錬金術師「経営難に立ち向かう事になった」新人鉱夫「その3!」
■前回のあらすじ!
バターピーナツ器が爆発した。
ワイドレンジピーナツ器が誕生した。
錬金術師「面倒だけど経営難に立ち向かう事になった」
錬金術師「経営難に立ち向かう事になった」女店員「その2!」
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――――【 錬金術師のお店 】
錬金術師「…」ポリポリ
錬金術師「…」ポリポリ
錬金術師「…」ポリポリ
錬金術師「…」ポリポリ
女店員「…店長」
錬金術師「んあ」
女店員「いつまでポリポリしてるの!早く仕事して!」バンッ!
錬金術師「おいおい…。このバニラピーナツが絶賛の嵐なんだよ」
女店員「な、に、が、絶賛の嵐なの!」
錬金術師「ちまたで話題なんだよ」
女店員「店長がここ最近、外に出てるの見たことないんだけどなー?」
錬金術師「ばれたか」ポリポリ
女店員「バレバレだから!!」
…ガチャッ
新人鉱夫「ただいまですー」
銃士「ただいまー」
女店員「あっ、お帰りなさい二人とも」
新人鉱夫「外まで声が響いてましたよ~」
銃士「相変わらず毎日元気だなーって話してたところさ」アハハ
女店員「あう……」
錬金術師「まぁまぁ…許してやってくれよ」
女店員「誰のせいだと思ってるのかな、誰のせいだと」
錬金術師「新人鉱夫かな」
新人鉱夫「ふぇっ!ご、ごめんなさい……」シュンッ
女店員「て~ん~ちょ~……!」ギロッ
錬金術師「申し訳ございませんでした」
女店員「本当に、営業でもなんでもいいからしてよ!」
女店員「ワイワイレンジでチンだか分からないけど、あのせいで260万も使ったの分かってる!?」
錬金術師「ワイドレンジピーナツ器だっつーの。相応の支出だ」キリッ
女店員「壊していいの?」
錬金術師「使いすぎました、ごめんなさい」
女店員「はい」
銃士「うーん…。私はあまり、経営に物言いしたくはないが…」
銃士「出納帳見て、ある程度儲けも出たと思ったが…あれから1か月もたち、客が全然来ないのはちょっとな…」
新人鉱夫「倉庫は潤って素材は増えていくけど、売れないと意味もないですよね」
錬金術師「素材が沢山…。素材…素材…?何か忘れているような……」
錬金術師「…」
錬金術師「…あっ」
錬金術師「あ…!あぁぁっ!!」ガタッ!
女店員「!?」
銃士「!?」
新人鉱夫「!?」
女店員「ど、どうしたの?」
錬金術師「忘れてたぁぁ!!」
女店員「何が?」
錬金術師「…鍛冶屋に鉱石届けるの!!やべえ!!」
女店員「…」
錬金術師「ちょ、ちょっと鍛冶屋んところ行ってくる!!」ダッ!
女店員「先週、別の固定ルートを結んだから、もういらないと言われたんだけどね」
錬金術師「」
ズザザァ!!ドシャアッ!
錬金術師「…ま、まじか」ムクッ
女店員「折角の契約だったのに。まぁ、私も言い忘れてたから悪いんだけど……」
錬金術師「…」
女店員「現状、うちの商品とってくれるところはないし、どうするの…」
錬金術師「…」
銃士「う~む…。ちょっと話を割るが、今の利益とかはどうなってるんだ?」
女店員「プラス240万ゴールドにはなってるけど、給料含めてそこから60万を引いて…」
女店員「今月の時点でお店の利益としては180万かな…。雑費とかは別にして計算して、だけどね」
銃士「…かろうじて、プラスか」
新人鉱夫「残り180万で出来る事といえば……。うん、難しいですね…」
女店員「…」ハァ
錬金術師「はは…客がこねえとな…」
…コンコン
錬金術師「!」
女店員「って、こういうタイミングでのお客さん!」
錬金術師「こういう時のお客って、たいていお金運んできてくれる気がするぞ」
女店員「じゃあ、精一杯の笑顔で!」
錬金術師「いらっしゃいませー!どうぞぉっ!」ニコォッ
ガチャッ…
親父「相変わらず、だな」
錬金術師「」
女店員「」
新人鉱夫「」
銃士「」
親父「…」
錬金術師「親父かよ!」
親父「少したったら、店の様子を見に来るといっただろう」
錬金術師「ちっ…。なんだ、何の用だ……」
親父「結果、出してるんだろうな。あれから2か月になる」
錬金術師「…」
親父「出納長の1つくらいは、つけてるんだろう。見せろ」
錬金術師「…ほらよ」ポイッ
…バサッ!
親父「…」
親父「…180万、か」
錬金術師「文句あんのかよ」
親父「情けないな。これがお前の言う結果か?」
錬金術師「…始まったばっかだろ」
親父「部下を3人も持っている癖に、これしか利益をあげられないとは」
錬金術師「うっせぇ!」
親父「それともなんだ、お前の部下は無能か?」
錬金術師「何…?」
女店員「…」
新人鉱夫「…」
銃士「…」
親父「見ろ、部下のあきれた顔を。お前のリーダーシップとしてのゴミさに、笑顔すら忘れてるんだろう」
錬金術師「てめぇが来たからだろうが!」
親父「…俺がいなければ、お前と女店員は重罪だったんだぞ?その口のきき方……!バカ息子が!」
錬金術師「うぐっ…」
親父「本来なら、今日まで結果を出さなければ店をつぶす気でいたんだが…」
錬金術師「…」
親父「お前の働きは知っている。今回も特別に見逃してやる」
錬金術師「働きって、何のことだ」
親父「"アルスマグナ"」
錬金術師「!」
親父「俺が知らないとでも思っているのか。あそこの副機関長は中々うるさいハエでな。困っていたんだ」
錬金術師「…別に俺は、アルスマグナ自体にダメージを与えるようなことはしてねーぞ」
親父「なに?」
錬金術師「確かに、あそこには行った。だがアルスマグナを騙しただけで、特別なことはしていない」
親父「……まさかお前、知らないのか?」
錬金術師「何がだ」
親父「副機関長な…死んだぞ」
錬金術師「!?」
女店員「!」
新人鉱夫「!」
銃士「!」
親父「お前が作った偽黒魔石を使用して、首をナイフで掻っ切ったそうだ」
錬金術師「…っ!!」
親父「…お前が殺したのと一緒だな」ククク
錬金術師「う、うそだろ!!」
親父「…なら、アルスマグナへ行ってみたらどうだ?」
錬金術師「嘘つくなよコラァ!!」
親父「嘘など言わん。完全にアルスマグナが消えたとは言えないが、副機関長がいなくなったのはでかい」
親父「俺は少し楽に事業を進められるわけだ…。」
親父「それに免じて、今回は見逃しておこう。ではな……」
ガチャッ…バタンッ…
錬金術師「なっ…な…!」
女店員「て、店長…」
錬金術師「俺が…殺したのか……」
女店員「店長!ち、違うって…店長のせいじゃないでしょ!」
錬金術師「一緒だろ…。そう仕掛けようともしていた…からな…!」ギリッ
銃士「店長、気にすることはないよ。元々あいつらが悪いんだから」
新人鉱夫「そうですよ!気にするだけ損です!」
錬金術師「…っ」
女店員「…」ギュッ
女店員「そ、それに…店長……」
錬金術師「ん…」
女店員「私だって、店長に協力したから…。私も、その人を殺したのと一緒だよ…」
銃士「…それなら私もだな」
新人鉱夫「僕もですね…」
錬金術師「違う!お前らは関係ない!」
女店員「関係なくなんかない!」
錬金術師「!」
女店員「関係なくなんか…ない…」
錬金術師「…」
女店員「…だから、店長…。一人のせいじゃないから…」ブルッ
錬金術師「…っ」
女店員「…」
女店員「…」グスッ
錬金術師「…わ、わかったよ!わかった、わかったわかった!」
女店員「…!」
錬金術師「お、俺は気にしない事にする。気遣ってくれて、ありがとうな」
女店員「…うんっ」ゴシゴシ
銃士「…」フッ
新人鉱夫「はは…」
錬金術師(これ以上いうと、お前が本気で泣きそうだ。泣き顔はあまり見たくねえしな…)
錬金術師(そこまで想ってくれたのを、泣く寸前まで分からないとか…情けねえなぁ)
錬金術師(だが…俺が殺したのには変わりはない。あの時、そう言っちまったんだから…)
錬金術師(くそっ……!)
女店員「…」グスッ
錬金術師「…さ、さぁて!店を潤わせる作戦でも考えますか!?」パンパン
女店員「うん…」コクン
銃士「そ、そうだね!」
新人鉱夫「そ、それがいいと思います!」
錬金術師「えーっと、意見のある人!」
銃士「…」バッ
錬金術師「はい、銃士さん」ビシッ
銃士「せっかく素材があるんだから、ココだけじゃなくて、別の場所で売れないのかな?」
錬金術師「別の場所って…支店ってことか?」
銃士「そんな大それたものじゃなくていいと思うけど…」
錬金術師「…」
錬金術師「…市場に出してみる、とかか?」
女店員「市場って、前に行った麓町だか麓村の…?」
錬金術師「そうそう。貸しスペースは料金がかかるが、それ相応の儲けは出るとは思うな」
女店員「!」
錬金術師「女店員、悪いけど倉庫にある在庫を、何がどれだけあるか確認してもらえるか?」
女店員「うんっ、見てくる」
トテテテ…
錬金術師「…銃士、ナイスアイディア」ビシッ
銃士「店長が本当は浮かぶべきでは…」
錬金術師「…銃士、ナイスアイディア」ビシッ
銃士「…そ、そうだな。どういたしまして」
新人鉱夫「でも、市場って基本的に素材のままの販売が基本ですよね?」
新人鉱夫「うちにある在庫は、店長さんが既に錬成しちゃったりしてませんでしたっけ?」
錬金術師「それは問題ない。加工品でも、販売できるっちゃ販売できるし」
新人鉱夫「そうなんですか?」
錬金術師「…確かに市場は、素材目的で安価で手に入るが、加工品だって売っていいんだ」
錬金術師「まぁその