真紅、ゆする。
- § ある日の桜田家
- 真紅「ハズレ…、これもハズレ。これもダメ…」ぽいぽい
雛苺「真紅~? 何しているのよ?」
真紅「今年来た年賀状が賞品に当選してないか確認しているの。けど、全然ダメね」
翠星石「今年はチビ人間あてにもそこそこ年賀状来てたですのに切手シートですら当たってないですか」
真紅「ええ、ものの見事にハズレばかり。どいつもこいつも凡夫だわ」
翠星石「凡夫って…おめぇ…」
真紅「やれやれ、これじゃあ折角の年賀状もケツを拭く紙にもなりゃしない」
翠星石「いやいや、賞品は当たれば嬉しいですけど当たらなくとも年賀状は気持ちのこもった大切な…」
雛苺「うぃ! そうなの! ヒナ達にもいっぱい年賀状来てたの! これこそ絆なの!」
翠星石「うむうむ、チビ苺もたまには良いこと言うです。ほら蒼星石からなんて
律儀に桜田家全員分、5枚も来てたんですよ。それも筆で手書きしたらしき年賀状が」
雛苺「チャドーなの!」
真紅「それを言うなら書道よ。しかし5枚も寄越しておきながら賞品ゼロとは蒼星石も使えない姉ね」
雛苺「真紅はゲドーなの」
翠星石「やれやれですぅ。ともあれ、こうして時を置いて見返してみると年賀状も面白いですね」
真紅「そうかもね。お正月時点では年賀状も流し見だったわ」
雛苺「真紅もヒナもオセチを全力で食べることに夢中で、来た年賀状を無視していたのよ」
翠星石「そうですそうです。そう言えば真紅はその時に『どうせ当選番号を確認する時に
年賀状見るから今は見なくてもいい』とか年賀状の意義を根底から無視してたですね」
真紅「そしてその通りの有言実行、素晴らしい乙女だわ真紅ちゃんは」
翠星石「いや、その…」
雛苺「あっ! 見て見てなの! お父様からも年賀状が来てたのよ! これ!」バッ
翠星石「気付くの遅いですよチビ苺…」
真紅「しかし、お父様ほどの力をもってしても切手シートにかすりすらしない。これが現実」
翠星石「……」
真紅「お父様もやはり神ではなく一個の人間というわけね。無常だわ」
雛苺「真紅…」
翠星石「そ、それよりも真紅! こんなのもあるですよ! チビ人間あてで『みんなからの寄せ書き年賀状』!」
真紅「あら」
翠星石「ぷーっ! くすくす! 新年早々トラウマを抉られてチビ人間も辛いですねー。差出人『クラス一同』ですよ」
真紅「それ出したの私よ」
翠星石「そうそう、真紅が出して…て、ドワォ!? いつの間に、そんなことを!」
真紅「梅岡先生は丸くなっちゃったし、ジュンのクラスメイトも普通になっちゃったでしょ?」
雛苺「うぃ。今の世界でジュンにこんなお手紙が来るのはちょっとおかしいのよね」
真紅「梅岡先生にも困ったものだわ。昔の彼はもっと尖っていたというのに」
翠星石「っちゅーか、どうして真紅はこんな偽装年賀状をチビ人間あてに…?」
真紅「嫌がらせ目的でやった。反省はしていない」
翠星石「なんという悪意の塊…! 邪悪の化身…ッ」
雛苺「こっちのはカナから来てる年賀状でー、こっちは槐せんせーと薔薇水晶からなの!」
真紅「金糸雀の方は何を勘違いしたのか、アルパカの絵が描いてあるわよね」
翠星石「所詮カナチビのやることです」
雛苺「槐せんせーの年賀状はEnjuDoll(槐の店)に持っていくと50円割り引き券になるって書いてあるわ」
真紅「この間、EnjuDollに行ったら全部50円値上げされてた」
翠星石「なんという欲望の権化…!」
真紅「さて…と、来てる年賀状チェックはこれぐらいにして、こっちもチェックしないと」ゴソゴソ
雛苺「まだ何か調べるの?」
真紅「私が出した年賀状の当選番号も事前にメモってある。それの確認よ」
雛苺「え…」
翠星石「え…っ」
真紅「何? そのリアクション?」
翠星石「いや、その…何と言うですか、調べて真紅は何をするつもりなのです?」
真紅「当たっていたら、その年賀状を返してもらうか対価を要求するつもりよ。当然でしょ?」
翠星石「うへぁ」
雛苺「あ、あのね、ヒナはよく分からないけど、それって人としてやっちゃいけないことだと思うの…」
真紅「えーと、どれどれ…と? まず水銀燈に出した年賀状は…ハズレね。ま、相手が相手だし」
雛苺「ヒナの意見も聞かずに真紅がチェックを始めちゃったなの!」
翠星石「相変わらず真紅は他人の話を聞かんですね。けど水銀燈にも年賀状を出してるとは」
雛苺「アリスになって真紅と水銀燈は仲直りしたのよ、きっと」
真紅「いいえ。水銀燈から喪中(柿崎めぐ死亡)が来てたから、敢えて出してやったわ」
翠星石「こやつ…まっことクズ…! 人形のクズ、ジャンクですぅ。何故、こいつがアリスに…!?」
雛苺「モチュウって何なの? 美味しそうなのよね」
翠星石「あとでボス猿かチビ人間にでも聞いとけですチビ苺」
真紅「白薔薇あてのもダメ、お父様あてもハズレ…。
金糸雀あてにはそもそも出してない…けど、草笛みつあてのもやっぱりハズレ」
翠星石「お父様相手だろうとも年賀状の賞品を回収するつもりだったのですか…」
真紅「アッー!」
翠星石「ホモビデオ出演とメジャーでの勝利を成し遂げた世界で唯一の野球選手みたいな声を急に出してどうしたです?」
雛苺「アタリがあったの?」
真紅「ふ、ふ、ふ…」プルプル
雛苺「笑ってないで教えてなのよ真紅」
真紅「ふるさと小包が当たってるー!」
翠星石「なんですとー!」
雛苺「すごいの! 真紅やったのー!」
翠星石「いやぁ~、よかったですねぇ。その相手は喜んでるですよ。で、誰です?」
真紅「薔薇水晶よ…! 薔薇水晶あてに出した私の年賀状が、ふるさと小包に当選している…!」
雛苺「薔薇水晶おめでとうなの」
真紅「なんで薔薇水晶…っ! ぐうっ! そんな馬鹿な、どうして薔薇水晶…ッ!」
翠星石「し、真紅…?」
真紅「向こうからの年賀状は、資本主義の豚も月までぶっ飛ぶほどの腐れ50円割引券だのに…何故ッ!?」
雛苺「ものすごく悔しそうなのね、真紅」
真紅「馬鹿な! どうして私ばかりがこんな目に! 何たる不公平! おお、ブッダよ! 寝ているのですか…!」
翠星石「……」
真紅「というわけで、これからEnjuDollに行って私の年賀状を回収するわ」
翠星石「やめとけですって。あさましいですよ真紅」
真紅「止めないで頂戴!」
翠星石「薔薇水晶が既に賞品と交換してるかもですよ」
真紅「だったら、ふるさと小包の中身を半分でも頂く」
雛苺「やっぱりそれは人としてどうかと思うの」
真紅「ならば私は人間をやめるわっ! ジョジョォーーー!」ダダダダダッ
翠星石「あーあ、行っちまいやがんの…です」
雛苺「流石に今日の真紅にはヒナ達もついていけないのよ」
翠星石「アリスゲーム後にチビ人間に直してもらった時、頭のネジが2~3本取れたんじゃねーのです」
- § EnjuDollの前
- 薔薇水晶「…ふぅ。風が強くて、いくら掃き掃除してもすぐ落ち葉が飛んでくる…」サッサッ
真紅「グーテンターク、薔薇水晶」どじゃーん
薔薇水晶「おや、どうもお久しぶりです…真紅。何か御入用ですか? お父様なら店の中に…」
真紅「いいえ。用があるのはあなたの方によ薔薇水晶」
薔薇水晶「私…にですか?」
真紅「ええ。あなた、私に何か言うことがあるはずでしょ?」
薔薇水晶「…?」
真紅「ふふふ、とぼけちゃって。でも心優しい真紅ちゃんは、敢えてあなたの口から答えが出るのを待つわ」
薔薇水晶「すいません。まるっきり身に覚えが…」
真紅「どんくさいわね! ほら! 新年を迎えたでしょ! それで…、ほら! 新年と言えば」
薔薇水晶「ああっ! なるほどアレですね。確かに忘れてました…申し訳ありません」
真紅「そうそう! それよ! ほら、早く言いなさい!」
薔薇水晶「旧年は大変お世話になりました。今年もよろしくお願いしま…」ペコリ
真紅「ちっがーーーーうっ!」スパーン
薔薇水晶「えっ? ち、違いましたか…? と言いますか、お辞儀した頭を叩かないでください。痛いです」
真紅「あなたが大真面目にボケたおすからよ」
薔薇水晶「ボケたつもりは…」
真紅「あくまで白をきるつもり? それとも本当に忘れているのか」
薔薇水晶「この際、真紅からはっきり言ってくれたほうがお互いに話が早いかと思いますが」
真紅「しょうがないわね。でも、みなまで言うつもりは無いわよ。私はあなたの自主性を重んじる!」
薔薇水晶「はあ…、そうですか」
真紅「というわけで第一ヒント! 『ふ』から始まるものよ! 『ふ』! それを私に頂戴!」
薔薇水晶「『ふ』…?」
真紅「そう! 『ふ』よ!」
薔薇水晶「『ふ』…? 『ふ』…『ふ』…?」
真紅「早く! ほら早く! 私の方なんてもう喉までローザミスティカ出かかってる!」
薔薇水晶「フランケンシュタイン?」
真紅「ちっがーう! 何でここでモンスターを私が欲しがるわけ!?」
薔薇水晶「フランケンシュタインは怪物ではなく、それを作った博士の名前ですが」
真紅「分かってるわよ! そんなこと! 『ローゼン』て一口に言っても、
お父様の方じゃなくて私達薔薇乙女の略称として使うこともあるでしょ! それと同じ」
薔薇水晶「なるほど(納得)」
真紅「はい、それじゃもう一度! 『ふ』よ! 『ふ』!」
薔薇水晶「ふぐは食いたし命は惜しし」
真紅「どうして、いろはカルタ! どうして!? あと、私らフグ食べてあたっても死なない! 人形だから!」
薔薇水晶「…元気ですね真紅」
真紅「好きで大声出しているわけじゃないわよ! 全く! あなたがここまでボケ体質だとは!」
薔薇水晶「すいません」
真紅「偽者の養殖メイデンみたいなくせに、変なところで天然ね。あざとくてよ薔薇水晶!」
薔薇水晶「あ、あざとい…ですか」
真紅「らちがあかないわ! 第2ヒントー!」
薔薇水晶「…わぁい」
真紅「『ふ』の次は『る』!」
薔薇水晶「ふ…る…?」
真紅「そう! 『ふる』!よ 『ふる』! さあ、これでニブチンの薔薇水晶も、いい加減に…」
薔薇水晶「古着屋さんなら、そこの角を曲がって…」
真紅「この期に及んで私があなたに道案内を頼むとお思いか!」
薔薇水晶「で、ですが…。てっきり桜田家の衣服を売り飛ばしに行くのかと思って…」
真紅「ふーっ! ふーっ! ええい、もう次こそ本当に出血大サービス!
スーパーウルトラグレートデリシャスワンダフルヒントよ!」
薔薇水晶「クイズ遊びをしている暇があったら、私は店の前の掃除を終わらせたいです」
真紅「遊びじゃない。ちんけな掃除よりも大切な重要課題について話してるの私は! 今! 分かる?」
薔薇水晶「は、はい…分かりました」
真紅「というわけで最終ヒント! 『ふるさ』…で始まる言葉です! もうお分かりよね薔薇水晶!」
薔薇水晶「袱紗(ふくさ)はウチでは扱っていませんよ?」
真紅「『ふくさ』じゃなくて『ふるさ』。全くもう、あ
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- :-:2015/01/30(金) 00:30:16
- 翠星石のドワォでゲッターロボ思い出した。
そのうち真紅は漫画版ゲッターチームや岩鬼将造並みの凶悪乙女になるんではないか?
- :-:2015/01/30(金) 00:45:01
- 真紅は色的にゲッター1。
- :-:2015/01/30(金) 11:14:20
- これだから赤は駄目なんですぅ
- :-:2015/01/30(金) 14:49:31
- 赤は主人公の色と古来より定められているんですぞ。緑とは訳が違うんですぞ
- :-:2015/01/30(金) 17:19:10
- ローゼンメイデン全員の服の色だけとっかえてみたいなーとか思った。
- :-:2015/01/30(金) 21:46:25
- ゆるすに見えた
カナリアのイラストはたぶん羊だね
- :-:2015/01/30(金) 21:49:28
- 前話で真紅さんがゆすられるいうか転がされてたから という訳でもないだろうが、
顕著になってきてる吐き癖とか本当どっかネジが抜けてんじゃないかと思ったり。
- :-:2015/01/30(金) 22:20:53
- 水銀燈はずっと喪中みたいな。最中みたいなのはアルパカのおかげでいつもより多く回っております。
ここの真紅は毎日が日曜日か祝日だね!
- :-:2015/01/30(金) 23:31:16
- >私はアリスであって、決してユスリでは…!
これはユスリゲーム開催のフラグか!?
…イヤなゲームだな
闇のゲームに相違あるまい