戻る

このページは以下URLのキャッシュです
http://rss.rssad.jp/rss/artclk/T7he30zk4qYy/95adff5d301e5781cf6432e649df3672?ul=W7FK2ra7sG1_mJx9XgGFwEOgKTSXs4H2X19nwvRvRwZpE80wtdY0J2IljoTayisXpox4Vk65psbijq57QqZxKH0mOep1OCsVAP0Z33Fq9Q2jBIcch


映画「ジュピター」撮影用に作られたカメラがとらえたシカゴの最も美しい時 : ギズモード・ジャパン

映画「ジュピター」撮影用に作られたカメラがとらえたシカゴの最も美しい時

2015.02.16 19:00
  • このエントリーをはてなブックマークに追加


『マトリックス』や『クラウドアトラス』で革新的な映像表現を見せてくれたウォシャウスキー姉弟。彼らの最新作「ジュピター」(原題「Jupiter Ascending」)にも素晴らしい映像表現が期待できるようです。

映画の見せ場ともなるシカゴを舞台にしたチェイスシーンは、1日に6分間しかない街が一番美しく見える時を狙い、この映画のために新たに作られたカメラシステムで撮影されています。壮大なスペースオペラだからVFXばかりの映画だろうと思われるかもしれませんが、そこに現実の美しさを混ぜ込んでいるのです。


150210jupitercamera.jpg


150210jupitercamera2.jpg


映画中でエルフ耳をつけたチャニング・テイタムがビルの間を飛び回り、大活躍するシカゴ上空。このシーンに映る幻想的な色合いの街は実際のシカゴの光景なんです。このシーンはLAにあるPictorvision社制作のカメラリグで撮影されています。

Pictrovisionは空撮用に電子制御でブレのない撮影ができるシステムを作ることが専門の会社です。同社の一番有名なカメラリグ「Eclipse」では、フィルムやレンズは好みに応じたものが使え、振動するヘリコプターからでも安定した映像が撮れるようになっています。2011年には興行収入トップの映画上位10作品のうちの半数に使われているほどのカメラリグなんです。


Eclipseマルチカムアレイの内部。スタビライザーも自在にコントロールできる


PictorvisionのTom Hallman社長が米Gizmodoに語ったところによると、「ジュピター」のために全く独自のカメラリグを作ったとのこと。

それがこの「Eclipseマルチカムアレイ」と呼ばれる、市販の5K Red Epicカメラを6つ、3個×2列で配したものです。Hallmanさんによれば、それぞれのカメラで撮影された映像は後でPictorvisionのソフトウェアで合体させられ、ひとつの高画質(36Kに近いんだとか)パノラマ映像が出来上がるんだそうです。


150210jupitercamera3.jpg


LAでのテストショット、6つのRed Epicsからの映像


そんなに高解像度の映像がどうして「ジュピター」に必要だったのか?答えは、監督が一番撮りたかっったシカゴと関係があるようです。



その答えは「夜明け前の数分間」のシカゴです。

ラナ・ウォシャウスキー監督はギズの姉妹ブログio9に対してこう語っています。

ロケハンにいったときのことです。夜が明ける直前に、太陽光が池と空に反射して、空をインディゴに、深い紺色にしていたんです。Lトレインと街明かりが全部まだオレンジ色で、街の煌めきがゆっくりと消えていき、太陽がゆっくりと昇ってくる。この変化の瞬間はこの上なく美しいのです。ジョン・トール(本作撮影監督)と一緒に行ったのですが、彼は「オーマイゴッド、なんて素晴らしいんだ。何を撮ればいい?キスシーンかロマンチックなシーンか?」って聞いてきたんで「チェイスシーンが撮りたいんだよ」って言うと彼は「えっ、本気で?」って言っていましたね。時計を見たら、大体6分間だったんです。

なので毎朝この美しい光景の見える6分間を狙って必要なシーンを撮り終えるまで空撮を繰り返してたんですね。 

Hallmanさんによれば、時間に余裕があれば複数回飛んで撮影するものの、今回は超高画質なおかげで、タイミングを見計らった1、2回の撮影だけで必要な物が全て撮れたとのこと。


150210jupitercamera4.jpg


150210jupitercamera5.jpg


でもこの映画でMulticam Arrayが使われたのは空撮シーンだけではありませんでした。この超高画質のカメラはシカゴ川でのボート上からの撮影でも使われたのです。

映像があまりにも高画質なので、クロップしてフルサイズの2Kや4Kの映像にすることもできたんだとか。


150210jupitercamera6.jpg


150210jupitercamera7.jpg


「言い換えれば、一度撮影してしまえば、構図(フレーミング)は何度でも、好きなようにやり直せるのです。後で画面内を飛び回るCGIが追加されるような場合にはとても助かるんですよ」とHallmanさん。今週試写会で見た新編集長もあまりの鮮明度に驚いてました。



「ジュピター」の撮影終了以降、数多くの映画がMulticam Arrayを使っており、「ANNIE/アニー」、「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」、「ジュラシック・ワールド」、「ワイルド・スピード SKY MISSION」などの注目作品でもこのカメラリグが使われているそう。Multicam Arrayは今後の映画撮影の主流になるかもしれませんね。


Kelsey Campbell-Dollaghan - Gizmodo US[原文
(abcxyz)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • クラウド アトラス [Blu-ray]
  • ワーナー・ホーム・ビデオ
  • ファンタジーの世界観を描く コンセプトアーティストが創るゲームの舞台、その発想と技法
  • 富安 健一郎,上野 拡覚,ヤップ・クン・ロン|エムディエヌコーポレーション
・関連メディア