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エルフ「え?淫魔にチョコあげるの?」犬娘「そう」|エレファント速報:SSまとめブログ

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エルフ「え?淫魔にチョコあげるの?」犬娘「そう」

1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/12(木) 22:35:53.78 ID:jlcOoq70o

此処は何処かの世界の小さな村
少し変わった住人達が平和に暮らしておりました

そんな村にも St. Valentine Day が近付いてきました
男たちはソワソワと落ち着きなく
女たちはヒソヒソと相談しながら
迎え来るその日を心待ちにしていたのです

── これは、そんな何処かの村の物語


エルフ「え?淫魔にチョコあげるの?」

犬娘「そう」



2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/12(木) 22:37:44.32 ID:jlcOoq70o

エルフ「いやいやいや。淫魔ってアレだよ?」


二人が視線を向けた先では噂の主が女の子達に囲まれていました


人魚「ねぇ淫魔ぁ。バレンタイン楽しみにしててねぇ」

ハーピー「ふふっ、人魚より先に私の食べて?」

竜娘「それより私ごと食・べ・て♪」

人魚「竜娘、アナタねぇ……」

ハーピー「あぁん!私もそっちがいい!」

淫魔「こらこら。君達、喧嘩しないの」

人魚「淫魔ぁ、私も……貴方との夜が忘れられないの」

淫魔「わかってるよ、人魚」チュッ

竜娘「あっ!人魚ずるーい!」

ハーピー「ねぇねぇ、お返しは体でいいよぅ?」


淫魔「あはは。それは大歓迎な話だね」



3:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/12(木) 22:38:52.49 ID:jlcOoq70o

そんな騒ぎの様子にエルフは心底嫌そうに溜息をつきました


犬娘「うん。いつも通りの光景だね」

エルフ「アイツ、あんな事言ってるだけどっ!?」

犬娘「平常運転」

エルフ「アレのどこがいいの……?」ハァ...


犬娘「ボクは、よく普通に話すよ」

エルフ「アイツの普通はベッドへの誘いでしょ!?」

犬娘「そんなのされたことないよー!」

エルフ「とても想像つかないわ……」



4:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/12(木) 22:39:37.73 ID:jlcOoq70o

犬娘「エルフはあんまり淫魔と話さないもんね」

エルフ「だって、苦手なのよ。ああいうタイプ」

犬娘「淫魔もいいとこ、いっぱいあるよ?」

エルフ「男は!やっぱり、マッチョよ!筋肉よ!」


犬娘「あー……エルフはリザード一筋だもんね……」

エルフ「リザードさんの筋肉素敵よねぇ……」

犬娘「ボク、そこまで筋肉に愛着ないよ」

エルフ「犬娘は子供ねぇ。あの大胸筋に魅力を感じないなんて」ホゥ…


犬娘「エルフー?帰ってきてー?」

エルフ「ハッ!」



5:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/12(木) 22:40:22.95 ID:jlcOoq70o

犬娘「それでエルフに頼みがあるんだ」

エルフ「頼み?」

犬娘「そう」


エルフ「私に出来る事なら、そりゃあ協力するわよ?」

犬娘「うん。贈るチョコが上手く出来るか味見して欲しいんだ」

エルフ「味見?犬娘、料理得意だったわよね?」

犬娘「まぁ得意というか、普通程度なら作れるんだけどね……」

エルフ「なら、自分で味見すれば……あ……」

犬娘「うん」


エルフ「チョコ、食べられないん……だっけ?」

犬娘「大量に食べると命に関わるからね」



6:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/12(木) 22:41:14.43 ID:jlcOoq70o

そうなのです、犬娘はチョコレートを食べると具合が悪くなってしまうのです


エルフ「そっか。それくらいなら協力す…る……」

犬娘「ん?」クルッ

淫魔「女の子二人で秘密の相談?いいね」クスクス

犬娘「淫魔!」



7:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/12(木) 22:41:53.99 ID:jlcOoq70o

いつの間に近くへ来ていたのか、淫魔は犬娘の頭を撫でながら笑いました
犬娘はくすぐったそうに耳をピクピクと動かします


犬娘「淫魔、いつから聞いてた?」

淫魔「命に関わる、辺りからかな?」


エルフ「犬娘!いつ頃がいいの?」

犬娘「そうだね……前日の夜はどうかな?」

エルフ「そうね、わかったわ。じゃあ、その日に直接家へ行くわね」

犬娘「ありがとう、エルフ」

エルフ「いいえ、どういたしまして」


淫魔「何が命に関わるのか聞きたいところだけどね?」

犬娘「女の子の秘密なんだよ」ニコッ

淫魔「それは残念」



8:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/12(木) 22:42:31.90 ID:jlcOoq70o

エルフ「そろそろ……約束があるから私は行くわね」

犬娘「あっ……うん、もうそんな時間?」

エルフ「じゃあ『気をつけて』犬娘。またね」

犬娘「うん?またね、エルフ」

淫魔「またねー」


犬娘「さてと。ボクもこの後用事があるんだ」



9:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/12(木) 22:43:13.28 ID:jlcOoq70o

淫魔「そうなの?なんだ、じっくり秘密について問いただそうと思ったのに」

犬娘「秘密は秘密だよ」

淫魔「わかった。聞き出すのは、またの機会にとっておくね」

犬娘「全然わかってないよね、それ」

淫魔「俺の聞こえる所で話してたのが間違いだったね!」

犬娘「」

淫魔「あんまり引き止めても悪いね。じゃあ、またね!」チュッ

犬娘「」



10:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/12(木) 22:43:56.87 ID:jlcOoq70o

────────
──────
────
──



16:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/13(金) 20:10:04.76 ID:8z9Nj2sno

それから、時間はあっという間に過ぎていきました
気がつけば、 St. Valentine Day はもう明日に迫っています
この日ばかりは、果物屋に小麦屋、薬屋も一般客で大盛況です
犬娘も混雑の中、必要な食材を揃えるためお店をあちこち回りました


犬娘「わうー……重かったー……」ドサッ


テーブルの上に食材を広げます
小麦粉、重曹、ココアパウダー、ナッツ類
更に家にあったミルクに砂糖、卵と蜂蜜


犬娘「えっと、夜にはエルフが来るからもう作っておこうかな」


続いて棚から調理道具を取り出し、手慣れた様子で並べていきます
犬娘の機嫌の良い鼻歌に合わせて尻尾がゆらゆらと揺れています

いざ分量を計ろうと、秤に手をかけた時、ドアが控えめにノックされる音が聞こえました



17:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/13(金) 20:11:44.40 ID:8z9Nj2sno

犬娘「誰だろ?はーい!」

エルフ「犬娘?ごめんっ!!」

犬娘「ふぇ?」


ドアを開けた其処では、エルフが両手を合わせて頭を下げていました


犬娘「えっと、どうしたの?」

エルフ「今日の約束、駄目になっちゃった」

犬娘「えぇっ!?」

エルフ「実は……リザードさんから急に誘われて……」

犬娘「あー……なるほどー……」

エルフ「本当にごめんっ!」



18:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/13(金) 20:13:13.03 ID:8z9Nj2sno

犬娘「うーん……わかった、いいよ」

エルフ「本当にごめんね?」


犬娘「ううん、ボクなら大丈夫!エルフもがんばれ!」

エルフ「ありがとう!ごめんね!この埋め合わせは絶対するから!」

犬娘「気にしないで、がんばれってば!」アハハ

エルフ「うん。ありがとう!がんばるね!」


犬娘「じゃあ、今度美味しいもの奢ってね」

エルフ「わかった!じゃあ、急いでるから行くね!」

犬娘「応援してるよー!」

エルフ「ホントに埋め合わせするからねー!」パタパタ


エルフは慌てた様子で走り去っていきました


犬娘「どうしよっかな、味見……」



19:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/13(金) 20:13:49.65 ID:8z9Nj2sno

目の前のテーブルには、お菓子作りのための準備が万端に揃っています
流石の犬娘も耳と尻尾をぺたんと伏せて、溜息をつきました
ですが、いつまでも落ち込んでいる彼女ではありません
ぐっと拳に力を入れて、顔を上げました


犬娘「味見は後で考える!とりあえず、作っちゃおう!」


強気にそう宣言すると、大きく深呼吸して肩の力を抜きました
そして竈に火を入れ中を温めておいて、鼻歌を歌いながら材料を混ぜ始めました
砕いたナッツは生地の中に入れ、生地を型に流し込みます


犬娘「一つずつは小さめの方がいいかな?」


声に出して考えつつ、仕上げにスライスしたナッツを生地の上に飾ります
並べた生地を竈に入れると、すぐに甘い匂いが部屋中に広がり始めました

犬娘「うーん、いい匂いだなー」



20:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/13(金) 20:14:50.74 ID:8z9Nj2sno

道具の後片付けをして、しばらく待つと、お菓子は完成しました
見た目と匂いは本当に美味しそうに出来上がっています


犬娘「えっと、とりあえず包装してっと……」


小さめに作られたマフィンなので、幾つかをまとめて袋に入れ、
予め用意しておいた、綺麗なリボンで飾り付けます
淫魔に贈る準備は、あっという間に整ってしまいました


犬娘「はぁ……誰に頼もうかな……」


出来上がったお菓子を前に、椅子に座って犬娘は呟きました
脳裏には次々と友達の顔が浮かんでいきますが
明日への準備に忙しいだろう相手や、甘いものが苦手な相手、
今からでは頼めそうにもない相手ばかりです

犬娘は途方に暮れて、甘くて美味しそうな匂いのお菓子を指先でつつきました



21:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/13(金) 20:16:07.10 ID:8z9Nj2sno

犬娘「これは、もう、自分で食べてみるしか、ないっ!」


これをひとつでも食べてしまっては具合が悪くなるのは確実です
小さいマフィンを更に半分に割りました
出来たての匂いが誘うように強くなった気がしました


犬娘「匂いは、美味しそう!多分、なんとかなる!」

淫魔「確かに美味しそうな匂いだね。チョコレートの」

犬娘「」



22:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/02/13(金) 20:17:58.30 ID:8z9Nj2sno

驚いて振り向くと、窓枠に腰掛け、にっこりと笑った淫魔が其処にいました
手に持った飲みかけのワインの瓶に口をつけ、漆黒の羽を広げています


淫魔「それで、何が『なんとかなる』って?」

犬娘「あ、あの……」

淫魔「確かチョコレートを食べると具合が悪くなるって聞いた覚えがあるんだけど」

犬娘「う……」

淫魔「ソレ、まさか食べようとかしてないよね?」

犬娘「」

淫魔「自分で味見しなくても、人に頼むとかあるだろう?」

犬娘「な、なんでここに?」


淫魔「あぁ、うん。飲んだ帰りに、たまたま近くに来たから寄ったんだ」

犬娘「うん」

淫魔「まさか自分に害のあるものを食べようとして
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    コメント一覧

      • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2015年02月13日 23:46
      • よさそう作品

    はじめに

    コメント、はてブなどなど
    ありがとうございます(`・ω・´)

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