ヨネさんが肩を射抜かれちまった！ちくしょうヤバイですよ明さん！トンネルが要塞みてェになってる上に、壁には鋭利の丸太や槍…ちくしょうホントにここは現代日本なのかと疑いたくなっちまう光景だけど、これが現実…ちくしょう一体誰がこんなことやってやがるんだ…ん？

いや違う！よく見るたら吸血鬼の生首じゃねェか！血がボタボタ落ちてて気持ち悪ィ！

…でも、吸血鬼の生首を晒すということは…この要塞、人間がつくったんじゃないのか！？吸血鬼から身を守るためにトンネルに要塞をつくったわけだ。…おーい！同じ人間だ！！入れてくれー！…おい聞こえないのか！？ほらよく見てみろ！吸血鬼の歯してねェだろ！だからさっさと開けろよこっちは人間じゃバカタレェ！

おい人間！明さんに槍で突いてくるなんてあぶねェ！包丁や工具を棒の先端にくくり付けたもので突いてきやがってちくしょう！…ん？

おいよく見てみろ…こいつら、ただ包丁をくくりつけてるわけじゃねェ…棒に2つの包丁をくくりつけてやがる！これは危険だ…え？別に包丁1本で十分なんじゃねェかって？よく考えろバカタレェ！これはな、2つの刃の間隔が短くて、傷が2つ付けられると傷口の縫合が上手くできなくなっちまうんだ。“刀狩”の張が言ってた！…それだけじゃねェぞ、刃の向きが双方違う…これは包丁が刺さったあとにひねられちまったら、肉ごとえぐりとられちまう構造になっちまってるんだ！えげつねェ武器じゃ！…だけど吸血鬼相手と考えたら、傷口をつけるよりも肉をえぐりとったほうが確実に致命傷を負わせることができる。…ちくしょう、この要塞を考えたヤツぁ頭が冴えちまってる！

…だけど、明さんを攻撃するとは許されねェ！まだ人間だって確信が持ててなかったときに射抜かれちまったヨネさんは仕方ないとしても、人間だと分かってから明さんに攻撃をしかけたてめェらはぜってェ許さねェからな！てめえらの血が赤色だろうとぜってェ許さねェ！明さん、ちゃっちゃとやっちゃってください！

…ん？要塞の中がざわついてやがる…一体何が…え？要塞の扉が開いた…そして明さんに対して「救世主様」…おいてめェら！明さんに攻撃をしておいて救世主様とは何様じゃコラァ！てめェらのえげつねェ攻撃で明さんは死にそうになっちまったというのにこのやろこんちくしょ…

いや待て冷静になろう。人間たちは吸血鬼からの襲撃でビンカンになっちまってるんだ。もしかしたら人間だけど裏切ったヤツがいるって思っても仕方ねェ。…ちくしょう、今回は許してやんよ人間ども。…だけど一方で人間たちをここまで狂わせた雅のヤロウはぜってェ許さねェ！ちくしょうあのヤロウみていやがれよ明さんが東京に着いたらてめェの生首を隅田川に流してやるからなちくしょう！

彼岸島 最後の47日間(16)<完> (ヤンマガKCスペシャル) 松本 光司 講談社 2014-09-05

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