ローゼンベルグオウゴンオニ金糸雀
- § 桜田ジュンの部屋
翠星石「ふぉおおおお…っ! 見える、見えるですよぉ~っ。この水晶玉の中に…!」
雛苺「早く早くぅ! 早く教えてなの翠星石ぃー!」
真紅「あら? 二人して楽しそうね。何をして遊んでいるの?」
雛苺「あ、真紅ぅ! 今ね、翠星石にヒナの前世を占ってもらってるのよ!」
真紅「前世?」
翠星石「そうですぅ! この翠星石の手に掛かれば前世ぐらい簡単に分かっちゃうのです」
真紅「へぇ~」
翠星石「むむむ…! 来た! 来たです! 今、ビビっとチビ苺の前世が見えてきたです!」
雛苺「何!? ヒナの前世は何だったの! 教えて翠星石ぃ~!」
翠星石「あああっ! こ、これはっ! な、なんとーっ!?」
真紅「翠星石?」
雛苺「うみゅみゅ? どうしたのよ? もったいぶってないで教えてほしいの」
翠星石「お、恐ろしい…! 何というカルマに溢れた前世!? これが本当にチビ苺の…」
雛苺「そ、そんなに怖い前世なのよ? ヒナのは…」
真紅「……」
雛苺「でもヒナはそれでも自分の前世を知りたいの! ありがままの運命を受け入れるのよー!」
翠星石「うむむ…、チビ苺にそれほどの気高き覚悟があるのならば、翠星石も素直に話すですぅ」
雛苺「…ゴクリ」
翠星石「時は戦国、場所は関が原…」
真紅「えっ!? 何、まさか武将!? 雛苺の前世が武将だったりするの?」
雛苺「ブショー? 有名人なの?」
真紅「超ビッグネームよ、この日本では余裕でサンジェルマン伯爵より有名だわ」
雛苺「わぁい! ヒナ、有名人だったのー!」
翠星石「話は最後まで聞けですチビ苺! チビ苺はその関が原の合戦で…、いや
敢えてバトル・オブ・セキガハラと言わせてもらうですが…、そこで…」
真紅「言い直す意味が分からない」
翠星石「チビ苺はそのバトル・オブ・セキガハラを…」
雛苺「セキガハラを…っ!」
翠星石「近くの山の上から」
真紅「近くの山の上から…?」
翠星石「弁当持参で見物していた農民のおっさんですぅ」
雛苺「おっさん~っ!? 何なのよ、それぇ! ヒナいやなのー!」
翠星石「だから、恐ろしい前世だと言ったのですよ」
真紅「確かに薔薇乙女の前世がオッサンとか恐ろしいわね…」
雛苺「うにゃーーー、違うのーーっ! ヒナはおっさんなんかじゃないのー!」
翠星石「落ち着けです。運命を受け入れると言ってたじゃあねぇですかチビ苺」
真紅「それに弁当持参ってことは、わりと幸せな境遇の農民のはずよ」
雛苺「うゆゆ…」
翠星石「おっさんですけどね…、ぷぷぷっ」
真紅「そうね、おっさんだけどね…、うくくっ」
雛苺「あーっ! 二人とも笑って、ヒナを馬鹿にしてるのー!」
真紅「まあまあ、それにしても面白そうね。私も占ってくれない翠星石?」
翠星石「おやぁ? 真紅はいつも『運命は自分の手で切り拓く』とか言って
こーゆー占い関係には、興味なかったはずじゃあ…?」
真紅「別にあなたの占いを信じてるわけじゃあない。暇つぶしにいいかなって」
翠星石「うーん、信じる気の無いやつ相手に占うのもなんですが、まあいいですよ。翠星石も暇ですし」
雛苺「ヒナがおっさんだったんだから真紅はきっと、おじいさんなの!」
真紅「ふっ、そんなわけ…」
翠星石「さあ、占うですよ~! エロイムエッサイム、エロイムエッサイム、我は求め訴えたり…」
雛苺「翠星石の前世占いが始まったの!」
真紅「ふふふ、鬼が出るか蛇が出るか…」
翠星石「エコエコアザラク、エロエロアザラシ…! かぁーーーっつ!! 見えたですぅ! 真紅の前世!」
真紅「何だったの?」
雛苺「おじいさんだったのよね!?」
翠星石「あわわわわわわっ! 真紅の前世もなんと恐ろしいことか…!」
真紅「脅しはいらないわ。早く教えて頂戴」
翠星石「ならば! 真紅の前世…それは極寒の北海道の…」
真紅「北海道…?」
雛苺「でっかいどう!」
真紅「雛苺、ちょっと黙ってて」
雛苺「うぃ…」
翠星石「野生の生態系の頂点に君臨するヒグマ(♀)ですぅ!」
真紅「クマ!?」
雛苺「クマさんなの!? 真紅、可愛いのよね」
翠星石「何が可愛いものですか! ヒグマなんて暴力と恐怖の象徴! 現世の真紅が持つ業も恐らくは…」
真紅「前世が凶暴なクマだったせいとでも言うつもり? くだらないわね」
ジュン「…前世占いとか、傍から聞いてる分には乙女チックな遊びだが、内容が濃いな」ヒョコッ
翠星石「チビ人間!?」
真紅「いつから私の部屋に!?」
ジュン「最初からだよ。そしてここは僕の部屋だ」
雛苺「ジュンも占ってもらうといいのよ!」
ジュン「お断りだ。どうせ変なのしか出ないんだろ」
翠星石「そんなこたぁねーですよ」
雛苺「うぃ。蒼星石は昔のロシアの若き皇帝だったし、翠星石はその皇帝専属のガラス職人だったの」
ジュン「…他には?」
翠星石「うーんと、水銀燈の前世はチャバネゴキブリで薔薇水晶はザラブ星人だったですぅ」
真紅「何か、雛苺の農夫がかなりマシな部類に思えてきたわ」
ジュン「とどのつまり、ぜぇーんぶ翠星石の主観だというわけか」
翠星石「んなっ!? この翠星石の水晶玉占いをインチキ呼ばわりするですか!」
ジュン「だって、どう考えてもそうだろうが」
翠星石「ぬううーっ! コイツはメチャ許せんですよ! こうなったら
チビ人間の前世も見事に的中させて、ギャフンと言わせてやるですー!」
雛苺「翠星石、あいと、あいとー!」
翠星石「ふぉおおおお、見える! 見えてきたですよチビ人間の前世!」
ジュン「勝手に占いだしやがって…」
真紅「インチキでも何か気になるわね」
翠星石「チビ人間の前世…! それは真紅と同じく北海道の…ッ!」
ジュン「何?」
真紅「あら、流石はマスターとドールの絆に定評のある私達だわ。前世でも関係が?」
翠星石「そうです。そのとおりですぅ! 真紅とチビ人間は前世でも運命的な邂逅が…!」
ジュン「ほ、本当かよ!?」
翠星石「それは真紅の前世たるヒグマがお腹をすかして川へ狩りに行った時に…」
真紅「川へ行った時に…」
翠星石「チビ人間はその川を遡上する一匹のオスの鮭だったのですぅ!」
ジュン「おいおいおいおいおいおいおいおい! 食われたってことか!?」
翠星石「いや、話は最後まで聞けです! 確かに真紅熊はジュン鮭が川を上っているところを見つけ
その黄金の右フックで捉えようとしたです…が!」
雛苺「が!」
翠星石「ジュン鮭は華麗なスイムで真紅熊の腕をかいくぐり、無事に川を上りきったのですぅ!」
ジュン「ほっ、良かった…」
真紅「ちっ、情けないわねそのクマも」
雛苺「これが真紅とジュンの前世での出会いだったのよね。ロマンチックなの」
翠星石「しかし、ジュン鮭の悲劇はこの先にあったのですぅ」
ジュン「何だと?」
翠星石「川を上りきったものの、ほかの鮭よりも遥かに早く到着してしまい
ジュン鮭は独りぼっち。産卵をするメスなんて何処にも見つからない状態…」
真紅「まあ…」
翠星石「先走りの上に、我慢がこれっぽっちもできないジュン鮭は一匹で勝手に精を放出!
それで体力を使い切ってしまい、産卵には少しも参加できずに死んだのですぅ…」
雛苺「あやややや、ジュン可哀想なの」
真紅「何と奇遇な運命! 残酷な悲劇! くっ、涙が止まらないわ…っ!」
ジュン「……」
真紅「前世での業(カルマ)を忘れぬためにも、これからジュンのことはサーモン桜田と呼びましょう」
雛苺「うぃ! ジュンはさーもんなのー!」
翠星石「サーモン桜田…、ぷぷぷっ、AV男優みてぇーな名前ですぅ」
ジュン「えぇい! 真紅も雛苺も翠星石の悪ふざけに乗っかって勝手な事ばかり言いやがって!
もういい! 出てけ! ここは僕の部屋だ! 早く出てけ!」
真紅「癇癪を起こさないで頂戴、サーモン桜田」
翠星石「前世も今世もイマイチですが、来世で幸せになってくれですぅ」
雛苺「ヒナ達も死力ながら応援するの」
真紅「それを言うなら微力よ、雛苺」
雛苺「あややっ? そ、そうとも言うのね!」
ジュン「いいから出てけ。ほら、水晶玉も持って出てけよ」グイグイ
翠星石「うおわっ? 何するですかチビ人間~」
- § 小一時間後・近所の空き地
雛苺「はぁ…、翠星石のせいでお外に追い出されちゃったのよね」トボトボ
翠星石「んなっ!? 翠星石は悪くねぇです! 何も悪くねぇーですよ!」
真紅「まあ、しばらくしたらジュンの怒りも収まるわよ。それまでテキトーに時間をつぶしましょう」
雛苺「何して遊ぶのよ? ヒナ達お金持ってないから、カラオケも漫画喫茶も行けないの」
真紅「実は私…、さっきからどうにも前世での野獣ソウルが猛って止まないのか、川で魚を取りたいのだわ」
翠星石「魚取りて…、このご町内じゃあドブ川しかねーですよ」
雛苺「金糸雀がよく落ちたりしているところなの。汚い川なのよ」
真紅「確かに清流とは呼べないけど、それなりに魚も泳いでいるわ。行きましょう」
翠星石「うーん、今日は生臭い遊びはノーサンキューな気分です」
真紅「だったら、何か別の案でもあるの? 翠星石?」
翠星石「折角、この水晶玉も持って出てきたことですし、これ使って遊ぶですよ」
真紅「じゃあ、サッカーやる?」
翠星石「水晶玉でサッカーとかデンジャーすぎるですぅ。もっと色々な人の前世を占おうってことです」
雛苺「色々な人ぉ? 水銀燈の人とか薔薇水晶も占ってるのに、まだ占う人がいるの?」
翠星石「おじじやみっちゃんさんとか、雪華綺晶もまだ占っていないです」
真紅「そう言われれば、そうね…。けど、いちいち彼らのもとを回るのも面倒くさいわ」
翠星石「うん?」
真紅「ここで勝手に占ったりとかできないの?」
翠星石「えーっ? 本人を目の前にして滅茶苦茶言うのが楽しいですのに」
雛苺「でも、水銀燈の人の目の前でチャバネゴキブリって占った時は危なかったのよ」
翠星石「む、そう言われれば。怒り狂った水銀燈に、危うくジャンクにされかけたです」
雛苺「雪華綺晶の前で下手なこと言ったらヒナ達食べられちゃうかもなの」
真紅「白薔薇も丸くなったから流石にそこまでの惨事は起きないと思うけど…」
翠星石「よし! なら念の為に一旦ここで雪華綺晶の前世を占ってみて
あんまりヤバくなさそうだったら、本人の所へ行ってキャッキャウフフするです」
真紅「…ここらでハッキリさせときたいんだけど、前世の内容は翠星石がテキトーに決めてるのよね?」
翠星石「んなわけねーですよ。この魔法の水晶玉に自然と浮かび上がってきたのを
翠星石が曇りなき眼(まなこ)で見定めているのです」
雛苺「ナマコ?」
真紅「何か今一ハッキリしないけど、まあいいわ。雪華綺晶の前世を占ってみて翠星石」
翠星石「任せろですぅ…! エロイムエッサイム、エロイムエッサ
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