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ソニー、355インチ4K SMDディスプレイを公開。間近で画質と発熱を確認 - Engadget Japanese


2月に開催されたカメラと写真関連のイベントCP+ 2015。その隠れた見所は、各社がさまざまな趣向を凝らした展示ブースです。映像機器の世界的な展示会だけあって、場合によっては機器以上に注目できるテクノロジーが導入されていることがあります。

今回そうした例となったのが、ソニーブースの通路に向けて配置された大型ディスプレイ。実際に見た参加者も多いと思いますが、実はこれ、高輝度な平面実装LEDを集積して作られた4K対応・広色域の355型ディスプレイという、かなりとんでもないものでした。

CP+2015 ソニーブース 355型LEDディスプレイ

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23 枚





このディスプレイは、2014年4月にソニーPCLが発表した『4K VIEWING』と呼ばれるシステムで使われるもの。ただし4K VIEWINGは同社のイベントクリエィションサービスを包括する名称で、ディスプレイ自体には名称は付けられていないようです。







このディスプレイの画素となるデバイスは、1mm角のSMD(表面実装タイプの小型LED)。これを1.9mmピッチ(LED間の空きは0.9mm)で配置し、40×30cm(幅×高さ)、重量5kgのパネルを作っています。実際のディスプレイとしては、上述した40×30cmのパネルを複数集積して使う運用となります。

こう聞くと、画素ピッチがかなり開いているため、スカスカしてしまうのではないか? とも思えますが、実際に見てみると画素密度はかなり高く見えます。上の写真3点は実際にディスプレイの一部に接近し、指と比べて撮影してみたところ。

この3点は同じ画面内容での拡大ですが、接近した状態での画素ピッチこそ仕様通りの空き具合に見えるものの、少し距離を取るとすぐに目立たなくなります。

基本となる構成は40×30cmのパネルを横に20個、縦に14個並べた355型、縦横比16:9という構成。大きさをメートルで表現すると8.0×4.2mです。今回のソニーブースでの構成もこちらのようでした。組み上げ風景などは下記の公式動画で参照できます。



こうした小さなパネルの集合となっているため、運搬が楽な点に加えて、展示に様々な構成が取れるのが特徴です。ソニーPCL側の説明では、組み上げ方によって縦横比を変えたり、パネル間の境目に最大2度まで角度を付けての曲面化も可能とのこと。



また特筆すべきは、ディスプレイとしての優秀さです。解像度は4160×2184画素。いわゆる民生用の4K(3840×2160画素)よりも若干広いのみならず、映画撮影などで使われるDCI 4K仕様(4096×2160画素)をカバーできるスペックです。

視野角は公称で、水平・垂直ともに160度。これだけ巨大だとそもそもどうやって測定するのかが気になるところですが、実際に会場で可能な限りさまざまな角度から確認したところ、角度による色の変化などは確認できませんでした。
実際にソニーブースでは設置場所の関係から、ある程度近づくと必然的に見上げるような形となりますが、それでも色は鮮明でした。



そして驚いたのは最大輝度の高さで、なんと1000nit(1000cd/m2)。nit値は昨今ディスプレイでも見るようになってきましたが、身近なところですとiPhone 6の最大輝度が約500nit、ノートPCで明るい製品でも400nitといったところ。
最大輝度を重視しないノートPCのパネルなどでは200nit前後の製品もありますが、いずれにせよ1000nitというのはかなりの明るさです。



今回のソニーブースではαシリーズをはじめとするソニー製カメラを使ったプロ作例を中心に表示していましたが、たとえば海中写真や夕焼けの作例では、輝度の高さを受けて、ディスプレイを見ている来場者の肌にマリンブルーやオレンジの照り返しが見られるほどでした。



さらにスペックが公開されていないところでは、強烈とも呼べるコントラストと色域の広さも印象的でした。とくに上述した青や赤色のコントラストは本当に強烈で、パッと見ただけで「え? 有機ELディスプレイ?」と思えるほどのレベル。

写真ではその強烈さの一端しか表現できませんが、それでもプロジェクターなどとは一味違った発色であろうことはおわかりいただけるかと思います。



ただし消費電力はLEDベースといえども高輝度・大面積ということで3640Wと、それなりの高さ。とは言いつつも、面積を考えるとこれだけで抑えられているのは凄いと言うべきかもしれません。



また強烈だったのは、発熱の低さ。パネルに触れてみてもほんのわずか熱があるかな? という程度でしかありません。LEDベースと考えるとある程度低くても当然ではあるのですが、3.6kWという消費電力を知ったあとでは正直驚くものでした。



さてこのディスプレイ、昨年4月の発表後、2014年札幌国際技術祭への出展や、同年に銀座ソニービルで開催された「ソニーアクアリウム」、Inter BEE 2014(国際放送機器展)のアドビ・インテル共同ブースなど、いくつかの展示会で出展されてはいますが、なかなか見られる機会は少ない展示。

とくに今回は目の前で確認可能なめったにない機会ということで、気がついた来場者は熱心にチェックしていたのが印象的でした。

こうした展示は、普段は製品に隠れがちですが、当然ながら来場者へのアピール度はブースの構造によって左右されることから重要な要素であり、各社工夫を凝らしています。展示会は製品だけでなく、様々なところをチェックするとこうした意外な発見もある......と再認識させられた展示でした。

ソニー、355インチ4K SMDディスプレイを公開。間近で画質と発熱を確認

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