UQコミュニケーションは、2月12日に栃木県真岡市で稼動を開始したWiMAX 2+のCA(キャリアアグリゲーション)による下り最大220Mbps「ヤ倍速」を体感するメディア向けの電波測定バスツアーを実施しました。ツアーリポートの後編は、バス社内での定点測定および移動中の測定をレポートします。
基地局から徒歩数分のバスに移動して、CA概要説明、定点測定、移動環境での測定についてUQ要海氏がノリノリで解説。
直接波と反射波のマルチパスにより、MIMOの能力を引き出してアグレッシブに速度を上げていく制御をすることで220Mbpsを実現しています。
UQのCAは、110Mbpsと110Mbpsの2波を束ねることで220Mbpsを実現していますが、割り当てられている50MHz幅のうち、WiMAX用の30MHzを10MHzに減らして、残り40MHzを20MHzずつプライマリーセルとセカンダリーセルの2波として使用しています。
UQのCAは、隣接する40MHzを使用していることから常時CAを基本として、エラーが増えるセル端でのみセカンダリセルのCAを無効化(ディアクティベーション)しており、他社のCAは周波数帯の異なる2波を束ねることから、2波の条件が良い場所でのみCA(セカンダリ)が有効になるということです。
電波測定タイム、「ヤ倍速」理論値の下り220Mbpsにどこまで近づけるか?
今回の測定は、CA対応2x2 MIMO対応のSpeed Wi-Fi NEXT W01をUSB接続。システムの220Mbpsは物理層の速度で、TCP/IPのヘッダーにより約196Mbpsが上限になるということです。
実際に定点観測の通信状況を見ていると、下り最速は195.582Mbpsとほぼ上限の値を記録。平均でも185.437Mbpsで、この測定ポイントでは非常に安定した結果となっていました。物理層のスループットも219.32Mbpsというほぼ理論値上限という結果を確認ができました。
ここで、マルチユーザ環境でのテストを最大10台のWi-Fi接続で実施しましたが、手元のスマートフォンでスピードテストを実施した結果は以下の通り。
下り最速72.06Mbps、2台同時でスピードテストを実行している際も下り最速43.19Mbpsという結果で、W01に接続している他の8台のトラフィックも発生していることから、ヤ倍速の能力を確認できました。
計測結果は以下の通り。
回 | 下り(Mbps) | 上り(Mbps) | ping(ms) |
1 | 72.06 | 8.10 | 174 |
2 | 68.40 | 8.09 | 173 |
3 | 68.42 | 7.86 | 110 |
4 | 64.34 | 8.35 | 173 |
以下、2台同時のスピードテスト結果。
回 | スマホ1 | スマホ2 | 合計 | ||||
下り(Mbps) | 上り(Mbps) | ping(ms) | 下り(Mbps) | 上り(Mbps) | ping(ms) | 下り(Mbps) | |
5 | 26.56 | 4.78 | 437 | 26.40 | 9.53 | 57 | 52.96 |
6 | 43.19 | 7.10 | 354 | 31.73 | 2.42 | 878 | 74.92 |
7 | 25.00 | 3.00 | 430 | 15.75 | 5.56 | 331 | 40.75 |
WiMAX 2+に20MHz幅を持っていかれたWiMAXは、下り最大13.3Mbpsまで理論値が落ちており現状は如何にということで、前日夜間に動作チェックした結果を動画で披露しました。
19時台のホテルという、ほかにもユーザがいるであろう状況下で、下り8Mbps・上り4~5Mbps程度は出ているため問題なく使える状況を確認です。
それでも「良いとき狙って撮ったんじゃないの?」とならないためこの場で計測を開始。
下りで9Mbps弱ということで、この場所でも良好な結果で見事なドヤ顔の要海氏ですが、上りは最速0.42Mbpsでした。
走行時の電波測定、道路の高低や周辺建物の高低による影響はかなり大きい
最後に、バスで真岡市内を抜けて真岡駅まで走行させて、エリアの電波状況を確認しました。
市街地のフラットなエリアなのか、起伏のあるエリアなのかで、小型のコン柱局か大型の鉄塔局かといったエリア構築。
低層住宅のエリアは、マルチパスが発生しずらいためCA効果による高速化にとどまり、高い建物や土手などがある場所ではマルチパスが発生してMIMOによる受信で高速になるとのこと。
実際に走行している際にモニタをチェックしていると、確かに周囲に低層の建物しかないエリアや標高の低い位置では速度が遅く、基地局からの電波を受けやすい高い位置や、マルチパスが発生しやすい3階以上の建物が多いエリアではMIMOで電波を拾うため走行しながらでも下り最大134.969Mbpsを記録していました。
ハンドオーバー時に、CAセカンダリが無効化される時間も短く(スループットとSINRの値が落ちているときに無効化する)、すばやく次の基地局でのCA接続に戻るなど、同一周波数帯40MHzでCAを提供するUQならではのCA特性を確認できました。 また、全国のWiMAX 2+の平均値が30~35Mbps程度ということで、CAエリアでは60Mbps台が平均になるということで、真岡市でもマルチパスが発生しにくいエリアでは、そのような計測結果を確認しました。
アンテナについて補足説明があり、垂直偏波・水平偏波を1つのアンテナ筐体に実装しているVH偏波オムニアンテナを採用することで、1アンテナで2種類、2アンテナで4種類の電波を送信しているとのことです。
垂直(V)偏波と水平(H)偏波の電波を送信するVHオムニアンテナを実装
2月12日に実施された真岡市のCA化プロセスは、WiMAXを30MHz幅から10MHz化して既存WiMAXユーザへの影響を確認してから12時間経過後にCA化。6時間経過後に正常と判断しています。
3月上旬発売予定のSpeed Wi-Fi NEXT WX01(NECプラットフォームズ製)の最新状況についても紹介がありました。
WX01は、CAではなく4x4 MIMO対応により下り最大220Mbpsを実現していますが、2月19日の実機測定で192.567Mbpsという上限に近い性能を実環境で記録しています。
首都圏などWiMAXユーザが多くWiMAX 2+へのマイグレーションに時間を要するエリアにおいては、WiMAXの30MHz幅から10MHz幅化・CA化が進みません。 一方でWiMAX 2+の2万基地局が4x4MIMOに対応していることから、CA対応機種のW01よりも4x4対応機種のWX01のほうが、下り220Mbpsエリアが広く使い勝手が良いことが想定されます。
真岡駅にある「SLキューロク館」