作家の曽野綾子(そのあやこ 83才)氏が、「産経新聞」に掲載したコラム人種差別的

だとして、批判を浴びています。

画像:【曽野綾子】
曽野綾子
https://www.youtube.com/watch?v=C3mGoaQ4JTI/

11日付の「産経新聞」朝刊に掲載されたコラム。

曽野氏は『労働力不足と移民』と題して、日本の労働力不足を解消するために政府が移民緩和すること

に触れ、アパルトヘイト(人種隔離政策 ※)が敷かれていた南アフリカ共和国になぞらえ、移民も人種ごと

に居住区を分けた方が良いなどとつづりました。

アパルトヘイト…南アフリカ共和国における白人と有色人種隔離政策。
1948年から1994年まで続きました。
就業、選挙権、居住地の環境、教育、異性間の交際などさまざまな面で差別的措置がありました。

黒人と白人の子供
http://en.wikipedia.org/wiki/Wikipedia:WikiAfrica/Stubs/Paul_Weinberg

黒人の子供たち
https://www.flickr.com/photos/un_photo/3311473293/

これに対し、NPO法人のAFJ(アフリカ日本協議会)は産経新聞社に抗議。

次の内容をFAXと郵便で送りました。

曽野綾子様

産経新聞社常務取締役 飯塚浩彦様

『産経新聞』2015年2月11日付朝刊7面に掲載された、
曽野綾子氏のコラム「労働力不足と移民」は、南アフリカのアパルトヘイト問題や、
日本社会における多様なルーツをもつ人々の共生に関心を寄せてきた私たちにとって、
看過できない内容を含んでおり、著者の曽野綾子氏およびコラムを掲載した
産経新聞社に対して、ここに強く抗議いたします。

曽野氏はコラムのなかで、高齢者介護を担う労働力不足を緩和するための
移民労働者受入れについて述べるなかで、
「外国人を理解するために、居住を共にするということは至難の業」であり、
「もう20~30年も前に南アフリカ共和国の実情を知って以来、私は、
居住区だけは、白人、アジア人、黒人というふうに分けて住む方がいい、
と思うようになった」
との持論を展開しています。

「アパルトヘイト」は現地の言葉で「隔離」を意味し、人種ごとに
居住区を分けることがすべてのアパルトヘイト政策の根幹にありました。
また、アパルトヘイトは、特権をもつ一部の集団が、権利を剥奪された他の集団を、
必要なぶんだけ労働力として利用しつつ、居住区は別に指定して
自分たちの生活空間から排除するという、労働力管理システムでもありました。
移民労働者の導入にからめて「居住区を分ける」ことを提案する曽野氏の主張は、
アパルトヘイトの労働力管理システムと同じです。

国際社会から「人道に対する罪」と強く非難されてきたアパルトヘイトを擁護し、
さらにそれを日本でも導入せよとの曽野氏の主張は言語道断であり、
強く抗議いたします。
このような考え方は国際社会の一員としても恥ずべきものです。

おりしも、このコラムが掲載された2015年2月11日は、
故ネルソン・マンデラ氏が釈放されて、ちょうど25年目にあたる日でした。
その記念すべき日に、南アフリカの人びとが命をかけて勝ち取った
アパルトヘイトの終焉と人種差別のない社会の価値を否定するような文章が
社会の公器たる新聞紙上に掲載されたことを、私たちはとても残念に思います。

曽野綾子氏と産経新聞社には、当該コラムの撤回と、南アフリカの人々への謝罪を求めます。
また、このような内容のコラムが掲載されるに至った経緯、
および人権や人種差別問題に関する見解を明らかにすることを求めます。
以上について、2015年2月28日までに文書でアフリカ日本協議会(AJF)へ
お知らせくださるようお願いいたします。
また、貴社のご対応内容については他の市民団体、
在日南アフリカ共和国大使館、国際機関、報道機関などへ
公開するつもりであることを申し添えます。

2015年2月13日

(特活)アフリカ日本協議会
代表理事 津山直子

(引用元:http://www.ajf.gr.jp/lang_ja/archives/sonoayako-sankei20150211.html)

続いて、南アフリカのモハウ・ペコ駐日大使も13日付けで同紙に抗議文を送ったとのこと。

モハウ・ペコ駐日大使
http://jp.unu.edu/news/news/ambassador-pheko-of-south-afirca-speaks-at-unu.html

「アパルトヘイトを許容し、美化した。行き過ぎた、恥ずべき提案。政策は人道に対する犯罪。
21世紀において正当化されるべきではなく、世界中のどの国でも、肌の色やほかの分類基準によって他者を差別してはならない」

と語りました。

なお、「産経新聞」は一連の報道を受け、

「当該記事は曽野綾子氏の常設コラムで、曽野氏ご本人の意見として掲載しました。
コラムについてさまざまなご意見があるのは当然のことと考えております。
産経新聞は、一貫してアパルトヘイトはもとより、人種差別などあらゆる差別は許されるものではないとの考えです」

と回答しています。

(参考:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150214-00000077-mai-soci)

また英国紙「インディペンデント」や「ロイター」、米国紙「ニューヨークタイムズ」などの海外メディアでもこの件

について、報じられています。

アパルトヘイトのあった南アフリカ共和国を移民政策の好例として出したのはまずかったですね・・

ただ世界的にみると、良し悪しは別として一定の人種が多い街は結構存在します。