2015年02月25日23:30
『アメリカン・スナイパー』
監督:クリント・イーストウッド
脚本:ジェイソン・ホール
主演:ブラッドリー・クーパー
http://wwws.warnerbros.co.jp/americansniper/
★★★★★★★★★★(10/10)
クリント・イーストウッド、84歳。
全く衰えていないどころか、進化を続けている。
本作は、イラクで160人以上を射殺し「ラマディの悪魔」の異名をとった実在の米兵の物語である。
主人公、クリス・カイルは1974年のテキサス生まれ。幼い頃の夢はカウボーイか軍人になること。
映画は、彼がイラクの地で狙撃銃のスコープ越しに女と子供を覗くシーンから始まる。
上にも貼った予告編にも使われているシーンだ。
スコープ越しの視界には、女が一人。子供が一人。
そこから少し離れたところには、米戦車とそれに随伴する歩兵たち。
女は子供に手榴弾らしきものを手渡し、子供が走り出す。
もしそれが本当に手榴弾なら、仲間が何人も死ぬかもしれない。
しかし、勘違いで撃てば、何の罪もない子供を殺すことになる。
撃つか否かは狙撃手の判断に任されている。
子供の足が戦車に近づいていく。
クリスは引き金に指を置く。
と、ここから物語は過去へと戻り、クリスがアメリカ海軍のネイビーシールズに入るまでが描かれ、冒頭に繋がる。
そして、派兵の度にクリスがイラクとアメリカを往復し、変わっていく様が描かれていく。
とにかく印象的なのは、主人公・クリスがひたすらに淡々と射殺を繰り返していくことである。
イラクに着いて、初めて人を撃ち、射殺した時も、次も、その次も、そこには何の感慨もない。
感傷的にもならず、興奮も覚えず、怯えることもない。
気づかないうちに、誰かが射殺した人数を数えていて、それが「伝説」になっている。
皆が「伝説」に背中を任せていて、クリスはそれを守る。ただ、守るために狙って、撃って、殺す。
観る前は、『フルメタルジャケット』のような「戦場によって人間性を失っていく物語」だと思っていたのだが、どうにも、これは、逆だ。
これはむしろ、人間性を取り戻していく物語だ。
しかし、それは決して劇的な形をとらない。
だから、クリスは仲間の米兵たちを守るために戦場に向かい、「悪人」を射殺し続ける。
ただ、着実に、何かが擦り減っていく。
それを、この映画は淡々と、そしてテンポよく見せる。
映画はあっという間に観客を飲み込み、二時間以上が瞬く間に過ぎ去る。
観終わった後には、ずっと握られていた心臓をやっと放してもらえたかのような脱力感が残った。
楽しい映画ではないが、是非とも観てもらいたい一本。
ちなみに、実話に立脚している作品なので、作品タイトルやクリス・カイルの名前でググるとニュースという形で思わぬところでネタバレに遭遇することになる。もし、まだそれらを知らないのなら知らないまま観ることを推奨する。
上記のURLから公式サイトに飛び、上映劇場を確認して、観に行こう。
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この記事へのコメント
1. Posted by カオスな名無しさん 2015年02月25日 23:34 ID:pDnDYeP20
ほほう10点満点ですか
元から観に行くつもりだったけど期待が高まりますねぇ(´・ω・`)
元から観に行くつもりだったけど期待が高まりますねぇ(´・ω・`)
2. Posted by 2015年02月25日 23:37 ID:rThElFmu0
そもそも実話の方を映画以前から知ってるんだけど、どのぐらい影響するんだろ?
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