ソニーハック事件:オバマ大統領による北朝鮮への制裁表明から見えること
ソニー・ピクチャーズがハッカー集団に攻撃され、新端末や社員の個人情報等がリークされてしまった一連の事件。この件に関して、FBIが北朝鮮の関与を示唆し、オバマ大統領が当該国における制裁強化を表明したのは記憶に新しいのではないでしょうか。
今回ホワイトハウスは「北朝鮮政府の代理人または高官」と見なされる「3つの団体」と「10人」を対象にした制裁を新たに決定しました。
アメリカと国連は、北朝鮮に対してソニーハック以前にも制裁措置をとってきました。ただ、これまでの北朝鮮による「やりたい放題」具合を見ると、その効果はなかったように思えます。こういった表明を見ると、ソニーハックにおける対応は、まさに今までの対応を象徴しているように思えます。一点興味深いのは、ホワイトハウスは今回の措置を、ソニーハックに対する「最初の対抗措置」と呼んでいること。数週間前に「何者か」が北朝鮮にDDos攻撃を仕掛けたわけですが、その関与を否定しているんですよね。だって今回の制裁が「最初」の措置ってことなので。
ちなみに、財務長官のジェイコブ・ルー氏は、
米国企業と市民を守るため、今後もFBIがソニーピクチャーズへのサイバー攻撃に関する捜査は引き続き行われ、必要であれば更なる措置を取る。
と、表明しているので、北朝鮮に対する措置は今後も続くようです。
ただ、今回の制裁は北朝鮮政府に圧力をかけているだけのようにも見えます。ソニーハックに関与した団体や人物、そうでない団体や人物もひとまとめにして制裁にかけたといいますか。
こうなってくると、北朝鮮がソニーハックに実際関与したのか、そうでないかは別問題な気さえしてきますね。ネットワークセキュリティーの専門家たちが証拠不足を指摘するなか、FBIとホワイトハウスは重要証拠を一般公開することなく、北朝鮮の関与を断言したのですから。さらに関係者の1人は「オバマ政権としては、この件について何か行動を起こす必要があると考えていた。今回の措置は最初の一歩と言える。もちろん、これでおしまいというわけではない」とも発言しているそうですが、この後一体何をするのでしょうか?
ホワイトハウスは確かに「行動を起こす必要があると考えた」のかもしれません。でも、それはハッカーたちに対して具体的に措置をとるわけでもなく、北朝鮮に対してのアプローチを策として掲げてきたわけです。さらに言うならば、ハッカーたちを捕まえるという具体的なものではなく、目的達成がわかりづらいアプローチを。ゴールは一体何になるんでしょうかね。
image by Shutterstock / frank_peters
source: Financial Times
Ashley Feinberg - Gizmodo US[ 原文]
(Chiemi)
- 007 ジェームズ・ボンド ブルーレイ・コレクション<23枚組> (初回生産限定) [Blu-ray]
- 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン