唯「サイレントヒルの歌をみんなで歌おう!」
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7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 03:15:30.42
きっかけはある手紙だった。
貴方をあの思い出の地、サイレントヒルで待っています。
その手紙が全ての始まり。
唯「どうして…死んだはずじゃ…」
それは、数年前に亡くなった彼女からの手紙。
私は手紙を握りしめたまま、高台からこの街を見下ろした。
約束の地、サイレントヒルを。
9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 03:25:45.20
ゆっくりと街を歩く。
なんて霧が濃いんだ…、数年前に訪れた時はもっと晴れていたはず…
そんなことを考えながら、私はサイレントヒルを歩いた。
彼女はどこにいる?
それに約束の地とは?
彼女はこの街の何処を指しているんだ。
霧の中、私はそんな事を考えながら歩き続けた。
それにしても人がいない。
この街も随分と過疎してしまったものだな。
そう思っていた私の前に、ある建物が姿を現す。
唯「喫茶店…」
ここには昔、よく彼女と通い詰めたものだ。
とりあえず私はここで一休みすることにした。
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 03:35:06.75
がちゃ カランカラーン
店の中に鐘の音が響く。
それ程までに店の中は静まり返っていた。
とりあえず無断で席につくのも悪いだろう、私は恐らく奥に控えているマスターに聞こえるような大きな声で、入店の挨拶をした。
唯「ごめんくださーい」
私の声も店の中に児玉する。他に聞こえる音はない。
どうやら店の主は留守の様だ。それか今日は休みか。
私はこれ以上ここにいても無駄だと判断し、店を去ることにした。
その時、
ザザザザザザザ…
店に不快な音が響く。
これは、あのラジオから発せられているのか?
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 03:41:58.79
唯「なにこれ…」
私が不快な音を発する元凶に近付いたその時…
ガシャーン!
窓ガラスが勢いよく割れる。いや、割られたと言うべきか。
そこには翼を生やした鳥のような、しかし哺乳類のような生き物の姿があった。
それはこの世のものじゃない。
いくら鈍い私にも、それだけは理解できた。
身を包む恐怖、それは異形のをものを目の当たりにしているからか。
今の私には身動き一つ取れなかった。
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 03:47:42.99
唯「どうしよう…」
じりじりと後退りする私。
そしてコツンとカウンターに背をぶつける。
詰まりは後がないということだ。
そんな私にお構いなく、異形のものは少しずつ距離をつめつくる。
このままでは最悪殺されてしまう。
そう思いながらカウンターを漁る私の手に、冷たくてがっしりしたものが触れる。
恐らくこれは…
私はそれを掴み、一気に化け物に構えた。
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 03:53:07.19
鋭く光る銃口。
それは狙った獲物を決して逃がさない。
私は銃口を見つめ、そして狙いを定め、人差し指に力を込め…
一気に引き金を引いた。
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 04:01:22.22
ダーン…
店に響く重たい音。
それに私の耳は悲鳴を上げている。
咄嗟に閉じてしまった瞼を徐々に開ける。
そこには胸元から血を流し、ビクビクと痙攣する化け物の姿があった。
どうやら倒したらしい、確認し終えた私は、全身の力が抜けていくのを感じた。
唯「…はぁ~、いったいなんだったの?」
地べたにへなへなと座りこむ私。
こうなるのは当然だ、なぜなら異形のものを目の当たりにしたこと、生き物の命を奪ってしまったこと
とにかく色々な理由が私をこの状況まで追いやった。
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 04:07:32.89
ここは本当にサイレントヒルか?
もしかして私は異界に迷い込んでしまったんじゃないか?
現実的ではない発想に思考を巡らせる。
だがこうでもしないとあの化け物、それに一寸先も見えないこの霧について説明ができなかった。
…ねぇ、貴方は本当にこんな場所で私を待ち続けているの?
ポケットから取り出したしわくちゃの手紙を眺めながら、帰ってくるはずのない答えに疑問を投げかけた。
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 04:15:02.78
彼女がよく言っていた。
唯はいつも何も考えていなさそう…と
屈託のない笑顔でいつも言っていた。
私はそんな彼女の笑顔をもう一度見たい、例えそれが自ら地獄へと向かう道だとしても。
唯「待ってて…すぐに会いに行くから」
私は片手に銃を握り締め、もう片手にうるさかったラジオを掴み、この喫茶店を後にした。
外には相変わらず霧が立ち込めている、やはり何も見えない。
それでも私はここから引き返す訳には行かないのだ。
彼女に会うまでは。
おしまい
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 10:47:06.95
そうだ、憂は死んだんじゃない・・・
私が・・・この手で・・・・・殺したんだ・・・
憂からの手紙
あいまいな 眠りの中で夢見るのはあの町サイレントヒル
いつかまた 二人で行こうと約束しておきながら
私のせいでかなわなかった
私は一人でそこにいるあの思い出の場所でお姉ちゃんを待っている
いつかお姉ちゃんが来てくれるのを待っている
だけど お姉ちゃんは来てくれない
寂しさと哀しみの中でいつまでも待ち続ける
私の許されない罪お姉ちゃんを傷つけてしまった私の罰
現実も夢と変わらない私はいつもお姉ちゃんを待っている
会いに来てくれることを祈っている
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 10:53:58.27
ベッドへ横たわり変わらない天井を眺めながらいつもそんなことを思っている
今朝 先生がやってきて家に帰ることを許してくれた
今は少し落ち着いているけれど良くなったわけではない
つまりそういうこと、それでも家に帰れることは素直に嬉しい
それは変わらない。でも 私が家に帰ることをお姉ちゃんは喜んでくれるのだろうか?
病室に来るお姉ちゃんは、いつもどこか苛ついている
私が嫌いなのだろうか 私が疎ましいのだろうか 私が憎いのだろうか
それも仕方ない。自分の未来がないと知ったとき
死にたくない生きたいとあがいた
どうして死ななくちゃいけないのかと泣き叫び
自分の焦りのままにお姉ちゃんを傷つけた
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 11:07:34.81
だから 私を嫌い疎み憎んでも当たり前だと思う
それでも私は最期だからここに書き留めておきたい
私はお姉ちゃんを愛している。
私がこんなになりながらも何年も側にいてくれたこと本当に嬉しかった
ただ思いつくままに言葉にするせいで、とりとめのない手紙になってしまってご免なさい
私が死んだらこの手紙をお姉ちゃんに渡してくれるように頼んでおいた
だから お姉ちゃんがこの手紙を読むときにはもう私はいない
忘れてとは言わない忘れないでとも言えない
私が倒れ、そして死ぬまでの、この数年間、お姉ちゃんに枷をはめてしまったことが、私はとても哀しかった
お姉ちゃんには たくさんのものを もらっておきながら
何一つ返すことができなかった
だからもう お姉ちゃんはお姉ちゃんの
生きたいように生きて欲しい
私は幸せでした
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