ヤムチャ「プーアル! プロレス団体に就職したのは失敗だったぞ!」
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居酒屋ーー
ヤムチャ「……ったく、ふざけんじゃねぇよ」
さくら「アハハ、まぁまぁ、ヤムチャさん」
ヤムチャ「プロレス団体に就職したのはいいけど……まさか、こんな事させられるとは思ってなかったなかったぜ……」
さくら「今だけの辛抱っすよ! ホラ、お酒飲んで忘れちゃいましょう! ぱーっと、ぱーっとっ!」
ヤムチャ「本当、酒でも飲まないとやってられないよ……股間蹴られて、笑い者にさせられて……くそっ、ふざけんじゃねぇよ……」
さくら「ほらほら、料理も沢山あるっすよ!? ヤムチャさん、どんどん食べて下さい!」
ヤムチャ「あ~ぁ……プロレス団体に就職したのは、失敗だったかもしれねぇなぁ……」
さくら「そ、そんな事ないっすよ……! ヤムチャさんは、才能ありますって、絶対!」
ヤムチャ「そういやさぁ……今日、おじいちゃんどうしたの……? おじいちゃん……」
さくら「……おじいちゃん?」
ヤムチャ「ほら、いつも試合実況してる所にいる人だよ。 あの髭のおじいちゃん」
さくら「あ~、元さんの事っすね!」
ヤムチャ「今日、あのおじいちゃんじゃなくて違う人が解説してたけど……おじいちゃん、病気とかになったの?」
さくら「元さんは、元気っすよ! 今頃、サガットさん達の試合を実況してると思うっす!」
ヤムチャ「あれ、 おじいちゃん、来てるんだ……? だったら、なんで違う人があそこにいたんだろ……? 遅刻でもしたのかな?」
さくら「……元さんの解説は、第四試合からっす」
ヤムチャ「……ん?」
さくら「……やっぱり、第四試合ぐらいにならないと、お客さんは少ないじゃないっすか?」
ヤムチャ「そうだね……今日の試合は、全然お客さんがいなかったよ……」
さくら「そういうお客さんの多い試合じゃないと……元さんの解説はないっす……お客さんの少ない試合で、元さんみたいな冷静な解説だったら、逆に盛り下がっちゃいますからね……」
ヤムチャ「ふ~ん……」
さくら「……第三試合までは、うちの選手が解説を務める事になってるっす」
ヤムチャ「……選手がするんだ? なんで、まだ?」
さくら「ほら、サガットさんとか、リュウさんとか、試合が終わった後によくマイクアピールしてるじゃないっすか?」
ヤムチャ「あ~、よく大声で何か言ってるねぇ?」
さくら「いくらマイクアピールだからって、何を言ってもいいってワケじゃないっすよ……やっぱりマイクアピールでも……より、お客さんを盛り上げる為の言葉選びが必要になってくるっす……」
ヤムチャ「……ふ~ん」
さくら「解説で、そういったお喋りの練習をしている……って、所じゃないっすかね……」
ヤムチャ「……お喋りの練習?」
さくら「実況の人も、戦いを真面目に実況したりせずに……ちょっと、面白可笑しく実況しようとしてるっす……ふざけた事を言ったり、ゲスト解説の話題を振ったり……」
ヤムチャ「……そういや、和気藹々とお喋りしてたなぁ。実況すら、真面目にしてもらえねぇのか、この位置は」
さくら「試合の流れと、そういった話題……そういうのを、上手く両立させて、解説してるっす……実況の人の無茶振りに上手く、言葉を選んで解説して……そういった事をしながら、マイクアピールの勉強をしてるっすよ……」
ヤムチャ「……って事は、俺の試合も、そういう風に面白可笑しく解説されてたって事ね?」
さくら「……そうっす」
ヤムチャ「くそっ、何言われてんだろな……どうせ、色々とバカにされてるんだろうな……」
さくら「……そうかもしれないっす。第二試合は、笑いを取りにいく試合っすからね」
ヤムチャ「なんだよなんだよ……すっかり、環境が変わっちまったなぁ……ふざけんじゃねぇぞ……?」
さくら「それは、自分も一緒っすよ……ヤムチャさん、頑張りましょうよ……」
ヤムチャ「……ん?」
さくら「女子部も基本的に第三試合だから……やっぱり、ゲスト解説のお喋りの練習と、面白可笑しい実況に使われる位置っす……」
ヤムチャ「さくらちゃんも、か……」
さくら「ジミーさんなんかは、そういった面白可笑しい実況をしてもらう為に……試合中、面白可笑しい行動をしてるっすけど……」
ヤムチャ「……あの人、今日は大暴れだったよ」
さくら「女子部は、試合自体は真剣にやってるっすよ……そういった面白可笑しい行動をしてるワケじゃないっす……なのに、無理矢理面白可笑しい実況をされてるっす……」
ヤムチャ「無理矢理……って、どんな事言われてるの……?」
さくら「エロトークが多いっすよ……女子部の誰が一番おっぱいが大きいか……とか、もっと露出のあるコスチュームにするべきだ……とか……」
ヤムチャ「おっぱい……ねぇ……?」マジマジ
さくら「……何処、見てるっすか?」
ヤムチャ「あっ、いやっ……! そういう、いやらしい意味で見たんじゃなくて……話の流れで、つい……ね……?」
さくら「……エッチ」
ヤムチャ「い、いやっ……! だから、違うって……! あっ、さくらちゃん、グラス空だよ……俺が、注いであげるよ……!」
さくら「……春麗さんは、その事にかなり苛立ってたっすよ」
ヤムチャ「……春麗さん?」
さくら「春麗さんの得意技は、蹴りなんっすが……春麗さんが蹴りを繰り出す度に『私もあの足で蹴られたいっ!』なんて、実況の人が言ってるんすよ……?」
ヤムチャ「……完全にセクハラじゃねぇか、ソレ」
さくら「それで、気合入れて臨んだ結果が、アレっすよ……現状を変えるどころか……状況は悪化してしまったっす……」
ヤムチャ「……」
さくら「ヤムチャさんも、今現状の位置が出来ないのは、わかるっすけど……焦って行動しても、女子部と同じ結果になってしまうような気がするっす……」
ヤムチャ(そうか……春麗さんも俺と同じように、焦ってたのか……)
さくら「やっぱり、地道にやっていく事が近道だと思うっすよ……?」
ヤムチャ(最初は、春麗さん冷たそうな人だと思ったけど……そりゃそうだよな……いきなり、自分よりいい位置で試合が出来る奴が入団してきたんだからなぁ……気に食わないのも当然か……)
ヤムチャ「……俺、さくらちゃんの言う通りだよ。スーパールーキーだよ」
さくら「……えっ?」
ヤムチャ「だって、いきなりさくらちゃんとか春麗さんの位置抜いて、第五試合スタートでしょ? いきなり、いい位置で出来てるんだもん。プロレス未経験の俺がさぁ」
さくら「い、いやっ……! そういう意味で言ったワケじゃ……」
ヤムチャ「今までの試合は……サガットさん達に助けられて、なんとかやれてただけなんだよ……俺のプロレスラーとしての実力じゃなかったって事だ……」
さくら「……」
ヤムチャ「試合をこなして、メッキが剥がれてきた姿がコレなんだよ……俺は第五試合の器じゃなかった……俺には、第二試合がお似合いだったってワケだよ……もう、特別扱いは終わりだ……」
さくら「そんな事、ないっすよ! ヤムチャさんは、空手軍団なんだから、実力をつければ、また第五試合に戻れるっす!」
ヤムチャ「うん、俺もその位置でやりたい……ブランカさんみたいなふざけた人相手じゃなくて……やっぱり、サガットさん達と真剣な戦いをして……お客さんの声援を貰いたい……」
ヤムチャ「でも、そこに戻るには……試合をリードする能力が必要か……くそっ、道のりは長ぇな……」
さくら「焦っちゃダメっすよ。ゆっくり行きましょう! ゆっくり!」
ヤムチャ「でもさぁ……? あまり、悠長にしてたら、俺空手軍団脱退って事にならない?」
さくら「……えっ?」
ヤムチャ「だって、俺の上にはナッシュさんとか、ユンさんとか……それに、ソドムさんとかいるんでしょ?」
さくら「ま、まぁ……」
ヤムチャ「その人達が、人気レスラーになっちゃったら……俺の代わりに空手軍団に入っちゃうって事に、ならない?」
さくら「まぁ、可能性としては……なきにしもあらず……って所っすかね……?」
ヤムチャ「やべぇじゃん! マジで、俺やべぇじゃん! マジで5試合でなんとかしないと……俺、ここまま第二試合で股間蹴られ要員になっちまうんじゃねぇの!?」
さくら「ヤムチャさん、焦ってもいい事はないっすよ! 女子部みたいになりたいんっすか!?」
ヤムチャ「……ま、まぁ、それはそうだけど」
プーアル「……でも、危機感を持つのはいい事ですね。今までのヤムチャ様に足りなかったのは、ソコですよ。ソコ」
ヤムチャ「そうだよな、プーアル!? 結構、やべぇよなぁ、俺!」
サガット「ヤムチャ君、いるかっ!?」
バルログ「反省会の時間ですよ!」
バイソン「お酒を飲もう! お酒を!」
ヤムチャ「あっ、サガットさんにバルログさん……それにバイソンさん……そんなに慌てて、どうしたんですか……?」
サガット「おぉ、良かった……ヤムチャ君がいて安心したよ……」
バルログ「も~う、バイソン、脅かさないで下さいよ……? ヤムチャ君が辞めるかもしれないって……穏やかに、飲んでるじゃないですか……」
バイソン「い、いやぁ……試合が終わった後のヤムチャ君の顔が険しかったからな……ま、まぁ、取り越し苦労で良かったじゃねぇか!」
ヤムチャ「皆さん、試合はもう終わったんですか?」
サガット「あぁ、今終わった所だよ……バイソンがバカな事を言い出したから……慌てて駆けつけたんだが……まぁ、要らぬ心配だったようだな……」
バイソン「そんなに責めないでもいいじゃねぇか……? まぁ、とりあえず、俺達も飲もうぜ!」
バルログ「ちょっと今日のメインイベントは興味ありましたけどね。ザンギエフさん対豪鬼さんですから……まぁ、でもここまで来たんです。飲みましょう」
サガット「……ヤムチャ君、どう言葉をかけていいかわからんが、俺は今日のヤムチャ君の試合はいい試合だったと思うぞ?」
ヤムチャ「……えっ?」
サガット「ただ、教えられたコブラツイストをかけるだけではなく……その前に、一つワンクッション置いた行動していたよな……? あれは、良かった。こちらも教えがいがあるよ」
ヤムチャ「あっ、ありがとうございます……」
サガット「それに、ラストのバックドロップも良かったぞ? 試合中、コツでも掴んだか?」
ヤムチャ「……えっ? あのバックドロップ、出来てたんですか?」
サガット「あぁ、実況もしっかり『バックドロップを仕掛けた』と言っていたぞ? あぁいったフォームのバックドロップが理想だな」
ヤムチャ「そこまでは聞いてませんでしたね……バックドロップ、モノに出来たのか。実感ねぇけどなぁ……」
ヤムチャ「それより、サガットさん!」
サガット「……どうした?」
ヤムチャ「俺、やべぇんすよ! ブランカさんにしばらく、第二試合で続けろって言われたんすよ!」
さくら「だから、ヤムチャさん……焦ってもいい事はないっすってば……」
ヤムチャ「サガットさん達の所に戻るには、試合をリードする能力が必要……って、言われたんっすけど、そういう能力って、どうやって身につけるんすかねぇ!?」
サガット「……ぬ?」
ヤムチャ「このままじゃ、俺、マジで空手軍団脱退って事にならないっすかねぇ!? 反省会しましょうよ、反省会! 俺、結構危機感感じてるんっすよ、今!」
プーアル「ううぅ……こんなに勉強熱心なヤムチャ様が見れるなんて……とりあえず、バルログさん、バイソンさん……ビール注ぎますね……?」
バルログ「プーアル君はいつも気が効きますね。ありがとう