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戒斗「IS学園?」一夏「バナナ・スパーキング!」|エレファント速報:SSまとめブログ

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戒斗「IS学園?」一夏「バナナ・スパーキング!」

1: ◆n.O102o4Y2:2015/01/30(金) 14:26:10.46 ID:nS3d5PCyo

 IS<インフィニット・ストラトス>と仮面ライダー鎧武のクロスSSの本編完結編になります。
 今回も舞台およびストーリーのベースはIS(の原作3巻あるいはアニメ9~12話)。IS世界に駆紋戒斗が乱入した形となります。

 IS原作1巻(アニメ1~4話)の話は↓
戒斗「IS学園?」一夏「バナナ・スカッシュ!」

 IS原作2巻(アニメ5~8話)の話は↓
戒斗「IS学園?」一夏「バナナ・オーレ!」

 あ。今回もどうにもならなくなったら地の文が入ります。



2: ◆n.O102o4Y2:2015/01/30(金) 14:29:09.79 ID:nS3d5PCyo

■序幕
<夜・屋上>

 ――織斑一夏は、空中に投影された個人用通信端末のスクリーンを凝視していた。

一夏(検索ワード『仮面ライダー』。ヒット数……0件)

一夏(表にもアングラにも『仮面ライダー』の情報は無い。噂話すらも)

一夏(でも……)

 ――仮面ライダーは、みんなの自由と平和を守るんだ。

一夏(泊進ノ介さん。俺を助けてくれた『仮面ライダー』は、確かにこの世界にいたんだ)

一夏(仮面ライダー……)

一夏(戒斗が『なれなかった』と言っていた存在)

一夏(俺は……)

一夏(仮面ライダーという在り方が、眩しい)



3: ◆n.O102o4Y2:2015/01/30(金) 14:30:40.18 ID:nS3d5PCyo

<同時刻・学生寮1025室>

 ――戒斗は存在の薄くなった手を、月明かりに透かしていた。

戒斗「消滅まで半月……といったところか」

戒斗「……」

戒斗「盗み聞きとはいい趣味だな、戦極凌馬」

 ――部屋に設えられた通信端末が勝手に起動する。

 ――空中に投影されたスクリーンに、戦極凌馬が映っていた。

凌馬「君に褒められるとは光栄だなぁ、『神様』。フフッ」

凌馬「メガヘクスとの戦いから五十年。科学は発達し、インターネットは世界中に張り巡らされた」

凌馬「先進国は言わずもがな。電子の海はアマゾンの奥地まで広がっている」

凌馬「そして――電子の海は、私の支配領域だ。フフッ。データ人間の私は、世界の全てを同時に監視しているのさ」

戒斗「相変わらず無駄口の多い」

凌馬「フフッ」

凌馬「駆紋戒斗。君に、宣戦布告しよう」

凌馬「半月もかけさせない」

凌馬「消える前に、殺す」

戒斗「ふん」

戒斗「『私の才能が、研究が、唯一価値のあるものなんだ。この世界の真理なんだ』だったか」

凌馬「君に殺される直前の、私の台詞だね」

戒斗「つまらんプライドだ」

凌馬「フフッ」

凌馬「私のドライバーに頼らずに人間を越えた男、駆紋戒斗」

凌馬「その存在、必ず否定してみせるよ」

戒斗「吠えてろ」

 ――戒斗は、存在さえ不確かな拳を握る。

戒斗「貴様には、もう一度俺の真理を叩き込んでやる」



4: ◆n.O102o4Y2:2015/01/30(金) 14:32:14.69 ID:nS3d5PCyo

■第一幕
<日曜日・朝・学生寮1025室>

一夏「水着買おうぜ!」

戒斗「朝からバカを言うなバカ」

一夏「っさいこのオトメン! 来週は校外特別実習なんだぞ」

戒斗「それがどうした」

一夏「校外特別実習は海に行くんだよ! 水着がいるだろ、水着が!!」

戒斗「……」

一夏「ぐ、ぐぐ。そんな怖い顔されても引かないぞ」

一夏「……うん? あ、もしかして」

戒斗「……」

一夏「戒斗。お前もしかして、泳げないのか?」

戒斗「違う」

一夏「じゃあ水着買いに行こうぜ! そんで、校外特別実習で水泳勝負だ!!」

戒斗「いいだろう。安い挑発だが、乗ってやる」

一夏「んじゃ決まりだな。みんなも、正門の前で待ってるぜ」

戒斗「……」

戒斗「ずいぶんと用意がいいな」

一夏「ぎくっ」

戒斗「一夏。貴様、何をたくらんでいる」

一夏「お、おおお俺が何をたくらんでてもお前は噛み潰すだろ……?」

戒斗「……」

戒斗「ふん」

 ――戒斗は、部屋を出ていった。

一夏「……ふう」

一夏「音声認識。テレフォン」

 ――通信端末が立ち上がる。

一夏「こちらワンサマー。ターゲットの誘導に成功した」

『すばらしいっ! では、引き続き誘導をお願いするよ! エージェント・ワンサマー!』



5: ◆n.O102o4Y2:2015/01/30(金) 14:32:57.30 ID:nS3d5PCyo

<沢芽市・斎場>

 ――『棺』に、花を詰めていく。

 ――そうすることで、喪失を埋めるように。

千冬(辛い葬儀だ……)

千冬(呉島さんの死から一ヶ月。こんな、無念な形で葬儀を行うことになってしまった…)

千冬(……)

 ――『棺』には、花“だけ”が詰められていた。



6: ◆n.O102o4Y2:2015/01/30(金) 14:34:13.23 ID:nS3d5PCyo

<昼前・沢芽市・ショッピングモール>

箒「ここに来るのも久しぶりだな」

鈴「見て見て箒。あっちで、『サガラくん』がティッシュ配ってるわよ」

箒「おお! 懐かしいな、『サガラくん』」

戒斗(デフォルメされたDJサガラのきぐるみがティッシュを配っている……だと……)

シャル「それで、一夏。どのお店に入ればいいのかな」

一夏「あっち。……アー、人数多イシグループ分ケシヨウカナー」

ラウラ「……」

セシリア(ラウラさんの番ですわよ)

ラウラ(そうだった!?)

ラウラ「ア、アー! ナラ私ハ嫁ト行クゾー!」

鈴(ラウラの演技下手すぎィッ!?)

箒「ワ、私モ一夏ト行クゾ!」

鈴(こっちも大根役者だった!?)

セシリア「ナ、ナラ私ハ戒斗サント……」

鈴(あんたらそろって演技下手ァー!?)

シャル「あはは……。じゃあ、一夏とラウラと箒と鈴が一緒かな」

鈴「! ソ、ソウネー!」

鈴(あたしも演技できなかったー!?)

戒斗「……」

戒斗「ふん」



7: ◆n.O102o4Y2:2015/01/30(金) 14:34:59.32 ID:nS3d5PCyo

<ショッピングモール・一夏組>

一夏「ここまでは順調だな!」

鈴「どこがよ!? バレバレだったわよ!!」

ラウラ「まあ、戒斗を学園から引き離すことには成功したんだ。任務は達成している」

箒「あとは夕方まで時間を稼げばいいんだな」

一夏「……」

箒「どうした、一夏?」

一夏「いや……。あいつら本当に大丈夫かなぁ、って」

鈴「……あー」



8: ◆n.O102o4Y2:2015/01/30(金) 14:35:51.42 ID:nS3d5PCyo

<IS学園・1年1組>

 ――戒斗、一夏、ラウラ、シャルを除く1年1組のメンバーが勢ぞろいしていた。

クラスメイト1「これより、1年1組の学級会を始める!」

クラスメイト2「オリムラ達は見事に役目を果たした。今度は、私達の番だ」

クラスメイト3「書記は任せたよ、後藤君」

クラスメイト5103「はい」

クラスメイト1「んじゃ、意見のある奴は――」



9: ◆n.O102o4Y2:2015/01/30(金) 14:37:15.88 ID:nS3d5PCyo

<ショッピングモール・戒斗組>

セシリア「戒斗さんに似合うのは、ブーメランですわ!」

シャル「ブーメラン水着は流石に恥ずかしいんじゃないかな……」

セシリア「ギターを背負っているシャルさんがそれを言いますの……?」

シャル「オッケーセシリア。表出ようか」

セシリア「ふぁっ!?」

戒斗(姦しい奴らだ)

戒斗(……)

戒斗(学生は、そんなものか)

セシリア「か、戒斗さんはどんな水着をお召しになりますの……?」

戒斗「……」

シャル(あれ。戒斗の視線の先にあるのって……)

 ――戒斗の視線の先には、ふんどしが陳列されていた。



10: ◆n.O102o4Y2:2015/01/30(金) 14:37:54.95 ID:nS3d5PCyo

<火葬場に向かう車の中>

千冬(みんな、涙を流している)

千冬(呉島さんは多くの人に愛されていた。彼は、偉大な英雄だった)

千冬(私だって、じいさんが亡くなってからずいぶんと助けられた)

千冬(……)

 ――千冬は、ふと窓の外に視線を向けた。

千冬(いいや、勘違いだろう。私も相当参っているようだな)

千冬(黄金のミニカーが空を飛んでいる、なんて幻覚を見るとは……)



11: ◆n.O102o4Y2:2015/01/30(金) 14:38:46.04 ID:nS3d5PCyo

<IS学園・1年1組>

クラスメイト2「王侯のように華やかにすべきだ!」

クラスメイト3「大きなケーキは必要だ!」

「握手会とか!」
「鑑賞会とか!」
「花道オンステージ!!」

クラスメイト1「ッ~~~だーッ! お前ら全然ダメだ! そんなんで本当に満足できんのか!!」

クラスメイト達「「…………」」

クラスメイト1「もう一度よく考えようぜ」

クラスメイト1「駆紋の大将との、お別れ会のシナリオを」



12: ◆n.O102o4Y2:2015/01/30(金) 14:39:29.00 ID:nS3d5PCyo

<ショッピングモール>

 ――戒斗が、店舗の片隅にたたずんでいた。

戒斗「……」

一夏「あれ。何だ、戒斗も女子から逃げてきたのか」

戒斗「ふん」

一夏「女の子ってすごいよなー。なんで、水着一つ選ぶだけであんなにはしゃげるんだろうな」

戒斗「……」

一夏「……」

一夏「ありがとな、戒斗」

戒斗「何がだ」

一夏「今日、付き合ってくれて」

戒斗「ふん」

一夏「あはは。こんな、なんてーか普通の日常って奴はさ。戒斗には退屈だろ」

戒斗「ああ」

一夏「あはは……。即答かぁ」

戒斗「だが」

一夏「うん……?」

戒斗「いや、やめておこう。忘れろ」

一夏「? わかった」



13: ◆n.O102o4Y2:2015/01/30(金) 14:40:24.58 ID:nS3d5PCyo

<IS学園・1年1組>

クラスメイト3「すばらしいっ!」

クラスメイト2「ああ! ク・モーンとの最後の思い出に、これ以上のものは無いだろう……!」

クラスメイト1「よしっ。じゃあ決まりだ!」

 ――クラスメイト1は、黒板をバンッ! と叩いた。

クラスメイト1「校外特別実習で仕掛けるぞ!」

クラスメイト1「今日から、秘密の地獄特訓だ!!」



14: ◆n.O102o4Y2:2015/01/30(金) 14:41:12.87 ID:nS3d5PCyo

<夜・職員寮・千冬の部屋>

千冬「呼び出してしまって、すまなかったな」

戒斗「用件は何だ」

千冬「……」

千冬「呉島さんの葬儀に出席してきた」

戒斗「そうか」

千冬「知っての通り、呉島さんが亡くなったのは一ヶ月前だ」

戒斗「だが」

戒斗「呉島貴虎の遺体が盗まれたために、葬儀は延期していた」

千冬「そうだ。……結局、遺体を見つけられないまま空の棺を燃やしたよ」

戒斗「……」

千冬「話しはそれだけだ」

戒斗「そうか」

千冬「……ああ」

千冬(駆紋戒斗。無関心を装っているが……)

千冬(強く握り込んだ拳だけは、隠せなかったみたいだな……)



15: ◆n.O102o4Y2:2015/01/30(金) 14:42:20.63 ID:nS3d5PCyo

<同時刻・沢芽市・御神木の神社・宝物庫>

 ――宝物庫に“怪盗”の姿があった。

 ――“怪盗”は黄金のミニカー。その名は、アルティメットルパン!

ルパン「木枠の窓から射し込む
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