君に、教えてあげるよ。」

シンジ「…………!」
シンジ「なんだこの…器械…」

カヲル「『隔離装置』らしいね。」

ピッ…ピッピッ

シンジ「何………やってるんだよ」

カヲル「何って?開けてるんだよ。」

シンジ「そんなことやったら…綾波は…」

カヲル「まぁ、大変な事になっちゃうだろうね」

シンジ「何………」


47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:23:58.95


カヲル「………ま、多分大丈夫だろうけど」

シンジ「何が………何が大丈夫なんだよ…」

カヲル「だって…」


カヲル「中に誰も居ないんだから」


シンジ「…………!」


シンジ「じゃあ…」

カヲル「別の場所に消えた訳じゃない」

カヲル「綾波レイは『この世界』から消えたんだよ。」

シンジ「でも…」

カヲル「今はみんな彼女のこと、覚えてるみたいだけど」

カヲル「そのうちどんどん忘れられていくんじゃないかな。」

シンジ「………どうして?」







48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:25:44.68


カヲル「『この世界』が彼女を『マイナス因子』だと判断したのさ。」

カヲル「彼女は無意識的にしろ意識的にしろ」

カヲル「君に『この世界』について教えたから。」

シンジ「綾波はそんな事一言も……」

カヲル「言葉でじゃない。君に直接教えたのさ。」

カヲル「君が寝ていた『2日間』に」

カヲル「君は知ってるはずだよ?」



カヲル「この世界が…」

カヲル「虚数空間そのもの」

カヲル「つまりは『虚構』なんだと」


シンジ「嘘…?」


49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:26:45.24


シンジ「じゃあミサトさんも?アスカも?加持さんも?」

カヲル「『この世界の彼ら』であって『現実の彼ら』じゃない」

シンジ「文化祭は?」

カヲル「『この世界の出来事』であって『現実』じゃない」

スッ

シンジ「………!」

急に隣の少年は僕の手を握った。


今朝、感じた既視感
遅れたシンクロテスト
消えた綾波
代わりにやってきた母さん
封筒
アヤナミ計画
3人で約束の場所へ
AAA
存在した綾波レイ
狂った母さん
誉めてくれた父さん
手を握って…帰る

カヲル「思い出した?」


50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:28:07.81


あの事件の犯人は綾波。
あの世界は『使徒』が綾波の心を利用した『虚数空間』だった…らしい。

この世界は『偽りだ』と綾波はあの2日間で教えてくれた

カヲル「だから『彼女』は『この世界』から消された。」

なのに僕は…

カヲル「仕方ないよ。それも、この世界が『君は忘れる』と決めたことだから」

カヲル「僕と言うイレギュラー因子が介入したのは…どうやら想定外だったみたいだったけど」

カヲル「あの時の君は」

カヲル「現実の君、そのものさ。」

シンジ「でも僕が戻る場所は」


51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:30:42.77


エヴァに乗って使徒と闘わなきゃいけない世界

父さんが酷い事をする世界

…アスカを死なせようとした世界


カヲル「だから、戻りたくないの?」

カヲル「でも、この世界は」



エヴァに乗って使徒と闘わなくても良い世界

父さんが酷い事をしない世界

アスカを死なせようとしなくて済む世界

そして

綾波が消える世界

カヲル「この世界は『意識の痕跡』で出来ているからとても弱い。」

カヲル「だから君が願えば、元の場所へ戻る事が出来る」

カヲル「でも」


52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:31:24.62


カヲル「君が望めばここに留まることだって出来るよ」

シンジ「もし…もし僕がここに留まったら」

シンジ「現実の僕はどうなるの?」

カヲル「ん…何とかなるんじゃない。」

カヲル「でも、それは『君自身が選んだ未来』じゃない。」

カヲル「その分、責任を取らなくても済むけどね」

カヲル「僕は君が『ここ』に留まることを選んでも」

カヲル「君が『現実』に戻ることを選んでも、そう出来る様に力を貸すつもりだよ。」

シンジ「君は……一体…」

カヲル「言っただろ?僕は君の味方だって。」


53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:32:41.04


カヲル「決めるなら早い方がいい。」

カヲル「君の周りの人間が全員『綾波レイ』を忘れたら手遅れだからね」

『綾波』と言う存在自体が段々消えていく…
それはとても耐えられるものじゃない。

でも、現実に戻ったら…

アスカが………

友達が……


一瞬、あの時の母さん…いや歪んだ綾波のセリフが頭に過った。

「たった一人の人間の為にシンジに辛い思いはさせたくないのよ」

…でも僕はその『たった一人』を選ばなくちゃいけないんだ


54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:35:56.45


ネルフ内・第1実験場

ミサト「シンジ君。着替え、遅かったわね。どこ行ってたの?」

シンジ「…すいません。」

マヤ「センパイ、年齢は『推定』でも大丈夫でしょうか」

リツコ「仕方なくてよ。不明な点が多いんだから。こっちで考えて入力するしかないわ。」

リツコ「じゃ、マヤ。零号機パイロットの書き換え作業よろしく。」

マヤ「はい。」

シンジ「書き換え作業って…」


55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:40:42.08


リツコ「新しいパイロットが来た以上、レイのデータは残して置いても仕方ないわ」

リツコ「要はレイのデータを抹消。新しく渚カヲルのデータを上書きするのよ。」

シンジ「抹……消……」

背中がゾクッとした。

彼が言った通り、どうやら
『消失』は始まっていたみたいだ。

皆、何事も無かったように振る舞っていること。

直ぐに新しいパイロットが送られてきたこと。

それに対して皆、普通に受け入れていること。


…大人は皆、そう言うものなんだと思っていた。


56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:50:41.03


綾波の『心』がなくなって

綾波の『身体』がなくなって

今、綾波の『絆』がなくなった。

次は…綾波の『存在』そのものがなくなっていくのだろうか。

やっぱり何かを失う事は…『恐怖』なんだ。


58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:53:11.98


ネルフ内・廊下

アスカ「シンジあんた、ここにいたのね。」

アスカ「あの変なヤツと一緒にいっちゃったから」

アスカ「………探したのよ」

シンジ「うん」

どんな顔でアスカと接したらいいか、分からない。

アスカ「…何」

…このアスカは『本物』じゃない『作り物』のアスカ。


シンジ「………ごめん」


アスカ「『ごめんごめん』言うなって今朝言ったばっかりでしょ」

シンジ「違う。」

シンジ「…本当にごめん。アスカ。」

アスカ「…何が違うんだか。」

アスカ「全く…なんなのよ。」


59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:55:03.13


ぐいっ

シンジ「ちょ……アスカ……」

アスカ「暇ならご飯、付き合ってよ。」

同・食堂

アスカ「おばさん、スペシャル定食2つ」

アスカ「私が奢るんだから、残したら許さないわよ」

シンジ「……うん」

アスカ「美味しいでしょ。私のオススメよ。」

シンジ「うん」

アスカ「もうちょっと美味しそうに食べなさいよ」

アスカ「………って無理もないわよね」

アスカ「私も…美味しくないもの。」







60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:56:28.05


アスカ「あの子がいなくなった事、アンタ、責任感じてるんでしょ。」

シンジ「…………」

アスカ「具合、悪そうだったもんね。」

アスカ「………でも私もあの場にいたわ。」

アスカ「だから………何て言うか」

アスカ「一応私も責任…感じてるのよ」

アスカ「ミサトに言うとか…何とか出来たかも知れない。」

アスカ「でも…何て言うか私が言うのも変なんだけど」

アスカ「周りも…もうちょっと深刻になってもいいと思うのよ」


61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 04:57:50.19


アスカ「でも皆、『レイの居場所』を埋めることの方が大事みたいで…」

アスカ「それが大人なんだって思ったら」

アスカ「私、悲しい顔が出来なかった。」

アスカ「でも、アンタが思いっきり落ち込んでるみたいで助かったわ。」

アスカ「悲しい顔、出来るから」

と言いつつアスカは少し、うつ向いた。


62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 05:05:05.04


シンジ「………ごめん」

アスカ「何で謝るのよ…謝んなくても…」

シンジ「違う。…本当に謝らなきゃいけない。」

シンジ「これから僕が言うこと…信じてくれるか分かんないけど」

アスカ「…信じるか信じないかは私が決めることよ。」

シンジ「………分かった。」

シンジ「受け止めて貰えるか分からないけど…話すよ」

あの2日間について
この世界について
現実について
アスカについて
綾波が消えていくことについて

彼から聞いた話、僕が知っている話を…全部話した

話さなきゃいけない。
そんな気がしたから。


63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 05:07:22.07


アスカ「…………」

アスカ「そう。」

アスカ「この世界は偽物で今の私も偽物」

アスカ「ホントの私はアンタにやられかけた」

アスカ「元の世界に戻るとレイに会えるけど私はアンタの近くにいない」

アスカ「この世界にいればレイは消えていくけど私はアンタの近くにいる」

アスカ「総合するとこんな感じね」

シンジ「………うん。冗談とかじゃないんだホントに…」

アスカ「アンタバカね」

アスカ「初対面に等しい人間の話をあっさりまるごと信用しちゃうなんて」

シンジ「いや………でも…」


64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 05:08:42.56


アスカ「本当、スーパーウルトラバカね!」

アスカ「アンタがここに残っても偽物のレイを失って…残るのは偽物の私よ。」

アスカ「ホントの私もレイもまだ生きてるんでしょ?」

アスカ「それともアンタは結局、レイと私なんてどうでも良くて」

アスカ「『私を死なせようとした罪』があるかないかで決めようとしてる?」

シンジ「…………!」

僕が迷っていた理由は
アスカと綾波…どっちかを選ぶ事じゃなくて

…逃げるか、逃げないか

それだけだったのか…


65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 05:09:57.32


アスカ「…そんなの私がごめんよ。」

アスカ「私に少しでも悪いと思うなら元の世界に戻りなさい。」

シンジ「でも…そうすると今のアスカは…」

アスカ「別に消えたりしないわ。元に戻るだけ。」

アスカ「それよか、偽物扱いされる方が気分良くないしね」



アスカ「そう思わない。ミサト?」

ミサト「………ギクッ」

アスカ「さっきからコソコソついてきてんの、知ってんのよ。」

加持「スパイには向いてないなw」

ミサト「………うるさいわね」


66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 05:12:25.31


ミサト「ま、とにかく…事情は分かったわ。」

ミサト「私もね、何かこう…違和感…感じてたのよ。」

ミサト「やっとピースがハマったって感じね。」

アスカ「シンジ、ミサトも協力してくれるみたいよ。」

アスカ「アンタが元の世界に戻れる様に。」

ミサト「シンジ君の話によればもう二度目なんだし、気にすることないわよ。」

シンジ「………ミサトさん」


67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 05:15:11.58


加持「シンジ君。『仕方がないからこっちだ』とか『仕方がないから』ってのは一番いけない。」

加持「君が『戻りたい』と願った上での結論なんだな?」

シンジ「………はい。」

加持「よし。じゃあ俺は君が決めた世界で君が生きられる様に協力するまでだ。」

加持「シンジ君。帰り方の検討はついてるのか?」

シンジ「はい。ターミナルドグマのリリスの前で…ミサトさんとアスカと綾波と手を繋いで…」

シンジ「………一人足りない」


68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 05:18:50.92


アスカ「ええ?」

シンジ「綾波はもう『ここ』から消えちゃってるから…」

ミサト「レイの他に心当たりは……?」

シンジ「あの時……一緒にいたのは綾波とミサトさんとアスカと加持さんと彼と…父さん」

加持「可能性としては俺か渚カヲルか司令ってことになるな。」



ミサト「じゃあ…ともかく、ここにいる4人で一度…試してみましょう。」


69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 05:20:04.63


同内・ターミナルドグマ

シュッ
ピッ

ミサト「……シンジ君。準備はいい?」

シンジ「………はい。」

アスカ「…………しっかしこの扉、開くの遅いわね」

ミサト「扉に文句言わないの」

ミサト「入るわよ。」

シンジ「その…皆、ありがとうございました。」

アスカ「もし、上手くいったら」

アスカ「ま………あっちで考えればいっか。」


70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 05:23:32.54


ミサト「じゃ、シンジ君。行くわよ。」


ギュッ

シンジ「……………」

シンジ「…………」

シンジ「………」

シンジ「………」






シンジ「………ダメだ」


71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 05:24:24.09


ネルフ・休憩室

加持「いささか、俺じゃ役不足だったみたいだな。」

シンジ「そんな……。」

ミサト「あと二人…か。」

ミサト「タイムリミットは?」

シンジ「明確じゃなくて…ただ『周りの人間が全員綾波の事を忘れるまで』って…」

ミサト「パイロットの方は捕まりやすいけど…もう一人は…司令、かぁ。」

リツコ「あら、お揃いね。仲良くティータイム?」

ミサト「………リツコ!」

リツコ「何よ…」

ミサト「あんたちょうどいいとこに来たわ!」

ミサト「レイの代わりに新しく来たパイロットって今どこ?」







72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 05:27:09.98


リツコ「……………え?」

ミサト「えっ」

リツコ「何言ってるのよミサト。」

リツコ「零号機には元々…パイロットなんていないわよ。」

ミサト「………え」

リツコ「零号機はダミープラグシステムを応用した『完全自動制御』」

リツコ「昔、確かにパイロットを育成してたみたいだけど10年程前に『事故』で死亡」

リツコ「それ以来零号機専属パイロットはいないはず」

リツコ「だから『新しいパイロット』なんて存在するはずないわ。」

ミサト「ちょっと…リツコ…アンタそれ本気で…」

リツコ「本気も何も、事実よ。」


73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 05:29:27.91


ミサト「そんな……………」

加持「残るはただ一人…か。」

加持「どうやらそんなに時間は残されてないみたいだな。」

シンジ「…………」

シンジ「…………父さん、か」


74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 05:31:52.25


司令室前

職員A「碇司令に面会…ですか?」

ミサト「急ぎよ。」

職員A「………申し訳ありませんが」

職員A「司令は只今ここには居りません。」

ミサト「どこ?」

職員A「外出届は出ていないので多分…施設内にいらっしゃるかと」


75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 05:36:59.66


ミサト「施設内って…」

アスカ「ただっ広いじゃない!」

冬月「どうしたのかね」

ミサト「副司令…。」

冬月「碇の居場所か。」

ミサト「司令は今どちらに?」

冬月「………地下に行くと言っていたな」

ミサト「地下…って…」

冬月「セントラルドグマだろう」

加持「行き違いか…」


77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 05:41:18.66


同・エレベーター

アスカ「良かったじゃない。お父さん、ターミナルドグマにいるんでしょ」

アスカ「探す手間が省けたわね。」

シンジ「…………うん」

アスカ「なんでそんな暗い顔してんのよ」

シンジ「…………」


何となく、上手く行き過ぎて怖い。
あの日…
文化祭の日にも、思った事だ。



ミサト「………着くわよ。」


エレベーターのドアが開く


78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 05:42:22.22


シンジ「…………」

加持「今度こそ準備はいいか。」

シンジ「…………はい。」

ミサト「じゃあ」

ミサト「開けるわよ」

シュッ
ピピッ……


79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 05:45:14.77


ミサト「………あれ」

シュッ
ピピッ……

ミサト「開かない?」

リツコ「それはそうよ。そうなる様に設定したから。」

ミサト「……リツコ」

リツコ「あんた達が何をやってるんだかは知らないけど」

リツコ「お話が上手く進んでハッピーエンド…」

リツコ「なんてあるはずないのよ。」


80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 05:46:16.54


シンジ「…………」

強烈な既視感…だ。

リツコ「でも私はこう言う流れが嫌いだってだけで」

ミサト「リツコあんた…」

リツコ「自発的にやってる訳じゃないわ」

リツコ「……全部命令よ。」
ミサト「…誰からの?」


81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 05:47:02.57


ゲンドウ「待っていた。」

シンジ「………父さん」

…カチャ

父さんはいきなり拳銃を構えた
シンジ「………」

ゲンドウ「少しでも時計の針を遅らせようとしたが」

ゲンドウ「来るものは来てしまう。」

ゲンドウ「私はここからお前を出したくない。」




ゲンドウ「私はお前を守る」


82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 05:48:06.20


ゲンドウ「お前がここから出れば嫌な現実に戻ってしまう」

現実

嫌な世界

エヴァに乗らなきゃいけない世界

アスカを死なせようとした世界

父さんが酷いことをする世界

怖い世界。

逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい
逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい
逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい
逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい
逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい
逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい


83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 05:49:10.38


ゲンドウ「ここに居ればお前はそんな思いをしなくて済む。」

ミサト「でも、それはまやかしにしか過ぎない」

ミサト「あなた自身が現実で闘って、前に進んでこそ…価値があるもの。」

ゲンドウ「…………」

ゲンドウ「…シンジは私が守る」


84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 05:51:28.56


シンジ「もう…遅いよ。父さん。」

シンジ「この世界にもう、価値なんかないんだよ。」

シンジ「勿論、父さんが僕を守ることにも。」

ゲンドウ「…………」

シンジ「僕は僕のいた場所に帰る。」


85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 05:53:18.02


シンジ「だから…」

シンジ「行かなきゃいけない。」

カヲル「その通り。」

カヲル「この世界に何の価値もない。」

カヲル「おめでとう。シンジ君。」

シンジ「君………は」

カヲル「この世界は崩壊を始めた」

カヲル「あとは彼を撃って、さっきみたいにすればおしまい。」

カヲル「元の世界に戻れるよ」


87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 05:56:51.15


シンジ「え…?」

カヲル「お父さんを撃つんだよ。君の手で」

カヲル「今のお父さんは『使徒の意識に取りつかれた』この世界を保つただの『媒体』にしか過ぎない。」

シンジ「『媒体』?」



カヲル「そう。『今のお父さん』は『君のS-DATに対する思い』そのもの。」







88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 06:00:20.68


シンジ「耳を塞げば…」

カヲル「心も塞がる」

シンジ「これがあると」

カヲル「お父さんが守ってくれてる気がした…のかい?」

カヲル「物には魂が宿るって言うしね。」

カヲル「『現実から逃げたい』っていう『君の願い』を叶えたんじゃないの?」


89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 06:03:31.42


カヲル「だから彼を撃てば君は元の世界に戻れる」

カヲル「大丈夫。彼は君を撃ったりはしない。」

カヲル「『君を守る』ことが彼を動かしてるからね。」

カヲル「ねえ、拳銃、持ってる?」

加持「………ああ。」

加持「本当に……シンジ君は戻れるんだな?」

カヲル「もちろん」


90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 06:10:43.78


リツコ「………させない!」

シンジ「………!」

リツコ「一歩も動かないで。」
リツコ「動いたら、自爆ボタンを押します」

リツコ「そうすればこk…」

バンッ

リツコ「えっ…………」


91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 06:11:53.85


ミサト「リツコ!」

ゲンドウ「ご苦労だったな。」

ゲンドウ「君には感謝している。」

ミサト「ちょっと……!」


ゲンドウ「本当に押されては困る。」

ゲンドウ「だから排除したまでだが」

ミサト「あんた…だからって………」


92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 06:12:46.71


カヲル「邪魔はいなくなった。」

カヲル「さ、シンジ君。撃つんだ。」

シンジ「そんな………出来ないよ」

カヲル「『本当のお父さん』じゃないんだよ?」

シンジ「だからこそ出来ない。」

シンジ「父さんは僕を傷付けたりしなかった。」

シンジ「なのに…抵抗しない人間を…撃てない。」


93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 06:15:55.97


カヲル「撃たなきゃ帰れない」

シンジ「それなら…」

シンジ「また…誰かを」

カヲル「傷付ける位なら、帰らない方がいい?」

カヲル「さっき言ったよね。彼は『君のS-DATに対する思いそのもの』だって」

カヲル「君は自分を傷付けたくないんじゃないの?」

シンジ「…………」


94:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 06:17:52.04


アスカ「あんた……レイはどうすんのよ。」

アスカ「『偽物』だったかも知れないけどあんたの為に消えてったんでしょ」

アスカ「このまま、『本物』まで消しちゃうつもり?」

加持「シンジ君。仕方がないからこっちに残る…のかい?」

加持「『仕方がないから』ってのは一番いけない。」

加持「引き金を引きたくないからここに留まる」

加持「それって…一番良くないと思うんだよ。」


95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 06:22:50.86


ミサト「シンジ君……逃げるより」
ミサト「現実と闘ってレイとアスカに…答えてあげることの方が罪滅ぼしになるんじゃないのかしら」


ミサト「手、繋ぎましょうか。」

ギュッ


シンジ「…」


シンジ「…………」

シンジ「ごめん…………父さん」


バンッ


ゲンドウ「…………」



ゲンドウ「良くやったな。シンジ。」

…………………
………………
……………
………


96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 06:25:01.56


僕は、この日
心の中から捨てた。

父さんが僕を守ってくれた
耳を塞げば心も塞がる

でもそれは全部まやかしだった。
もう誰も守ってくれない。

また、あの感覚

漂う…ふわふわした感覚


99:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 07:05:43.22


さるさんにひっかかってました

シンジ「これから闘わなきゃいけない。」

カヲル「一人で?」

ミサト「現実と?」

綾波「違うわ。」

アスカ「自分の為に戦う…なんて出来っこないのよ」

シンジ「じゃあ…」

加持「誰かの為に、さ」


100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 07:10:40.96


シンジ「でも、それって責任も負わなきゃいけない」

ミサト「他人の分も…ね」

シンジ「でももう何も失いたくない」

ゲンドウ「なら、守る為に戦えばいい。」

ミサト「守れなかった事を後悔するなら」

アスカ「戦うしかないのよ」

マヤ「そのまま逃げてたら」

リツコ「『自分』の責任にはならない」

綾波「でも。皆なくなってしまう。」

ゲンドウ「守りたいなら、逃げるな」


101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 07:13:54.32


シンジ「父さんから?」

ミサト「それもそうだけど」

アスカ「何より」

綾波「自分で選んだ未来から」

カヲル「君が目を覚ますとき、コレは多分抽象的な夢に過ぎなくなる」
カヲル「でも心の何処かにでも仕舞っておいてくれ」

アスカ「文化祭のこと」

レイ「私が二回消えたこと」

カヲル「それと、僕が君の味方だってこと」


102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 07:15:07.97


………………………
……………………
…………………
………………
……………
………



……はっ


気が付くと僕は黒服の男達に囲まれていた




シンジ「…またここだ」






新劇場版:破 に続く


104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 07:27:00.18


おつ



105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/14(月) 08:14:49.28


乙カリー




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P「へー、あずささんのミルクか」