映画『District 9』(第9地区)などで知られるニール・ブロムカンプ監督が、次回作が『エイリアン』の新作になることを認めました。
ニール・ブロムカンプは南ア出身の35歳。CGアニメーターとしてのキャリアののち数本のショートフィルムやコマーシャルを手がけ、初の長編作品『第9地区』で一躍有名監督の仲間入りを果たしました。ほか監督作は『エリジウム』、今年公開の『CHAPPiE』など。
ブロムカンプは以前からもっとも好きな映画としてリドリー・スコットのAlien およびジェームズ・キャメロンの Aliens を挙げており、暖めていたアイデアがあることを公言しています。
さらに今年の1月からは自身の Instagram アカウントでエイリアン・クイーンのようなゼノモーフ(要するにエイリアン)やウェイランド・ユタニ本社(!)、リプリーとヒックス、なかばエイリアン化した(あるいはエイリアンスーツを着込んだ)リプリーのように見えるコンセプト・アートを次々と投稿していたものの、インタビューなどでは「時期が来たら撮りたいと思っていたけれどまだ分からない」などとはぐらかすような発言を繰り返していました。
しかし2月18日付けの最新投稿ではゼノモーフのコンセプトアートに、これが正式に次の作品になると思う、とついに確定を思わせるキャプションをつけています。
映画『エイリアン』シリーズの最新作としては、オリジナルのリドリー・スコット監督が復帰した前日譚『プロメテウス』があります。ただしプロメテウスは世界設定が共通しているものの過去の時代を描いており、シガニー・ウィーバー演じるリプリーは登場しません。
4作品で主人公を務めたシガニー・ウィーバー当人といえば、以前から『エイリアン』シリーズにはまだ語るべき物語がある、初期作品で描かれたウェイランド・ユタニ社のような巨大企業の強欲は現代になっても変わっていない、と続投に意欲的ともとれる発言をしています。
さてブロムカンプといえば、故郷の南アフリカを舞台に「貧しく野蛮な異星人の難民が強制収容された隔離地区」という意表を突いた設定でドラマを描いた作品『第9地区』の成功から、エンターテインメントだけでなくいわゆる社会派としての評価もある監督です。
しかし出身がSFドラマシリーズのCGアニメーターだけあって、架空世界のリアルな視覚化や、ロボットや宇宙船、兵器といったSF的ギミックの演出にも、むしろこちらが本体と思える高いセンスとこだわりを持っています。(District 9ではいちいち変形する小型宇宙船、エイリアンのパワードスーツと現用兵器の対決、エリジウムでは「出したかったから出した」感が濃厚なSF兵器ガジェットの数々など)。
H.R.ギーガー、リドリー・スコット、ジェームズ・キャメロンが作り上げたエイリアン世界のビジュアルを、心酔するファンでもあるブロムカンプがどう進化させるのか、リプリーはどうやって再登場するのかしないのか、一体どんなミライガジェットが無駄に凝ったアニメーションで変形するのか、続報に期待して待ちたいニュースです。
こちらは最新作チャッピーの予告編。
こちらはいろいろあって長編第一作にはならなかったゲーム原作作品。