モチすする薔薇乙女達
- § プロローグ
- 真紅は激怒した。
アリスゲームを制し、犠牲となった姉妹達を命と引き換えに復活させて、自身は眠りに就くも
その後なんやかんやあって砕け散った自分のローザミスティカもジュンに再生してもらった。
このように順風満帆、気分は上々のうちに新年を迎えたにもかかわらず
真紅は激怒していた。特に理由もなければ、やり場もない怒りに満ち満ちていた。
マナー特集をやっているバラエティ番組に登場して、解説を入れている講師の顔を見るだけで
無限の闘志があふれ、思わず口からヤクザスラングが飛び出るほどだった。
- § 桜田家のリビング
- 真紅「ザッケンナコラー! 『それ一本締めじゃなくて一丁締めですよ』なんて
忘年会や新年会のケツで上司に指摘したら、ムラハチされっダロガー! スッゾコラー!」
ジュン「新年早々、朝からテレビ相手にマジギレしてるんじゃないよ真紅…」
真紅「ご、ごめんなさいジュン。私としたことが…、どうもアリスとなってからは血の気が抑えられなくて」
ジュン「究極の少女が、そんな物騒でどうすんだ」
真紅「しかし、この怒りあればこその生。戦うことが生きることである人間ならば、闘争本能こそがアリスの真髄…?」
ジュン「くだらないこと考えてないで、おもてで遊んでいる翠星石や雛苺達と一緒に体を動かしてこい。
ダラダラと寝正月やってるから、無性に精神が荒ぶるんだよ。体を動かせばすっきりするって」
真紅「まるでムラムラと性欲を持て余す男子中学生みたいに私を扱わないで頂戴ジュン。けど良案だわ、外に行ってくる」
ジュン(無駄に暴れられるんだったら、室内よりも屋外の方が被害が少ないしな)
- § 桜田家の庭
- 翠星石「♪ローゼン体操第一ぃ~」
雛苺「うぃ~」♪テレッテーレテレテテテーン(妖怪体操のテーマ)
翠星石「♪ローゼン♪ローゼン♪ローゼン♪ローゼン」ふりふり
雛苺「♪ろーぜんめいでん♪巻きますか」クイックイッ
翠星石「♪ローゼン♪ローゼン♪ローゼン♪ローゼン」ふりふり
雛苺「♪ろーぜんめいでん♪巻きません」クイックイッ
翠星石「♪ホーリエ♪ホーリエ♪お手紙ホーリエ」
雛苺「♪ますたぁ大事っ」
翠星石「♪ローゼーン♪ローゼーン♪ローゼェー-ンッ」
雛苺「♪めいでんでん」
真紅「…何やってるのよ二人して。変な歌と変なダンスね」
雛苺「あ、真紅ぅ! これはね! 翠星石と一緒にソーナン体操していたのよ!」
翠星石「遭難じゃあなくて柔軟ですよチビ苺。運動する前に体をほぐしておかねば肉離れとかになっちゃうのですぅ」
真紅「意味が分からない。肉とか無いでしょ私達には」
雛苺「でもね、この間、かなりあが準備体操無しで、いきなりかけっこしたら足が取れたのよ」
翠星石「世にも恐ろしい肉離れですぅ」ガクブル
真紅「それ金糸雀がポンコツなだけじゃない。あの子は私達よりも旧式だからガタが来てるのよ、きっと」
翠星石「ともあれ、翠星石達は柔軟終わったですから、これからTHEお正月なスポーツをエンジョイするです」
雛苺「真紅も一緒にやる?」
真紅「何をやるの? 羽根突き? 凧揚げ? こま回し?」
雛苺「そんなのは子供のお遊びなのよね。ヒナ達はもっと過激で大人な遊びにチャレンジするのよ!」
翠星石「そうです。翠星石の今年の抱負は、一つ上の大人なメイデンを目指すことでもあるです」
真紅「じゃあ、その大人な正月の遊びって一体?」
翠星石「ふっふっふー、チビ苺? 例のものの準備は?」
雛苺「オッケーなの! 熱々のニュルニュルを用意してあるのー!」
真紅「熱々のニュルニュル?」
雛苺「つきたてのオモチなの」
真紅「なぁんだ、おモチね。大人の遊びって言うから、てっきりローションかと思ってたわ」
翠星石「テメェは一体何を想像してたんですか真紅」
真紅「で、このおモチを使って何を…?」
雛苺「これからヒナ達が挑戦するのはズブリ! エクストリームモチアクション! THEモチすすりなの!」
翠星石「ズブリじゃなくてズバリ」
真紅「モチすすりですって!? 佐賀県の伝統技能で、命知らずのおじいちゃんがモチを呑みまくるというアレ!?」
翠星石「そうです。そのアレですよ」
雛苺「常に命の危険が付きまとうこのスリルにヒナ達はもう夢中なのよ」
真紅「な、なんてチャレンジャーなの! あなた達はっ!」
翠星石「ふふっ、怖気づいたですか真紅? まあ真紅はそこで座って見ているだけでも結構ですよ」
雛苺「うぃ。もともとヒナと翠星石で勝負の予定だったのよね」
真紅「馬鹿おっしゃい。私は怖気づいたわけじゃあない。むしろ嬉しいわ」
翠星石「嬉しい…?」
真紅「アリスゲームやってた時からハト派だったあなた達が、こうも闘争心をみなぎらせていることに」
雛苺「真紅…」
翠星石「…そうですね。チビ苺も翠星石も闘争の何たるかをアリスゲームで学んだですから」
真紅「いい目だわ二人とも。ならばこの勝負、もはやあなた達だけの間で完結していいのだろうか、いや、良くない」
雛苺「ほぇ?」
真紅「薔薇乙女を全員呼び寄せるのよ。このモチすすりを第2のアリスゲームとするわ!」
翠星石「薔薇水晶も?」
真紅「薔薇水晶もよ!」
雛苺「本気なのよ? 真紅!?」
真紅「当然。さあ、早く人工精霊を飛ばして皆を呼ぶのだわ。あ、そうだ! おモチも追加しなくちゃ…!」
雛苺「なんだか大事になってきたのよ」
翠星石「まさか、こうなるとは…」
- § 小一時間後・薔薇屋敷の庭・特設会場
- ジュン「さー、始まりました。第2次アリスゲーム、そのお題はモチすすり!」
巴「実況と解説は桜田君と私でお送りします」
みつ「ジュン君、よく実況役を買って出たわねー」
槐「本当。ああいう司会役みたいなのは一番嫌がるのに」
のり「真紅ちゃんに『実況役を断れば、あなたがおモチになるまで殴り続ける』って脅されたから…」
めぐ「そうだったんだ…」
蒼星石「みなさん、あけましておめでとーございまーす。これウチでついたおモチですんで、どーぞ!」
オディール「メルシー、蒼星石! 私、ライスケーキ大好きデース!」
真紅「ちょっと蒼星石! あなた、そんなところで油売ってないで席に着きなさい!」
金糸雀「モチすすり大会が始まるかしら!」
水銀燈「開始時間までに席に着かなきゃペナルティ食らわすわよぉ」
翠星石「それぐらいでいちいちペナルティとか厳しすぎですぅ」
雪華綺晶「汚いですわね。さすが黒薔薇のお姉さま、きたない」
ばらっしー「おモチモチモチたくさん食べるっしー!」バンバン
雛苺「ばらっしー、机を叩いちゃ、メッなの! 行儀悪いのよ!」
ばらっしー「アイムソーリーだっしー!」
みつ「あ、薔薇水晶ちゃんはばらっしー(※)仕様で参戦なんだ」
※ローゼン非公認ゆるキャラ(中の人は薔薇水晶) 子供達に大人気
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<i ● $ iゝ みんな応援よろしくだっしー
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めぐ「あれで、どうやっておモチをすするのかしらね」
槐「そりゃ、もちろんイリュージョンにインストールだよ」
のり「槐先生、何を言っているのか意味が分かりません」
めぐ「オディールだったら、ひょっとして分かる?」
オディール「ノン! 全然分かりまセん」
巴「…時間、一杯です。蒼星石ちゃんも席に着いたところで各乙女の前にすすり用のモチが運ばれていきます」
水銀燈「…来たわね」
金糸雀「おモチを一番多くすすって優勝はいただきかしら。カナこそが新たな時代のアリスよ」
翠星石「ふふん、負けねーですよカナチビ!」
真紅「ッ!!? ちょっと待って! みんな、このおモチは…!」
ばらっしー「何だっしー!? おモチがマグマみたいに煮立っているだっしー!?」
ジュン「喉越しを限りなく良くするために、おモチは限界まで過熱したため溶解状態にあります。溶解モッチです」
巴「みんな存分に、すすってね」
真紅「わ、私はここまで熱しろとは指示してないわよ!」
蒼星石「何という熱さ! モチが載せられた皿まで溶けかけている!」
めぐ「どんだけなのよ、それ」
槐「桜田君に頼まれて、僕が特別な製法で作ったおモチだからね。一つ間違えば発火する直前だ」
みつ「何故そこまで危険なものを…」
のり「きっとジュン君の真紅ちゃんに対する精一杯の反抗なのね」
雪華綺晶「…私、熱いのは少し苦手なのですが」
ばらっしー「このおモチは熱いのが苦手とかっていうレベルじゃないッしー!」
ジュン「苦情は受け付けません」
巴「制限時間内に一番多くのおモチをすすれた人がアリスです。はい、ではスタート!」
金糸雀「えっ!? もうスタートっ!?」
雛苺「みょわわっ! トモエまで淡々と進行をすすめちゃってるの!」
水銀燈「くっ! 誰も助けてくれないというわけね! 面白い!」ガシィッ
ジュン「おぉーっと! 先ずは水銀燈がいったー! 灼熱の溶解モッチを手づかみだ!」
めぐ「熱くないの!? 水銀燈!」
水銀燈「私の胸の中で燃えるアリスへの情熱の方が余程熱い! うおおーーっ」ズルズルズル
巴「勢いよく水銀燈がおモチをすすっていきます。一方その他の乙女達はまだ溶解モッチに触れることすらできてません」
翠星石「アッチ! アチチチですぅ!」
金糸雀「こ、こんなのを素手で掴んで、なおかつラーメンみたいにすするなんて水銀燈すごすぎかしら!」
真紅「くっ! やるわね水銀燈! あなたのアリスへの執念、尋常ではない! けど、私も!」ガシッ
一葉「水銀燈に対抗心を出して真紅も溶解モッチを握ったぞ!」
真紅「あなたにだけは遅れを取るわけにはいかないわ! 水銀燈ーっ!」ズゾゾー
ジュン「真紅もすすり始めた! 激熱で溶解状態のモチ! 熱さえ我慢できればすするのは容易かーっ!?」
ばらっしー「ばらっしーも本気を出すっしー! イリュージョン開放!」パカッ
巴「ばらっしーの左目の眼帯が外されました! そして何と、そこに目は無く、大きな穴が開いております!」
のり「まあ」
槐「ふふふ、あれこそがイリュージョンだ」
ばらっしー「いただきますだっしー!」ニョイーン
ジュン「ばらっしーのイリュージョンから、中の薔薇水晶の手が溶解モッチへと伸びる!」
オディール「Oh! ニンジャ!」
翠星石「そんなギミックがあったのですか、ばらっしー!」
金糸雀「まるで、たかっしーみたいかしら」
ばらっしー「どんどん、飲みこんでやるっしー!」ズルズルズル
巴「ばらっしーのイリュージョン(目)へと引きずり込まれていく溶解モッチ!」
ジュン「絵面的には完全にホラーだな」
めぐ「でも、あれだとばらっしーの中で薔薇水晶がちゃんとおモチ食べてるか分からなくない?」
みつ「そうね。取りあえずばらっしーの中に入
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- :-:2015/01/05(月) 21:41:47
- ばらっしーは着ぐるみがことごとく裏目に出てるな
- :-:2015/01/05(月) 22:03:23
- 蒼星石は可愛いし優しいなぁ
嫁にしたい
- :-:2015/01/05(月) 22:47:24
- リバースをガマンして、それでもピースする水銀燈可愛すぎるだろ
- :-:2015/01/05(月) 22:54:15
- リバースしそうな時点で可愛くないと思うんですが
しかし白の弱体化が著しいな
ただの幸せなお人形じゃないか
- :-:2015/01/05(月) 23:10:22
- 「真紅があれだけの失態をかました直後に、自分も同じ真似を…っ?」
「水銀燈はね…真紅のおばかを見るのが愉快かしら。でもどんなに愉快でもどんなに憎くっても
自分自身のおばかを殺す事も、自分自身のおばかをやめる事もできないかしら!」
「……」プルプルプルプル~~
「いえ! 耐えています。黒薔薇のお姉様は耐えています。長女のプライドでゲロを懸命に耐えていますわ」
「人間の偉大さはゲロに耐える誇り高き姿にある。昔の偉人の言葉通りかしら!」
「……」プルプルプルタルコス