Googleのテレビ向けセットトップボックス Nexus Player の販売が日本でも始まりました。
Nexus Player とオプションの「ゲーム専用コントローラー」を試用したレビューをお送りします。
Nexus Player は、OSにテレビ用のAndroidである Android TV を採用したエンターテインメントデバイス。いわゆるセットトップボックスとして映像配信や、 Google Play のテレビ対応Android アプリ、対応ゲームをテレビとリモコン & コントローラで楽しめます。
米国・カナダでは昨年10月に発売開始されていたのですが、日本でも、2015年2月27日よりソフトバンクショップ、ワイモバイル取り扱い店約3000店舗で購入可能となりました。また、3月10日からGooglePlayを通じてオンライン購入も可能になります。
日本での価格は12800円(税抜)。米国での価格は99ドルですから、2014年2月時点での為替レートを考えるとほぼ同価格で購入が可能となったわけです。
またソフトバンクではキャンペーンで「AQUOS CRYSTAL」に機種変更したユーザー、ワイモバイルでは「Nexus 6」をMNP契約したユーザーに、特典としてこの「Nexus Player」を無料でプレゼントする予定です。
今回は Googleからお借りした「Nexus Player」とオプションの「ゲーム専用コントローラー」をレビューします。
AndroidTV搭載のセットトップボックス、動画鑑賞だけでなくアプリ実行も可能に
既に米国・カナダで販売されて日が経っており、また、Engadgetでのニュース記事なども掲載されているので説明はざっくり簡単にしますが、この「Nexus Player」は初のAndroid TV搭載のセットトップボックスです。Android TVとは、スマートフォン・タブレットなどで使われているOS「Android」をベースとしたテレビ向けのAndroid OSで、Android向けのアプリなどがわずかな修正で動作可能な環境になっています。
「Android TV」には以下の大きく3つの機能があります。
- テレビ画面で、Goole PlayビデオやHuluなどの映像が見られる
- スマートフォンやタブレットをリモコンにして、配信動画をテレビで表示できるChromecast互換機能「Google Cast」が使える
- Android TV向けのアプリが実行できる。ゲームやさまざまなアプリを実行できる
ネット動画をテレビで鑑賞するという点では、同じGoogleから販売中の Chromecast (4200円/税別)や、アップルの Apple TV (9800円/税別)より若干高価格です。一方、 Android TVを搭載したNexus Playerの方が単体でのアプリ実行など機能は多くなっています。
特に、Nexus Playerとリモコンがあれば、その場にスマートフォンがなくても映像やアプリケーションを実行できるのは大きな魅力です。
Nexus Playerは、CPUに1.8GHz・クアッドコアCPU、GPUにはPowerVR Series 6を搭載したパワフルなマシンで、画面の動きもスムーズ。メニュー操作も実に快適です。
日本の「Nexus Player」は映像配信系が充実
日本で発売になったNexus Playerですが、GoogleによればOS自体に「米国版」「日本版」といった違いはなく同じものが搭載されています。
米国と日本の違いは、基本的にはGoogle Playで配信されるアプリの提供内容。たとえば国/地域の属性が米国になっているGoogleアカウントでは米国向けの、日本になっているなら日本向けのアプリがインストールされるようになっています。
たとえば、映画やドラマを配信している「Hulu」は同じ名前で、米国と日本では別のコンテンツ配信を行っているわけですが、米国のユーザには米国のHuluの、日本のユーザには日本のHuluのアプリケーションがインストールされるようになっています。
また、米国向けのみで配信されている一部のアプリ、たとえば「YouTube Kids」などは、日本のユーザーが Google Playで検索してもヒットせずインストールできません。
ちなみに日本のユーザー向け限定のアプリとしては3月上旬に、無料動画配信サイトの「Gayo!」が、また日本最大級のビデオ・オンデマンドサイトの「U-NEXT」が提供される予定になっています。時期は未定ですがソフトバンクの「アニメ放題」「BBTV Next」などもリリース予定です。
こと映像に関しては、(少しだけ待てば) Android TV向けの日本向けコンテンツはかなり豊富に揃うことになりそうです。
音声検索の日本語ローカライズは、ほぼ完璧
Nexus Playerの特徴のひとつには、付属のリモコンに話しかけて「音声検索」できることが挙げられます。この日本語ローカライズはかなり秀逸で、日本語の単語や日本人の発音の特徴を捉えて正しく認識させることができ、非常に快適に使うことができます。
Google Playムービーの画面のように、左上に虫眼鏡の絵のアイコンが表示されていれば音声認識ができます。ここで、リモコンの一番上にある検索ボタンを押し、リモコンに向かって検索したい単語を発音すれば検索が始まります。
Nexus Playerでは「がんだむ」と発すると、ちゃんと「ガンダム」と聞き取り検索し、この単語に対応する「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」「機動戦士ガンダム F91」といった、Google Playムービーに収録されているガンダムシリーズのタイトルをずらりとリストアップしてくれます。
また、「おーるゆーにーどいずきる」「くろーむ」などを純日本的なカタカナ発音でしゃべっても、「All you need is kill」「chrome」というように英単語に変換して検索してくれます。
ただ、この音声検索は周辺雑音にはちょっと弱いようで、たとえば背後で他の人が話をしている場合などはうまく聞き取ってくれません。音声検索を使うときは、できるだけ独りで使っているときにしたほうがよさそうです。
あるいは、検索画面でコントローラの右ボタンでソフトキーボードが表示されますのでそちらで文字を選んで入力するか、キーボードをNexus Playerに繋いでそちらから入力することになるでしょう。
なおこの検索機能の検索対象は、検索画面のあるアプリが対象にしているコンテンツだけになります。同じ動画を扱うアプリでもたとえばGooglePlayムービーで検索ならGooglePlayムービーの中だけ、YouTubeの中ならYouTubeだけを検索するのです。できれば横断的に検索できればよかったのですが、ここは今後のアップデートに期待したいところです。
Android対応周辺機器であればBluetoothで接続可能
先ほど「キーボードを」という書きましたが、このAndroid TVはテレビ向けにアレンジされているとはいえAndroid OSそのものを搭載しているので、Androidスマートフォンやタブレットに使っている周辺機器も接続さえできれば、多くがそのまま使えます。
Nexus Playerの場合、Bluetoothインタフェースを持っていますので、Androidスマートフォンやタブレットに対応したBluetooth機器の使用が可能です。
今回の場合、BluetoothマウスとBluetoothキーボード、Nexus Playerとペアリングして使用してみましたが、Nexus Playerをまるでパソコンのように操作できます。
ただし、キーボードに関しては、多くのAndroidタブレットと同様、キーボードレイアウトが強制的に英語キーボードのそれになってしまい、たとえば[Shift]+[2]キーを押すと「"」ではなく「@」が入力されてしまいます。
Androidスマートフォン・タブレットの場合、「日本語106/109キーボードレイアウト」などのレイアウト変更アプリをインストールすることで変更することが可能だったのですが、まだこの種のアプリでAndroid TVに対応しているものはないので、しばらくは、記号に関しては英語キーボードの配列を思い浮かべながらキーボード入力する必要がありそうです。
Chromecast互換機能は不完全な点も......
また、Nexus Playerは、音楽や動画をストリーミングデータとして他のデバイスに配信する機能「Google Cast」にも対応しています。この「Google Cast」は、簡単言えば、HDMI端子に接続してインターネットの配信映像をテレビに映すガジェット「chromecast」互換の機能で、Nexus Playerでも、スマートフォンをリモコン代わりにインターネット配信映像をテレビでみることができるわけです。NexusPlayerにはまだ提供されていない映像配信元でも、スマートフォン向けに提供されていれば、この映像を「キャスト」してテレビで鑑賞することができるわけです。
スマートフォンからのGoogle Castの使い方は、Chromecastを利用する場合とほぼ同じです。
Android / iOS の対応ソフトや Chrome拡張機能の「Google Cast」でキャストアイコンをタップすると、キャスト先一覧が表示されますので、ここでNexus Player をタップすればキャストが始まります。
ちなみにこの Chromecast 互換機能は、Android TV用に既にアプリがある YouTube や Google Playムービーなどでも利用可能です。アプリの機能に関しては、スマートフォン・タブレット版のほうが任意シーンへのスキップなど高機能なので、スマートフォンユーザの場合はリモコンを使うより、こちらのほうが便利かもしれません。
ただし Nexus Player の Chromecast 互換機能 (Google Play サポート)はまだ完全ではないようで、一部Chromecast対応アプリでは正常に動かないことがあります。この点は注意が必要でしょう。
確認した範囲では「dアニメストア」がNexus Playerへのキャストが不能で、テレビの画面にdアニメストアのオープン画面自体は映るものの、そのあとアニメ本編の映像を表示させることができませんでした。
この辺りは、Nexus Player、あるいはあるいはキャストするスマートフォンのアプリ側どちらが修正されるのかわかりませんが、早い対応を望みたいところです。
ゲームや実用系などNexus Playerに対応したアプリ
映像以外のアプリは少ないものの、Androidスマートフォン用にも提供されているアプリで、Android TVに対応している場合があります。
たとえばゲームであれば
- ファイナルファンタジー III
- ソウルキャリバー
- King of Fighters 98
- ESファイルエクスプローラー
- MX Player
アプリはAndroidスマートフォンなどと同様に、Google Playからダウンロードしてインストールできます。有料のものは、同じ Googleアカウントの残高や登録したクレジットカードを使って購入可能です。Androidスマートフォンで既に同じタイトルを購入している場合、Nexus Playerでも追加料金なしでプレイできます。
Android TV対応は比較的容易。アプリはすぐに豊富になる
Android TV 最大の特徴は、TV用に一部機能変更を加えたものの、ベースとしてはスマートフォンやタブレットと同じ Android OSをそのまま載せていることです。
アプリケーション開発環境も、当然ながら Androidスマートフォン・タブレット向けアプリのそれが使えます。この記事中の画面キャプチャ写真・動画も多くが、Androidスマートフォンのアプリケーション開発に使うadb (Androidデバッガ)を使って撮影しています。
アプリの作り方ですが、基本的にはAndroidスマートフォン用のソースコードはほぼそのまま使え、Android TV対応のライブラリを使用することと、あとは数箇所修正するのみで最低限の対応が可能です。
Nexus Playerは、CPUに1.8GHzクアッドコアIntel 「Silvermont」コアAtom、GPUにはPowerVR Series 6を搭載しており、ハイエンドスマートフォン並みのマシンパワーを持っています。どんなスマートフォンアプリも、ほぼそのまま移植で処理速度については快適に動くはずです。
Androidスマートフォン用のアプリはすでに非常に多くリリースされていますので、これから多くのアプリケーションがNexus Playerでもリリースされ、快適に実行できるようになることに期待したいものです。
日本での価格は1万2800円(税抜)。ソフトバンクではキャンペーンで「AQUOS CRYSTAL」に機種変更したユーザー、ワイモバイルでは「Nexus 6」をMNP契約したユーザーに、特典としてこの「Nexus Player」を無料でプレゼントする予定です。