男「冥土の土産に教えてやろう」 女「いや、いいです!」
男「えっ」
女「そういうのいいですから!」
男「いや、えっ」
女「はやく殺してください!」
男「冥土の土産に教えてやるって言ってんのに」
女「どうせ殺すんでしょう?」
男「そりゃまぁ……」
女「死ぬなら聞いても意味ないじゃないですか!」
男「だから教えてやろうって話なんだけどな」
女「その構えている銃、本物ですよね」
男「もちろんだ」
女「あ、やっぱりホントに殺すつもりなんだ」
男「ああ」
女「どうぞ撃ってください」
男「調子くるうな……」
男「俺が誰か興味ないのか?」
女「この時間に家に忍び込むなんて泥棒ですかね」
男「いや、違う。俺は」
女「あー! いいですいいです!」
男「俺の正体は」
女「言わなくていいですって!」
男「……」
女「……」
男「わかった。俺が誰かは言わない」
女「はい」
男「そのかわりお前が誰か教えてくれ」
女「いいんですか殺さなくても」
男「急ぐことはない」
女「悠長ですね」
女「私が誰か知らないんですか?」
男「知らないな」
女「なのに私を殺そうとしている」
男「そうだ」
女「謎は深まるばかり」
男「だから冥土の土産に教えてやるってば」
女「殺さないなら聞いてあげてもいい」
男「駄目だ。絶対に殺す」
女「じゃあ聞いても仕方ないですね」
男「お前の言っていることがよくわからん」
女「冥土に土産を持っていけるのかって話ですよ」
男「そんなの、死んでみないとわからないさ」
女「死の間際に中途半端になにかを伝えられても
もやもやしながら死んでいくだけじゃないですか」
男「そういうものかな」
女「死んでみないとわからないんですけどね」
女「まさか殺し屋とかじゃないですよね」
男「答えていいのか?」
女「いいですよ」
男「殺し屋だ」
女「なぜ私を狙って殺し屋が……しまった、もやもやする」
男「結局自分であてやがったな」
女「くそ、どういうことだ」
男「じゃあ殺すぞ」
女「待て、馬鹿やめて、今死ぬのは一番だめ」
男「殺し屋はそんなにお人よしじゃない」
女「私はもやもやしながら死んでいくのか」
男「そうだな。気まぐれに生かすのもここらへんでやめよう」
女「これだから聞きたくなかったんだ……」
男「当てたのはお前だ」
女「わかりました……殺してください」
男「そのつもりだ」
女「はやく」
男「強がっててもさっきから震えてるぞ」
女「そりゃ怖いでしょうが!」
女「なんで私は殺されるんだろう」
男「そんなの心当たりがあるだろう?」
女「家の財産ですか」
男「ビンゴだぜ。大富豪のお嬢様」
男「お前の家は敵も多そうだしなぁ」
女「私のこと知らないんじゃ?」
男「ここの家の娘ってことくらいわかるさ」
女「名前は?」
男「知らない」
女「教えません」
男「訊く気もない」
男「俺は三日以内にこの家の娘を殺すように雇われた」
女「三日以内?」
男「ああ、依頼を受けたのは今日だがはやいうちに済ましておこうと思ってな」
女「なんで私は殺されるんですか?」
男「知らないさ。俺は金さえ出してもらえれば依頼を受ける」
女「本当ですね?」
男「?」
女「あなたに依頼します」
男「依頼だと?」
女「金さえ出せばどんな依頼も受けるんですよね?」
男「まあ、そうだが」
女「お金なら腐るほどあります」
男「嫌なお嬢様だな」
女「命にはかえられません」
女「私に殺しの依頼をした人を、殺してください」
男「向こうの依頼のほうが先だぞ?」
女「私は三日以内に殺せば大丈夫なはずです」
男「……確かにそうだが、ターゲットからの依頼を受けるだなんてバカげてる」
女「はい、バカげていますね」
男「俺はバカげたことが大好きだぜ」
女「決まりですね」
男「依頼主もまさか自分が狙われる側になるとは思っていないだろうな」
女「あ、忘れていました。そうですね、二日以内に依頼主を殺してください」
男「依頼主を殺して、最後にお前を殺せばいいのか」
女「ややこしいですね。大丈夫ですか?」
男「俺としちゃどうでもいいことだ。金を用意しておきな」
女「私も連れて行ってください」
男「なんでだ?」
女「こんな可愛い子を殺そうとしたやつが誰なのか知りたいんです」
男「自分で可愛いっていうか」
女「可愛くないですか?」
男「淡々と殺し屋と会話するあたりがキュートだぜ」
女「ばかにしてますね」
男「しかし連れて行くとなると邪魔になるな」
女「あっ、邪魔ってひどい」
男「殺し屋は冷酷なのさ」
女「私の依頼を受けるんですから、私の言うこときかなきゃだめですよ」
男「そんなルール初めてきいたぞ」
女「とにかく、今すぐ出ましょう」
男「この時間からか」
女「それともとりあえず一緒に寝ますか?」
男「なんだ、一緒に寝るって」
女「ベッドがひとつしかないので」
男「殺し屋はよほど信頼した相手の前でしか眠らない」
女「可愛い女の子と一晩をともにするチャンスなのにもったいないですね」
男「ほら、はやくいくぞ、ほら」
女「とうっ! 外にやってきました」
男「なんだそのジャンプ」
女「テレビ番組のロケとかで場所を移動する時にやるじゃないですか」
男「えー、映像を繋げてする演出か」
女「それですそれです」
男「今は誰も撮っていないけどな」
女「あ、カブトムシがいる」
男「夜の電灯に集まってきているんだな」
女「捕まえよう」
男「連れて行く気かよ」
女「十匹くらいいます! かごが欲しいところですね」
男「え、しかも全部捕まえるの」
女「カブトムシは諦めました」
男「それがいい」
女「家にコーカサスとかヘラクレスがいっぱいいるので」
男「いいなぁ」
女「えへへ、いいでしょー」
女「コンビニの看板がみえます」
男「お嬢様はコンビニとか普段行かないか?」
女「はい。ちょっと行ってなにか買ってきてください」
男「えぇ、なんでだよ」
女「あなたは私の依頼を受けたんだから言うことをきいてもらいます
パシリにもならなければいけません」
男「殺し屋のルールにパシリだとかそんなものはない」
女「私もついて行きますから」
男「それパシリじゃないじゃん」
女「私はパシリの付き添いです」
男「銃を持って入るとコンビニ強盗みたいだな」
女「しっかり隠してくださいね」
男「おまけに若い女の子を誘拐したみたいだ」
女「初めてのコンビニ」
男「コンビニごときでわくわくするなんて可愛いな」
男「何事もなくコンビニを出た」
女「お爺ちゃんの店員さんが一人でレジにいましたね」
男「コンビニ強盗に襲われたら危ないな」
女「殺し屋がそんな心配しますか」
女「えへへー、アイス買っちゃった」
男「お嬢様もこんな安いアイス食べるんだな」
女「なっ、安くないですよ、ハーゲンダッチュですよ!」
男「噛んだな」
女「噛んでない」
女「私の家、お金持ちなんですけど」
男「知っている」
女「親の都合で普通の学校に通っていたんです」
男「ほう」
女「だけど、お金持ちってだけで友達ができなくて」
男「ほうほう」
女「孤立していたんですが、あの、ん」
男「話すのはアイス食べ終わってからでいいよ」
女「
コメント一覧
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- 2015年01月31日 21:28
- この人って同じ話しか書けないのか?
-
- 2015年01月31日 21:48
- おつかれ!
つまらんかった
-
- 2015年01月31日 21:52
- おもしろくはなかったかな
-
- 2015年01月31日 23:41
- この人か。発想と締め方はわりと好き
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