PCWorldは23日(現地時間)、現在フランシスコで開催される半導体技術に関する世界最大の国際会議であるInternational Solid-State Circuits Conference(ISSCC) 2015において、米AMDの最新APU「Carrizo」と省電力モデルの「Carrizo-L」に関する詳細が開示されたことを伝えています。
今回AMDが明かしたところによると、Carrizoのパフォーマンスと消費電力においては、 ”2桁パーセント” の向上が実現されているとのこと。消費電力を削減しつつも性能を向上させる為の工夫が数多く実装された結果、非常にワットパフォーマンスに優れたチップに仕上げられている模様です。
具体的には、「Kaveri」と比較して「40%」の消費電力と「23%」のダイサイズを削減しつつも、IPCを「5%」向上させることに成功しているそうです。また、回路設計に最適化を図ることで、Kaveriと同じ「28nmプロセス」(厳密には異なる)を採用しつつも、搭載するトランジスタの数を「31億」(Kaveriは24億1千万)にまで増強しています。
なお、新たに統合されるGPUコアにおいては、最適化により前世代比で「20%」の消費電力削減を果たしました。
新たに公開されたAMDの製品ロードマップ
また、Carrizoにおいては「電圧の最適化」を実施。これによりCPUとGPUにおいて、それぞれ10%と19%の消費電力をカットすることに成功。加えて、GPUのデザイン自体を「省電力性能」を重視する方向にチューニングした結果、さらに20%の節電に繋がったとのことです。
そのほか、「HSA 1.0」をフルサポートしたことにより、これまで以上に高度で複雑な演算を、より柔軟かつ高速に処理できるようになった点も見逃せません。なお残念ながら、今回はCarrizoの最終的なパフォーマンスやスペック、消費電力やTDPなどに関しては言及されませんでした。
そして今回、AMDによってCarrizoファミリーの製品ラインナップの一部が公開されました。
- FX-8800P
- PRO FX-8800B
- A10-8700P
- A8-8600P
- A6-8500P
- PRO A10-8700B
- PRO A8-8600B
- PRO A6-8500B
- RX-418GD
- RX-216GD
上記10モデルの存在が新たに明らかにされた形となりましたが、ただし現時点ではどのモデルが、CarrizoとCarrizo-Lのどちらに属するチップなのかについては判然としません。しかし、少なくとも上2つのモデルに関しては、前者に属するものと見て良さそうです。
なお、下2つのモデルは、組み込み向けのハイパフォーマンスAPUシリーズ「Merlin Falcon」か、省電力APUシリーズ「Peregrine Falcon」に属するモデルと推察されます。
先日リークされた「FX-8800P」の3DMarkベンチマークのスコア
また、数日前には、FX-8800Pのものとされる3DMarkベンチマークのスコアがリークされています。総合スコア「P2645」は、モバイル向けKaveriの最上位モデルFX-7600Pを上回るどころか、デスクトップ向けの最上位モデルA10-7850Kと同等以上の値。仮にこの結果がフェイクでないとすれば、非常に高性能なチップに仕上げられていると言えます。
さて、多くの新情報が開示されたとはいえ、まだまだ謎に包まれた部分が残るCarrizo。予定される登場時期は2015年中頃とのことですが、1日も早く実際に市場に出回ることに期待せざるを得ません。続報に期待です。
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著者
2014年10月1日より、縁あってGGSOKUメインライターに正式に就任。ここ最近は、スマートフォンやタブレットを始めとするガジェット類全般から、各種周辺機器にデジタルカメラ。果ては自作PCパーツやソフトウェア類にまでも食指を動かすに至る始末。イロモノ・キワモノガジェットもこよなく愛する、興味と好奇心の赴くままに生きる元人力車夫。2015年元日より、Twitterアカウント開設。
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>28nm
Intelは14nmなのに、この周回遅れ(1周とは言ってない)はなんとも・・・
すごく期待してるのだが、デスク向けは出ないしなー
A10-7850Kは非常に気に入っているので、20or16nm、DDR4が出そろうまで我慢か
だめじゃん
Intelが14nm出してる中、半年もすればSkylake
さすがに28が14には勝てない。
ダイ大きくして沢山電気食わせれば無理ではないだろうけど
勝ち目無いし勝つ気無いでしょ
AMDはどこに向かってるんだ・・・
プロセスはどうしようもないから、「HSA 1.0」みたいなAPUの長所を伸ばす方向で戦うんだろ。
理解出来ないだけなのに、AMDがどうこう語るのはやめたほうがいいと思う。
HSAなんてそれこそ誰うまなんだ・・・
横だけど、ソフトウェア的に利用されるかどうかは別として、IntelもHBMでHAS的な実装をやりつつあるからiGPUでは名前は違えど広まると思うよ。
ハイスペックを必要とするゲームやエンコードを除けば、AMDのAPUは値段含め絶妙なバランス。
Pentiumクラスでも最近はゲーム結構できるしなぁ
ゲームはするけど、そこまで高い設定じゃなくて
ちょっとくらい上の設定をしたい人にはAPUは絶妙なバランスって感じ
後はモバイルで電力消費がどうにかなってもらいたいなぁ・・・
>具体的には、「Kaveri」と比較して「40%」の消費電力と「23%」のダイサイズを削減しつつも、IPCを「5%」向上させることに成功しているそうです。
一応CPUコアの改良であることを明確にした方が良いかと思われます。
その次の一文から、全体のダイシュリンクとトランジスタ数増加が行われたかのような捉え方もできるので。