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動物はどのようにして体に色を得たのか?青色の動物 : カラパイア

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 およそ6億年前まで、地球上の生物にとって色を見るということは重要ではなかった。そもそも目を持つ生物がいなかったのだ。

 動物の色覚の発達について研究しているロンドン自然史博物館のアンドリュー・パーカー氏によると、当時海を漂っていた単純な構造の生物は、太陽光を感知することはできたが、色を感じるために必要な生物学的小器官は何も持っていなかったという。

 その後、いち早く、海を泳ぐ捕食者が視覚を発達させていった。彼らは大きなエビのような見た目をしており、ハエのような複眼を得た。その目で、獲物の居場所を確認するようになったのだ。
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動物はどのようにして色を得たのか?

 獲物になるほうもこのままではいられない。暗闇でも目立つ色をしていたらすぐに食べられてしまう。そこで赤い獲物は、例えば赤い海藻に隠れたり、赤い体を使って敵を追い払うよう進化したりなどして適応しなければならなかった。

 さらに時が経ち、色はカモフラージュだけでなく、自分を健康的や魅力的に見せてパートナーを得るのに使われるようになった。

 数百万種が何回か大量絶滅を繰り返した後、ヒレや毛皮、羽毛を持つ生物は数百色に及ぶ多種多様な色を持つようになった。

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 動植物が持っている色というのは、基本的には特定の波長の光を強く吸収する色素から来ている。多くの色素は着色以外の方法にも有用で、例えばメラニンの微粒子は鳥の羽毛の強度を保ったり人間の皮膚を太陽光から守ったりする。葉緑素は光合成のために太陽光を吸収する役割を持つ物質だが、この色素によって植物は緑色に見えるのだ。

 多くの動物は植物から色素を得て消化したり変化させたりしながら、体の表面に独自の色素を持つことができるようになった。しかしそのためには適切なメカニズムを備えていなければならない。

 例えばピンク色のフラミンゴを見てみよう。ふわふわして動きのぎこちない赤ちゃんフラミンゴの色は、このときまだ白っぽい灰色である。餌となるエビやカニ、藻類から、カンタキサンチンと呼ばれる色素を得ているため、大人だけがピンク色になれるのだ。ヨーロッパコマドリやフィンチはイチゴからこの種の色素を得て、鯉も藻を食べることでオレンジ色になるそうだ。

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 この種の色の変化はときたま人間にも起こる。

 「もしニンジンを大量に食べすぎたときには、白目の部分が少しピンク色になるんです。これは同じ作用によるものです」とアメリカ国立動物園の館長であるサラ・ハレイガーは説明している。みかんを食べ過ぎた人が手の色が一時的に黄色くなるなるのも、カロテノイドというみかんの色素によるものだ。ピンクを食べればピンクに、赤を食べれば赤になるというシンプルな話である。

 しかし着色自体は単純な話ではない。太陽光を浴びずに日焼けしたような肌を作る薬を開発していた会社が1980年代に行った実験では、色白の人の大部分が、手の平と便のみ赤くなったという話もある。


動物が青色を得た理由

 ただしその色が青色となると話はちょっと難しくなってくる。フラミンゴにブルーベリーを与えても体を青くすることはできない。

 動物には色に限界があることがわかっている。茶色や灰色はよく鳥類に現れ、赤や黄色は食べ物に含まれる色素から作ることができる。しかし他の色、特に青は食べ物に含まれている色素から作ることが驚くほど難しいと、イェール大学鳥類学者のリック・プラムは語っている。その理由はいまだに解明されていないという。

 大多数の動物は色素から青色を作ることができない。実際に背骨を持つ地球上の生物で、青い色素を持つものは一種たりとも知られていない。それどころか、例えば孔雀の羽や青い目など、自然界でもっとも青い物にさえ青い色素はほんのわずかばかりも含まれていないのだ。

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 では、なぜ青く見えるのだろうか?

 「彼らは新たなタイプの光学的技術を発達させてきたのです。青色を手に入れたいがために」。 とプラムは解説する。これは構造によるトリックなのである。

 ブルーモルフォという蝶が良い例である。生物学者のダン・バビットがアメリカの自然史博物館昆虫動物園で何羽か飼育している。

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 この蝶は幅15センチほどの羽を持ち、その羽は片面が淡い茶色でもう片面が鮮やかにきらめく青だ。この蝶は羽の表面に光を反射する小さく透明な構造を持っており、ある特定の角度にだけ目を傷めんばかりにきらめく青い光を反射する。しかしこの羽の構造を細かく砕いてしまうと、結晶構造も破壊されてしまいただの灰色か茶色にしか見えないという。

 「有機生命体は青色を出すために異なる方法を発明していたのです」。とシンガポールで蝶の羽を研究しているアントニア・モンテイロは語っている。

 モンテイロが言うには、動物は青色効果を出すのに各々異なる物質を使っているのだそうだ。蝶の羽は、カニの殻を固くする物質であるキチンから作られた反射性の鱗粉で覆われている。更に2012年の研究では、羽毛に泡状のケラチンを使う鳥がいるということがわかった。この構造によって青い光だけが散乱されるのだ。

 青に見せる光学的構造を持てば、緑の発色も可能となる。

 緑というのは、動物が作り出すのが最も困難な色素だ。そこで一部の動物は色を混ぜることに手を出したのだ。

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 多くの緑色のヘビとカエルは実際には緑色なのでなく、黄色の色素と青色の光学的構造を混ぜ合わせて緑色に見せているのだという。 緑色のヘビが死んだときには、黄色の色素が次第に薄れていくため、体は青くなるのという。光を散乱して作られている青色のみが残ることとなる。

 この最高の例は、1998年ドイツで薄い茶色と灰色の土壌の層から見つかった5000万年前の甲虫の死骸だろう。数千万年も地中にいながらも、この甲虫は輝くメタリックブルーだったのだ。

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via:npr・原文翻訳:such

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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2015年01月03日 19:05
  • ID:wXgSr8TD0 #

今日雲一つない青空の下を散歩してて「何故人間は青を知覚できるんだろう」と思ったんだよなぁ。
青を認識するって実は結構不思議。

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2. 匿名処理班

  • 2015年01月03日 19:21
  • ID:.hsI6vP50 #

緑の事を青って言うのもこの辺りから来てるのかな?

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3. smat

  • 2015年01月03日 19:30
  • ID:ajmPpIL20 #

>泡状のケラチンを使う鳥がいるということがわかった。この構造によって青い光だけが散乱されるのだ

どういう構造なのかまで知りたかった

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4. 匿名処理班

  • 2015年01月03日 19:35
  • ID:.QGbIfaA0 #

ドラえもんだって最初は黄色かったけど流した涙の色で青くなったんだ

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5. 匿名処理班

  • 2015年01月03日 19:41
  • ID:cPo0cAZnO #

万物の創造主たる神が青色をお嫌いだっただけなのでは。

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6. 匿名処理班

  • 2015年01月03日 19:54
  • ID:pAhrlq2v0 #

植物の方が成績優秀だな

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7. 匿名処理班

  • 2015年01月03日 20:04
  • ID:jzpSLvLP0 #

アンドリューパーカーの「目の誕生」だと、最初に視力を得たとされてたのは三葉虫で、こいつはのちに遊泳タイプも生まれるけど、基本底生動物だったような
いつから遊泳動物の方が視覚に対する貢献があがるって方向に行ったんだろ?

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8. 匿名処理班

  • 2015年01月03日 20:12
  • ID:CaDBtyVb0 #


蒼の洞窟とか魅力的な場所だし、
緑や青い目は茶色の目からしたら羨望の的だから。


生まれもって宝石の用な瞳…マジで羨まし〜〜。

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9. 匿名処理班

  • 2015年01月03日 20:23
  • ID:5sMV0kdS0 #

へー( ・∀・)
青(と緑)はそう見せてるだけか
逆に元が死のうが反射構造が崩れなきゃ永遠に青く光ると
昔っからタマムシとかスカラベとか孔雀の羽根とか、そういうのがありがたがられてたのもこの青の特性のお陰なんだな

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10. 匿名処理班

  • 2015年01月03日 20:31
  • ID:ZguqOuNw0 #

ものすごく興味深いけど、難しい…

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11. 匿名処理班

  • 2015年01月03日 20:40
  • ID:6kgsD9ez0 #

あらかじめ物体にひっついているように思える様々な色が実は光の反射でしかないと言われても未だに理解できないんだ。

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12. 匿名処理班

  • 2015年01月03日 20:43
  • ID:s83fcMHW0 #

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のカエルが真っ黄+真っ青でこれは構造色じゃないだろ、と。

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13. 匿名処理班

  • 2015年01月03日 20:57
  • ID:3YcPjc.m0 #

そんな中で青色LEDを人類は獲得した。まさに奇跡である。

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14. 匿名処理班

  • 2015年01月03日 21:02
  • ID:RsOp21.N0 #

解った様な、よくわからん様な。。。
気になるのは
青い目についての説明が無かったんじゃね?って事
もう少しして欲しかった…

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