日本に来日したベトナム人らが、ヤギが盗んで食べた事件で、違法労働させられた末の
行動だったことが明るみとなりました。
画像:【ヤギの除草隊】
http://news.ameba.jp/20140619-333/
昨年12月に岐阜大学の研究用農場で除草費用削減のために美濃加茂市山之上町が飼育している「ヤギ
の除草隊」約20匹のうち、2匹がベトナム人ら5人に盗まれて、食べられた事件。
今年2月、岐阜地方裁判所で公判が開かれました。
訴状内容によると、窃盗罪に問われたロック容疑者は来日前、祖国の田舎町でタクシー運転手をしており、
両親と妻、娘の家族5人暮らし。
月給は日本円で1万6千円ほどで、5人の生活を支えるには厳しい状態だったとのこと。
そんな中、
「日本で働けば月給20万~30万円。1日8時間の週5日勤務で土日は休み。寮あり」
という好条件の求人募集を仲介会社から聞き、来日を決意。
仲介会社には自宅と土地を担保にし、銀行から約150万円を借金して支払い、2013年に農業の技能実習
生として来日しました。
1993年から始まった外国人が日本で技術を学び、母国の発展に役立ててもらう制度。
期間は最長3年間で労働基準法が適用され、単純作業は禁じられています。
中国、ベトナム、フィリピンなどから毎年約15万人がこの制度を利用して来日。
他方、送り出す国の会社が高額な保証金を取ったり、違法労働、残業代の未払いなども問題化しています。
日本では長野県の農業会社でトマトを育てる仕事に就きましたが、勤務条件は来日前に聞いていた話と
は全く異なるものでした。
実際は、毎日午前6時から翌日の午前2時までの20時間労働。
午後5時までは時給750円で、それ以降は1袋1円の出来高払いでトマトの袋詰め作業をし、多い
日で1日1000袋詰めたこともあったとのこと。
過酷な労働時間に加え、休日はなし。
用意された「寮」は名ばかりで、農機具の保管場所でした。
寝床は電源盤のそばの約2平方メートル。
シャワーはあったものの、トイレなし。
「家賃」として月2万円が差し引かれた後に残る月給はわずか6万円ほどでした。
それでもロック被告は3~4万円を祖国に仕送りし、7ヶ月労働を続けましたが、ついに耐えられなくなり、逃
走。
ネットを利用して見つけた愛知県日進市の土木会社で仕事をしましたが、在留期限が切れ、昨年3月に解雇。
無職となりました。
「借金を残したままベトナムに帰れば担保にしている自宅などが奪われてしまう」
そう考えたロック被告は帰るに帰れず、生活にも困り、スーパーで弁当を万引きをするなどして生活をしのぎ
ました。
ビ被告とは2014年7月ごろに知り合い、ビ被告もまた約200万円の借金をして勉学のために来日しました
が、短期大学に払う学費が足らずに退学。
ロック被告同様、無職の身でした。
同年8月、ベトナム人ら約20人が集う誕生日パーティーが開かれ、ヤギを盗む計画はその時に持ち上がった
そう。
5人で実行に及び、逮捕となりました。
ロック被告は法廷で謝罪の言葉を述べています。
ベトナム人らがヤギを盗んだ事実は変わりありません。
しかし、犯行に至るまでの事情には情状酌量の余地はあると思います。
海外から日本に来る実習生から、来日前の勤務条件と異なるという声が挙がっているという報道をよく見聞き
します。
また最近では周辺国での勤務条件が段々と良くなってきていることもあり、日本での勤務が敬遠される傾向も
出てきていると報じられています。
日本政府にも実態調査をしようという動きがようやく出ていますが、今回のヤギ盗難事件のように職を失い、
犯罪に手を染める外国人も懸念されます。
手遅れになる前に本格的に対処する必要があります。