食べる? 食べない? 会食でなぜか残る〈一口分の料理〉の扱いは

送別会のシーズンになり、会食の機会も増えたのではないでしょうか?
そんな中ですが、一つここでハッキリさせておきたい問題があります。

こちらの楽しそうな会食・・・。
しかし、ここに一つの病魔が巣食っていることにお気付きでしょうか?








そう、これ、「みんなでご飯を食べてるときに皿に残る一口分の料理」です。
関西では「遠慮の塊」などと呼ぶそうですが、正直に言ってこれ気持ち悪くないですか?
なんで残るの?誰のために?食べていいの?だめなの?
触らぬ神に祟りなしとばかりに放置され、お開きになるまで残る例も珍しくないのではないでしょうか。
さて、前置きは省いてさっそく本題ですが、これは食べたほうがいいのでしょうか?
それとも食べたら「こいつ空気読めないな」と陰口を叩かれるのでしょうか?
筆者の数少ない働いている知人5人に聞いてみたところ、以下のような答えが帰ってきました。

Q.皿に残ってる一口分の料理を食べてしまう人と残す人、どっちが印象いいですか?

すごい天然パーマ Aさん

「どちらかといえば、誰かに食べるように促します」

・・・食べて欲しい派!



自転車に乗れないまま大人になった Bさん

「残す人の気持ちがわかるけど、『誰かさっさと食べて皿下げてくれ~』とも思うので食べちゃう人がいいですかね」

・・・食べて欲しい派!



そばアレルギー Cさん

「皿下げるタイミングで同時に食べる(皿を片付けるという行為の対価としてそれを食う)というのが ±0 なのでむしろ印象イイですね」

・・・食べて欲しい派!



怒れる人 Dさん

「食っちゃうほうがいいですね。 2個から1個にする行為が一番悪辣な行為だと思ってます」

・・・食べて欲しい派!



バイタリティ YPさん

「僕割と率先してラス1食べます。みんなも食べるべき」

・・・食べて欲しい派!




ということで、この5人がたまたま同じ場所で同じガスを吸って狂っているとかでない限りは大多数の人が「誰かに食べてほしい」と考えているととらえて差し支えない結果になったのではないでしょうか。





✔ みんな残った料理は誰かに食べてほしい!





では、全員が密かに「誰か食ってくれ」と思っているこの一口、どうして誰も食べないんでしょうか。
まずこの「残された一口」の特徴をメリットとデメリットに分けてみましょう。




・・・ご覧の通り、みんなが遠慮しあって最終的に残る一口分の料理はそれが持っている食物としての元来の魅力よりはるかにデメリットの方が上回っているのが分かります。




この状況に相対し、我々の脳は瞬時にメリットとデメリットを天秤にかけ、「トータル損」という判断を下します。



そして脳から下された「トータル損」という指令は胃に作用し、胃液の分泌を急降下させます。これによって私たちの食欲は極限まで削がれ、残った料理はE=mc²の式に従い加速度的に冷めてゆくのです。






✔ 残された料理が手をつけられないのは「トータル損」だから!







さて、この食品を使った「順番に棒を消していって最後の一本を消したほうが負け」というゲームみたいな心理戦はなぜ全国津々浦々で自然と始まってしまうのでしょうか?
我々の祖先が石斧を持って鹿とかを追い回していた時代から今に至るまで、食卓というのはひとたび食料供給が不安定になれば奪い合う場と化します。
食料が枯渇した、誰もが「もう少し食べたい」という状態で過ごしているような状況で「人のために残す」ような行為はそう簡単にできることではなく、慈愛の象徴として崇められていたことでしょう。
しかし、時を経て我々の社会は飽食と言われるようになり、人々が埋めようと必死になるのは胃袋でなく空虚な心そのものへと変遷しました。



現代、皿の最後の一口を誰かが食べたとしてこのように負の感情を抱くということがありえるでしょうか? そのような状況はあるとしても山賊など一部の狭いコミュニティに限られているはずであり、愉快で楽しい会食の場で「一口分を残す」という気遣いはむしろ時代錯誤といえます。
ここまでの話を前提にするならば、「食い意地の張った奴と思われたくない」という本当にわずかな心配のために「トータル損」となる最後の一口を残して保険をかけ、あたかも気遣いであるかのように他人にババを引かせようとしている「最後から二口目を食べた人間」は諸悪の根源なのではないでしょうか?

怒れる人 Dさん

「食っちゃうほうがいいですね。2個から1個にする行為が一番悪辣な行為だと思ってます」



以上をふまえてふたたびDさんの意見を見てみましょう。
「2個から1個にする行為が一番悪辣」・・・
この行為によってDさんが家族を失ったかのような重みが感じられないでしょうか?




✔ 2個から1個にする行為が一番悪辣






いかがでしたでしょうか。
結論としては、「残された一口分の料理は食べた方がいい」ということになります。
恐らくは過半数の人が「誰か食べないかな」と思っているので、皿をあけるついでに食べてしまえば「お、室井のやつ・・・」とあなたが室井という名前ならば思って貰えるでしょう。
しかし、このような場合は誰が皿を「残り一口」の状態にしたのか注意深く観察しておくことが大事です。
なぜならこの人物は他の人を出し抜いて面倒な役を押し付け、あげくに自分だけおいしい部分を持って行こうとする狡猾な一面を持っているからです。





(おわり)



















と、このような結びで記事を終えた場合にどのような問題が発生するか、皆さんはすでにお気付きでしょうか。
もし、このように「最後から二口目を食べたやつが一番悪い」という風潮ができあがり、普及してしまうと・・・

当然今まで「一口残す」をやってきた奴にも伝わり・・・











こうなってしまうことが目に見えているのです!



くしくも、これは先ほど「最後の一口を食べるのは食い意地が張っている」が「最後から二口目を食べる奴のほうが悪い」に進化したように、概念が一口分だけ上に行っただけで根本的には何も解決していないのです。
結局、最も狡猾な人間は他人に罪悪をなすりつけて自分は甘い汁を吸う・・・
そう、「誰が悪い」と定義することは事情を知らない人や不器用な人を追い込むだけで、本当に悪い人間にとってはむしろ良い隠れ蓑を提供して貰うも同然なのです。
もしこのことがもっと早く分かっていれば、人類は愚かな戦争に手を出さなかったかもしれませんね・・・。


しかし、諦めてはいけません。
まだ「一口分を残す奴」に対抗する手段は残されています。
それは「幹事になること」。



会食の機会は是非幹事になって、一口だけ残す奴を全員同じテーブルに押しこめましょう!






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小野ほりでい

小野ほりでい

がんばってイラストも文章も書くライター。トゥギャッチ(http://togech.jp/)やオモコロ(http://omocoro.jp/)などで連載中。