ドラマの連続再生がやめられないけれど、大丈夫?
見過ぎにご注意...なのかな?
今年秋に日本へ上陸することが発表されたNetflix。アメリカでは国内のインターネットトラフィックの3割以上を占めるとされ、絶大な人気を誇っています。しかし、長時間かけて人気テレビ番組を"一気見"する人たちの依存性やメンタルヘルスへの影響を心理学者たちは懸念しているようです。
オンラインストリーミングの出現は、テレビの視聴方法を変えました。これまでのテレビとは常に「何も面白いものがやってない」場合は消されるものでした。ときどきお気に入りの番組が連続放送されることはありましたけれど。
皆さんも経験あるかと思いますが、「ブレイキング・バッド」や「ハウス・オブ・カード 野望の階段」などシリーズものを何話も連続再生して視聴すること、ありませんか? この行動は現在、「binge-watching(ビンジウォッチング)」と呼ばれています。「binge eating(過食)」や「binge drinking(アルコールの過飲)」など実在する病状を示す言葉を連想させ、ある研究チームに至ってはこれらと同じような症状をNetflixに夢中になっている人たちから見出そうとしています。
テキサス大学オースティン校で行われたオンライン調査の参加者316人の中237人があらかじめ決められたビンジウォッチングの定義に当てはまったとされ、さらにビンジウォッチングをしている人たちは、そうでない人たちに比べて、自己管理能力の欠如や孤独感などの性質を持つ人が多かったという結果を研究チームのリーダーはNPRに対して述べています。
しかし、この研究がビンジウォッチングの症状を解明するとは言えません。この研究が、オンライン動画配信サービスがメンタルヘルスに与える影響を分析するための調査として不十分であるのは次の問題を考慮しなければいけません。
まず、研究対象の数が少なすぎること。アメリカの人口から「テレビを観る習慣」を推測するには、316人のデータではとても十分とは言えません。
また、ビンジウォッチングの定義が、研究者の間で異なっていることも問題です。多くの場合ビンジウォッチングとは、ドラマをまるごと1シーズン分を1日または週末で視聴する人のことを指します。しかし今回の研究では、テレビ番組を2話続けて視聴した場合でもビンジウォッチングをしていると判断していました。
これまでビンジウォッチングは、ジョークの公共広告や、コメディ番組「Portlandia」などのドラマでネタとして話題にされてきました。
いずれもジョークではありますが、ビンジウォッチングが引き出こしかねない中毒すれすれのちょっと怖い人格をうまく表していると言えます。
しかし驚いたことに、Netflixは2013年ビンジウォッチングこそが新たな“ノーマル”だと発表したのです。
オンライン動画配信では他を一歩リードするNetflixは、シーズン全話を一挙に公開する放送モデルと、1話見終わると15秒後には次のエピソードが再生されるという自動再生機能があるため、視聴者のビンジウォッチングを助長していると言えます。
「binge」という言葉は、他のどの文脈で使われていてもネガティブな印象を与えてきました。しかし、テレビ番組や映画の視聴に関して言うと、何のためらいもなく受け入れられているのが興味深いことです。
ビンジウォッチングが害のない趣味なのか、それとも深刻な依存症なのか。それを見極めるためのさらなる研究に期待しましょう。
source: NPR
Darren Orf - Gizmodo US[原文]
(原田真理恵)