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加治木ゆみ「どうしてこうなった」



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1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 20:55:53.20


とある日のことだった。
鶴賀学園の一年生であり、麻雀部に所属している東横桃子は足早に部室に向かっていた。

(加治木先輩、来てるかな。早く先輩に会いたいっす!
今日は放課後、一緒に遊んでくれる予定っすから!)

桃子はようやく部室前に着き、足を止めた。
扉をほんの少し開いて中の様子を伺う。
残念だが、お目当ての加治木ゆみの姿もその他の部員たちの姿もなかった。

(私が一番乗りっすね。)


2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 21:02:47.47


嬉しいような寂しいような何とも形容しがたい思いを抱えながら、桃子は今度はきちんと部室のドアを開け、
中に立ち入ろうとした。
まさにその瞬間、桃子の頭をかつてない激痛が襲った。

(な…に?)

桃子は激痛が走った部分を押さえて蹲った。
その患部を押さえた手を見るとそこには赤黒い血が付いていた。

(…誰?)

振り向く前に桃子のうっすらとしていた意識は途切れた。


6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 21:15:19.24


あれからどの位経ったのだろう。
桃子が目を覚ますと、何やら騒がしい声がした。
桃子は聞き耳を立ててみた。どうやらその声たちは口論になっているようだった。

加治木「…っ、やめろ!」

(加治木先輩?!なんで?)

それは聞き慣れた加治木の声だった。

蒲原「ワハハ。ゆみちん、つれないなぁ。」

こんな特徴的な笑い方をする人は桃子の周囲で一人しかいない。
加治木と同学年であり、部長の蒲原智美だ。
別に二人が一緒にいることは何らおかしいことではないのだが今回は些か状況が違うということは桃子でも分かった。
桃子は気配を消して、痛む頭を押さえながら二人を見て呆然とした。
加治木が蒲原に押し倒される形になっていたからだ。
しかもその手は加治木のブラウスのボタンをひとつずつ外していっている。


8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 21:25:29.85


加治木「蒲原!本当にやめろ!」
蒲原「ワハハ、なんで?」
加治木「…(どうしてこうなった)」
蒲原「モモでしょ?ゆみちんはモモが好きなんだよね?」
加治木「何で今そのことが出てくるんだ。本人がここにいるわけでもないのに。」

(いるっすよ…。)

蒲原「ゆみちんはクールに見えて実は優しいんだよね。」
蒲原「だから普通だったらゆみちんはこんなにも私を否定しないはずなんだ…!
なのにゆみちんは私を拒否した、それはモモが好きだからなんだろ?!」

加治木「蒲原、落ち着け。今のお前のその理論は滅茶苦茶すぎる!
元から弱かった頭がさらに弱くなってるぞ!」


11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 21:38:49.10


蒲原「モモが悪いんだ。モモさえいなければ。モモのせいで…!」

蒲原は俯いてぼそぼそと呟きだした。
加治木は不審に思って彼女を見つめた。

蒲原「あんな地味で根暗なやつ、いなくなっちゃえばいいんだ!!
あいつさえいなければゆみちんは私を見てくれるんだ!」
加治木(本当にどうしてこうなった…。)

桃子は正直驚いてしまった。
あんなにも明るく、頭のネジが少しばかり外れているだけだと思っていた先輩。
その先輩がそんなにも自分のことを憎んでいたということに。
加治木のことを想っていたということに。

(蒲原先輩、そんなに加治木先輩のことが…。)

蒲原に今すぐ謝ろうと重い体を必死に動かそうとした時だった。

蒲原「でも、大丈夫だよ。もういいんだ。」
桃子(?)

そう言った蒲原は今までにないほどの極上の笑みを浮かべていた。






12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 21:49:12.90


蒲原「今からモモを、東横桃子をステルスなんて生ぬるいもんじゃなく、
本当に殺すんだから。」

語尾にハートマークでもつきそうな口調でさらっと蒲原は桃子の殺害を宣言した。
歪んだ笑みが桃子にも見える。
これには桃子も身の危険と同時に狂気を感じた。

(嘘、私殺されるの?やだよ。私まだ加治木先輩に恩返ししてないのに!
それに想いを告げてもいないのに!)

加治木はその言葉を聞き、弾かれたかのように蒲原に掴みかかった。

加治木「やめろ、ふざけたことを言うな蒲原!
お願いだからっ。」

蒲原「ふざけてるように見える?私は本気だよ、ゆみちん。」

今度は本当に冷たい口調で蒲原は加治木を突き放すように言った。


15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 22:14:20.39


加治木「ごめん蒲原。お前の気持ちに気がつかなくて。傷つけてごめん。
でも私はモモがすきなんだ。だからさっきの言葉は聞き捨てならないっ!」

蒲原「さっきの言葉?あぁ、あいつが地味で根暗でいらない子だってこと?」

加治木「そうだ。」

蒲原「だって事実じゃない。それに最近なんか調子乗ってるしね。」

加治木「蒲原、モモはいらない子なんかじゃないぞ!なんで分からないんだ。
影の薄さが彼女の唯一の取り柄なのになぜそれを否定するんだ!」

加治木はこの状況をどうにかして打破しようと、思考の整理が済まぬままに叫んだ。
あまりにも正直すぎで傷ついた者がいたことに今の加治木は気付く由もなかった。

桃子(がーん。影の薄さだけが私の取り柄…。)


17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 22:27:37.13


蒲原「おいゆみちん、さりげなく酷いな。」

加治木「え?何が?」
加治木「とにかく、蒲原。私はモモが好きなので蒲原の気持ちには答えられない。
すまない。」

桃子(うぇええええ!加治木先輩が私を!ごえぇぇええ!う、嬉しいっす!)

蒲原はさっきまでとは違う、いつものカマボコ口の微笑みを湛えていた。
それはいつも部員を安心させる優しい笑顔だった。
申し訳なさそうに謝る加治木を見つめて蒲原は言った。

蒲原「謝らないでよ。こっちまで悲しくなるからさ。
私も本当にどうかしてたよ。モモのことを殺すなんて、心にもないこと言って他にも酷いこと言った。
私、ほんとに部長である資格ないよな。ワハハ…。」

桃子(いつも陽気な蒲原先輩のあんなに悲しそうな顔、見たことないっす。
本当に加治木先輩のこと好きなんすね。)


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 22:42:03.97


桃子「蒲原先輩。ごめんなさい。」

桃子が唐突に現れると蒲原は驚いた表情を見せた。

蒲原「いたのか!影薄くて気付かなかった。(やべー、私がモモを勢いに任せて殴っちゃって
倒れてたんだっけ。いつ目を覚ましたんだろ?)」

加治木「もっ、モモっ。い、いつから。聞いてたか?」

加治木は顔を真っ赤にして問いかける。

桃子「はい。ばっちりっす。」
桃子「あの、蒲原先輩。蒲原先輩は、加治木先輩のことが好きだったんすね。」

そう桃子が問いかけると蒲原は顔を真っ赤にして俯いた。
そして擦れ気味の声で呟いた。

蒲原「うん。だから…」

蒲原は俯いていた顔を上げ、桃子をしっかりと見据えて言った。

蒲原「これからは正々堂々勝負だ。モモ!私は負けない!」

桃子「はい、私も負けないっすよ。」


25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 22:56:29.73




加治木はまだほのかに顔を赤らめたまま、蒲原の肩に触れる。

蒲原「ゆみちん?」

加治木「蒲原。さっきの言葉は間違ってるぞ。」

蒲原「え?」

加治木「お前はさっき、自分に部長の資格はないと言っただろ。それは違うぞ。」
加治木「蒲原は立派な部長だよ。お前はいつも部員のことを一番に考えていて、笑顔を絶やさない優しいやつだ。
私にはこれほど良い部長はいないと思うぞ。だから残り少ないけど一緒に頑張っていこう。」

蒲原「ゆみちん…!」

加治木「だが、欠点がひとつだけあったな。お前はもっと自分の気持ちを押し込めず出すべきだったんだ。
今回、今まで溜まっていたものがまるで噴火のように噴出してしまったんだな。」

蒲原「ごめん、ごめんね。ゆみちん、モモ。」

加治木「私に謝ることはないさ。だが後でモモには謝っておけよ。」

加治木は蒲原の頭にポンと手を乗せた。

加治木「これからもよろしく頼むよ。蒲原部長。」


26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 23:08:39.14


その優しい言葉に蒲原は自らの涙腺が緩んでいくのを感じた。
これがゆみちんの人気のわけなのか、と蒲原は思う。

蒲原(ごめん、ごめんね。二人とも。私はまた許されないことをやってしまう…。)

とめどなく零れ落ちていく涙を制服の袖で乱暴に拭いながら、蒲原は携帯を見て溜息をついた。

蒲原(確かに最初はモモが憎くて仕方がなかった。でも今はそんな憎悪の念はない。
でも、やらなくちゃならないんだ…。)

その後は他の二人も来て、まるで何もなかったかのようにみんなで麻雀卓を囲んだ。


28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 23:23:19.31


―次の日

桃子はいつも通り学校に着いた。
昨日、部活の後で加治木と遊んだことと、両想いだったことを思い出して、浮足立ってはいたが。
何気なく上履きを出そうとした。
すると下駄箱の中に何かが入っているのを見つけた。

桃子(何だろ?ヒィイ!)

桃子は愕然とした。
それもそのはずである。
そこには何匹かの毛虫の死体が転がっていたのだから。
桃子は毛虫が嫌いなので気持ち悪くてたまらなかった。
まぁそれは触れなければいいだけの話だ。
桃子は気を取り直して上履きを履いた。
その瞬間、桃子の足に痛みが走った。


29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 23:33:08.71


桃子「痛いっ!」

桃子はそっと上履きを脱いでみる。
その上履きには少しの画鋲が入っていた。
もう片方を履かなかったのは不幸中の幸いとでも言うべきなのだろうか。
右足の上履きには左足のものとは比べ物にならないほどに画鋲が敷き詰められており、
真中にはご丁寧に釘まで刺してあったからだ。
犯人は多分桃子が右側の足から履くと思ったのだろう。

桃子(こんな大胆なのに気付かないなんて。もし、こっちを履いていたら…)

そこまで考えが至った瞬間、桃子は身震いをした。
この靴からは尋常ではないほどの怨みの念が窺える。






30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 23:42:57.99


桃子(ひどいっす、誰がこんなことを。)

もともと影が薄い桃子は、話しかけられることもなければ気に留められることもなかった。
なのでこんないじめまがいのことをされるのは初めてだった。

桃子(もしかして蒲原先輩?)
桃子(でも昨日あんなに反省してたから違うよね。そしたら誰が…。)

桃子は片っぱしから知り合いの人物を思い出してみる。クラスの人たちは多分違うだろう。
怨みを買うようなことをした覚えはないし、そもそも認識されているのかさえ怪しいところだ。

次に麻雀部の人たち。
ありえないだろう。みんないい人ばかりだ。
その人たちを疑うなんて全く自分はどうかしている。
でも部長は…。

桃子はまとわりつく煩わしい思考を振り捨てて教室へと向かった。
ちなみに上履きの画鋲などは、泣きながらトイレで抜いた。

桃子(ふぅ。やっと抜けたっす。)


31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/21(月) 23:51:47.38


桃子は目を真っ赤にして教室に言った。
相変わらず声をかけてくれる人はいないし、自分も別段話したいとも思わない。
というのは嘘だ。
中学の頃は、あの輪に入っている人が羨ましくてたまらなかったし、挨拶をするなどの努力も
欠かさなかった。
だが、いくら頑張っても誰も桃子を気には留めてくれなかった。
しまいにはクラスの人に「東横さんなんて人、いたっけ?」とまで言われてしまう有様だった。
そんなことばかりだったから、桃子は中学に入って一年も経つとすっかり友達づくりを諦めてしまい、
嫌われもせず好かれもしないただの空気と化していた。
だから加治木が見つけてくれた時は本当に嬉しかったのだ。
こんな自分を、枯れ果てた自分を見つけてくれて、あんな人間になりたいと思った。
そして必然的に加治木を好きになったのだ。


33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 00:06:01.12





でも、小学校の頃は楽しかったなぁ。
そんなことを思いながら桃子は無言で席に着いた。
朝だというのにやはり周りは中学の頃と変わらず騒がしい。
どこにそんな元気があるのだろうか。

桃子(リア充かぁ。いいなぁ。)

心の片隅にそんな気持ちがあるのを感じながら桃子は窓の外を眺めた。
朝練をしているテニス部の部員たち。
生い茂る木々たち。
登校する生徒たち。
その何気ないひとつひとつのものの全てが桃子には眩しく、輝いて見えるようだった。

桃子(さて、授業の用意でもするか。)

桃子はその風景を傍目に、昨日から引き出しに置きっぱなしの現代文の教科書を取り出す。
何気なくパラパラとページを捲ってみた。

桃子(なにこれ。)

教科書にはびっしりと桃子に対する悪口が書かれていた。


35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 00:19:16.95




桃子(こんなことするなんて犯人さんも暇人っすね。まさにいじめの典型的パターン。
高校生にもなってこんな幼稚なことをするのは頭が弱い人しかありえないっす。)

頭の弱い人といって桃子の頭に一番に浮かんだのはやはり部長である蒲原智美だった。

桃子(でもなんで?昨日仲直りしたはずっすよね?)

桃子が簡単に蒲原を犯人であると決めつけたくないのは理由があった。
昨日の蒲原の涙だ。
あれは到底演技でできるものではないだろう。
桃子はなにか胸に引っかかるものを感じた。

ちなみに桃子が学校に置きっぱなしにしていた教科書類の全てに落書きがしてあった。
よく、こんなに執着できるものだなと桃子は内心呆れてしまう。

桃子(ばーか、アホ。死ね!根暗。地味ーズ…。)
桃子(決まったような悪口の数々っすね。それにしても最後の地味ーズって…。
私、地味なグループにさえ属してないのに。ちょっと傷口に塩を塗られた気分っす。)


38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 00:33:38.37




もう桃子の胸に憎悪が沸いてくることはなかった。
ただ胸に広がっていたものは犯人への軽蔑と憐れみだけだった。

放課後、その日は部活がなかったので桃子はある大型の量販店で超小型カメラを買った。
痛い出費だったが、犯人を捕まえるためだ。
そのためなら桃子にとってなんてこともなかった。
そして、素早く学校へと戻り、それを靴箱に備え付けた。
見えるかどうかはほとんど賭けだが、あの犯人のことだ。
明日もどうせ同じ犯行をするはずだ。
その時に少しでも証拠が映ればよい。桃子はそう思っていた。

あと、相手がそのつもりならこちらも先手を張って、犯人の正体を掴み、きちんと話し合おう
という気持ちも混ざっていた。


39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 00:45:03.43


案の定、次の日にも罠が仕掛けられていた。
犯人にはカメラは見つかっていないようで無事のままだった。
上履きについては、昨日よりも陰湿で、画鋲は増えているし中にまで毛虫が入っていて、
しかも蠢いていた。
これにはさすがに気が滅入った。
履かせる気のまるでない靴。
犯人は私を教室に入れる気すらないのか。と桃子は思う。
桃子は構わないふりをして、だが震える手でカメラだけ抜き出した。
そして彼女は元来た道へ歩き出し、家へと向かった。
どうせ、遅刻しようがしまいが誰も気に止めないからだ。

桃子(犯人は誰なんだろう。)

そのことばかりが桃子の頭をぐるぐると回っていた。
桃子の家は鶴賀学園からほんの数分のところにある。
さすがに家にまでは被害はなかった。
家のドアを開けて中を見ると、既に父も母も働きに出ていた。
弟も小学校に行ってしまい、今はこの家には桃子一人だけだ。

桃子は早速映像を見ることにした。
まるで初めてエッチなビデオをみる男子学生のように桃子の胸はバクバクとしていた。






40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 00:54:13.41


さっそく画面に映像が映し出される。
奇跡的に綺麗に撮れていることに桃子は内心ホッとした。

桃子(これは!やっぱり蒲原先輩っす。
なんで…。え!?嘘っ。)

カメラに映し出されていたのは蒲原だけではなかった。
そこには意外な人物も映っていたのだ。
見れば、実際に嫌そうに毛虫を入れているのは蒲原だが、指図をしているのは
違う人物だった。
蒲原はやらされていた、のだ。

桃子(ひどい。信じてたのに…。先輩。疑いもしなかったっす…。)

桃子は微塵も疑わなかった先輩を憎んだ。
信じていた、好きだった先輩を憎んだ。

桃子(話そう。あの人と。)

桃子は決意を固めた。


42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 01:04:45.01


―次の日

結局、桃子は昨日あのまま学校をさぼってしまった。
喪失感というものも大きく、昨日は食事さえまともには取れなかった。
桃子はもう、靴箱を開けることはなく持参した上靴を履いた。
そして、蒲原ではないもう一人の靴箱に手紙を入れた。
彼女はまだ登校していないようだった。
手紙の内容は実に簡潔なものだった。

『先輩に相談したいことがあります。昼休みに屋上まで来てもらえますか?東横より』


48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 01:20:04.12


時間が経つのは早いものだ。
あっという間に昼休みになってしまった。
桃子はゆっくり屋上への階段を上ってゆく。
これから真の犯人と対峙することになるというのに不思議と恐怖はなかった。
もう彼女は屋上にいるのだろうか。
桃子は自らの心の憎しみが増大しているのを肌で感じていた。

何から尋ねればいいのだろう。
何でこんなことをしたのか、からだろうか。
何にしろ、扉を開けなければ始まらない。
ようやく屋上に着いた桃子は、意を決して重い扉を開いた。
今の桃子にとってはとてつもなく重く感じるその門扉を。


51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 01:28:14.30


扉を開いた桃子の目に映ったのは流れるように綺麗な金髪の髪の毛だった。
ピンクのカーディガンを羽織っている彼女は聖母のように優しい笑みを桃子に向けた。
桃子は一瞬ドキリとした。
こんな優しい微笑みを浮かべる彼女が本当にあんなことを蒲原に指図したのが桃子には
信じられなかった。

桃子「妹尾…先輩。」

妹尾「桃子さん?なんですか、相談って?」

桃子「あの…」

妹尾「私が力になれるなら何でも話してください。」

相変わらずの笑みを浮かべている妹尾に桃子は焦った。
でも、桃子はこの笑みは偽物ではないかと思い始めていた。
何故なら張り付いた仮面のように彼女の表情は少しも変わらないのだから。

桃子(どうしよう。でもっ!)


53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 01:36:24.84


桃子「そういえば妹尾先輩。よく私が入ってきたの分かりましたね。」

妹尾「ふふっ。なんか今日の桃子さんの気配は分かったんです。不思議と。」

桃子「そうっすか。あの…私、いじめられてるみたいなんです。」

妹尾「桃子さんが?どうゆうことですか?」

桃子「昨日とか、一昨日とか、上履きに毛虫や画鋲が入ってて…。
それに教科書にも、悪口とかが書かれていて…。」

妹尾「信じられない。酷すぎます!」

妹尾は本気で桃子がされた行為に対して怒っているように見えた。
でも桃子は見逃さなかった。
ほんの一瞬だけ妹尾の顔に浮かんだ悪魔のような微笑みを。


55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 01:43:16.57


妹尾「でも…智美ちゃんが…。」

桃子「蒲原先輩がどうかしたんすか?」

妹尾「智美ちゃん、桃子さんの下駄箱に手紙を入れに行くって言ってました。
一緒に登校した時に。」

桃子(この人、全部部長に罪を押し付ける気だ!)

桃子「そろそろそんな嘘芝居も聞き飽きました。ほんと白々しいっすね。」

妹尾「え?」

桃子「全部あなたの仕業っすよね。」

妹尾「なんで…」

桃子「全部、撮らせてもらったんすよ。ホントに現代って便利なものが揃ってますよね。」

桃子はそう言ってカメラを取り出した。

妹尾「!?」


57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 01:54:52.36


妹尾は黙ったかと思うといきなり狂ったように笑いだした。
妹尾「はははははは。あははははははははははははは!」
桃子「ネジとんだんすか?」
妹尾「うっさい、東横、黙れ。とにかく、そのカメラ貸せよ。根暗。」

桃子は妹尾のあまりの豹変ぶりに声も出なかった。
妹尾は声も低くなり、本性をとうとう現したようだ。
桃子はキッと妹尾を睨みつけた。

妹尾「なんだよ。先輩に対して敬意くらい払えよ。早くカメラよこせ。」

桃子「あんたにだけは絶対渡さないっす!」

妹尾「んだと、ゴラァ」

桃子はそこでふと良い案を考えついた。

桃子「じゃあ、妹尾先輩。取引っす。このカメラを渡したら、あなたがなぜこんなことを
しようと思ったのか包み隠さず話してもらいます!!」

妹尾「まぁいいわ。じゃあ先にカメラを頂戴。」

桃子「だめっす。これを先に渡したら先輩絶対逃げますから。」

妹尾「分かりました。話します」

桃子(あれ?元の先輩みたいな話し方になってる。)






60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 02:11:57.85


妹尾「あなたが邪魔だったからです。」
桃子「私、先輩になんかしましたか。」
妹尾「あなたのせいで智美ちゃんは泣かされました。」

桃子「あなたもさっき部長に罪を押し付けようとしてたじゃないっすか。」

妹尾「そんなことないです。私は智美ちゃんが離れていかないようにあなたを嫌ってたんです。」

桃子「は?意味が分からないっす。」

妹尾「智美ちゃんはあなたの存在に苦しんでいました。あいつのせいでゆみちんがっていつも言ってました。」
妹尾「でも、一昨日くらいからかな。言わなくなったんです。」

桃子「良かったじゃないっすか。」

妹尾「良かった…?!もう二年間も加治木先輩に対して片思いしている智美ちゃんを差し置いて
加治木先輩を奪ったあなたにだけは言われたくない!」

桃子「私もです。今一番蒲原先輩を傷つけているあなたにだけは言われたくない!」

妹尾「え?私が智美ちゃんを傷つけてる…?」

桃子「そうっすよ。なんで分からないんすか。私は蒲原先輩とこの前ライバル同士になろう。
って約束しました。その時の蒲原先輩の笑顔はとっても清々しかったっす。
でも、カメラに写っていた彼女の顔は苦しそうに歪んでたっす。」

妹尾「歪んでいた?!誰が智美ちゃんを傷つけたの?!」

桃子「まだ分からないんすか。蒲原先輩をそんなに追い詰めたのが自分だってことに。」


61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 02:19:41.00


妹尾「え?」

桃子「部長は確かに前は私を憎んでいたかもしれません…。でも、あの時私たちは
確かに分りあえてたっす。好きな人を巡るライバルとして。」
桃子「なのにあなたはその蒲原先輩の思いをかき消すかのように、部長がまだ私を
憎んでいるのだと思い込んで蒲原先輩に指示をした。」
桃子「こんなのであなたは蒲原先輩を愛してるなんて言えるんすか?
結局ただ自分のエゴを部長に押し付けただけじゃないっすか!!」

妹尾「私は、ただ智美ちゃんに幸せになってほしくて。それで…。」

桃子「先輩。蒲原先輩に思いを一度でも告げたことはあるっすか?」

妹尾「ない…です。」


63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 02:29:39.62


桃子「先輩、好きな人の幸せを願うのは誰でも一緒っす。でもその方向を今回の
妹尾先輩は間違えただけっす。」
桃子「部長も、私にこれまでの分を復讐するより妹尾先輩に想いを告げてもらったほうが
数段嬉しいにきまってます。」

桃子は優しく言った。

桃子「私をいじめるのはそれからでも遅くないっすよ。」

妹尾は無言で涙を流した。
時々しゃくりあげながら「智美ちゃん、ごめん」と呟いているのも桃子にはハッキリと聞こえた。
桃子は約束通りカメラを残して屋上から立ち去った。
屋上に残された妹尾はふと空を見上げた。
大きな青に絵具で乱暴に描かれたような白い雲。
優しく寛大な蒲原が青い空なら自分は乱暴な白い雲のようだと、馬鹿らしいと思いながらも
妹尾は感じた。


65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 02:38:27.26


妹尾はふっきれたような笑みを浮かべた。
こんなに空が清々しいと思えるのは、こんなに心から笑みを浮かべるのは何年ぶり
だろうと思いながら。
妹尾は今日、蒲原に押しつけがましいことをしたのを謝ろうと決心した。
まさか後輩のおかげで改心できるとは思ってもみなかった。
少しずつでいいから、蒲原に想いを伝えていこうと妹尾は思った。

妹尾「智美ちゃん。大好き。」

風に吹かれて独り言を呟く。
これがいつか独り言でなくなるように願いを込めながら。


桃子(そういえばあのガラの悪い先輩の口調はなんだったんだろう)

そう桃子は教室に帰る途中で思ったのだがこれ以上ことを広げたくなかったので静かに自分の胸だけに
疑問をしまうことにした。


67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 02:54:15.21


放課後、麻雀部の部室に向かって東横桃子は走り出す。
すると前方に黒髪のポニーテールの先輩を見つけた。
桃子「先輩!こんにちは。」
むっきー「こんにちは。」
桃子「今日も頑張りましょうね!」
むっきー「うむ。私なりに精一杯。」
桃子「ぷっ。先輩おもしろいっす。」
ふたりで談笑をしながら部室へ向かう。
部室には既にほかの三人がいた。

蒲原「ワハハ、むっきーにモモ!」
元気を取り戻したように笑う蒲原部長と。

妹尾「睦月ちゃん、桃子さん、こんにちは。」
相変わらず聖母のような微笑みで迎えてくれる妹尾先輩と。

加治木「おぉ。モモ、睦月。今日も頑張ろうな。」
実は照れ屋で優しい加治木先輩。

優しい先輩たちに囲まれていて自分はとても幸せだと桃子は思う。
本音でぶつかって、先輩達との距離が少し縮まったように桃子は感じていた。
いや、実際そうなのだろう。
誰にとっても麻雀部は今までより大切な居場所となるに違いなかった。
部室に明るい笑い声が満ちる。

やっと見つけた。
私たちの本当の居場所。
                
                    おしまい



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