戒斗「IS学園?」一夏「バナナ・スパーキング!」
IS<インフィニット・ストラトス>と仮面ライダー鎧武のクロスSSの本編完結編になります。
今回も舞台およびストーリーのベースはIS(の原作3巻あるいはアニメ9~12話)。IS世界に駆紋戒斗が乱入した形となります。
IS原作1巻(アニメ1~4話)の話は↓
戒斗「IS学園?」一夏「バナナ・スカッシュ!」
IS原作2巻(アニメ5~8話)の話は↓
戒斗「IS学園?」一夏「バナナ・オーレ!」
あ。今回もどうにもならなくなったら地の文が入ります。
■序幕
<夜・屋上>
――織斑一夏は、空中に投影された個人用通信端末のスクリーンを凝視していた。
一夏(検索ワード『仮面ライダー』。ヒット数……0件)
一夏(表にもアングラにも『仮面ライダー』の情報は無い。噂話すらも)
一夏(でも……)
――仮面ライダーは、みんなの自由と平和を守るんだ。
一夏(泊進ノ介さん。俺を助けてくれた『仮面ライダー』は、確かにこの世界にいたんだ)
一夏(仮面ライダー……)
一夏(戒斗が『なれなかった』と言っていた存在)
一夏(俺は……)
一夏(仮面ライダーという在り方が、眩しい)
<同時刻・学生寮1025室>
――戒斗は存在の薄くなった手を、月明かりに透かしていた。
戒斗「消滅まで半月……といったところか」
戒斗「……」
戒斗「盗み聞きとはいい趣味だな、戦極凌馬」
――部屋に設えられた通信端末が勝手に起動する。
――空中に投影されたスクリーンに、戦極凌馬が映っていた。
凌馬「君に褒められるとは光栄だなぁ、『神様』。フフッ」
凌馬「メガヘクスとの戦いから五十年。科学は発達し、インターネットは世界中に張り巡らされた」
凌馬「先進国は言わずもがな。電子の海はアマゾンの奥地まで広がっている」
凌馬「そして――電子の海は、私の支配領域だ。フフッ。データ人間の私は、世界の全てを同時に監視しているのさ」
戒斗「相変わらず無駄口の多い」
凌馬「フフッ」
凌馬「駆紋戒斗。君に、宣戦布告しよう」
凌馬「半月もかけさせない」
凌馬「消える前に、殺す」
戒斗「ふん」
戒斗「『私の才能が、研究が、唯一価値のあるものなんだ。この世界の真理なんだ』だったか」
凌馬「君に殺される直前の、私の台詞だね」
戒斗「つまらんプライドだ」
凌馬「フフッ」
凌馬「私のドライバーに頼らずに人間を越えた男、駆紋戒斗」
凌馬「その存在、必ず否定してみせるよ」
戒斗「吠えてろ」
――戒斗は、存在さえ不確かな拳を握る。
戒斗「貴様には、もう一度俺の真理を叩き込んでやる」
■第一幕
<日曜日・朝・学生寮1025室>
一夏「水着買おうぜ!」
戒斗「朝からバカを言うなバカ」
一夏「っさいこのオトメン! 来週は校外特別実習なんだぞ」
戒斗「それがどうした」
一夏「校外特別実習は海に行くんだよ! 水着がいるだろ、水着が!!」
戒斗「……」
一夏「ぐ、ぐぐ。そんな怖い顔されても引かないぞ」
一夏「……うん? あ、もしかして」
戒斗「……」
一夏「戒斗。お前もしかして、泳げないのか?」
戒斗「違う」
一夏「じゃあ水着買いに行こうぜ! そんで、校外特別実習で水泳勝負だ!!」
戒斗「いいだろう。安い挑発だが、乗ってやる」
一夏「んじゃ決まりだな。みんなも、正門の前で待ってるぜ」
戒斗「……」
戒斗「ずいぶんと用意がいいな」
一夏「ぎくっ」
戒斗「一夏。貴様、何をたくらんでいる」
一夏「お、おおお俺が何をたくらんでてもお前は噛み潰すだろ……?」
戒斗「……」
戒斗「ふん」
――戒斗は、部屋を出ていった。
一夏「……ふう」
一夏「音声認識。テレフォン」
――通信端末が立ち上がる。
一夏「こちらワンサマー。ターゲットの誘導に成功した」
『すばらしいっ! では、引き続き誘導をお願いするよ! エージェント・ワンサマー!』
<沢芽市・斎場>
――『棺』に、花を詰めていく。
――そうすることで、喪失を埋めるように。
千冬(辛い葬儀だ……)
千冬(呉島さんの死から一ヶ月。こんな、無念な形で葬儀を行うことになってしまった…)
千冬(……)
――『棺』には、花“だけ”が詰められていた。
<昼前・沢芽市・ショッピングモール>
箒「ここに来るのも久しぶりだな」
鈴「見て見て箒。あっちで、『サガラくん』がティッシュ配ってるわよ」
箒「おお! 懐かしいな、『サガラくん』」
戒斗(デフォルメされたDJサガラのきぐるみがティッシュを配っている……だと……)
シャル「それで、一夏。どのお店に入ればいいのかな」
一夏「あっち。……アー、人数多イシグループ分ケシヨウカナー」
ラウラ「……」
セシリア(ラウラさんの番ですわよ)
ラウラ(そうだった!?)
ラウラ「ア、アー! ナラ私ハ嫁ト行クゾー!」
鈴(ラウラの演技下手すぎィッ!?)
箒「ワ、私モ一夏ト行クゾ!」
鈴(こっちも大根役者だった!?)
セシリア「ナ、ナラ私ハ戒斗サント……」
鈴(あんたらそろって演技下手ァー!?)
シャル「あはは……。じゃあ、一夏とラウラと箒と鈴が一緒かな」
鈴「! ソ、ソウネー!」
鈴(あたしも演技できなかったー!?)
戒斗「……」
戒斗「ふん」
<ショッピングモール・一夏組>
一夏「ここまでは順調だな!」
鈴「どこがよ!? バレバレだったわよ!!」
ラウラ「まあ、戒斗を学園から引き離すことには成功したんだ。任務は達成している」
箒「あとは夕方まで時間を稼げばいいんだな」
一夏「……」
箒「どうした、一夏?」
一夏「いや……。あいつら本当に大丈夫かなぁ、って」
鈴「……あー」
<IS学園・1年1組>
――戒斗、一夏、ラウラ、シャルを除く1年1組のメンバーが勢ぞろいしていた。
クラスメイト1「これより、1年1組の学級会を始める!」
クラスメイト2「オリムラ達は見事に役目を果たした。今度は、私達の番だ」
クラスメイト3「書記は任せたよ、後藤君」
クラスメイト5103「はい」
クラスメイト1「んじゃ、意見のある奴は――」
<ショッピングモール・戒斗組>
セシリア「戒斗さんに似合うのは、ブーメランですわ!」
シャル「ブーメラン水着は流石に恥ずかしいんじゃないかな……」
セシリア「ギターを背負っているシャルさんがそれを言いますの……?」
シャル「オッケーセシリア。表出ようか」
セシリア「ふぁっ!?」
戒斗(姦しい奴らだ)
戒斗(……)
戒斗(学生は、そんなものか)
セシリア「か、戒斗さんはどんな水着をお召しになりますの……?」
戒斗「……」
シャル(あれ。戒斗の視線の先にあるのって……)
――戒斗の視線の先には、ふんどしが陳列されていた。
<火葬場に向かう車の中>
千冬(みんな、涙を流している)
千冬(呉島さんは多くの人に愛されていた。彼は、偉大な英雄だった)
千冬(私だって、じいさんが亡くなってからずいぶんと助けられた)
千冬(……)
――千冬は、ふと窓の外に視線を向けた。
千冬(いいや、勘違いだろう。私も相当参っているようだな)
千冬(黄金のミニカーが空を飛んでいる、なんて幻覚を見るとは……)
<IS学園・1年1組>
クラスメイト2「王侯のように華やかにすべきだ!」
クラスメイト3「大きなケーキは必要だ!」
「握手会とか!」
「鑑賞会とか!」
「花道オンステージ!!」
クラスメイト1「ッ~~~だーッ! お前ら全然ダメだ! そんなんで本当に満足できんのか!!」
クラスメイト達「「…………」」
クラスメイト1「もう一度よく考えようぜ」
クラスメイト1「駆紋の大将との、お別れ会のシナリオを」
<ショッピングモール>
――戒斗が、店舗の片隅にたたずんでいた。
戒斗「……」
一夏「あれ。何だ、戒斗も女子から逃げてきたのか」
戒斗「ふん」
一夏「女の子ってすごいよなー。なんで、水着一つ選ぶだけであんなにはしゃげるんだろうな」
戒斗「……」
一夏「……」
一夏「ありがとな、戒斗」
戒斗「何がだ」
一夏「今日、付き合ってくれて」
戒斗「ふん」
一夏「あはは。こんな、なんてーか普通の日常って奴はさ。戒斗には退屈だろ」
戒斗「ああ」
一夏「あはは……。即答かぁ」
戒斗「だが」
一夏「うん……?」
戒斗「いや、やめておこう。忘れろ」
一夏「? わかった」
<IS学園・1年1組>
クラスメイト3「すばらしいっ!」
クラスメイト2「ああ! ク・モーンとの最後の思い出に、これ以上のものは無いだろう……!」
クラスメイト1「よしっ。じゃあ決まりだ!」
――クラスメイト1は、黒板をバンッ! と叩いた。
クラスメイト1「校外特別実習で仕掛けるぞ!」
クラスメイト1「今日から、秘密の地獄特訓だ!!」
<夜・職員寮・千冬の部屋>
千冬「呼び出してしまって、すまなかったな」
戒斗「用件は何だ」
千冬「……」
千冬「呉島さんの葬儀に出席してきた」
戒斗「そうか」
千冬「知っての通り、呉島さんが亡くなったのは一ヶ月前だ」
戒斗「だが」
戒斗「呉島貴虎の遺体が盗まれたために、葬儀は延期していた」
千冬「そうだ。……結局、遺体を見つけられないまま空の棺を燃やしたよ」
戒斗「……」
千冬「話しはそれだけだ」
戒斗「そうか」
千冬「……ああ」
千冬(駆紋戒斗。無関心を装っているが……)
千冬(強く握り込んだ拳だけは、隠せなかったみたいだな……)
<同時刻・沢芽市・御神木の神社・宝物庫>
――宝物庫に“怪盗”の姿があった。
――“怪盗”は黄金のミニカー。その名は、アルティメットルパン!
ルパン「木枠の窓から射し込む
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