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律「明日から合宿なんだ」



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1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 21:00:30.35


聡「へー、行ってらっしゃい。
 お土産よろしく。」

律「何言ってんだ!お前も来るんだよ!!」

聡「は?なんで!?」


3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 21:04:17.12


律「いやー…なんか私に弟がいるって話になったら、みんなが会ってみたいとか言い出して…」

聡「嫌だよ!合宿って軽音部だろ?俺バンドとか全然分かんないし!」

律「いやいや、でも、今回は私たちにとっては最後の合宿だから
 部員だけじゃなくて関係者やその家族も来てるから!
 部外者、お前だけじゃないし。」

聡「いや…でも…」


4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 21:06:54.62


律「…それに、軽音部の合宿だから、澪も来るぞ~」

聡「……!?」

律「海だから、水着も見れるぞー」

聡「………」

律「澪の水着がすごいんだ、これがまた!
 いや、水着も大胆なビキニでそれも凄いんだが、
 それ以上に、澪の、胸がすごいんだ…」

聡「…(ゴクッ」


6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 21:09:34.91


律「まー!どうしても嫌だというなら無理に連れてはいけないけど~?www」

聡「べ…別に…急に言われたからちょっと嫌だっただけで、
 行きたくないとは言ってないだろ…
 姉ちゃんがどうしてもって言うなら行ってやらなくもないけど…」

律「じゃあ、行くってことで決定でいいんだな?」

聡「別に、断っても姉ちゃんに無理やり連れてかれるだけだから、
 面倒だから行くってだけだけど!」

律「んふふ~」


8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 21:16:04.43


合宿当日

澪「よーし、全員揃ったな。
 じゃあ、むぎの別荘に向けて出発だ!」

聡(軽音部の部員って5人って言ってたっけ?
 確かに8人くらいいるし、部外者もいるんだ)

唯「ねぇねぇ、君が聡くんだよね?
 あはっ♪りっちゃんそっくり~」

紬「はじめまして。
 聡くんはお姉ちゃんみたいになにか楽器やってるの?」

聡「いえ…俺はバンドとか、よく分からないので…」

澪「聡の奴モテモテだなー」

さわ子「女子高生の集団と一緒に合宿旅行なんて、ツアーで売り出せば10万は取れるくらいだからね!」

律「いや…あいつ男子中学生で有って、中年男子じゃないので…」


9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 21:19:48.10


律「しかし、みんな物好きだよな~
 いくら男に縁がないからって、あいつ、中学生だぞ?w」

澪「いやー、でも聡も見るたびに男っぽくなってるしすぐに大人っぽくなるんじゃないか?」

律「おやおや澪ちゅゎん、もしかして聡に興味ありありですか?」

澪「ばっ…馬鹿言うな!ただ、私は聡も大きくなったなと言うだけで…」

律「ははっwまぁ、今日は男手はあいつだけだから存分に働いてもらわないとな。」






10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 21:25:57.69


合宿所最寄りの駅にて

聡(あ…あの子も誰かの妹かな?
 重そうな荷物、ギターかな?持たされて…代わりに持ってやるか)
 「それ重そうだね。お姉さんに持たされてるの?
 もしよかったら俺が持とうか?」

梓(!?…この子…確か律先輩の弟さん…
 さすが律先輩の弟だけあって、年上にもフランクだ!)

律「なんだ、聡、荷物持ってくれるのか?
 じゃあ、澪の分も持ってやってくれ!
 あ、唯も持ってもらったら?」

唯「え―悪いよー」

澪「大丈夫か?楽器は大切だから無理はするなよ?」

聡「!!全然平気だから!
 俺って結構こう見えても力強いし!
 澪姉のも唯さんも持ってやるよ!
 あと、そっちも!」

律「本当に大丈夫なのかよ…?」


12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 21:27:42.20


聡(1個1個は思ったほどでもなかったけど…
 楽器ってまとまると結構重いな…)

梓「あの…本当に大丈夫?少し、持とうか?」

聡「大丈夫!大丈夫!
 これぐらい!!(汗」


16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 21:31:22.85


律「よーし!さっそく海で遊ぼうぜー!!」

唯「わーい!」

梓「あの、みなさん…」

澪「最後の合宿だし、今だけは勘弁してくれないかな?」

梓「澪先輩まで…
 じゃあ澪先輩が言うなら仕方ないです!
 けど、遊び終わったらちゃんと練習しますからね!」

澪「練習だけじゃなくて、今日はお客さんにも来てもらってる、本番のライブをするんだから、
 みんな分かってるよ。」

梓「……」


17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 21:34:15.72


律「どうしたんだよ、聡~
 みんな、遊びに行っちゃったぞ~」

聡(体操座り)
 「い…いいよ…俺、荷物番してるから…」

律「ここ、プライベートビーチだから荷物番なんて必要ないんだけどなー。
 いいから、立てよ、せっかく海に来たんだし遊びに行こうぜ!」

聡(たってるから立てないんだよー!!)


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 21:37:28.64


律「なんだよ、つまらない奴だな!
 そんじゃあ、いいよ。
 おーい澪―!聡の奴が遊びたくないって言ってるから相手してやってくれ―」

澪「なんで私が!?
 あ、いや、聡の相手をするのが嫌って言う訳じゃないよ!」

律「そんじゃあ、聡救出は澪隊員に任せた!
 私は周囲の探索に行ってくる!」

澪「あ!おい!!
 全く律の奴…w」

聡(ゴクリ


19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 21:41:10.94


澪「どうした?女の子ばっかりだから面白くなかったか?」

聡「いや…そういう訳じゃないけど…」

澪「それなら、みんなと一緒に遊べばいいじゃないか。
 唯なんか聡を連れてくるって言ったら『どんな子なの?かっこいい?』って
 ずっと言ってたし。」

聡「いや…俺じゃあそんな期待には添えないと思うけど…」

澪「ふふ…そうだな。
 聡はあと10センチくらい身長が伸びないと
 一緒に歩いていても彼氏には見て貰えないだろうしw」

聡(う―…澪姉にとってはやっぱりそういう扱いなのかよ―……)


22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 21:46:48.81


梓「何か飲むものあったかな~」

聡「あ、ジュースだったらこっちのクーラーボックスにあるよ。」

梓「ありがとう。
 私中野梓。…あなたは田井中聡くんだったよね?」

聡「うん。よろしく。」

梓「一緒に遊ばないの?せっかく海に来たのに。」

聡「あ…うん…眺めてるだけで満足というか…」

梓「え…それは…誰を…?」

聡「え!?ちち違うよ!海!海を眺めてるの!」

梓「ふふふ、冗談だよ。」

聡「……」

梓「遊びたくなったら声掛けてね。
 ジュースありがとう。」

聡(……(///)


23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 21:50:42.99


律「いや~遊んだ遊んだ!」

紬「それじゃあ晩ご飯の準備でも始めましょ。」

憂「あ、それなら私たちが準備しておくんで皆さんは練習しててください。」

和「そうね。あなたたちが練習を始めたら私たちはやることもなくなるし。
 そっちの方が効率的でしょ。」

唯「さすが和ちゃん!効率的だよ!」

さわ子「と、言うか初めからそのつもりで部外者の子も連れてきたんでしょ?」

律「あ、分かった?w
 おい!聡もしっかり手伝えよ!」

聡「言われなくてもそのつもりだよ!」


26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 21:54:56.61


『食事準備組』

和「ま、食事の準備と言ってもバーベキューだから
 ご飯を炊いて材料を切るくらいなんだけどね。」

憂「でも、こうやって準備するのも楽しいですよね。」

和「そうね。えーっと、聡くんだっけ?
 あなたは炭をおこしてくれるかしら。」

聡「あ、はい!
 あのー…梓さんって、どこ行ったんですかね?」

和「??何言ってるの?」

憂「梓ちゃんは練習に参加してるから、食事の準備にはこれないけど、それがどうかしたの?」

聡「え゛!?梓さんって軽音部…というか、高校生だったんですか!?」


27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 21:57:28.83


食事中

憂「…って、聡くんがーw」

梓「うぅ…ひどいです。私ってそんなに子供っぽいですか?」

澪「まぁ、私服だったし…」

聡「すみませんすみません!俺、誰か参加者の妹さんかと思ってました!」

梓「むー…」

唯「違うよ、それはあずにゃんがかわいすぎるから、仕方ないんだよ!(抱きっ!」

梓「むぅ…(///」

紬(あらあら)






28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 22:01:20.40


食後

律「よーし!それじゃあ本日のメインイベントー!
 桜高軽音楽部放課後ティータイムサマーライブの開幕だよー!!」

澪「律の奴テンション高いな。」

紬「聡くんも来てるからかしら?」

和憂さわ子聡(ぱちぱち)

聡「そういえばおれ、姉ちゃんたちがちゃんとバンド組んで演奏するとこ見るの初めてかもしれないです。」

憂「そうなんだ?
 すごくかっこいいから、お姉ちゃんのこと大好きになっちゃうかも。」


29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 22:05:27.90


えんそう!

聡「………………………」(ボー然

和憂さわ子(拍手

唯「以上、放課後ティータイムでした!」

聡「…………」

律「おい聡!何ぼーっとしてんだよ!なんか言えよ!」

聡「すげぇ…」

憂「ん?」

聡「すげぇ…
 すげぇよ姉ちゃん!!
 皆さんも!凄いかっこよかったです!!
 くぅーっ!!なんつーか、ぐわぁ―っって来たって感じっす!!」

澪「喜んでくれたみたいだな。」

紬「聡くんも喜んでくれたみたいで、嬉しいわ。」


32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 22:09:28.01


聡(一人でこんな広い部屋にいてもなんか寝付けないな…
 なんか、それに、ライブからずっと体が火照って…眠れない…
 さっき行ったばっかりだけど、もう一回トイレ行くか…)

聡(えっと…どっちだったかな…?
 あ、明かりがついてるし…ここかな?)

聡(ん?窓?トイレじゃないのか…なんだろここ?
 あれ?…梓さん?一人で何やってるんだろ?)


34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 22:13:46.24


梓(譜面を見ながら)
 「ここからここに行ったとき、しっくりこなかったんだよなー」
 (シャンシャン)

聡「あの…梓さん…」

梓「!?…聡くん?」

聡「あ…昼間はごめんなさい。
 あの…同い年くらいと思ってタメ口聞いちゃって…」

梓「ん…怒ってないよ、そんなこと。」

聡「あの…それと…ライブ凄かったです…
 なんか、俺も…バンドしてみたくなっちゃったみたいで…」

梓「ほんと?そう思ってもらえたら、嬉しいかな。
 やっぱり律先輩と同じように、ドラム?」

聡「いえ、…ギターが、やってみたいかな…って」


35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 22:18:27.66


梓(そういえば、聡くんって澪先輩にあこがれてるって言ってたっけ?
 律先輩がドラム、澪先輩がベースだから、聡くんがギターやればバンドが出来るか。)

聡「俺、音楽のこととか全然知らないんですけど、
 梓さんのギターにグッと来たって言うか…
 あんな風に演奏したいな…って思って…」

梓「リードギターは唯先輩だったよ?」

聡「それでも…なんかよくわかんないんですけど…」

梓「じゃあ、今練習してたところだけど、聡くんにも少しギター教えちゃおうかな?」

聡「いいんですか!?
 よろしくお願いします!!」

梓「ふふ。聡くんはちゃんと練習しないとダメだよ。」

聡「俺、絶対超マジメに練習するっす!!」


37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 22:25:15.58


律「う~キャベツキャベツ…じゃなくて、トイレトイレ…ってあれ?唯に澪、むぎまで。
 スタジオの前で何やってるんだ?」

唯「あ、りっちゃん、しー、静かにこっち来て。
 ほら…見て見て。」

律「んー?
 あれ、なんだ聡の奴、梓と二人で。」

澪「私たちも練習しようかと思って起き出したらさ…」

紬「先客がいて、スタジオには入れなかったの。」

律「それにしては、なんて嬉しそうな顔してるんだよ」

唯「だって、あずにゃんと聡くん二人で練習してるのが可愛くって!」

紬「うふふ。なんだか、子猫がじゃれあってるみたいじゃない?」

澪「これじゃあ、邪魔はできないよなーって。」

紬「まぁ、いいじゃない。ここは若い子たちに任せて、
 私たちは朝、早起きして練習しましょ。」

律「それだと唯が起きだせないんじゃないか?」

唯「もー!ひどいよりっちゃん!」


39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 22:27:46.00


結局その後、桜高軽音部夏合宿は大過なく終了した。

ただ、俺は…この合宿を通じて、音楽が聞くだけのものではなく

演奏して…

みんなで演奏して楽しむこともできるのだと知ってしまった…


40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 22:32:22.30


聡「……」(ボー

律「どうしたんだ、聡。
 合宿からずっとぼーっとしっぱなしだぞ!
 気合入れろ!気合!!」

聡「…姉ちゃんか…
 !!
 そうだ!姉ちゃん!金貸して!金!!」

律「なんだ!?どうした?
 もしかして彼女でもできたか~?
 デートにでも行くつもりだろ?(ニシシ」

聡「違うよ!
 俺!ギターやりたいんだ!ギターが欲しいんだよ!!
 ギターっていくらくらいするんだ!?」

律(ほほう…わが弟ながら知恵を使ったな。
 将を射んとすれば先ず馬を射よって、
 梓に近づくためにギターを始めようって魂胆だな?)


41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 22:34:29.28


律「まー、5万位準備できれば大丈夫だろ!
 お年玉の貯金って残ってたか?
 足りないならおこずかい前借しな。
 姉ちゃんも一緒に頼んでやるからさ!」

聡「ほんと!?
 ありがとう!姉ちゃん!!」


44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 22:40:41.38


律「てなことがあってさ―
 聡がギター買うことになったんだ。」

唯(おお!)
澪(聡の奴…)
紬(あらあら)

律「でさ、買いに行くとき梓にも一緒に行ってもらいたくって。」

梓「私ですか?」

澪「それはいい考えだな!
 私たちはギターのことはそんなに詳しくないし!
 ギターのことはギターの梓に聞くのが一番だから!」

唯「澪ちゃん、私もギターだよ?」

律(こいつは…空気読めよ!)

紬「で…でも唯ちゃんはギターの理論とか仕様とか、あまり詳しくないでしょ?
 梓ちゃんならそういうことにも凄く詳しいし、
 初めてギター買う聡くんには適任だと思うわ。」

唯「む―…むぎちゃんまで!」

律「ま、そういう訳だから、今度の日曜日、一緒に行ってくれないか?頼むよ!」

梓「ハァ…そういうことなら…別にいいですけど…」






45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 22:44:25.87


聡「ギターの弦って怖いよな。細くて指切っちゃいそう」

律「そうだぜースパーッと切れて血がドバーッと」

澪「キャー!」

聡「澪姉が悲鳴を」

澪「痛い話と怖い話は苦手なんだ」

聡「大丈夫だよ。本当に切れてる訳じゃないし」

澪「オホン!練習すれば胸も大きくなって血が出ることもないよ」

聡「ほんとだーぷにぷにーぷにぷにー」

澪「///」


48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 22:47:40.03


次の日曜日

律『私は直前まで用事があるから現地集合な。
 一緒に選んでくれる人がいるから先に合流しててくれ。』

聡「…と言われて一人で来たけど…」

梓「あ、聡くん。久しぶり。」

聡「梓さん!お久しぶりっす!
 一緒に選んでくれる人って梓さんだったんですね。」

梓「うん。今日は律先輩も一緒に来るって聞いてたけど…」

(prrrr prrrr)

梓「私の携帯…律先輩からだ。
 もしもし…」

律『ごめん、今日一緒に行くつもりだったんだけど
 用事が思ったよりも長引いていけそうにないわ。
 悪いんだけど二人で先に行っててくれる?』


50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 22:50:43.61


梓「はぁ…用事ってなんだったんですか?」

律『えっ!?それはなんだ!受験勉強的なものに関係するもので…』

梓「夏期講習で補講にでもなったんですか?」

律『そう!それだ、それ!
 と、言うことで後は頼む!』

梓「にしてもタイミングいいですね。
 今、ちょうど聡くんと合流したところなんですよ。」

律『え!?いや、そうか!いや、たまたまだよ!たまたま!
 じゃあ頼んだぞ!!』

(Pi!←電話を切る音

律「危うくばれるところだった…」

澪「律が一人で墓穴掘ってたんだろうが!」

紬「そりゃタイミングはいいに決まってるわよね。
 今、こっそり様子を見ながら電話かけてるんだもの。」


52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 22:57:58.12


梓「と、いうことで、律先輩は来れないみたい。」

聡「なんだよ!姉ちゃん!
 ドタキャンとか勘弁してくれよ…」

梓「律先輩らしいといえば律先輩らしいです。」

聡「学校でもこんな感じなんだ?
 家でもいつもこんな感じでさ…いつも困らされてるんだよな~」

梓「ふふっ…
 律先輩の弟をするのって大変でしょ?」

聡「まぁ…でも、映画や…この間の合宿に連れてってもらったり、色々面倒見てくれるんで頭はあがんないんですよw」

~~~~

唯「なんか、親しげに話してるよ!りっちゃん隊員!」

律「うむ。聡のまぬけ面は見飽きたがなかなか良い傾向だぞ!唯隊員!」

澪「何やってんだ…」

紬「うふふ…」


54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 23:02:19.59


回想シーン

律『いいか聡!
 忙しい中時間を割いてお前のギター選びに付き合ってうやるんだ!
 お礼に食事くらいはおごれよ!
 私だけじゃなく、一緒に来てくれる人にもだ!』

聡『分かったよ!
 なんだよ、そんなにおごってほしいのかよ?』

律『いいから!とにかく、ギターを選んでもらったら必ずお礼に食事をごちそうするんだぞ!
 楽器屋から近いところでは、ここら辺りがなかなかおしゃれでいい感じだから、
 ここ!この店で必ず食事をおごるんだ!』

聡『うっさいなー!分かったよ!
 おごるから。もー。』

回想シーン終わり


55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 23:06:58.76


梓「……てな感じで、最初はこれがいいと思うよ。」

聡「ありがとうございます、おかげで助かりました。」
 (姉ちゃんはお礼に食事をごちそうしろって言ってたよな…)
 「あの…これから時間あったらお礼をしたいんで食事でもどうですか?」

梓「え…でもそんなの悪いよ。」

聡「いえ、大丈夫っす。
 梓さんのおかげで思ったよりもいい買い物が出来たんで。
 それに、梓さんにお礼もしなかったって姉ちゃんにばれたら
 締め落とされそうなんでw」

梓「律先輩なら…ありうる…
 それじゃあせっかくだからごちそうになろうかな。」

聡「ありがとうございます!」

梓「お礼を言うのは私の方だよ!ww」

聡「そうでしたねww」


58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 23:14:14.95


後日。

律「で、ギターの方はどうなんだ?」

聡「なんか…うまくいかないんだ…
 合宿のライブの梓さんみたいなのは無理としても、
 あの時教わったくらいは…って思うんだけど…」

律「まー、楽器ってのは自己流でやっててもなかなかうまくならないしな。
 ちゃんとした先生について教わらないと。」

聡「ギター教室とか通うの?」

律「違うよ、バカ!
 一緒にギター選んでくれたいい先生がいるだろうが!」

聡「梓さんに!?いや…いくらなんでもそこまでお世話になるのは…」

律「大丈夫!あいつは生真面目だから今頃聡がどうなってるか心配してるくらいだって!
 いいから電話してみろ!」

聡「なんだよ!姉ちゃんが連絡してくれるんじゃないのかよ!?」

律「自分のことなんだから自分で何とかしろ!」


60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 23:21:12.43


聡「こんなことまで聞いちゃって申し訳ないんですけど、
 何から練習したらいいか教えてほしくって…」

梓『んー…電話じゃあちょっと伝えにくいな…
 じゃあ今度の休みに一緒に練習する?』

聡「いいんですか!?
 じゃあ次の休みに行きますから!」

梓『あ、いいよ。私が聡くんの家に行くから一緒に練習しよ。』

聡「ありがとうございます!
 それじゃあ待ってますんで!!」

(Pi!

律「なんて?」

聡「今度の土曜日、教えに来てくれるって。」

律「なんと!?
 いや~遂に聡も家に女の子を招くようになったか!
 これはお赤飯を準備しておかないとな!w」

聡「いたた…背中バンバン叩くなよ!なんだよ、それ?
 なんでそのサムズアップなんだよ!?」


61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 23:26:42.03


翌土曜日

律「そんな訳で今私の家では梓と聡が二人きりでギターの練習をしているのです!」

澪「うわー…練習だけかな?おじさんとおばさんは?」

律「もち!出かけてます!」

紬「なんか…青春ねー!」

澪「…私たちも枯れるには早い…まだ早いはずだぞ!」

唯「でもりっちゃん。
 私もギターやってるんだから私が教えても良かったんじゃない?」

律「唯は…何も分かってないのか?
 いや、それは置いとくとしても、
 もし仮に唯が初心者に教えるとしたらまず、何をどう教える?」

唯「そうだなー…
 実際に演奏してギュイーンギュギュン!チュイーン!ってやるんだよ!…って。
 分かりやすいでしょ?」

律「いや、何言ってるか分かんないから」






64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 23:34:19.91


律「あれ、梓?今帰り?」

梓「律先輩は今お帰りですか?」

律「うん。
 聡は…実際のところ、どう?」

梓「やっぱり気になります?
 なかなか悪くないですよ。
 律先輩の弟さんにしてはすごく真面目だし。」

律(ふんふん。何か聞き捨てならないことを言われた気がするが
 聡は真面目…なのかは分からないがなかなかの好印象みたいだな)

梓「私の言ったこともちゃんと理解してくれるし」

律(何だ、聡の奴、いきなり尻に敷かれてるのか?
 まぁ、梓はいい奴だから心配するほどのこともないかもしれないが)

梓「来週も一緒に練習することになったんですけど、
 教えるのが楽しみです。」

律(来週も会いに来るって!なんだこれは!?うまくいきすぎてるんじゃないのか!?)


69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 23:42:48.09


梓「今日は、これくらいにしておこうか?
 来週までにこの本のこことここ、練習しておいて。」

聡「はい。
 俺…なんか、どんどん好きになってきてる気がします。」

梓「え…?(ドキッ」

聡「この間の合宿の時まで、バンドなんて全然興味なかったのに、
 今では、すごく、ギターが好きになってるんです。
 少しずつ、自分のやりたい音が出せるようになってくるのが楽しくて…」

梓「あ…そうだよね。
 楽器って、自分が出来るようになってくると…凄く面白くなってくるからね。」

聡「これも、全部梓さんのおかげです。
 本当にいつもいつもありがとうございます。」


75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 23:47:05.48


律「おーう、梓!
 今終わりか?」

梓「律先輩に唯先輩!
 学校で補習だったんですか?」

唯「そうだよ~」

律「でも、別に赤点という訳じゃないぞ!
 私学受験生を対象にした受験用の補習だからな!」

梓「別にそんなこと疑ってないですよ~」


77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 23:52:14.90


なんか最近は、ギターの練習をするのも楽しいけど

…梓さんと一緒にいられることも楽しい…いや、うれしい…って感じかな…?

なんかよくわかんないや…

でも、早く来週にならないかなぁ

今梓さん帰ったばかりなのに…

早く会いたいな…


ん…?

これは携帯電話…父さん母さん、姉ちゃんのとは違う…

もちろん俺のとも…

いや、分かってるんだけどね。

これ、梓さんのだよね。

うん。梓さんが忘れ物をしたのを再確認してみただけ。

で…携帯電話がないと困るだろうから、俺は忘れ物を届けないといけないんじゃないかと思う。

忘れ物届けるだけだし、追いかけてっていいよね?

忘れ物届けるだけだし…


78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 23:57:35.94


律「で、聡とはどうなんだ?
 どこまでいった?」

梓(どこ?)「はい。今日はピックを使った奏法を少し…」

律「いや、そういうことじゃなくて…
 その…AとかBとか…そういう…」

梓「A?B?なんですかそれ?
 いや、コードならもうちゃんと教えてますから大体大丈夫ですよ。」

律「だー!いや!そういうことじゃなくてね!」

梓「はい?」

唯「だから~
 …聡くんと、チューとか、そういうのはもうしたのかな…ってぇ~…ねぇ」

梓「は?」

律「唯!お前意外に恥ずかしい奴だな!
 そんなストレートな事聞くなよ!!ww」

唯「りっちゃんも意外に照れ屋さんだから!あんな言い方じゃわかんないんだよ!ww」

梓「あの…何言ってるんです?」


81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 00:00:52.11


律「いや、だから、男と女が付き合ってたら、
 そういうことになるのはおかしいことじゃないから!
 後輩や弟に先を越されるのは悔しいとか、そういうのはさておき、
 二人の関係がどうなってるのか気になる訳だ!」

唯「もーりっちゃんーww」

梓「いや…別に私たち付き合ってる訳じゃないですから…」

唯「別に隠さなくっても良いんだよ、あずにゃん♪
 聡くんのお姉ちゃんは公認だし、二人ならお似合いだよ!」


83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 00:06:07.92


聡(梓さん、駅の方に向かってるはずだよな…
 走れば間に合うかな…?
 電車が出る前に声かけないと…)



梓「聡くんが練習熱心で教え甲斐があるから教えに来てるだけで、別にそんなつもりはないです。」

唯「でもでも!好きでもないなら毎週会いに行ったり、なかなかできないよ?」



聡(あ、あそこにいるのは梓さん!姉ちゃんと唯さんと話してる!)



梓「いい加減にしてください!
 私そんなつもりないですから!!」

唯「そんな照れなくてもいいって~♪
 はっきり言っちゃいなよ!あずにゃんも聡くんのこと好きだって!」


85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 00:12:53.41


聡(追いついた!唯さんが足止めしてくれたおかげで!
 これで少し話もできるかも…)
 「あず…」
梓「いい加減にしてください!唯先輩!!
 私本当に聡くんのこと好きだとかそんなこと全然思ってないですから!
 大体聡くん中学生じゃないですか!
 中学生を好きになるとか、付き合うとかそんなの私考えたことないです!!」

聡「……さ…さん…」

梓唯律「!?」

聡「いや、大丈夫っす…
 俺、あの…あ、忘れ物…梓さん、携帯忘れたんで…
 届けに来ただけですから…
 別に、すぐ帰るから…大丈夫…っす…」

梓「あの…ありがとう…これは…その…」

聡「本当に大丈夫だから!
 俺、中学生だし、まだ全然子供だし!
 気にしてないっすから!!」
(携帯を押しつけダッシュで反転家に向かって駆け出す)


87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 00:14:43.38


律「あいつ…!!
 悪い、唯!私は聡を追っかけるから梓を頼む!!」

唯「え…あ、うん!!」

梓「………」






90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 00:16:42.00


さすがは唯様絵に描いたようなKYっぷりだ



93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 00:20:55.54


その夜、聡はご飯の時間になっても一回も姿を現さなかった。

翌朝も、部屋から出てくることはなかった。

夜になってようやく部屋から出てきた聡は目が真っ赤でずっと泣いてたんじゃないかと思えた。

私には何もしてやれない。

でも、私にも責任の一端はあるんだし、聡が声をかけてきたら全部受けとめよう。

今、聡の為にしてやれることを全部してやろう。


聡「姉ちゃん…これってさ…」

律「お前は今、恋をしてるんだ。

 梓のことを好きになってたんだ。

 恋愛は…初めてか?」

聡「うん…

 これが人を好きになるってことだったんだ…

 なんで…なんで…うぅ…」

結局その夜も聡は一晩中泣きあかしたみたいだ。

一晩中嗚咽が私の部屋にも聞こえてきたから…


95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 00:28:06.63


月曜日夜平沢家

憂「お姉ちゃん…梓ちゃん、何かあったか知ってる?」

唯「あずにゃんどうかしたの?」

憂「今日は1日中落ち込んでて…
 話しかけても気付いてないみたいだし、
 部活も休んじゃってたし…」

唯「う~ん…これが、非常に難しい問題が発生してる訳ですよ…」

憂「え!?梓ちゃん何か問題があったの?
 何があったの?私、梓ちゃんの力になりたいから、
 何かあったなら教えて!お姉ちゃん!!」

唯「う~ん…まだ憂が力になるのはちょっと早いと思うから…
 今は、待ってあげて。
 きっといつか、あずにゃんにも、聡くんにもいいようになるはずだから、
 悪いけど、それまでは待っててもらえないかな?」

憂(聡くん?律さんの弟さんだっけ?)
 「うん…お姉ちゃんがそういうなら…私、待つ。」


101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 00:34:00.93


結局…そのまま2週間ほど経って、梓ちゃんは表面的にはだいぶ明るくなって来ました。

でも、時々一人でふっ、と考え事をして辛そうな顔を見せるときがあります。


律「中野梓はいるか!?」

澪「だから後輩の教室で大声を出すなっての!(げんこつ」

憂「律さん!澪さん!」

梓「あの…私…先輩たちに話せること…ありませんから!!」

憂「あ!梓ちゃん!なんで逃げるの!?」

律「甘いな梓!
 そっちには伏兵を潜ませてあるんだ!!」

紬「ごめんなさいね、梓ちゃん。
 ちょっとお話しするだけだから。」

梓「嫌だ!離してください!う゛ー!!」


104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 00:39:22.09


律「別にとって食おうって訳じゃないんだ。
 ただ、最近梓、私たち…特に私のこと避けてるだろ?
 だから少し、話をしたかっただけなんだ。」

梓「私、別に先輩に話すことなんてないです。
 私は思ったことを言っただけで、悪いことをしたつもりはないです!」

紬「じゃあ、なんでそんなに苦しそうな顔してるの?」

梓「生まれつきです!」

澪「別に私たちは梓に無理に聡と付き合ってくれって言いたい訳じゃないんだ。
 ただ…あいつは、あれで、結構真面目というか…いい奴だからさ…」

律「だから、断るのでもいい!
 とにかく一度聡とちゃんと話して答えを出してほしいんだ!
 頼む!梓!!」


105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 00:44:56.22


梓「そんな…そんな風に頭を下げないでください…
 あの…私も…先輩たちを避けてたのは謝ります…ごめんなさい!!」

律「じゃあ…!?」

梓「あの…律先輩。
 私も律先輩に聞きたいことがあります。」

律「なんだ!?
 私に応えられることならなんでも答えるぞ!」

梓「あの…聡くん…最近ギターは練習してますか?
 あの…自惚れだったらごめんなさい!
 聡くんがギターを始めたのって…その…本当はギターが好きだった訳でもないのに
 私に合わせて、始めたのかな…って思って…」

律「いや…初めは、あいつは単純にギターをやりたくて始めたんだと思う。
 それを私たちが勝手に勘違いして…その…おぜん立てしちゃって…」


107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 00:52:52.58


梓「じゃあ…聡くんはギターを好きになってくれたんですか?」

律「あぁ…でも…あれ以降…何度か部屋で、一人で練習してるのが聞こえてきたけど
 ここ数日は…
 以前はそれこそ毎日練習してたのに…」

梓「じゃあ…もしかしたら、ギターのこと好きじゃなくなっちゃったのかな…私のせいで…」

澪「梓!」

律「そんなんじゃない!
 ただ…一人で、先生もなしだと、どうやっていいのか分からなくて
 壁にぶつかって、苦しんでるみたいなんだ…」


125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 01:28:51.48


>>107>>108の間にいれてください…

梓「やっぱり私のせいじゃないですか…
 私が聡くんに教えてあげられないから…」

律「いや、本当にそんなつもりはなかったんだ!
 気を悪くしたんなら謝るから…勘弁してくれ!!」

梓「いえ…私の方こそ取り乱してしまって…
 約束ですし、一度…すぐにとはいかないですけど
 自分の気持ちに整理がついたら聡くんと直接会って、
 話をしたいと思います…」

律「ありがとう、梓。」

梓「だから、そんな頭を下げないでくださいよ、律先輩!」

紬「じゃあとりあえず、私たちは、仲直りね。」






108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 00:57:24.10


今日は日曜日…

ここしばらくはずっと聡くんとギターの練習をしてた…

律先輩は聡くんが壁にぶつかってるって言ってたけど、

どんな壁にぶつかってるんだろう?

私が上げたテキストは順番通りにやってるんだろうか?

これまで私が教えた課題は全部こなしてるだろうか?

いつもみたいに楽しそうに練習してるのだろうか?

…それはできる訳ないか…

どんなことを考えて練習してるんだろう?

壁にぶつかってギターを嫌いになってしまわないだろうか?


どうやら私は今、聡くんがどうしているか、すごく気になってるみたいだ…


110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 01:00:43.63


梓「律先輩!聡くんはいますか!?」

律「梓…わざわざ来てくれたんだ…
 でも…聡の奴、こんな時に友達と遊びに行ってて…
 ちょっと携帯にかけてみる。話すか?」

梓「いえ!直接会って話します!
 どこにいるかだけ教えてください!!」

律「えっと…商店街のゲーセンにいるみたいだ!」

梓「ありがとうございます!!」

律「商店街の方向わかるのか!?」

梓「……ごめんなさい…教えてください…」


113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 01:06:38.05


律「聡がいつも行くゲーセンは、こっちだ!
 ここだ、ここに友達と遊びに来てるはずだ!」

梓「ありがとうございます!
 あ…聡くん!!」


そこにはゲームで遊ぶ聡くんがいた。

笑ってる…笑ってるけど…私の知ってる聡くんはそんなつまらなさそうな笑い方なんてしなかった。

出来ないこともあるけど、新しいことが一つできるようにあるたびに

瞳を輝かせて、本当に嬉しそうに笑ってた。

なんでそんなに…生気のない笑い方するの?

今が楽しいんじゃないの?

ゲームが好きだから、ギターの練習もサボって遊びに来てるんじゃないの?

律先輩は練習はサボってばっかりだけど、いつも楽しそうに笑ってた。

なのに、聡くんはなんでそんなつまらなさそうに笑ってるの?


全身の毛穴が開いたような気がする。

こうなると私は、自分でも止められなくなっちゃうんだ…


114:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 01:10:33.07


「 田 井 中 聡 ― っ ! ! 」

気付いた時には大声が出ていた。

「あ…梓さん…?」

「誰?」

「田井中の知り合い?」

ゲーセンの喧騒が一瞬静まる。

「今の聡くんは楽しいの!?

ここでゲームをすることが!

なのになんでそんなつまらなさそうな顔してるの!?

ギターは…もう好きじゃなくなったの!?」


117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 01:19:58.48


「………」

「ギターは、好きです!今でも!

でも…俺一人ではやっぱりダメです…

俺にはギターを教えてくれる人がいないと…俺はダメなんです!」


「甘ったれるなー!

好きなんでしょ!好きならなんであきらめるの!?

好きならちょっと一回くらいうまくいかなくて食い違いがあってもあきらめられないよ!?

初めから、ダメなんだからとあきらめるくらいなら、好きとか言うなー!!」


118:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 01:21:22.73


「……俺は…

俺は今でも好きです!!

あきらめてなんかいません!

その為にはもっともっと梓さんに付き合ってもらわないといけないんです!

でも、俺、中学生だから…子供だからって諦めてました!!

でもやっぱり、あきらめられません!

好きなんです!!

俺と!付き合ってください!!」


「~~~~~!!

じゃあ、私は聡くんと付き合います!

だから、ずっと好きでいて!!

ずっとあきらめないで、私と一緒に歩いて行って!!」


「ありがとうございます!!」


124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 01:27:03.03


『おぉぉぉぉぉ』

ゲームセンター内に歓声が上がり

続いて拍手が巻き起こる。

澪「おい律!これ、どういうことだ!?」

律「澪!?いや…梓が聡と直接話したいというから案内してきたんだけど…」

紬「なんだか、すごいことになっちゃった!」

唯「むぎちゃん、その割には嬉しそうだよ?」

紬「そういう唯ちゃんだって…」

唯「りっちゃんも澪ちゃんも、笑ってる
 あ、あずにゃんと聡くんはゆでダコみたいに真っ赤になって
 周りの人から冷やかされてる。
 あれみんな友達なのかな?」

律「いや~どう考えても見ず知らずの人ばっかりだよ。
 でも…みんな歓迎してくれてるんだよ。」

澪「全く何やってるんだか…
 まぁ、収まるところに収まったんなら、それでいいのかもしれないけど。」


129:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 01:35:01.32


―――その後

「田井中~今日は“梓さん”とは一緒じゃないのかよ?」

聡「ギターの練習は学校が終わってから!
 だからそれまで会えないんだよ!」

律「すっかり人気者だね―」

聡「ま…まぁ…」

澪「あんな大勢の前で告白したんじゃあ、
 このあたりの人はもう、みんな知ってるんじゃないか?」ww

聡「勘弁してよ…澪姉…」


130:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 01:35:56.46


梓「~♪」

憂「ねえ梓ちゃん。」

梓「どうしたの?」

憂「聡くんと付き合うことになったの?」

梓「ぶっ!?
 …なんで知ってるの!?
 唯先輩から聞いたの?」

憂「ううん。
 クラスの子が梓ちゃんが聡くんに告白されたところに居合わせたらしくって、
 その話題で持ちきりだよ!」

梓「…(//////」

憂「真っ赤になっちゃった。
 うん。いいと思うよ。
 私は聡くんのことよく知らないけど、
 今の梓ちゃん、とっても幸せそうだもん。」


135:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 01:41:40.02


結局、私たちの周りの人、殆どに私と聡くんが付き合ってるって知られちゃったみたいです。

お父さんやお母さんもどこから聞いたのかそのことを知っていて

家に帰ってからも冷やかされっぱなしです。

おかげで、私たちはどこに行っても一緒にいても

みんなに祝福してもらえます。

でも、私と聡くんが並んで歩いてるのを見て

「お人形さんみたいでお似合いね」って言うのはダメです。

私は聡くんのギターの先生で高校生で、お姉さんなんですから!

多分、聡くんはすぐに身長も伸びて私を追い越しちゃうでしょう。

もしかしたらギターの腕も?

でも、その時は、これまで私が先生でお姉さんとして支えてきたけど

今度は聡くんに支えて貰って、二人で頑張っていけると思います。

みなさん、祝福してくださって、ありがとうございます。


                                       ~ F i n ~






151:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 01:48:38.63


おまけ

澪「この間久々に聡に会ったんだけど
 ずいぶんでかくなってたな。」

律「もう190に届こうという位だからな。
 中学の頃は私よりも背が低かったのに。」

梓「そのことで…ちょっと相談があるんです…」

紬「どうしたの?」

梓「あの…すごくはずかしいんですが…」

唯「どうしたの?あずにゃん!」

梓「キスをするとき背が届かなくて困ってるんです!
 彼の方からはできるのに私の方からは届かなくて!」

一同「勝手にやっとれ!」


159:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 02:01:17.92


ゆっくり眠れそうだ
乙!!



162:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 02:25:05.57


あま~いwwww
乙!



164:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 02:57:29.04





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