NASAが400億円以上かけて今年完成させたタワーが一度も使われない理由
NASAが7年もの歳月と3億4,900万ドル、日本円で約419億円もかけてテストタワーを建設。その直後に一度も使わず閉鎖するという、奇妙なことが起きています。一体なぜなのでしょうか?
ミシシッピ州、ハンコック郡にあるジョン・C・ステニス宇宙センター。その宇宙センター内にNASAが建設したのがこのテストタワー「A-3」でした。7年前に着工し、ロケットエンジンのテストや、真空空間を再現できるチェンバーなどを備えたテストタワーとして、今年6月にようやく完成しました。
しかし完成直後にNASAはこのA-3テストタワーを閉鎖。結局一度も使われることはありませんでした。
その理由は、2010年にコンステレーション計画が終了したこと。その計画の為に作られていたのに、プログラムが無くなっちゃったわけです。でもなぜ2010年に建設を中止せずに今まで続けられてきたかといえば、「何が何でも完成させたい!」というミシシッピ州の上院議員の強い要望を、アメリカ連邦議会が認めてしまったからです。結局完成しちゃったタワーを壊すわけでもなく、使わずともただ維持するだけでも年間70万ドル(約8,400万円)も掛かってしまう金食いビルが完成したわけです。
ウドの大木どころか、建っているだけでお金がかかってしまうこのテストタワー、その無駄金使いをひと目でも見てみたいという方は、ジョン・C・ステニス宇宙センターのビジターセンターから公式バスツアーで(遠目に)A-3テストタワーを眺めることができるとのことです。
source: The Washington Post
Darren Orf - Gizmodo US [原文]
(abcxyz)
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